冬に家の中が寒いと危険

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日本の住まいは、別名「住宅性能の後進国」とも呼ばれている。

それは「夏暑く冬に寒い」住宅だから。

  

つまり、住宅性能の低い家が中心となって建設されているケースが多いためだ。
  

 

「18度未満の寒い家」は脳を壊し、寿命を縮める

  

たとえば廊下・脱衣所の平均値は約12度、居間でも16度。

 

WHO(世界保健機関)は2018年11月、冬の住宅の最低室内温度として「18度以上」を強く勧告している。

高齢者や小児は、さらにもっと温かい温度が推奨されている。

  

 

日本の家は寒い

 

ところが、国土交通省の調査では、居間では6割、寝室・脱衣所に至ってはなんと、9割もの家が18度に達していなかった。

平均年齢57歳の住居2000戸を調査した結果だ。

 

廊下・脱衣所の平均値は約12度、居間でも16度だったという。

   

英国では「家の寒さと死亡率の関係」を数十年にわたり調査し、その結果を「住宅の健康・安全性評価システム」として公表している。

それによると16度を下回ると呼吸系疾患に影響が出て、12度以下になると血圧上昇や心血管リスクが高まるという。

  

国土交通省の調査でも、朝の居間の室温が18度未満の住宅に住む人の総コレステロール値、悪玉コレステロール値は高く、また心電図表の異常所見も多くなることが明らかになっている。

    

 

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足元がヒンヤリする「コールドドラフト現象」

 
特に暖房しているのに足元がヒンヤリする、窓から冷気が漂ってくるのは「コールドドラフト現象」と呼ばれている。

窓からの冷気が部屋の内部に流れ込むからだ。

 

1箇所につき3万~10万円程度の「内窓(二重窓)」を取り付けるか、複層ガラスでできている「高性能の窓」に交換することでこれを防ぐことができる。

古いタイプの住宅でも、窓を見直すことで最新性能の住宅環境に近づけることができる。

 

そういうコストをかけられないというのなら、ケチらずに暖房器具を使うことだ。

夜ぐっすり眠れるはずだ。

 

寝室の室温の低さは寝つきを悪くし、熟睡時間を短くして、翌日の作業効率を低下させるのだ。

また、就寝前の23時時点の居間の室温が18度以上に住む人と比べて、12度以上18度未満の住宅では頻尿リスクが1.2倍、12度未満では5.3倍もリスクが高まるという。

 

何よりも寝室が寒い家は、光熱費をけちらず暖房器具を使用することをお勧めする。

その場合、窓側に暖房器具を設置すると、窓からの冷気を押しとどめ、暖房効率を上げることができるはず。

  

   

乾燥に注意

 

「乾燥を感じる」と中途覚醒する確率が2.9倍に悪化する。

暖房器具を使うときは、加湿器を使い、乾燥しすぎないように気をつけるのがポイントだ。

 

温かい家でゆっくり眠って心身の疲れを回復させ、翌日の仕事に備えるのが睡眠の役割だ。

  

あなたは、これからもずっと脳神経を使い続ける予定のはず。

だからこそ、脳神経が感じる質を大切にすることが、幸せな毎日への第一歩なのだ。

    

就寝中の寝室室温が低いと、起床後に測定する朝の血圧は上昇

 
将来は日本でも標準となるはずの高性能住宅だが、現段階で政府の基準を上回るような高気密・高断熱な性能を持つ高性能住宅の普及は進んではいないのが現状だ。

その点、ヨーロッパや欧米などの住宅では、その国の定められた住宅性能基準により高断熱・高気密で夏も冬も快適に過ごせる性能の高い住宅が普及している。

 
 
日本に長期滞在した外国人は、おしなべて「冬の日本の家はなぜこんなに寒いのか?」という感想を聞くことが多い。

日本の住宅の壁は薄く、施工も甘いというのは外国ではよく知られていることだ。

 

それが「日本の家は寒い」という印象を与えることに繋がっている。

  

 

冷えが体温と抵抗力の低下を招く  

 

室温が低すぎる住宅では、朝目覚めると背中や腰回り、手足が冷えているという状態になってしまう。

「寒い家」に住んでいると、身体が「冷え」を起こすのだ。

   

室内で心地良く過ごすなら、室温は最低21度あたりが適温とされている。

さまざまな冷えによる病気を回避するという観点から言えば、許容されている室温は18度。

 
 
室温が18度を下回ると、様々な病気のリスクが高まるのだ。

 
室温16度・・・呼吸器系疾患のリスク
室温9度から12度・・・血圧の上昇・心臓血管の疾患のリスク
室温5度以下・・・高齢者の低体温症による高いリスク

といった具合に、温度が下がるごとにリスクが高くなってゆく。

 

また、室温が低い家に住む人は、室温が高い住宅に住む人に比べ、6倍も高血圧になりやすいと報告されている。

一般的に言われている高血圧の原因として挙げられるのは塩分の摂りすぎやタバコの吸いすぎだが、「家が寒い」ほうが高血圧のリスクが高まるのだ。
  

 

ヒートショック

 
 
あまりに室温が低いと、他の部屋との温度差による血圧の上昇と下降が原因となる「ヒートショック」が起こる。

 

2018年の交通事故による年間死者数は約3500人。

だがヒートショックによる死者数は年間、1万7千人を越えている。

 

高齢者が家庭内で死亡する原因の4分の1が「入浴中の死亡」だというから驚きだ。

家庭の浴槽での溺死者数は10年間で約7割増加している。

  

厚生労働省研究班の調査によると、救急車で運ばれた患者数から、入浴中の死亡は年間約1万9000人と推測されている。

ここ数年、4000人台前半で推移する交通事故死を大幅に上回っているのだ。

  
一日の疲れを癒やすはずの風呂で、多くの人が命を落としているのだ。

しかも、原因は不注意だけでなく、「家そのもの」にもあるのだから恐ろしい。

 

まずは自宅の「浴室」を確認してほしい。

窓や暖房設備はあるだろうか。

 

風呂が北向きで、壁面や床はタイル張り、大きな窓があって、暖房設備がない、などといった、伝統的な日本家屋に見られる設計なら要注意だ。

このタイプの浴室は室温が低下しやすく、体にかなりの負担がかかってしまうのだ。

   

 

浴室が寒い住環境は危険

 

寒い日の室内で体が寒いと感じると、血圧が上がる。

そのサインは、ブルブルッと震えるような状態だ。

 

暖かい居室から、浴室へ移動するにつれ、廊下、浴室へと、室温はどんどん下がってゆく。

 

まして風呂に入る時は服を脱ぐので、体から熱が逃げないように、血管が収縮することになる。

その時、体内ではものすごい勢いで血圧が跳ね上がっているのだ。

 

そして浴槽内で体が温まると、今度は血管が拡張して血圧が急激に低下することになる。

 

ある研究では、入浴前に収縮期血圧(上の血圧)が120(ミリHg)だった人は、室温10度の浴室内では160まで上昇する。

浴槽につかると一気に130に下がり、浴室から出て室温の低い脱衣所に移ると再び170まで上昇する、ということが起こるのだ。

 

血圧が激しく上下すると、心筋梗塞(こうそく)や脳卒中などを起こす危険が高まるのだ。

一過性の意識障害から、転倒や溺死にまでつながることさえあるのだから恐ろしい。

 

さらに、湯につかっている時に意識を失うと、そのまま死に至るケースが多くなるのだ。

気持ちよく、スーッと意識が失われてゆくため、自分で助けを呼べない状態に陥りやすくなってしまうのだ。

  

この急激な温度変化に伴う体調不良が、いわゆる「ヒートショック」と呼ばれる現象だ。

寒くなるこれからの季節は、入浴に伴う温度変化でヒートショックを生じやすくなる。

 

消費者庁のまとめによると、東京都23区内での「入浴中の事故死」は、12月から2月にかけての発生が全体の約5割を占めている。

ヒートショックで死なないためには、入浴に伴う「温度変化」を極力少なくし、室温レベルを全体的に高くしておくことだ。

  

まず、浴室内の温度を上げることが大事だ。

湯船にお湯をためる時には、蓋をせずに、暖かい湯気が上がるようにする。

 

燃料費をケチってはならない。

  

そして床が冷たい場合はマットやすのこを敷いて、足から熱を逃がさないようにする。

さらに服を脱ぐ前に、浴室の床や壁面にシャワーでお湯をかけるなどの手間をかけることだ。

 

だが、起きがけにそうした作業をするのはかなり面倒なはず。 

   

 

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部屋ごとの温度差が10度以上は危険!

  

米国やドイツ、イタリアなど、海外では浴室暖房を備える家庭が多く、「浴室での死亡率」が日本の半分以下といわれている。

  

筆者の場合、朝起きがけには、酸素カプセル+バイオマットの組み合わせ1時間ほど仮眠するため、温泉に入った後のように体はホカホカの状態になっている。

そのあと施術ルームから廊下を歩いて、一部屋分の距離を移動してオフィスの風呂に入る。

  

酸素カプセル+バイオマットで、かなり発汗しているため、体感的に涼しくて快適な状態で、廊下を移動することになる。

さらに廊下部分の温度は、十分快適な温度が保たれている。

 

暖房設備がついているためだ。

  

オフィスの風呂は24時間風呂化している。

いつでも、温かい風呂に入ることができるため、寒くなると最高の風呂環境だといっていいだろう。

  

設置してあるマイクロバブルの24時間風呂は、湯音が常に39度を保つようにしてある。

浴室のドアは常に少し開けてあるので、オフィス全体の温度は27度くらいに保たれている。

 

温度差は10度以上あるが、低い方の温度が27度もあれば、裸になっても全く寒くない。  

このようにして体が寒く感じる温度にならないように工夫しているため、風呂に入る前に、裸になっても、寒さは全く感じないようにしてあるのだ。

    

  

特に高齢者やもともと身体が弱い人は、寒くなってくる冬の室温には、十分気をつけなければならない。

特に睡眠を取るための部屋では、夏場も冬場も快適な温度を保つことで、病気のリスクを回避することができるのだ。

    

断熱施工による気密性を実現した高性能住宅では、室温が一定に保たれることによって、心臓への負担や呼吸器系への負担を軽減させることができる。

また、室内が快適だと、衣類の着用数が減るため、衣類の負担によるアレルギー症状も軽減するため、皮膚疾患も軽減するうえ、薄着で快適に過ごすことができるというわけだ。

    

一年を通して住宅内の室温を一定に保ち、夏は涼しく、冬には暖かく快適に過ごすため、住宅の「断熱性」と「気密性」が高いマンションは圧倒的に有利だ。

一軒家に比べ、このような寒さによるリスクの低い生活が可能になるからだ。

     
一年中快適に暮らせるということは、一年を通して病気のリスクを回避できるということなのだ。

コストをかる場所を間違ったり、ケチったりすると、突然死のリスクが大幅に高くなることを、忘れないようにしたいものだ。

 

   
 

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