国民を見捨てる日本

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いまだ10万人もの福島県民の方たちが、避難生活を続けている。

福島原発事故からすでに5年以上が経過、事故について報道されることは、ほとんどない状態だ。

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だが福島原発からは、現在も毎日2億4千万ベクレルという大量の放射性物質が環境中に漏れ続けている。

しかも収束の目途は全く立っていないのだ。

    

政府は2017年3月までに避難指示を解除する方針だという。

福島県も2017年3月までに、自主避難者への住宅提供を打ち切る方針を示した。

生活を支えるための金銭的支援は不十分極まりないが、それが撤廃・縮小されるのだ。

      

放射能の線量が高くても元の住居に戻れ。

避難場所に留まりたいならば支援はしない。

自己責任だ。

     

という非情な国からのメッセージ・・

つまり日本では何かが起こっても、しかもそれが国の責任であっても、誰も責任を取らない。

そのため、自力で何とかしなければならないのだ。

     

こうした災害を通じて見えてきた、日本という国の、本当の姿。

だが、現実はマスコミの垂れ流す大本営発表を信じている人が大半なのだ・・

  

ドイツARD「放射能汚染された土地」2016年3月12日

  

    

【ストロンチウム検出】でも文科省は認めません!

 

東京・霞が関の経済産業省庁舎前(千代田区)など都内三カ所の路上に堆積していた泥から、微量の放射性ストロンチウムが検出されたことがわかった。福島第一原発から約二百五十キロとより遠い横浜市港北区のマンション屋上の泥などからも十月中旬に確認されている。ストロンチウムについて文部科学省は同原発から半径百キロ圏内でしか土壌調査しておらず、専門家などから調査範囲の拡大を求める声が上がっている。

調べたのは、港北区の自宅マンション屋上でストロンチウムを突き止めた教員男性(38)らの住民グループ。

 

 

ストロンチウム90からどう身を守ればいいのか

 

セシウムが存在するところには、セシウムと比較して量は少ないものの、必ずストロンチウム90は存在しているのです。

ストロンチウム90の半減期は約28年。

さて「ストロンチウム90からどう身を守ればいいのか」についてですが、食べなければいいのです。

ストロンチウム90は、セシウムと違って、デトクッスは無駄です。

取り込んでしまった後では、ほぼ対処法はない、と言っていいと思います。

    

 

10都県で過去11年の最大値=ストロンチウム90の降下量-測定結果公表・文科省

事故からたった9ヶ月で、ストロンチウムは、462兆ベクレルが海に流出している。

海産物を食べるのがどれだけ危険かは、推して知るべし。

  

   

まるで、半殺しにされているようだ

 

東日本大震災から5年が経つが、避難生活を続ける福島県民はいまだ10万人近い。そうした中で、国は次々と避難指示を解除の手続きを進める。本来なら、放射能の汚染にまみれた土地から強制退去を求めるのが筋ではないか。

「国策民営」で始まった原発政策。福島の原発は、東京など首都圏の電力を賄うために造られた。住民は国や東電の甘言に騙され、被害を被った。子供たちが安心して住める代替地を確保するなど、国は彼らの面倒を見るべきではないか。

被曝地について週刊朝日(2016年3月18日号)が伝えているので、もう一度、振り返って考えよう。

***************

来年3月までの帰村を目指す飯舘村でも住民から不満の声が聞こえてくる。

飯舘村では、村の半分にあたる3000人を超える住民が、原発事故で生活基盤を破壊されたとして賠償の増額を原子力損害賠償紛争解決センターに求めている。その「飯舘村民救済申立団」の団長を務める長谷川健一氏が言う。

「村の除染は計画全体から見ればまだ4割程度しか終わらず、空間線量も高い。それなのに避難指示を解除しようとしている。避難先の福島市や川俣町の仮設校舎に通っている子供も、来年4月から飯舘村の学校に戻すという。帰村しない子らにはスクールバスで送迎するというからあきれた。村は子供の健康をどう考えているのか」。

避難指示区域の一つに当たる特定避難勧奨地点の解除を巡り、国を相手取り裁判を起こした小澤洋一氏(60)はこう言う。

「除染が終わった小高区の民家の庭の土や石を測定したところ、1平方メートル当たり2000万ベクレル近い放射能が検出された。農地の土も汚染されているので、農作物や、畑仕事をする人の被曝も心配だ」。

汚染とは、放射性物質がモノや食べ物などに付着している状態を指す。原発事故前の土や石などの汚染は1平方メートルあたり1000ベクレル程度だった。福島はいまでもその2万倍も汚染されている場所があることになる。

昨年9月には福島、伊達、桑折、国見の4市町のあんぽ柿や干し柿から最高値では270ベクレルが検出された。福島県の検査自家消費野菜の6%を超える376検体から50ベクレルを超える放射性セシウムが検出された。

仮設住宅暮の林マキ子さん(67)は話した。「仮設は壁が薄く、ここでの生活はもう疲れた。でも、被曝生活は嫌なので帰りたくない。年金生活の身にとって、仮設と家で二重の光熱費支払いが家計を圧迫。東電からの補償も不十分。これではまるで半殺しにされているようだ」

避難指示が解除されれば、住民への精神的賠償や住宅支援もいずれ打ち切られる。となると、生活苦に陥る住民も増え、家に帰りたくなくても戻らざるを得ない人が出てくるだろう。

 

 

除染4割なのに次々と避難指示を解除する国〈週刊朝日〉

週刊朝日  2016年3月18日号より抜粋

  

まもなく東日本大震災から丸5年が経つが、避難生活を続ける福島県民はまだ10万人近くいる。国は昨年9月、楢葉町の避難指示を解除したのに続き、南相馬市の一部の解除を目指すなど、粛々と手続きを進める。だが、住民から「解除はまだ早い」と批判が相次いでいる。

来年3月までの帰村を目指す飯舘村でも住民から不満の声が聞こえてくる。

飯舘村では、村の半分にあたる3千人を超える住民が、原発事故で生活基盤を破壊されたとして賠償の増額を原子力損害賠償紛争解決センターに求めている。その「飯舘村民救済申立団」の団長を務める長谷川健一氏が言う。

「村の除染は計画全体から見ればまだ4割程度しか終わらず、空間線量も高い。それなのに避難指示を解除しようとしています。現在、避難先の福島市や川俣町の仮設校舎に通っている子供たちも、来年4月から飯舘村の学校に戻すという。帰村しない子らにはスクールバスで送迎するというからあきれています。村は子供の健康をどう考えているのでしょうか」

長谷川氏は「避難指示区域解除ありきで進んでいる」と国や村の動きに危機感を募らせる。

実際のところ、5年の歳月を経て放射能汚染はどこまで改善されたのか。

避難指示区域の一つに当たる特定避難勧奨地点の解除を巡り、国を相手取り裁判を起こした「南相馬・避難勧奨地域の会」の小澤洋一氏(60)はこう言う。

「空間線量は原発事故直後より下がったものの、ひどい汚染はまだある。除染が終わった小高区の民家の庭の土や石を測定したところ、1平方メートル当たり2千万ベクレル近い放射能が検出されました。農地の土も汚染されているので、農作物や、畑仕事をする人の被曝も心配です」

汚染とは、放射性物質がモノや食べ物などに付着している状態を指す。原発事故前の土や石などの汚染は1平方メートルあたり千ベクレル程度だった。原子炉建屋の水素爆発による放射能雲が飛ばなかった地域では、いまでもこの水準だ。つまり、福島はいまでもその2万倍も汚染されている場所があることになる。

食の汚染に関しても同様だ。日本では口に入れる物の基準値は、1キログラム当たり食品100ベクレル、乳児用食品50ベクレル、牛乳50ベクレル、飲料水10ベクレルだ。

全量検査をしている福島の15年のコメからは、この基準を上回ったものは出ていない。しかし、1月には本宮市で採取されたフキノトウから110ベクレルが検出され、県は出荷自粛を要請した。昨年9月には福島、伊達、桑折、国見の4市町のあんぽ柿や干し柿から最高値では270ベクレルが検出された。さらに昨年12月に福島県が実施した自家消費野菜などの検査では、全体の6%を超える376検体から50ベクレルを超える放射性セシウムが検出された。基準値以下の数値だが、県は「精密検査をすれば100ベクレルを超えている可能性もある」という。

風評被害は起こしてはいけないが、地元に配慮するあまり、こうした放射能汚染の実態はあまり報道されなくなった。住民からはこんな不安が漏れる。

「食べ物、水だけでなく土なども細かく測定し、ここは安全、ここは危険とすれば自分で判断できる。住民を戻すならそれくらいはしてほしい。でも現状は、空間線量が下がったから何もかも『安心』と言われるので、かえって不安になるのは当たり前です」

町や村に戻りたくない一方、長引く避難先での仮設住宅暮らしに苦痛を感じる人たちも大勢いる。

南相馬市原町区の仮設に入居する林マキ子さん(67)は、市内の特定避難勧奨地点にある大谷(おおがい)地区から避難してきた。

「仮設は壁が薄く、隣家にも気を使わなくてはいけない。ここでの生活はもう疲れました。でも、大谷の家は特定避難勧奨地点はすでに解除されているとはいえ、何より被曝生活は嫌なので帰りたくありません。とはいえ年金生活の身にとって、仮設と家で二重の光熱費支払いをしなくてはいけないことは家計を圧迫します。東電からの補償も不十分。これではまるで半殺しにされているようです」

林さんは仮設住宅の自治会長をしながら、4畳半2部屋で40代の息子と20代の孫との3人暮らしを続ける。だが、家財道具が溢れて部屋が狭いことから、息子だけ夜は大谷の家に寝に帰るという。

避難指示が解除されれば、住民への精神的賠償や住宅支援もいずれ打ち切られる。となると、生活苦に陥る住民も増え、家に帰りたくなくても戻らざるを得ない人が出てくるだろう。

復興が名ばかりにならないため、国は慎重に避難指示の解除を進めるべきだ。(ジャーナリスト・桐島 瞬)

 

 

日本政府は、福島原発事故による避難者を消滅させようとしている

 

ある社会の本質を見極めるには、立場の弱い人たちがどのように扱われているのか確認するのが一番確実である。立場の弱いところに、その社会の矛盾・腐敗・堕落のしわ寄せが行き易いからだ。

福島原発事故が発生して、すでに5年以上が経過し、事故の深刻さが報道されることはほとんど無くなった。もう事故は収束したのだから安心だと言わんばかりである。そればかりか、原発事故そのものも風化し、人々の記憶から消えつつある。しかし実際には、福島原発からは毎日大量の放射性物質が環境中に漏れ続けており、収束の目途は全く立っていない。東日本を中心に大量にばらまかれた放射性物質は人々の健康を確実に蝕んでいる。

福島原発事故以前は、放射線による被ばく限度は年間1ミリシーベルトであった(外部被ばく)。しかし事故後は、緊急時のみに適用される年間20ミリシーベルトに引き上げられ、それが今日まで続いている。原子力緊急事態宣言が2011年3月に発令されているが、今日まで解除されずに継続中なのだ。

日本政府は今後も原子力緊急事態宣言を継続し、ずっと年間20ミリシーベルト基準を維持したいようだ。なぜか?基準を年間1ミリシーベルトにした場合よりも避難対象地域を大幅に狭めることができるからだ。対象地域を縮小できれば避難者数も少なくでき、賠償金や支援金を節約できるのだ。(法治国家として年間1ミリシーベルトをキチンと守っていたら、強制的に数百万人を避難させざるを得なくなる。)

年間20ミリシーベルトを超える地域の住民に対しては避難指示が出された。そして、年間20ミリシーベルト以下の地域の住民たちも自主的に避難する者が続出した。政府の言うことを信用せず、健康被害を避けることを最優先にして勇気ある判断をした人たちだ。これら原発避難者たちは10万人以上といわれているが、正確な数はつかめていない。

2015年の春以降に安倍政権は、「復興加速化」「自立」を前面に打ち出し、避難の終了を迫っている。「帰還困難地域」(年間50ミリシーベルト超、事故後6年が経過しても年間20ミリシーベルトを下回らない恐れがある地域)を除いて、2017年3月までに避難指示を解除する方針だ。福島県も2017年3月までに、自主避難者への住宅提供を打ち切る方針を示した。生活を支えるための金銭的支援は不十分極まりないが、それが撤廃・縮小されるのだ。「放射能の線量が高くても元の住居に戻れ。避難場所に留まりたいならば支援はしない。自己責任だ。」というメッセージである。


支援打ち切りの方針が決められるまでの経緯はほとんど情報公開されなかった。住民からの意見公募が行われたが形だけであり、アリバイ作りが目的だ。方針が決められても誰も説明責任を果たそうとせず、会見を開いても都合の悪い質問には答えず(答えられず)逃げ回るばかりだ。

自主避難者に対する冷たい仕打ちは、体験したものでなければ分からないだろう。チェルノブイリ原発事故の健康被害状況を知っていれば避難するのが当たり前なのに、「頭のおかしい人達」「風評被害を広めやがって!」という中傷を受けなければならないのは理不尽である。

福島原発事故は人災であり、国策として進めてきた原子力政策の破綻なのである。責任は、政治家・官僚・東京電力・メーカー・マスコミ・学者などの原発マフィアにある。彼らの愚策により、平穏な暮らしが破壊されたのだ。家族や地域の絆が破壊され、健康被害に遭い、転居を余儀なくされた。職場が奪われ、少ない賠償額や支援では貯金を取り崩さねばならない。

何の過失もないのに生活の基盤を他者から根こそぎ奪われたのだから、不自由をさせてはならないし、不安を与えてはならないのが原則だ。国として最低限下記の施策を実行すべきである。

①放射能レベルの正確な測定を日本全国で行い、結果を全て公表する。
②外部被ばくだけでなく内部被ばくの危険についても、最新の知見を国民へ提供する。

③避難地域選定については、最低限、チェルノブイリ基準を適用する。

④避難先で不自由がないように、住居、仕事、収入については十分援助する。

⑤避難対象者の医療費については生涯無料とし、診断結果は本人へ丁寧に説明する。

⑥原発は即廃止し、福島原発も含めて廃炉作業は安全第一で進めること。

安倍政権をはじめとする原発マフィアがやっていることは、これらの原則に反するものだ。そればかりか、原発避難者の存在をこの世から抹殺しようとしているに等しい。殺される側の原発避難者の視線に立ってはじめて、この国の恐ろしさが認識できる。海外戦没者の遺骨を100万体以上放置したり、公害や薬害の被害者を見て見ぬ振りをする態度と根っこは同じなのである。

原発マフィアというと極悪集団の集まりに聞こえるが、一人一人を見れば平凡な人たちなのであろう。官僚組織や東京電力にしても、あまりに巨大な組織ゆえに責任が希釈化されてしまうのだ。被害者と一対一で面と向き合えば罪悪感を感じるかもしれないが、組織になると他者への想像力や共感力が失われ、巨大な犯罪に手を染めてしまう。

日本は実質アメリカの植民地であり、日本の原子力政策は日米原子力協定で決められている。アメリカの意向は日本国憲法よりも上位にあり、逆らえないのだ。日米間の密約も多数あり、現在の法的構造の中では、アメリカの了承なしに日本側で決めていいのは電気料金だけだ。例えば2012年9月、アメリカのエネルギー省や国家安全保障会議の高官たちは、日本の原発稼働ゼロ政策についての懸念を日本の外務官僚に対して伝えた。その結果、当時の野田内閣は閣議決定を見送らざるを得なくなった。米国の意を受けた官僚たちに逆らうことはできないのが現実だ。

アメリカの言いなりにならない政治家や政党を国民が選挙で選び、アメリカの植民地状態を脱する必要がある。そして、日米原子力協定を廃止し、原発即全廃の方針を決めなければならない。さもなくば、いつまでたっても原発避難者は救われない。また、外部・内部被ばくに晒されながら自分は無関係と思い込んでいる数千万の日本人についても、その健康被害を止めることはできないのである。

  

日本の政治家は、当選するまではきれい事を並べる。

だが当選し、何かが起こっても、イザとなると手のひらを返す。

若者の自殺者が多いという現実が、今の日本を象徴しているのではないだろうか。

 

無念。

 

 

  

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このページは、hatchが2016年9月 1日 06:27に書いた記事です。

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