2009年05月20日 のCoolに過ごそう

マスクは効果があるのか?

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 私は医者ではないが、自分なりに調べてみた。

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まず厚生労働省のWEBを見てみよう。

そこでは「新型インフルを知るために」で、インフルエンザにかからないために、2項目が挙げられている。

・必要のない外出は控えてください(特に人が集まる場所)。

・外出したらうがい、手洗いを行って下さい。

とあり、マスクの着用については触れられていない。

ただ【咳エチケット】として、「咳、くしゃみが出たらマスクを着用しましょう。また、家庭や職場でマスクをせずに咳をしている人がいたら、マスクの着用をすすめましょう。」と書かれている。

感染が疑われる場合は「咳、くしゃみ」が出たらマスクを着用しろというわけだ。

 

インフルエンザウイルスは患者のくしゃみ、咳で気道分泌物という小粒子に含まれて周囲に飛ぶ散る。

この小粒子(ウイルスではない)の数は1回のくしゃみで約200万個、咳で約10万個といわれている。

その際、感染者からおよそ1-1.5メートルの距離であれば、直接に周囲の人の呼吸器に侵入して飛沫感染によるウイルスの感染が起こるわけだ。

 

感染の多くは、この飛沫感染によると考えられている。

飛沫核感染(ごく細かい粒子が長い間空気中に浮遊するため、患者と同じ空間にいる人がウイルスを吸入することによっても起こる。

ドアノブなどの環境表面に付着したウイルスへの接触などによる感染を通じて感染する接触感染すると考えられている。

これらの3感染経路のどの部分をブロックしたなら、最も効果があるのかの大規模な検証は今まで行われてこなかったため、信頼できるデータが存在しないのが実情なのだ。

 
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では、マスクはどれくらいの大きさのウイルスをブロックできるのだろうか?

サーズウイルスは 0.08 - 0.16ミクロン、インフルエンザウイルスは 0.08 - 0.12ミクロン、ほぼ同じ大きさだ。

不織布が補足できる粒子は5ミクロン以上、で価格は30枚入りで500円くらい。

効果があると言われている N95タイプマスクが補足できる粒子は 0.3ミクロン以上で価格は20枚入りで3500円程度だ。

 

世間でよく言われている、マスクは「N95タイプ」という説は、本当だろうか?

「N95タイプ」は製造現場で使用される防塵マスクを医療用に活用したもので、目が細かい分、不織布よりも微小粒子を体内に入れない効果は高いが、正しく装着できるかどうかがポイントとなる。

当然マスクでは目の粘膜からの進入や、髪の毛や衣服に付着した微小粒子を排除することができないため、自宅内に微小粒子を持ち込むことは防げない。

 

医療従事者がN95タイプを使用するのは、限定された環境の中で一定の期間(医療活動など)感染防止のために使用するのに有効だからだ。

その際には、予防用手袋、ガウン、眼鏡を併用する。

マスクは医者への感染防止ではなく、医者からの患者への感染防止のために使用されている。

このようにマスクは、感染した人が使用するのが最も効果が高いのだ。

  

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アメリカでは、マスクをかけている人は非常に少ない。

何故なら米国の医学研究所委員会は、パンデミック期間にマスクの効果を信じて外出する市民が増えることを懸念しているからだ。

同研究所は国立アカデミーの一組織で、最も信頼性ある科学者の組織だと言われている。

 

オフィシャルには、2006年8月に、パンデミック・インフルエンザ発生の際にマスクが意義があるかどうかは不明だと米国医学研究所が発表している。

買っても使いこなすことが難しい一般の人が医療用N95マスクを買い占めると、病院や診療所で本来必要となるN95マスクが不足することになる。

そのため自分が感染したとき病院に行っても、N95マスクが不足した医療機関は診療が行えず閉鎖されてしまい治療を受けることができないという事態が考えられるからだ。

効果が不明のまま数百万人の人々が効果を信じて再使用しないマスクを着用すると、多くのマスクの供給が必要になり、マスクの供給量が不足するという本末転倒の結果を想定しているからだ。

 

米国の連邦保健当局はマスクの供給量の問題から、医学研究所に、パンデミック・インフルエンザが発生した場合、再使用が安全に行えるマスクがあるかどうか質問したが、マスクが本当にインフルエンザを防止するかどうかに対して、研究所の委員会では疑問を呈している。

委員会ではマスクがインフルエンザに効果を持つか否かについては、十分参考になる資料はないと明言している。

 

こうした理由で委員会の報告では、マスクによる感染防止は最後の手段と考えられる、と結論づけている。

委員会では、「使うなとは言わないが、本当に有効であると期待はすべきでない」と言っているのだが、日本とはかなり温度差がある。

この決定に、現在パンデミック・インフルエンザのための予防用品を備蓄している保健福祉省では、何もコメントは出していない。

  

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外科用マスクは大きな粒子をブロックするように作られているが、空気感染を起こすような微小粒子はブロックできない。

N95マスクも微小粒子をブロックするようには作られているが、インフルエンザ・ウイルスに対する効果は不明なのだ。
これはウイルスの大きさと、マスクがブロックできる大きさを比較すれば当然のことだろう。

また予防のためには、正しい装着方法が要求され、さらにサイズも限定されていて、小児には不適なのだ。

 

さらに正しく装着して長期間着用した場合、呼吸はだんだんと困難になることも忘れてはならない。

感染者がウイルスを排出する時期は発症1日前から5日までと考えられている。

米国では症状のある人がマスクを着用することで、地域における感染予防効果が高まるとは考えられていないのが現状のようだ。

 

感染者が、家庭、学校、職場、または他の公共施設で他の人々に相対する場合、咳やクシャミを呈したとき、ティッシュで顔を覆って、呼吸器からの分泌物が飛沫するのを防ぐことの方が重要なのだという。

汚染したティッシュは最も近いゴミ捨て容器に捨てられるが、その後、十分な手洗いをすることは必須だ。

英国のジョンソン保健相は4月27日の国会答弁で「マスクをかけて感染を防止できることを示す科学的根拠は見あたらない」と発言している。

 

米国のCDCも「あえてはずせとまでは言わないが、科学的な根拠はない」(ベッサー所長代行)との立場を取っている。


米国医学研究所によるインフルエンザに対するマスクの意義と着用する際の留意点を挙げておこう。

正しく着用されているなら、その時間帯は気道内への微小粒子の侵入は防ぐことが出来る。

ただしマスク装着面以外の顔面、髪の毛などには、微小粒子は付着していることに注意する。

 

脱着の際、手指に微少粒子が付着することに注意。手指を十分洗った後、顔面、髪の毛も十分洗って、微小粒子を洗い落とす。

完全に手指、顔面、毛髪の洗いが終了するまで、口、鼻、目に微小粒子が付着しないように注意する。

医療従事者が、ある一定期間、感染防御のために使用するには有効で、その際予防用手袋、ガウン等と併用するのが一般的だ。

 

欧米では一般人がインフルエンザ感染予防用として用いることには、各種の論議があるようだが、現実生活で正しいマスクの着用を完全に実行することが実際的には不可能と考えられることから、米国では一般市民がインフルエンザ予防のためのマスク着用に関しては否定的だ。

理論的には、マスク着用時間内だけ、呼吸器にウイルスが侵入することを防止することは可能と考えられるが、接触感染、空気感染を完全に防ぐことは不可能だからだ。

   

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日本ではマスクメーカーが医科大学と共同でインフルエンザ流行期における子どものマスク装用による効果に関する実験を東京都荒川区立尾久宮前小学校の協力のもと行ったという情報がネットに掲載されている。

そこでの結論は「マスクを装用すると、子どものインフルエンザ発症率を5分の1に低減させることができる」のだという。

だが個人的には、マスクを売りたいメーカー絡みではない、つまり利害関係のない専門機関による、統計学上信頼できる十分な数の被験者を使った、信頼に足りる客観的な検証を行って欲しいものだ。

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