出る杭

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セミナーを受講された多くの方は「一流のトレーダー」を目指して日々研鑽されるわけですが、もちろん何年トレードを続けたってその人が一流かどうかなんていう評価は人が決めるものであり、自分ではわからないもの。

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ですが「そうでありたい、そうなりたい」という意志の力を保ち続けることは、決して無駄にはならないはず。

  
思い起こせば35歳あたりまでは、いわゆるハウツーのビジネス物の本を読み漁っていた時期がありました。

高い自己啓発のテープを買ったりもしていたのですが、すっかり嵌ったのがこのナポレオンヒルでした。

   

1992年にアメリカへ仕事で行けるようになったのも、この影響があったからだと思いますが、刷り込みの効果と言うのが絶大だということを身を持って知ることになったという意味でも、大きな影響を受けました。

ですが組織の和を最重要とすることによる「出る釘は打たれる」というフォースが強い場合、ただ頑張るだけではなかなかうまく事が運ばないことも、後に身を持って体験することになります。

     

音楽の仕事をしていたときは20歳代の半ばでしたが、仕事がなくてアルバイトをしたことがありました。

車が好きだったので、ちょうどそのとき、初代シビックのヨシムラBチューンの中古車に乗っていたのです。

     

そのためバイトも車に関連した仕事をということで、赤坂の溜池にあるガソリンスタンドでバイトをすることにしたのです。

現場では私より若い人がほとんどで、私よりも上といえばいわゆる現場の責任者だった何だかワケありの40歳代のKさんだけでしたが、ものすごく頑張る人でした。

      

そのガソリンスタンドではランチライムになると、かなりの頻度で総会屋がでかいアメ車を3台くらい乗りつけるのです。

彼らのランチの間に手洗い洗車をすませ、満タンにしておかなくてはなりません。

    

ですからその連中が来ると、腹ペコで洗車しなくてはならず、そのうえ昼飯も遅くなってしまうので、どちらかというと嫌な客でした。

ですがKさんはそうしたときでも、ときどき時間を見て「昼飯を食って来い」と、ハラペコのみんなを先に昼飯にやり、一人で黙々と車を拭くという人でした。

     

こうしたアルバイトの仕事の合間に練習していたこともあって、一年ほどでまた音楽の仕事が来るようになったので、結局バイトはそのあとやめることになったのですが・・

     

あるときKさんが、一度だけ車で仕事場へ来たことがありました。

いわゆるハコ型のスカイラインGTRのBタイプを持っていたので、それを見せるために乗ってきてくれたのですが、きれいに磨かれたピカピカのエンジンルームを見て、Kさんがどれだけ車好きだったのかがすぐにわかりました。

 

気のあった上司のもとで、気の置けない年下の連中に囲まれて仕事をするというのは結構楽しいものです。

音楽の世界は、腕がよければ、人間的に問題があったりヤなヤツでも、一目置かれる世界で、そのためちょっと歪んだ性格の人も少なくない世界でしたから、こういうナイスな性格の人たちばかりの世界は、なかなか居心地がよかったのです。

 
ガソリンスタンドというのは当時冬場になると大きな病院などのタンクへ灯油の給油に出かけるという仕事もあったのですが、若い連中と行くと、途中でサボろうとするのです。

多少の時間サボったって、この手の仕事で大体どれくらいの時間かかるかは、ベテランのKさんならわかっているはずで、つまりはサボるとバレバレなわけです。

 

一応その仕事では責任者だった私としては、そういう理由でサボることについては取り合わなかったのですが、あるときKさんに呼ばれました。

それは、やんわりとですが「年上のお前が頑張ると下のものも頑張らなくてはならなくなるから、余り頑張るな」という趣旨の助言でした。

  

それからしばらくすると、軽油の配達などの仕事からは開放され、集金の仕事に回されることになりました。

赤坂の何だか2号さんのようなところへ集金に行くと、なまめかしく「お茶でも飲んで行かない?」と誘われたこともあり、コーヒーをご馳走になってから大慌てで退散したりと、それなりに結構楽しいこともありました。^^V

  

またそのガソリンスタンドの社長が出かけるときには、少し離れた駐車場に停めてある車を、誰かがガソリンスタンドへ持ってこなければならないのですが、少し暖機運転をしてエンジンの調子がよくなってから、戻るようにしたところ、気に入られてやめるまでの間ずっとその役をやらせてもらえることになりました。

暖機運転の間に休憩できるので、ラッキーでした。

   

というようなわけで、ガソリンスタンドのバイトで「回りのことも考えて頑張り過ぎない」と言うことを学んだわけです。

何となく違和感はありましたけどね。

  

単純な仕事は、ラクさはあるけれど、慣れてしまうと、やりがいと言う点では物足りなくなるもので、そのあたりの好みというのは仕事の選択に大きく関わってくるものだと思うのですが、とにかく音楽の仕事しかやったことがなかった私には、このガソリンスタンドでのバイトはとても新鮮な経験でした。

ですが同じことの繰り返しなのと、自分で好きなことができないという点から、一年近くも続けると、かなり飽きてきていたのは確かです。

   

ですが当時の私には、ガソリンを満タンにしておけると言う点と、暇なときに洗車ができるので、かなり魅力的な仕事だったのです。

ガソリンを何故満タンにしておけるかなのですが、溜池と言う場所柄、社用族は車を置いて、ランチに出かけて、満タンにしておいてくれという顧客が多かったのです。

 

当時は伝票に手書きでガソリンの量を書き込むのですが、細かい端数は切り上げて伝票に書き込みます。

たとえば、入れた量が17.25リッターでも、横柄な客の伝票には17.3リッターと書くというようにです。

 

それが重なるとかなりの量になるので、それを帰り際に自分の車に補給すると満タンになると言うわけです。

まあ、バイトで一日中ガソリンスタンドに置いてあるので、ガソリンはそれほど減らないのですが。(笑)

   

「回りのことも考えて頑張り過ぎない」という点については、実はアメリカに行って、順風満帆でうまくいっていた仕事も、あとで振り返ってみるとこの「出る杭は打たれる」ことが一因となっていました。

妬みは反感を生み、本人が知らないところで大きく根を張り、やがてそれはじわじわと繁殖し、やがては致命的なダメージを与えることができるパワーを身につけて狙う獲物に大きなダメージを与えることになることを身を持って知ることになろうとは誰が想像できたでしょう。

ですがアメリカ人との仕事を通じて、純粋に仕事としてやり通すだけのシンプルな方法がどれだけラクで、またパワーを持っているかについても、同時に知るところとなったのです。

   

日本で出版されている多くのビジネスのハウツーものでは、「出る杭は打たれる」事を前提として「回りのことも考えて頑張り過ぎない」という「気配り」の重要性とその方法がベースとなっています。

それは組織で動く以上、こうした問題は常に付きまとうからでしょう。

  

経営者サイドからすれば、組織を動かす上では、これは大きな問題となります。

経営者側にとって「靴の中の小石」はどんなに小さくても気になるもの。

  

こうした点は働くものが自主規制をしてくれるのが、最も都合がよくそしてコスト的にも安くあがり、さらに効果が最も高い、まさにトリプルメリットのある方法です。

ですから日本のビジネスのハウツー本では、直接間接を問わず、基本とその応用を含めた部分は必ず含まれ、それは美徳として決して忘れてはならないこと、として書かれています。

   

では、こうしたことに振り回されない、もっとシンプルでストレートな方法というのはないのでしょうか?

それがあったのです。

  

それが私の現在の仕事です。

本質的に「組織に属さない」という特質のため「出る杭は打たれる」事がなく、そため「回りのことも考えて頑張り過ぎない」といった「美徳」は不要になります。

  

あとになってわかるのですが、これこそが、私が探し続けていたものでした。

    

個人的に経済的な自立の手段を身に着けるためには、むしろ逆に「自分のペースで周りに惑わされずに取り組む」ことが必要となります。

このあまりの「本質」の違いとその違いの大きさによって、このトレーダーという仕事への取り組みがうまく行かない人もたくさんいるほどです。

 

実を言うと、マーケットを「組織」と勘違いし、擦り寄ることで大きな間違いを犯す人が後を絶たないのです。

このように、知らず知らずのうちに身についたこうした「習性」の大きさとその影響力は、セミナーをやればやるほど、より鮮明にそして鮮烈な印象として浮かび上がってくることは、まったく予期せぬことでした。

 

自分の持っているいろいろな「習性」が「組織に属するか属さないか?」と言う点や「組織との融和性」については、組織の中で仕事をする以上避けては通れない問題となります。

この点については、書くとまた長くなりますので、機会を見つけて別の視点から触れることにします。

    

出る杭は打たれるが、出続ける杭は打たれない。(笑)

   

  

出典 

 

2006年1月5日

  

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