家族と子育て

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子育てというのは、その方針が正しいかどうかの検証が、すぐにはできないという点で、仕事とは全く違った世界だといっていいだろう。

毎日の積み重ねの結果として、それが正しかったかどうかは、少なくとも20年後になってからでないとわからない。

そういういう意味では長期の取り組みが必要になる壮大なプロジェクトだといえるのではないだろうか。

  

日々の努力の積み重ねが必要という点で仕事と似てはいるが、科学的あるいは論理的な取り組だけではうまくゆかないもの。

だが、だからと言って、運を天に任せておけばいいというものでもないので、ここが親としての頭の痛いところだ。

  

「子供は親の背中を見て育つ」と言われるように、口で言うだけではダメ。

言うことと、やっていることが違っていると、その矛盾によって、へそを曲げたり、グレたりするので、そういう意味では、仕事よりよりシビアといえるだろう。

 

特に私のように、外にいる時間より家庭にいる時間の方が長いと、子供に与える影響というのはより大きくなるわけで、仕事としての難しさは、意外とこうしたところにあったりするわけだ。

 

もちろん現場のディレクターである、カミサンの影響が最も大きいわけだ。

いわゆる監督の役割を持つ父親というのは、ディレクターがいかに、現場でラクにそしてスムースにストレスがたまらないようにサポートをするかという点でかなりの責任があるといえるだろう。

    
  
現実には、こうした大まかな方針さえ筋を通しておけば、どちらにしても、あとは毎日一生懸命に生活する姿を子供に見せるしかないわけだ。

親が子供に経済的な自立ができるように考えるというのは、自然なものなのだが、こうした点も、子供が親の希望通りの方向へ進むようにと、杓子定規なやり方を強要したり、小細工や過度の期待をかけると、逆にうまく行かなくなるケースが多い。

  

この辺の按配は、現場のディレクターであるカミサンと、親としての相互のコミュニケーションをうまくとる必要があるわけだ。

ここをほったらかして、カイシャや仕事に逃げ込むと、後でしっかりと高いツケを払う羽目になる。

   
そういう意味では、子供やカミサンを見れば、旦那がどの程度なのかはバレバレになるというわけで、トレードのようなカットロスができない分、よりシビアだともいえるだろう。

子供が自分の仕事を継いでくれればと考える親も多いが、反面自分がなれなかった華やかな世界に憧れ、収入の多いスポーツ選手にさせたいとか、皮算用が働きやすいのも、子育ての難しさだといえるだろう。
  

 

生活が成り立つかどうかという、経済的な面でいえば、華やかな仕事というのは誰もが憧れるため競争率は高く、また経済的な面でいえば意外と寿命が短い仕事が多い。

スポーツマンは基本的に、そんなに長くはできない仕事で、たとえばレーシングドライバーなどは40歳くらいが限度だ。

  

仕事の特徴として長年大きな衝撃を受け続けるため身体にはダメージを受けやすく、こうした面からも引退した後の処遇も含めて冷静に考えると、まだまだ日本では厳しいものがあるのが現実だろう。

このあたりも、日本から速い選手が生まれにくい土壌となっているようだ。

   

 
だが、多くの著名なレーシングドライバーを生み出している、イタリアやスペインでは、子供を育てるとき、親はいかに他の子と異なった才能を身につけさせるかという点で、日本とはかなり違っている。

親が希望する型に嵌める育て方よりも、その子の個性を見つけ、その方向にあうように後押しをするという点では、子供と触れ合う時間は長い方が有利となるわけだ。  

  

塾通いなどをさせて子供が忙しいと、よりこうした家族と過ごす時間が減るわけで、こうした点を総合すると、日本よりもカイシャ社会ではない欧米の方が、親も子供と過ごすことができる時間は一般的に長いといえるだろう。

家族一人ひとりが、学校や会社に拘束される時間が、一日のうちでどれくらいの割合で、自分が自由になる時間がどれくらいあるのかを考え、家族のコミュニケーションの度合いがどれくらいあるのかを考え、必要に応じて調整をするというのは、父親である監督の仕事だ。

  

家族というのは顔を突き合わせる時間が最も長いわけで、仕事先や学校というのは、家庭よりはるかに短い時間、人間関係やコミュニケーションをとるだけでいいわけだ。

こうして考えると、家族間のコミュニケーションや人間関係がきちんとできていれば、カイシャや学校での人間関係なんて、本来とても簡単なことなのだと思う。

  

家族をうまくハンドリンできる能力があり、家族を大事にするお父さんが、仕事ができるというのは自然な摂理であり、家族をほったらかしにして仕事ばっかりしていると、仕事がうまくゆかなくなるのは、当然のこと。
  
  
残業ばかりして、過労状態に陥りワーカホリックになるというのは、自分をコントロールできないわけだから、家族とうまくやってゆけなくなるのは、当たり前なのだ。

こうした部分が、欧米に比べ多くの日本人男性に最も欠けているところで、それがひいては仕事にも影響しているのだと思う。

  

仕事にかまけていると、そのしわ寄せは妻への負担となり、やがて夫婦の絆にも、大きな影を落すようになる。

もしこうした傾向にあるのなら、早く気がつき、早めに手を打てるかどうかだ。

 

男のなすべき努力は、仕事ではなく、こういうところにこそ、向けるべきではないだろうか。

  

  

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