AIJ投資問題から何を学べるのか?

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日本では預金をしても利息がほとんどつかないという、特殊な状況になっていることはみなさんもよくご存知のはず。

いわゆる「通帳のシミ」と呼ばれる金利しかつかないのが現状だ。

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こうした環境のためお金を増やしたいと考える人は、こういう地合いの時ほど、「何かよい金融商品はないだろうか?」と考えるはずだ。

 

 

このような心理的背景をもとに、いわゆる「AIJ投資顧問サギ事件」が勃発したのではないだろうか?

一般的には、分散投資をベースにしたものが、安全でよい金融商品とされている。

分散投資というのは、資金をいろいろな国のいろいろな業種の株式、超短期の債券、投資信託などへ分散して預けるということだ。
なぜなら、「絶対儲かるものはない」というこうした種類の金融商品の特性上、勝負は「安全性」ということにならざるを得ないからだ。

では、我々個人投資家は、数ある金融商品のどういった点に注意すればよいのだろうか?


 
換金性

いざというときに、すぐにお金に換えられる換金性は、特に今のようなスピードが要求される時代には大事なポイントだろう。

換金性という面から見たよい商品とは、早い期間でリターンのあるものという言い方もできるだろう。

増えなければ換金しても、手数料だけ損をするわけだから、長期保有しなければ増えない仕組みの商品は、換金性の面から考えるとよい商品とはいえないだろう。
 


収益性

今のように変化の早い時代には、早い期間でリターンがあるものを組み合わせることだ。

余裕のある人は、長期投資、つまりお金を寝かせておくことができるだろうが、そうでないケースでは換金性とともに忘れてはならない点だ。
 


安全性

株式でも20年から30年保有すれば上昇するため、安全性だけを考えれば長期投資が有利になると考えられていた。

株式を長期で保有するというのは、比較的安全性が高いというのが一般的な概念だった。 だが2000年を境に決してそうとはいえない状況になっている。

おまけに、今のように昔より生活のテンポが早くなってきている時代には、20年も保有するといった方法は、時代とともに形骸化しているといっていいだろう。

大金持ち以外は、そんなにのんびりとは待っていられないのが普通の事情なのだ。


 

そうなると、「こういうときにこそ専門家に頼むのが一番」、と誰もが考えるはず。
 
では金融商品の専門家に頼む場合、どういう点に注意したらいいのだろうか?

いわゆる金融商品についての専門家の筆頭として脚光を浴びた 「ファイナンシャルプランナー」に相談すると、数年前なら「個人投資家は株式投資をする必要なんてありませんよ。我々が分散投資のお手伝いをさせていただきます」と言われたはず。

特に彼らが薦めた商品、とりわけMMF(マネーマネジメントファンド)は、「郵便貯金並みの安全商品」という売り手の宣伝文句に加え、換金性の高さもあいまって、多くの人に人気があった商品だ。

では今までの、日本でのそうした商品の歴史を少し振り返ってみよう。

 

米国のエネルギー卸売り会社であるエンロン社の倒産をご存知だろうか?

このとき、エンロンの社債をポートフォリオに組み入れていた日本のMMFは軒並み元本割れを起こしてしまった。

この解約の影響で他のMMFなどにも解約が殺到し、約8兆円が流出したことは記憶に新しい。

さらにこうしたMMFは、何の銘柄をポートフォリオとして組み込んでいるかは、個人投資家には、通常わからないようになっている。


 
MMFなどの商品の売り手は、通常「信用力の高い公社債に投資している」などと説明するはずだ。

しかし現実には、マイカルの破綻などで、元本割れを起こしたMMFがまたぞろ出てくるという有様で、元本保証のない社債は「保証」という意味での危険度は株式投資と同じなのだが、 多くの消費者はこうしたことを知らない。

無知がさらに被害を大きくしたといえる典型的な例だろう。

 

現在のような超低金利の時代には、相対的に利回りの高い社債を商品に組み入れ、「安全性」を看板にして販売しなければ売れないという、販売側の事情もこうした傾向に拍車をかけている。

さらに2001年の11月には、安全性が高いといわれていた、あの中期国債ファンドさえも元本割れを起こしたという、「輝かしい歴史」(笑)があることを忘れてはならない。

その理由は、米国同時多発テロの再保険で破綻した、大成火災海上のコマーシャルペーパーを組み入れていたからだ。

リスクを計算するプロのはずの保険会社が再保険で破綻するというのはいかにも間抜けな話だが、問題なのは個人投資家がこうしたリスクを見抜くことが、システム上できないようになっているという点だ。

 


このように、プロが運用する金融商品のリスクを仮に取ったとしても、その見返りとしての利回りはあまりにも低いというのが現状だ。

危ない橋を渡っているのに、橋が崩れ落ちるのだから、まさに踏んだり蹴ったりだ。

株式市場の低迷は、このように金融商品のプロたちにも大きな影響を与えている。

では、個人投資家はどうすればいいのだろうか?
 


答えは、「自分の頭を使え」ということだ。

インターネットを使って自分で勉強すれば、はるかに安全な投資が可能になる時代になっている。

エンロンもマイカルも、ヤフーの無料株価チャートで見れば、危ないということは事前に予測することができる。

通信環境とパソコンの普及によって、勉強する意思さえあれば、自分の目でリスクとリターンを調べ、そして希望する株式の銘柄を選択すること はそれほど難しいことではない。

自分で投資先を調べ、ポートフォリオを組むことさえ、個人でできる時代なのだ。
 
こうした手段があるにもかかわらず、それを知らない、言い換えれば少しも勉強をしない投資家が、こうした金融商品の餌食になっているのだ。
 


このように金融商品を選ぶといっても、一概にどれがよい商品なのかということを決めるのは、よく考えるとかなり難しいということがわかる。

さらに、今までの常識とされる安全性という点から見ても、短期で高いリターンのあるものが必ずしも安全性が低いとはいえない時代になってきている。

自分で勉強し、中間に介在する過程を省くことで、短期でリターンがあり、なおかつ安全性の高いという一見矛盾するような方法だってあるのだ。

ただしこれは既成金融商品としては販売されていないから 、自分で取り組まなければならないのだが。


 

最後に、一般的な金融商品を買う場合、どういうところに気をつければいいだろうか?

運用するファンドマネージャーの、ここ数年の成績がわかるもの以外には手を出さない。

これは当然だろう。

こうした点を答えられらないような商品には、絶対に手を出さないことだ。

成績の悪いファンドマネージャーに、大事なお金の運用を頼むほど、あなたはお人よしではないはずだ。

 


次に組み込まれている銘柄がわからないものに も手を出さない。

これも大事な点だ。

この二点を必ず厳守すること。

 

そして、こうした条件にあてはまった商品が見つかり投資を始めることができたら、あなたの投資先、つまり組み込まれている銘柄を一週間に一度だけでもいいから、ネットを使って自分で調べることだ。

大事な自分のお金を人任せにする、という姿勢がリスクを高くする。

自分のお金は自分の責任で守り、そして増やすという当たり前のことを忘れてはならない。


 

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