反論を喰らわない方法

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私は文章を書くことに、とても抵抗があります。
自分の書いた日記を良く思わない方がいて問題を抱えたり、「ぶっ殺す」というメッセージが届いたり・・・

というコメントをいただきましたが、これはネットで書く以上常につきまとう問題ですね。

いってみれば匿名性がもたらす、ツケのようなものです。

 

私も昔日記を書いているとき、そういう体験をイヤというほど味わいました。

そのような反感というのは、読み手の持っている不満が「妬み」や「意見の違い」などのきっかけによって表面化したものです。

言い換えれば、そうしたリアクションがあるということは、書いたものに何らかのチカラがあるということなのだと思います。

 

といっても、そうした体験は決して心地よいものではありません。

ですがそういうときには、書くことについてもう一歩踏み込むための、よい機会なのだと考えることにしました。

いろいろやってみると、書き方の技術によって、こうした点はある程度コントロールすることができるようです。

 

一例を挙げてみましょう。

  

郵政民営化法案が否決された。

日本はやっぱり社会主義国だ。
  

  

この文章では、何を根拠にそう思ったのか?ということがわかりません。

ですから、その論理的な部分が「空洞」になり「隙」があることになり、そうした「隙」を見つけ、ツッコミを入れる議論好きにとっては、格好のターゲットになるというわけです。

ではその空洞部分を少し埋めてみます。

  

 

郵政民営化法案が否決された。

TVがどんなことをやっているのかと、久しぶりにチャンネルを回してみると、全局同じ内容。

日本はやっぱり社会主義国だ。
 

 
これだと何故そう思ったのかという説明があるために、先の例より空洞部分が埋まっています。

ではもう少し説明を加えてみます。

  

 

郵政民営化法案が否決された。

TVがどんなことをやっているのかと、久しぶりにチャンネルを回してみると、俺には、なんだかみんな同じ内容に思えてしまう。

メディアは本来、取材によって得た豊富な情報を元に、その媒体の持つ考え方を、視聴者に問うことができるはずだ。

なのにこれだけの数のチャンネルで同じようなコメントになるなんて、俺にはどこかで言論統制をされているとしか思えない。

これじゃあまるで社会主義国じゃあないか。

俺はこうした風潮は大嫌いだ。

 

これだと、よほどの揚げ足取り以外は、突っ込みの入れようは、なくなってしまいます。

というのは「自分の好き嫌い」という生理的な感覚から出た言葉というのは、他人には否定のしようがないからです。

つまりそれは書き手自身の問題なのですし、読み手に何かを強制しているわけではありません。

自分の好みの問題だということがはっきりとわかる書き方で、読み手に意見を強制しなければ、反論を喰らう可能性はかなり低くなります。

  

 

ただしこの書き方には欠点もあります。

こうした好き嫌いから生まれた言葉で、説得力のある説明を覆ってしまうと、「隙」がなくなってしまいます。

つまり読み手の「付け入る隙」もなくなるかわりに、思考として参加をするという、空間をも閉ざしてしまうことになります。

そうなると読み手にとっては、自由さや、溌剌とした伸びやかさが失われ、ネガティブな表現をすると、「意固地で孤独な印象」を受ける事になりがちです。

「好き嫌い」という一方通行だけの文章は、書き手と読み手がお互いが「考える」という、ピンポンゲームが成立しないため、読み手にとってはスリリングな面白さを感じなくなるというわけです。

  

 

「隙」を作ると突っ込まれるリスクは生まれますが、文章には生き生きとした奔放さが生まれます。

「隙」を埋めてしまうと、強固に武装することはできても、自由さや読み手を受け入れるという優しさは失われてしまいます。

ですから自由な意見や反論が欲しい時は、「隙」を適度に開けておくことです。

 

このように2つの要素をうまく組み合わせて、空間を構築することで、読む人のエネルギーの流れを、ある程度コントロールすることができるようになります。

ですが、その匙加減が実はかなり難しいのです。

いい味を出すためには、突っ込まれていやな思いをしたり、悩んだりするという、スパイスの味も知っておく必要があるのです。

 

ですがワサビと一緒で、うっかり「塊」を食べてしまうと、鼻にツーンと来ますからご注意を!

 

 

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