ホンダ・アクティ

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前回紹介したスバル・サンバーは富士重工が軽自動車製造から撤退したため、今となっては中古を買うしかない。

サンバーは、50万キロも走ることができるポテンシャルを保つため、中古市場では走行距離が7万キロとか10万キロくらいの安いブツが大量に出回っている。

見栄えさえ気にしなければ、走りの楽しい経済的なクルマを手に入れる事ができるわけだ。

だが、サンバーのようによくできた、軽トラの新車を手に入れたい、と言う方のため、今日は別の車をご紹介。

それはRR方式のサンパーと並んで異彩を放つホンダ・アクティ

何とミドシップ。

ゆえに巷では「港のフェラーリ」と呼ばれている。

 

ホンダの軽トラは、ホンダが4輪へ進出したときの、T360に始まる。

同時にデビューしたFRスポーツカーS500と同じメカニズムで構成され、エンジンの上に座席を載せるキャブオーバー式ボディーを採用。

ミドシップをホンダの軽トラが採用するのは第二世代のTN360から。

このTN360は、横置き2気筒FF形式だったN360のパワートレインを、後軸の直前に移動し、後輪を駆動させたものだ。

その後継車であるTNアクティもこのレイアウトを守り、横置きミドシップを採用している。

アクティの搭載ユニットは直列3気筒で、動弁系はホンダ得意のSOHC4バルブ。

この直3ユニットの最高出力は、46PSと他の軽トラに比べ最も低い数字だ。

加えてアクティは重い。

また長大ホイールベースのため最小回転半径も大きく、グレードにもよるが、4.3メートルからから4.5メートルあたり。

   

横置きの直列3気筒ミドシップという変則レイアウトゆえ、リアサスには特殊な形式となっている。

デフは変速機と一体構造のため、リジッドァクスルではなく、ド・デイオン・アクスル方式を採用。

懐かしき、プリンススカイラインで有名になった、あのリアサスと同じで、左右輪を太い鋼管で連結している。

  

リジッドに似ているようだが、違いはデフ一体化されず、車体側にマウントされることだ。

そして、デフを避けるために鋼管は湾曲している。

このド・デイオン・アクスルを支えるのは、リジッドと同じリーフスプリング、

   

アクティは、他の軽トラ中最も長い2、420ミリというホイールベースを持つ。

なぜなら、前輪を前へ押し出した設計のため。

アクティのエンジンは後輪直前にあるため、ホイールベースを伸ばすと重心が後ろに寄ることになる。

 

ホイールベースの変遷は結構頻繁だ。

初代は1850、2代目は1900、3代目は2420ミリ。

だが2009年の4代目へのモデルチェンジで、アクティーはホイールベースを1、900ミリと短くしてしまった。

理由はこちら。(笑)

 

    

車検証の前後軸重配分の数字を見ると、サンバーよりミドシップのアクティのほうがリアが重くなっている。

サンバーと同じように、リアヘビーの傾向を緩和するためににホンダは「ある技」を採用している。

現行の軽トラはみな145R21のラジアルタイアを前後に履く。

アクティの指定空気圧は前より後を高くし、タイヤに頑張らせることでリアの危うさを打ち消そうとしているのだ。

 

 

サンバーでも書いたが、私は軽トラには乗ったことはない。

だがモータージャーナルの沢村慎太朗氏の有料メルマガや、刊行されている本によると、実際の走りでは、想像した以上の効果を発揮しているのだという。

アクティのリアはどっしり落ち着き、操舵時の前輪横力ゲインも低めに採られているため、多少振り回したくらいでは安定は崩れないらしい。

   

しっかりフロントを地面に押さえておきターンインしないとァンダー傾向が強く出るという。

もちろんタイトなコーナーで旋回Gが高まると、リアは外に振り出されそうな気配を見せるだろうし、また大アンダー状態から一気にスロットルを戻したりすると急激なタックインが出てノースが内側にスパッと引き込まれ、その慣性のためにクルマは姿勢を乱そうとするはずだ。

アクティは、一見はミドシップらしからぬ安定方向に躾けられ、その重厚さぶりは、セッティングで軽快さを作つてぃるFR勢よりもおとなしく感じるほどだという。

   

軽トラは車重が軽いため、タイヤも耐摩耗性を重視したものがついている。

そのため駆動輪の接地能力を稼いでおくことは、とても大事になるわけだ。

そういう意味でもサンバーとアクティーは他の軽トラとは一線を画しているといえるだろう。 

絶対的なトラクション能力が欲しいなら4WD仕様がお勧め。

 

サンパーのRRや、アクティのミドシップは、机上の理屈を超えた強い主張と信念を持っている。

サンパーはずっとエンジンをリアに、アクティはミドに積んで、半世紀近くもの間生き長らえてきたのだ。 

このように両車は、あらかじめリアに荷重をかけておくことに固執したわけだ。

ただ、そこから先は見事なまでに対照的。

 

ホンダが造ったロングホイールベースのエンジン横置きミドといえば、NSX を思い出すだろう。

だがシャシー設計を見ると、NSXではなくフェラーリ360モデナと同じ。

後ろが重いミドをリア優勢で走らせて安定性を確保し、曲げる方法はドライバーに任せようというわけだ。

アクテイも360モデナもそういうクルマであり、そういう方向の運転を要求するのだという。 

サンパーは、ショートホイールベースで、狙いは機動性。

 

以下は沢村慎太朗氏の本からの引用だ。 


例えばステアフイールが素晴らしい。

それはタイヤの切れ角の連続変化をきちんと伝えてくれる。

前が軽いサンパーはターンインで前荷重をしっかり入れておくことが連転のカギになるが、その荷重の大小もステアリングはちゃんと描写してくれる。

またブレーキペダル踏力と制動力の関係もリニア。

どれも達成しているレベルが他4車とは段違いの仕上がりで、もはやトラックの域を超えている。

それだけでなく、サンパーは運転環境も見事だ。

シートはこれだけがビニール表皮でなくファブリッグで、柔らかく沈み身体を支えてくれる。

フットスペ1スにも余裕があって、左足の置き場所は踏ん張りゃすぃ形に設えられる。

何よりも驚くのは、ドア内張りの出っ張り部分。

これがちょうどよくニーレストとなって、右への横Gに耐えるときの助けをしてくれる。

偶然ではないはずだ。

つまりサンパーは、精密なドライビングに必要なデイテールを磨き上げることで、リスクに立ち向かったわけである。そこあるのはサンパーを愛するドライバーたちへの信頼だ。

こんな風に、ドライバーとの間に美しい信頼関係が結ばれているクルマがこの世には他に一台だけある。そう。

ポルシェ911である。

 

  

サンパーは911だというシャレ混じりの台詞をよく聞く。

しかしサンパーは単にRRだから911なのではない。

911と同じようなドライバーとの関係を築こうとしているから、軽トラ界のポルシェ911なのである。

 

 
サンパーは、ホイールベ1スの短さゆえの内輪差の小ささと俊敏性を買われて、田や畑の狭い道で活躍することが多いという。

アクティは、多様に用意された特装仕様のためもあってか、小回り性が要求されにくい漁業関係に強いという。

言うなれば、港のフェラーリと農道のポルシェ。その大げさ風な形容は、実は深いところで本質を突いているのである。

 

 

軽トラックというのは、本来は現実的な世界に生きる機械である。 

小さく軽く小回りが効き、しかし荷物が積めて、そして安い。だから存在しているクルマ。

7メーカー5車種のうちどれを選ぶのかも、ドライな現実によって決まるのだろう。

 

しかし、アクティやサンパーには、それを超えた何かが宿つてぃるように思える。

彼らの販売力はスズキやダイハツに及ぶべくもない。

ならば商品の特色をはっきりと打ち出して、特定の客層をがっちりと掴むほうがいい。

だからサンパーもァクティも、そういうクルマになったのだ。

 
 

さすが。

深いなあ・・(笑)

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