Saturday March 3, 2007

US Market Recap

株安はだれのせいだ?

世界的な株安になったのは誰の責任だろうか?「今まで聞いた説明は、全て忘れてください。株安の原因は、前副大統領アル・ゴア氏の映画、「An Inconvenient Truth(不都合な事実)」がアカデミー賞を受賞したからです」、と奇妙なことを言うのは、トレンド・マクロリティックス社で投資コンサルタントを務めるドナルド・ラスキン氏だ。少し話を聞いてみよう。

「ゴア氏が、地球温暖化をテーマにした映画で賞を受賞したのは日曜の夜でした。株が崩れ始めたのは火曜ですから、タイミングがずれすぎている、と反論される方もいると思います。

翌日の月曜、テキサス州の電力会社TXUが投資者グループによって450億ドルで買収される、というニュースが報道されました。金額で分かるように、言うまでもなく超大型買収です。もちろん株価は跳ね上がったのですが、マーケットが終了すると、マスコミは次々とTXUに関する「不都合な事実」を報道し始めたのです。

TXUは、石炭を燃料にした11の電力発電所建設計画があったのですが、取り止めを発表していたのです。理由は、環境保護団体による訴訟を避けて、順調に450億ドルの買収を実現させるためです。

TXUの告訴を考慮していた環境保護グループの一つに、国家資源防衛審議会(NRDC)があります。TXUが新発電所の建築を断念したあと、NRDCはこんな声明を出しています。「企業はもはや地球温暖化を無視することはできない。TXUの例が示すことは、環境に対して無関心なビジネスプランは実現不可能ということだ。」

環境を考慮したビジネスプランは大切なことです。中止された11の石炭を燃料にする電力発電所は、コスト的にも安く、環境を破壊するようなことはありません。そんな事実があるのですが、NRDCは更にこう続けています。「今日テキサスで地震が起きたのです。TXUの実例は、ワシントン、そしてウォールストリートを揺れ動かすことになるでしょう。」

さて、TXUの地震が最初に襲ったのは上海です。結果は皆さんのご存知のように、上海マーケットは9%の大幅下落です。TXUが上海を下げた?ウソだ!、と思われることでしょう。もちろん、比喩的な言い方です。

地球温暖化ではなく、現在中国が抱えている問題は、経済の過熱です。経済成長を冷やすために中国政府は様々な提案をしましたが、どれもシンボリックなもので、現実性が無いものばかりでした。しかし、火曜に流れた噂はインパクトがありました。株の儲けに20%の税金を課す、というのです。」

分かりにくい話だが、こういうことだ。中国政府は否定しているようだが、政府は税金を武器にして中国マーケットを冷やすことに成功した。アメリカの場合は、アル・ゴア氏の民主党が議会の半分以上を占めている。民主党は環境保護支持政党だから、NRDCの味方だ。中国と同様に、米国企業も政府という圧力に屈したわけだ。

ゴア氏が株安原因、とラスキン氏は言っているが、ビジネスや株式市場に政府が介入してはいけない、ということを強調したかったのだろう。

チャートでクイズ

あなたのチャートIQに挑戦!

S&P 500指数の日足です。チャートに入れてあるのは「ボリンジャーバンド」です。さて、どんな現象が始まった可能性があるでしょうか?

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正解:

下限、または上限バンドに張り付いて株価が推移する、「バンドウォーク」という現象が始まった可能性があります。

Wall Street English

厳しい一週間が終わった

 Cowen & Coのアナリスト、マイケル・マローン氏はこう語っている。

Malone said, are keeping a close watch on the currency market, where the yen's rally this week has fueled global jitters. Over the past few years, a major source of funding for major market players, such as hedge funds, has been to borrow yen cheaply to invest in high-yielding assets, creating the so-called "yen carry trade."

要点は、今週大きく上昇した円は、世界のマーケット関係者を神経質にさせている。過去数年以上にわたって、ヘッジファンドなどの重要な資金源は円借り取引(yen carry trade)だったから、引き続き円の動きを監視したい。

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