2013年02月23日 のCoolに過ごそう

最新年金運用事情

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今日のテーマは「年金運用は大丈夫なのか?」です。

というのは私は毎日マーケットを見ているわけですが、小回りのきかない年金運用などは「ボロボロ」なのではないかと思うわけです。

というのは年金運用実績は、ヨロソクないからなのですが・・

こちらに、年金積立金の運用実績(平成13年度~平成22年度)があります。

 

2007年度には公的年金運用で 5.6兆円 という赤字を出しました。

公的年金の07年度運用損で閣僚発言相次ぐ

http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-32591120080705

こうした投資効果の測定には、基準指標というベンチマークが使われます。

たとえば日本の株式なら「日経平均株価」や「東証株価指数(TOPIX)」がベンチマークとしてよく使われるのですが、チャートを見てみると・・

 

これが日本株のベンチマークとしてよく使われている日経平均指数の月足チャートで、黄色い部分が2007年。

 

こちらは米国マーケットを代表するダウ平均指数で、これも月足チャートで、黄色い部分が2007年。

 

 

このベンチマークは、どういう風に使われているのかというと、たとえば日経平均が仮に一年間で3割下がったとします。

仮に年金の運用損失が3割ならベンチマークと同じですから「普通の運用」ということになり、損が3割未満なら、ベンチマークより「優れた運用」ということになるわけです。

運用成績が2割の損でも、全体の株価が3割下がっているのだから「運用としては優れている」と言われても、普通の人はなかなか納得できないでしょう。

 

 

国民の目から見ると、自分の財産の一部を国に預けて運用して貰っているわけで、それが損を出したりすると「年金のような大事なものを株式に投資するとはケシカラン」といった感情論が、メディアからも沸き起こるというわけです。

ですが株式市場というのは、健全な投資としては重要なマーケットであり、株式投資抜きでの資産運用というのはあり得ないと言っても過言ではないでしょう。

価格の変動リスクをうまくコントロールすれば投資の収益率をよくすることができるというのは、多くの投資専門家の間では常識となっています。

 

 
それでは具体的に2007年の年金の運用はどうだったのか?

をまとめると運用利回はマイナス6.41%で損失は5兆8400億円。

内訳は、国内株式がマイナス27.9%、外国株式がマイナス17.1%。

国内債券はプラス3.31%、外国債券はマイナス0.32%。

ですが、過去5年間の平均利回りはプラス5.07%。

 

 

運用側の言い分としては「実質的長期目標利回りは0.96%なので、その数字は達成していますよ」というわけですね。

1年間に支払っている運用手数料は昨年度で約343億円。

民間の5兆円を超える巨大ファンドの信託報酬などは1%以上ですから、これと比べると随分安い報酬だといえるでしょう。

そうなると「安い報酬だから、運用成績が悪いのか?」と穿った見方もできるわけで、それなら「分割して民間に頼み、成功報酬として支払えば?」と考える人もいるはずです。

 

 

これだけ赤字になると、さすがに自民党もプロジェクトチームを組み、年金積立金150兆円のうち、とりあえず10兆円を切り離して、専門組織で別途運用したいという案を提言したのです。

つまりは損をしたという話が出ている間に、10兆円くらいを切り離して、オルタナティブ(代替)投資とか、ヘッジファンド的に運用してはどうかというわけです。

5年間やってみて、ダメだったらやめるということのようですが、年金資金の運用を、そんな風にやられたらたまらないと思う人も多いでしょうけどね。

私個人としては、手数料率は高くなるけど、全体の15分の1だけをハイリスクハイリターンに回す、という考え方は悪くないと思います。

低リスクで手堅くという方針でやっても、一年で5兆8400億円の損失を出したわけですし。

その後の成績を見ると・・

0223nikkei4years.gif

 

これが日経平均の年度ごとの損益をわかりやすく表示させたチャートです。

赤い部分は赤字なっているわけです。

これを年金の運用結果と重ね合わせると・・

 

0223nikkei4years2.gif

 

日経平均とまんま連動しているわけで、これが運用といえるのでしょうか?(笑)

144兆円の年金資金が10年間で121兆円へと33兆円も目減りしているのです。

0223nikkei4years3.gif

日経平均の10年間の動き

 

 

そもそもが、こうした運用の責任者が厚生労働省というのはどうなんでしょう?

年金の単なる記録さえ管理できなかった組織なのです。

そういう組織が果たして運用の管理などできるのだろうか、というのは誰もが抱く疑問ではないでしょうか。

 

今のように、トレードの経験が全くない大臣にこうした運用の責を任せるのではなく、現場で経験を積んだ人材によるチームがフルタイムで取り組むべきものではないでしょうか。

年金の一部分の運用を、個人に選択させるという方法もありますが、アメリカと違って日本人の高齢者には難しいでしょう。

ですが年金といえども自分のお金なわけですから、その責任の一部を自ら負うという考えは、ごく当たり前の事だと思います。

 

ですが何も変わらず、この調子で行くと、過去の実績を見る限り、どんどん目減りしてゆくことになります。

 今の若い人が、年金を貰える年になったとき、果たしてどれだけ残っているのでしょうか?

 
 

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