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反対意見を聞いてみよう

ジョセフ・グランビル、という名前を聞いたことがあるだろうか?たとえ聞いたことがなくても、移動平均線を使って株を売買している人なら、グランビルの法則を知らずに利用している可能性がある。それはさておき、氏が有名になった最大の原因は、1981年、「持ち株を全て処分しろ」のタイムリーな警報だ。

今年83才になったグランビル氏は、現在のマーケットをどう見ているだろうか?セントルイス・トゥデイに引用された氏の意見を読む限り、マーケットは天井が近いようだ。ダウ指数は好調に高値を更新してきたが、この指数に属する銘柄で高値を更新するものが減ってきている。また、相場の4年周期も指摘され、今は特に慎重にならなければいけないようだ。

ここでもう一人警報を鳴らす、マーク・フェイバー氏(エコノミスト)の見方も紹介しよう。「マーケットは超割高レベルに達していますが、投資者たちは全く心配していません。季節的にマーケットが強い時期ですから、株は来年の一月まで上げる可能性があります。私個人的には、ここで新たな資金を投入するのではなく、空売りすることを選びます。」

株の陰に隠れてしまい、ほとんど目立たないのだが、マーク・ハルバート氏(ハルバート・ファイナンシャル・ダイジェスト)は、国債投資家たちもあまりに強気すぎる、と指摘する。「9月20日の連邦公開市場委員会で、短期金利の5.25%据え置きが決定され、今日もその金利に変わりはありません。この二カ月の間、一時的に10年物国債利回りが上昇することもありましたが、現在の利回りは9月20日に記録されたレベルを下回っています。(国債が買われると利回りは下がる)

問題なのは、国債買いを推奨するアドバイザーやコンサルタントが多すぎるのです。片方の意見が、一方的に強い時は気をつけなければいけません。皆が「買い、買い」と騒ぐのは、マーケットの底ではなく、マーケットの天井で起きるものです。

ほとんどのアドバイザーが国債の買い推薦ですから、たしかに国債価格が上がっています。しかし統計を見ると、極端に一方の意見が優勢な時は、そのトレンドが二カ月以上続くことは、滅多にありません。ですから、国債市場はピークに近い状態です。

最新のハルバート・ボンド・ニュースレター・センチメント指標は43.2%です。これは、アドバイザーたちがポートフォリオの何パーセントを国債に投資することを勧めているかを示したものです。先月の数値を少し上回っていますが、こんなに高い水準を記録するのは五年ぶりです。」

経済記事は真実?

またしても、全国小売連盟(NRF)からの発表に非難の声が上がっている。感謝祭の翌日(11月24日)が、「黒い金曜日」と呼ばれ、クリスマス・セールの開始日になることは先日も話したが、問題になっているのは、その週末3日間に関する売上ニュースだ。

全国小売連盟の調べによれば、買い物客は平均で360ドル15セント(4万1820円)の金を使い、去年の黒い金曜日の週末を18.9%上回った。好調な滑り出しだが、この360ドル15セントは正確な数字ではない、とファンド・マネージャーのバリー・リットホルツ氏は言う。

「最初に指摘したいのは、全国小売連盟は第三者的な機関ではなく、小売業者のスポークスマン的な存在です。違った表現をすれば、同業者団体である全国小売連盟の役割は、小売業界のチアリーダーです。ですから、発表された数字を鵜呑みすることはできません。

ビジネスニュースで有名なCNBCも、同じ週末三日間の売上を調査して、こう報道しています。「多数の買い物客がショッピングセンターに押し寄せたが、黒い金曜日の週末売上は、2005年度と同程度、またはやや下回ることになりそうだ。ガソリンやエネルギー価格が最近下がっていただけに、これは予想外の結果だ。具体的には、46%の消費者が「去年と同程度の金額をクリスマス・ギフトに使う」、と答え、32%は「去年より少なくなる」、と回答している。」

CNBCが正しくて、全国小売連盟の数字はいい加減だ、と言いたいわけではありません。だれが調査をするかによって、結論も全く違ってくることを示したかっただけです。私個人的な意見ですが、現在の米国経済を考えると、たぶん売上は+2%から+4%の範囲になると思います。ですから、CNBCの言う「去年と同程度」の方が信憑性があります。

困るのは、経済ニュースで最も権威のある、ウオールストリート・ジャーナルからの報道です。「業界団体の調べによると、今週末、買い物客は平均で360ドル15セントを使い、去年の302ドル81セントを約19%上回った。去年と同様に、安売りを専門にするディスカウント・ストアの人気が高いが、ディスカウント・ストアに今週末行った、と答えた人の数は50%にあたり、去年の61%から大きく減少している。」

インターネットの発展で、新聞会社の経営が苦しくなっています。記者の数も減っていますから、情報の正確さが、ひとつひとつ確認されていない記事です。全国小売連盟の売上調査方法を記しておきましょう。ショッピングセンターで買い物客をつかまえて、こう質問します。「なかなか混んでますね。買い物予算は、去年をどのくらい上回りそうですか?」繰り返しになりますが、全国小売連盟は小売業界のチアリーダーです。実際に、買い物客の領収書を見て出した数字ではありません。」

株で賃貸料稼ぎ

あなたの持ち株が一時的に貸し出されている可能性がある、とリズ・モイヤー氏(フォーブス・ドット・コム)は言う。貸し出されている?ご存知のように、空売りをするには、対象になる株を借りる必要がある。特に、ヘッジファンドは大量な空売りをするから、株を貸すことで証券会社は料金稼ぎができる。だから、ひょっとしたら、あなたの持ち株も、既に借用されているかもしれない。無断で借りるとはケシカラヌ、と憤慨される方のために、モイヤー氏は、こんな例を紹介している。

カリフォルニア州に在住する、ロジャー・メッツラー氏は、ノバスター・ファイナンシャル(NFI)に投資している。一株あたり5ドル60セント、利回りに直せば18.5%の配当金が、何と言っても大きな魅力だ。アメリカの住宅市場冷えこみが原因になり、ここ2年間、不動産上場投信のNFIには大きな空売り残がある。しかし、メッツラー氏は、全くそんなことを気にしていない。

メッツラー氏は、持ち株の32000株を貸すことで、証券会社と同様に料金稼ぎをしているのだ。この料金がバカにならない。氏の口座はスミス・バーニーにあるのだが、毎年13%の利回りに相当する賃貸料金を手に入れることができる。もっと細かく言えば、配当金が5ドル60セント、賃貸料が4ドルだから、一株あたりの総利益は9ドル60セントだ。

証券会社は、株をヘッジファンドや大手投機筋に貸すことで、年間100億ドルにのぼる収入を得ている。株を借りるのは、空売りだけが理由ではなく、金融派生商品(デリバティブ)取引にも、現物の株が必要になる場合が多い。しかし、メッツラー氏のように、個人投資家が株を貸して料金を稼いでいるのは、ごく希なケースだ。

誤解を招く前に説明しておこう。あなたの株は、既に借りられているかもしれない、と記したが、証券会社が自由に借用できるのは、顧客の信用取引口座(マージン・アカウント)に入っている株だけに限られる。メッツラー氏のように株を貸して料金稼ぎをしたいなら、株は信用買いではなく、現金で全て買ってしまわないといけない。

借りることが難しい銘柄だけに限って、チャールズ・シュワブは顧客に賃貸料の一部を支払っている。実際にシュワブに口座を持つ個人投資家の話によると、ノバスター・ファイナンシャル(NFI)の場合、顧客には8%の支払いがあるようだ。

真剣に賃貸料金稼ぎを考えるなら、どの銘柄に空売りが集中しているかを確認しなければいけない。空売り人気が高ければ、借りられる株数も少ないから、有利な条件で貸すこともできる。最近の人気空売り銘柄を見てみよう。Netflix(NFLX)、Martha Stewart Living Omnimedia (MSO)、Krispy Kreme (KKD)、NYSE Group (NYX)、そしてOverstock.com (OSTK)などがある。特に、一番最後のOSTKの空売り人気には異常なものがあり、賃貸料金は何と利回りに換算すると54%にのぼっている。

手数料ゼロを導入する証券会社も出始めているように、株を貸すことは、証券会社にとって重要な収入源だ。それだけに、賃貸料金を顧客と分ける証券会社は少ない。繰り返すが、メッツラー氏のようなケースは希だ。

肥満のコスト

七面鳥ディナーとパンプキン・パイで満腹になった感謝祭が終わったばかりだが、そろそろ12月になる。12月と言えば、オフィスでのクリスマス・パーティーや忘年会。もちろん、家庭でもクリスマス・ディナーをしなければいけないから、とにかく飲み食いの機会が多くなる。

冬眠に入るクマなら、徹底的に食べて脂肪を増やさなければいけないが、そんな習慣のない私たちは、数キロ重くなった体で新年を迎えることになる。だから当然の結果として、新年の抱負は「ジョギングをして体重を減らそう!」、という運びになるわけだ。

アメリカでは、10人中6人が太りすぎている。そして、太っている人たちの三分の一は、極端な肥満カテゴリーに属する。今さら言うまでもないが、肥満は心臓発作、脳卒中、糖尿病、関節炎などを引き起こす。専門家の調べによれば、毎年10万人の人たちが、肥満が原因となった病気で命を失っている。

病気になったら病院の世話になるから、医療費が生じる。アメリカの肥満問題は、いったいどのくらいの社会負担になっているのだろうか。二つの例を、フォーブス誌から拾ってみよう。

1、現在、米国医療費の9%は、肥満関連の病気治療に使われている。ドルに換算すれば、年間およそ930億ドルだ。カリフォルニア州、ニューヨーク州、ペンシルバニア州、そしてテキサス州は、年間それぞれ40億ドル以上が、肥満関連病に使われている。

2、肥満者は、体重が正常な人より、仕事を休む日数が多い。体重に問題が無い人は年間で3日の病欠があり、肥満男性は5日、肥満女性は8日の欠勤がある。肥満者による病欠は、企業に年間40億ドルの出費になる。

「肥満は大きな社会問題ですが、企業側には効果的な対処方法がありません」、と言うのはエコノミストのエリック・フィンケルスタイン氏だ。「私たちアメリカ人が、一つの会社に勤務する期間は、平均で4.5年間です。肥満が、実際に病気という形で表れるには時間がかかります。終身雇用なら話は別ですが、何十年という期間にわたって一つの会社に勤めないかぎり、先ず企業側は肥満問題を気にする必要はありません。

肥満で、一番の被害を受けているのはメディケアです。(メディケアは高齢者向けの公的医療保険制度)退職後は、メディケアに頼ることになりますから、企業側には医療費を負担する必要はありません。若い社員が太りすぎでも、病気になるのは、かなり先の話ですから、企業側は余計な金を使って社員のために減量プログラムを実施するより、メディケアに任せてしまった方が楽なわけです。」

フィンケルスタイン氏は、更にこう付け加えている。「太りすぎている人たちからアンケートを取ったのですが、こんな答えが返ってきました。もし特別手当が貰えるなら、減量してもいいよ。」

小売業者の正念場

ついに、2006年度のクリスマス・ショッピング・シーズンが始まった。開店時間に違いはあっても、アメリカでは全ての店が一斉に感謝祭の翌日(黒い金曜日)からクリスマス・セールを開始する。プロ野球でいうなら、公式戦開幕日に相当するから、正に待ちに待った買い物客が、格安品を狙ってショッピングセンターに押し寄せるわけだ。

ここで質問。なぜ、クリスマスセールの初日が、「黒い金曜日」と呼ばれるようになったのだろうか?

1、たくさんの買い物客で、小売店が大きく黒字になるから。
2、買い物客が、まだ早朝の暗いうちから店の前に並び始めるから。
3、この日は株式市場が下げる傾向があるから。
4、調子にのった買い物客は金を使いすぎ暗い気分に落ち込むから。

(正解は下を参照)

最近の傾向は、黒い金曜日の開店時間が早くなってきていることだ。最大手のウォルマートが店を開けたのは午前5時だから、これは遅い方だ。ロサンゼルス郊外にある、サイタデル・アウトレット・センターは金曜日を待てず、木曜の夜11時に開店した。

クリスマス・シーズンの売上は、年間売上の20%以上を占めるから、正に小売業者の稼ぎ時だ。はたして買い物客たちは、思ったように金を使ってくれるだろうか?住宅市場が冷え込んでいるから、今年の売上は、あまり大した期待ができない、という意見があるが、CNNニュースの報道によれば、67%の消費者(2500人を対象)は、クリスマス・ショッピングと住宅価格は関係無い、と回答している。

「消費者が、下降する住宅価格をさほど気にしていないのは、個人所得の上昇が原因です。10月の小売売上結果には、いくつかの問題点もありましたが、今年全体を通して見ると6.5%の伸びです。住宅市場は低迷ですが、個人所得は今年平均で8%ほど上がっています。これが、小売売上を支えている鍵です」、とエコノミストのマイケル・ニーミラ氏は言う。

世界最大の小売業者、ウォルマートの業績には、まだ力強さが表れていない。第3四半期決算、一株利益はアナリストの予想を上回ったが、肝心の売上は予想以下だった。ガソリンやエネルギー価格が値下がりしていただけに、この売上結果に一番おどろいたのは、ウォルマートの経営陣だ。

「ガソリンの値段が下がり始めましたから、ほとんどのアナリストは、ウォルマートの売上が上がることを信じていました。しかし、消費者は安売りを専門にするウォルマートを避け、質の良い高級品を扱うデパートに向かったのです」、とニーミラ氏は説明している。

巻き返しを狙って、既にウォルマートの最高経営責任者は、更なる安売りをクリスマス・セールで実施することを発表している。ライバルのターゲットも、負けずに対応する、と宣言しているから、今年のクリスマスの贈り物は、安く手に入りそうだ。

(クイズの正解は1番)

高利回り獲得法

現在の米国金利環境で有利なのは、債券型ファンドだろうか、それともマネーマケットファンドだろうか?ごく基本的な質問なのだが、簡単に回答するのは難しい、と経済コラムニストのチェット・カリアー氏は言う。逆利回り現象が理由のようだが、氏の説明を聞いてみよう。

正常な状態なら、債券ファンドの利回りはマネーマーケットファンドより高くなる。しかし、今日のマーケットでは、このルールが通用しない。たとえば、現在2年物国債の利回りは4.75%、そして10年物が4.6%だから、利回りの逆転現象が起きている。

もっと有利が利回りが欲しければ、マネーマケットファンドを調べてみることだ。Imoneynet.comを見てみると、4.9%を超えるものが目につく。例を挙げれば、バンガード・フェデラル・マネーマーケットファンドは5.02%、そしてフィデリティ・USガバメント・リザーブが4.9%だ。

何も迷うことはないだろう!マネーマーケットファンドを選べば良いことだ。債券型ファンドと違って元本割れの危険も無い。それに、連銀はしばらく金利を現状に据え置くことになりそうだから、今はマネーマーケットファンドが有利だ。もっともな意見なのだが、はたしてそうだろうか?

銀行口座のように資金が保証されているわけではないが、たしかにマネーマーケットファンドが元本を割る危険は、まず有りえない。しかし問題は、短期金利に連動するマネーマーケットファンドの性質だ。現行の金利がしばらく継続したとしても、連銀がひとたび利下げに踏み切れば、とうぜんマネーマーケットファンドの利回りも追従する。

なぜファンドマネージャーたちは、わざわざ利回りの低い10年物国債を買うのだろうか?一見バカらしい投資判断のように映るが、全資金をマネーマーケットファンドに入れてしまったのでは、長期間にわたって現行の利回りを確保することができない。

簡単に回答できない、と言っていただけに、カリアー氏の結論はどちらかに決めるのではなく、債券型ファンドとマネーマケットファンドの両方を利用することを勧めている。

カリアー氏が指摘しているように、マネーマーケットファンドは短期金利に連動する長所でもあり、短所でもある性質がある。2年物、10年物といった国債期間ほど長くなく、ある一定期間利回りを確保するなら、資金が保証されている定期預金だ。

利回りの高い、上位5銀行の6カ月定期を見てみよう。

月と小型株

株を買うなら満月の日が良いだろうか、それとも新月の日が良いだろうか?もう少し堅苦しく質問するなら、太陰周期を利用することで、株式投資の成果を上げることは可能だろうか?バカバカしい、そんなことで儲かるはずがない、と言われるかもしれないが、少しマーク・ハルバート氏(ハルバート・ファイナンシャル・ダイジェスト)の話を聞いてほしい。

信じる信じないは別として、株式市場は思っている以上に、月からの影響を受けているようだ。現に、いくつかのレポートが研究者たちによって発表されている。有名なものを挙げれば、ミシガン大学の助教授、イリア・ディシェフ氏の「株式市場と太陰周期」、そして「月と投資者」(カリフォルニア州立大学アーバイン校、キャシー・ユアン助教授)がある。

両レポートには、一つの重要な共通点がある。太陰周期の新月に最も近い15日間、言い換えれば、新月を真ん中にした前の7日間と、後の7日間の株投資成績は、残りの半月よりも成績が良い。どの指数、どの期間で比べるかによって、とうぜん違いがあるが、1896年までさかのぼって調べてみると、その差は年間利益で10%に及ぶこともある。ディシェフ氏の話によれば、この傾向はアメリカだけに見られるのではなく、海外の株式市場にもあてはまるようだ。

新月から満月までが太陰周期になるが、日数に直すと30日未満になる。だから、近代西洋カレンダーを見ると分かることだが、毎月同じ日に、新月と満月が繰り返されることはない。他の表現をすれば、月がマーケットに与える影響は、ファンドマネージャーによる月末のドレッシング買い、そしてクリスマス・ラリーとは性質が違う。更に言えば、太陰周期は季節性とは別のものだ。

なぜマーケットは月に影響されるのだろうか?両レポートとも、この質問に明確な回答は無いが、月が投資者に与える心理的影響が挙げられている。たとえば、満月は人々を悲観的にさせる傾向があるため、満月の前後は株の買いが控えめになる。

太陰周期に最も影響されるのが小型株だ。機関投資家は、先ず小型に手を出さないから、小型株を好んで買っているのは個人投資家だ。月が人間の心理状態を左右するということらしいから、小型が最も月に影響されても不思議ではない。機関投資家も人間の集まりだが、面倒な会議を重ねて投資判断をするから、個人投資家のように、大きな影響を月から受けることはない。

上記したように、1896年以来、太陰周期を利用した投資はたしかに利益を上げている。問題は、あなたは本当に、大切な資金を月に賭けることができるだろうか?

小麦とオイル

インフレは死んでいない。事実は、連銀が認めている以上に深刻だ、とMSNマネーのジム・ジューバック氏は言う。「場合によっては、2007年、アメリカは低経済成長、そして高インフレのスタグフレーションになる可能性がまだ残っています。」もう少し氏の説明を聞いてみよう。

「つい最近の話です。娘を学校へ連れていった後、いつもの店でベーグル(ドーナツの形をしたロールパン)を買いました。2ドル渡したのですが、戻ってきたおつりは、通常の15セントではなく5セントです。不平を言う前に、頭上の値段表を見てみると、ベーグルは値上がっていました。こんな不審そうな私の様子に気がついた店員は、「理由は小麦粉」、と簡単な説明をしてくれました。

さっそく調べてみると、たしかに小麦は今年50%も上がっています。商品市場の専門家たちのレポートを読んでみると、2007年、更に30%ほどの値上がりも予想されているではありませんか!そう言えば、小麦価格が悪影響となって、第3四半期の決算が予想以下になった企業があったことを思い出します。

インフレ状態を見る方法の一つとして、コア消費者物価指数が利用されます。先日の発表によると、10月分は0.1%の上昇でしたから、多くの人たちはインフレの心配は無い、と結論しました。しかし、コア消費者物価指数には、食品とエネルギーが含まれていません。

ベーグルの値段は5.4%の値上がりです。指摘したいのは、今年ずっと上がり続けていた小麦の価格が、今になって初めてベーグルに反映されたのです。トウモロコシやオイルも値上がりが続いていましたから、これらも物価値上がりという形で、消費者を襲うことでしょう。

17回にわたって、連銀は金利引き上げを実行しましたが、米国のインフレ状況に大した変化はありません。もし、70年代のようなスタグフレーションに陥ると、回復が極めて難しいことは確かです。経済が下向きなら金利引下げ、そしてインフレ退治には金利引き上げが使われますが、両方の顔を持つスタグフレーションでは、それらの一般的な治療方法に効き目がありません。

私はスタグフレーションを予想しているのではありません。ベーグルの例で見るように、その危険性があることを指摘しているだけです。第3四半期の国内総生産(GDP)は、+1.6%の低い水準でした。しかし、一四半期の結果だけではトレンドを見ることはできません。第4四半期のデータは、1月に発表されますから、来年早々ある程度はっきりした状況をつかむことができると思います。とにかく、スタグフレーションには超荒治療が必要になりますから、何としてでも避けなければいけません。」

テクニカル分析の基礎

インベスターズ・ビジネス・デイリー紙の創立者、ウィリアム・オニール氏、といえばCANSLIMの株投資方法で有名だ。単にファンダメンタルズが良い株を買うのではなく、チャートパターンも重要な銘柄選択条件であることが指摘されている。それでは、どうしてチャート分析が大切なのだろうか?そんな質問に対する回答が、、「なぜテクニカル分析が重要なのか」、と題してマーケット関連者に広く読まれている「バロンズ」に載っていたので、少し見てみよう。

著名テクニシャン、マイケル・カーン氏によれば、テクニカル分析には、三つの大きな目的がある。

1、現在の株価レベルを見るだけでなく、どのようにして現位置まで来たかを確認する。トレンドライン、サポート/レジスタンスラインの利用が役立つ。

2、トレンドの強さを確認する。出来高や、モメンタム分析が重要になる。

3、個別銘柄とセクター、そしてマーケット全体との比較をして、銘柄の相対的強弱度を確かめる。

カーン氏が勧める分析ツール:

1、トレンドライン: トレンドが友達、と言われるように、先ず銘柄のトレンドを確かめよう。高値と安値がより高くなって行くのはアップトレンド。そして、その逆がダウントレンドだ。言葉で言うと面倒だが、トレンドラインを引けば、銘柄の基調は簡単に分かる。買いを考えているなら、銘柄は上げ基調にあるものだけに限定することだ。

2、抵抗線/支持線: どの辺で買い手が現れるだろうか?どこで売り手が登場するだろうか?それを教えてくれるのが抵抗線と支持線だ。買いを考えているなら、直ぐ上に抵抗線が走っていない銘柄を選ぶことが大切だ。逆に空売りをするなら、近くに支持線が無い銘柄を選ぼう。

3、移動平均線: 投資者によって使う数値は違うが、50日と200日移動平均線が一般的だ。買う場合は、株価は移動平均線より上にあることが大切だ。もちろん、移動平均線も上昇していることを確かめよう。株価があまりにも移動平均線から離れている銘柄には気をつけよう。一転反落の危険性がある。

4、出来高: トレンドの健康度を測定するには、出来高の分析が重要だ。株価の上昇には、出来高の増大が伴っているだろうか?買いが買いを呼ぶ、という表現があるが、それを実際に数値で示したものが出来高だ。

5、レラティブ・ストレンクス: 銘柄をS&P500指数などと比べて、相対的な強弱度を調べよう。注目している銘柄が、指数の伸び率より劣っているなら、早い値上がりは期待できない。

カーン氏は、更にこう付け加えている。銘柄を分析している時は、偏見を捨てること。いったん買いだ、と決めてしまうと、おかしな判断をしてしまう人が多い。「直ぐ上には抵抗線がある。しかし、ファンダメンタルズが抜群に良いから、たぶんブレイクできるはずだ。」もしそう思ったとしても、実際に出動するのは、株価が本当にブレイクしてからだ。

ニュースにご用心

絶対に儲かります、控えめに見積もっても300%は行けるでしょう、などとデタラメなことを言って勧誘したら、とうぜん証券マンは罰せられる。それでは、実際に報道されたニュースを、セールストークに利用するのはどうだろうか?事実を引用するわけだから、何の問題も無いように思われるが、こんな話がある。

セールストークに説得力を付けるために、CNNやAP通信からのニュースを使うことは、何も昨日今日に始まったことではない。しかし、今年の7月以来、そんなセールストークを使っていた、南フロリダの先物専門会社数社に4000万ドルを超える罰金が科されている。

2003年が終わろうとしていた頃、ユナイテッド・インベスターズ・グループのセールス担当者が、ランズィー・ウィリアムズ氏に、こう持ちかけた。「灯油のオプションが、とても魅力的になってきました。報道されているように、イラクではオイルパイプラインの破壊行為が目立っています。それに、東海岸北部の州は例年より寒くなりそう、という予報も出ています。」

当時米軍で訓練を受けていたウィリアムズ氏は、イラクのパイプライン破壊に説得され、さっそく5000ドルで灯油オプションを始めた。その後、更に同社の別なセールス担当者を通して、1万7000ドルで為替投資にも手を広げた。結果は、合計投資金額の2万2000ドル(259万円)を全て失った。

判決は、ユナイテッド・インベスターズ・グループの負けだ。イラク戦争などの、世間一般に知れ渡った誤解されやすい情報を使って、セールス担当者はウィリアムズ氏を惑わせた、として14万6350ドル(1726万9000円)の損害賠償と、60万ドル(7080万円)の罰金が言い渡された。

商品先物取引委員会の、ダニエル・ネイサン氏はこう語っている。「これはまるで、証券マンが客に電話して、IBMの収益が記録的に良かったから、IBMを買え、と言っているようなものです。そんなニュースは、既に株価に織り込み済みです。寒い冬が来るから灯油を買え、夏休みのドライブ季節が近いからガソリンを買え。よく聞くセールスピッチですが、そのようなありきたりな情報は、誰でも知っていることです。」

季節的なニュースが頻繁に利用されるのは、今が絶好のチャンスだ、といった切迫感を作り上げるためだ。一昔前なら、セールス担当者は電話をかけまくったものだが、最近は何千というメールを携帯電話に送ることができる。今も昔も変わらないのは、投資知識の浅い人たちが狙われることだ、と弁護士のデービッド・チェース氏は言う。

証券マンがよく使う手は、セールストークに「時の言葉」を入れることだ。一時、「鳥インフルエンザ」、という言葉が毎日のようにニュースで流されたことがあった。「ABCD製薬は、鳥インフルエンザのワクチン開発の最終段階に入っています」、といった感じで客に迫るわけだ。

その他にも、北朝鮮の核実験、テロリズム、ハリケーン、津波、地震、肥満問題、とにかく証券マンの使えるテーマは腐るほどある。皆さんも用心しよう。

年末に使える投資方法

1月効果、という言葉があるように、毎年1月の相場は特に強くなる傾向がある。統計によれば、1950年以来、1月のS&P500指数の平均伸び率は1.23%だ。もし同様な成績を毎月あげることができれば、年間で約16%のリターンになるが、実際の数値は10%だ。そんなわけで、クリスマスから年末にかけて株を買い、1月の半ばに売って儲けよう、という投資者が多い。しかし、銘柄を間違ってしまったら話にならない。そこで紹介したいのが、ジャック・ハフ氏(スマート・マネー)の方法だ。

1月効果を利用した、少し変わったやり方がある。レポートは、これから発表される段階だが、現に教授たちが、この投資方法の有効性を証明している。少し変わっている、と言った理由は、投資対象が従来のように株ではなく、上場投信になるからだ。なぜ上場投信を選んだのだろう?個別銘柄の怖いのは、アナリストの格下げや収益下方修正で、大きな下落をすることがある。上場投信は、ファンドのように様々な銘柄に投資されているから、先ず個別銘柄のような大きな下げはない。それに証券取引所に上場されているから、売買は株と同様に行うことができる。

税金対策の一つとして、年末に損の出ている持ち株を売る投資者が多い。ほとんどの場合、既に低迷している株が売られるから、株価は更に下げてしまう。一日の平均出来高が2万株のような銘柄なら、少しの売りでも派手な下落になる。ようするに、これが一時的な割安を作り上げ、1月に反発ラリーを起こす下地になるわけだ。

一般的な1月効果を狙ったやり方は、叩かれた小型株を年末に買って、1月の2週目から3週目に売って利益を上げる。この方法の問題点は、あまりにも危険が高すぎることだ。よく言われるように、悪い時には悪いことが重なる。せっかく割安株を買ったつもりでも、1月早々格下げでは、新年が台無しになってしまう。

そんな訳で上場投信を買うのだが、先ず指摘したいのは、実際に利用するのは、債券を中心に投資している上場投信だ。買い候補の一つに、ハイ・イールド・インカム(HYI)がある。10月が始まったばかりの頃、HYIは4ドル98セントで取引され、利回りは7.6%だった。しかし、その時点における株価は、正当評価額を約10%下回っていたから、実質の利回りは8.4%に相当する。

HYIが狙える大きな理由は、過去10年間で35%の下落、そしてここ1年間では2%を超える下げだ。だから年末には、税金がらみの売りが大きく増えることが予想される。HYIの一日平均出来高は17000株しかないから、下げ幅も大きくなることだろう。もし12月29日までに4ドル50セントまで下がるようなら、実質利回りは9.3%に達し、1月にはこの魅力的な利回りが買い手を集めることだろう。

あと4つ、注目の上場投信を挙げておこう。
MFS Charter Income Trust (MCR)
Morgan Stanley High Yield (MSY)
Putnam Municipal Opportunities Trust (PMO)
Salomon Bros. Worldwide Income (SBW)

気をつけて読みたい経済記事

ハケット・グループの調べによれば、フォーチュン500社(全米500の大企業)が積極的にアウトソーシングを更に実行すれば、580億ドルの経費が節約できるという。いかにも莫大な金額に聞こえるが、ダニエル・アクスト氏(ニューヨークタイムズ)は、こんなことを言う。

「アメリカ最大の輸出品は、「職業」になってしまったようだ。580億ドルを節約するために、海外の専門会社に外注することは、本当に意味があるのだろうか?去年、フォーチュン500社の収益は9兆1000億ドルを記録した。ということは、580億ドルは1%にも満たない金額だから、全く収益を向上させる要因にはならない。」

ここまで読むと、アウトソーシング反対を唱えているようなのだが、氏はこう付け加える。「現在アメリカには、ありあまるほどの職がある。過去5年間だけで580万の新規雇用があり、先日発表された世帯調査によれば、10月は43万7000もの新規雇用があった。こんな状況だから、失業率は5年半ぶりの低水準に下がり、賃金インフレを引き起こす可能性があるから、マーケット関係者たちは利下げが遅れそうなことを心配している。」

アメリカ経済絶好調、という雰囲気だが、ここで反論するのはファンド・マネージャーのバリー・リットホルツ氏だ。「たしかに、580万の新規雇用、低水準な失業率に間違いはない。しかし、ありあまるほどの職がある、というのは誤解されやすい表現だ。

不景気、経済回復周期を第二次世界大戦から見てみると、今日の新規雇用上昇率は最も悪い。アメリカの人口は3億人、そして1億4500万の労働人口がある。5年間で580万の新規雇用なら、1年に直せば120万人以下だ。ということは、単純に計算すると年平均の新規雇用は、たった0.8%の伸び率にすぎない。

賃金インフレに関する見方だが、事実はこうだ。統計によれば、労働者の中間賃金は、インフレを考慮すると、5年連続で下がっている。単に賃金だけを比較しただけでは、正確な結論を引き出すことはできない。

世帯調査によれば、10月は43万7000もの新規雇用、ということだが、世帯調査ほどあてにならないものはない。実際に世帯調査レポートを読むと、こんな注意書きにぶつかる。「新規雇用者数には、プラスマイナス10万から43万の誤差がある。たとえば、ある月の新規雇用者数が10万なら、マイナス33万から+53万を意味する。」

新規雇用の賃金は低いものが多く、アウトシーシングされている職は、比較的高い賃金であることも付け加えておこう。」

特大ビッグマックIPO

超人気、とにかく株数がいくらあっても足りない。「こんなチャンスは毎年あるものではない」、とマーケット関係者も強気だから、前評判は良くなる一方だ。ジム・クレーマー氏(マッド・マネー)の言葉を借りれば、今週金曜(17日)、いよいよ特大ビッグマックIPO、ニューヨーク商品取引所(NMX)が市場にデビューする。

ニューヨーク商品取引所、といえばクルード・オイルと金で有名だが、創立されたのは1872年だ。その他にも、アルミニウム、石炭、銅、電力、ガソリン、灯油、天然ガス、パラジウム、プラチナ、プロパンガス、そして銀が取引されている。

予定されていた600万株の発行株数は、11月14日、650万株に変更された。公募価格は48ドルから52ドルが予想されていたが、54から57ドル、という見方が圧倒的になってきた。発行手続きをする幹事会社は、JPモルガン、メリルリンチ、バンク・オブ・アメリカ、シティグループ、そしてリーマン・ブラザーズだ。

ニューヨーク商品取引所(NMX)が待ちこがれる理由の一つとして、最近極めて好調な同セクター銘柄をあげることができる。たとえば、6月、50ドルだったニューヨーク証券取引所(NYX)は現在95ドル、そして5月、85ドル台だったシカゴ商品取引所(BOT)は、今日156ドルに達している。

掲示板やチャットでも、ニューヨーク商品取引所は話題だ。いくつか紹介しよう。

「グーグルで検索して色々と調べてみましたが、今のところ悪い材料はありません。オーストラリアの新聞も、ニューヨーク商品取引所を取り上げています。とにかく、アメリカ国内だけでなく、色々な人たちが注目しています。」 (J.ノーランドさん)

「これは間違いなくいける。公募価格の、2倍以上の初値がついても不思議ではない。」 (スティーブ・ブラウンさん)

「ニューヨーク商品取引所(NMX)は、これだけの人気だから、同じ業種の株も上がると思う。だから金曜は、NYX、CME、それにBOTも買うつもりだ。」 (緑色の宇宙人さん)

「緑色の宇宙人さん、ついでにICE(インターコンチネンタル取引所)、それにNDAQ(ナスダック)も買ったらどうかな。」 (ストックキッドさん)

「寄付きで1000株買うぞ!」 (DD2006さん)

「CMEを初値で買って、今日まで持っていれば+1056%、ICEは+117%だ。ニューヨーク商品取引所は行ける!」 (S.Kさん)

ジム・クレーマー氏の意見を付け加えよう。「初値が公募価格より25ドル高くても買いだ。15ドルほどの上回りなら、予定以上の株数を買っても大丈夫だろう。」 さて、どんな展開になるだろうか?

外国株を狙う米国投資家

外国株を専門に投資するファンド・マネージャー、チャールズ・デボール氏は持ち株を減らして、現金の比率を18%から25%に増やした。単に割安株が少なくなっただけでなく、ヨーロッパでの金利上昇、そして日本も利上げ方向だから、現金ポジションが魅力的になった、と氏は言う。しかし2007年度、中国、インド、ヨーロッパ、それに日本の経済成長率はアメリカを上回ることが予想されているから、米国の投資者はどうしても海外に目が行ってしまう。経済コラムニストの、ジム・ジューバック氏はこう説明している。

第3四半期の米国GDPは、2003年以来の低成長率だった。悪いことに、多くのアナリストやエコノミストは、この低迷がしばらく続くことを予想している。もうかなり長くなるが、米国経済は、いつもヨーロッパをリードしていた。しかし、2006年度、第2、第3四半期は事実上、ヨーロッパの経済成長率がアメリカを抜き、来年もヨーロッパ優勢が予測されている。

フランスの経済研究機関の調べによれば、まだ日本の経済成長に力強さは見られないが、2007年度は2.2%の成長率が期待できる。ということは、米国を上回るわけだ。中国、インドも好調が予想されている。アジア・ディベロプメント・バンクのアナリストは、「2007年度のインドは、今年の7.6%を超える7.8%の成長になるでしょう」、と述べている。中国は10.5%の成長率から、2007年の前半には9.5%への減速が予測される。

アメリカが冷え込むと、海外の経済も落ち込む、という見方に私は簡単に賛成できない。多くのアナリストは、中国経済はアメリカへの輸出に頼りすぎている、と指摘するが、このような数字がある。1999年、中国の輸出品の34%がアメリカに向かったが、その数値は今日25%に下がっている。日本も同様だ。80年代、約40%の製品がアメリカ向けだったが、内需が改善され、現在の数字は23%だ。

アメリカが国を閉めたわけではない。注目は、アジア、ヨーロッパ間での貿易が大きく上昇していることだ。2001年から2005年を見てみると、中国からヨーロッパ連合加盟国への輸出は110%の伸びを記録している。このように米国への依存度が減っている今日、たとえ米国経済が落ち込んでも、海外の主要経済国家は大した影響を受けないはずだ。

それでは、どの外国株を買ったら良いのだろうか?ジューバック氏の挙げる、10銘柄を記そう。
1、Iberdrola(IBDRF)、2、Icici Bank (IBN)、3、Kookmin Bank (KB)、4、Lafarge(LR)、
5、Lenovo Group (LNVGY)、6、Luxottica Group (LUX)、7、Mitsubishi UFJ Financial Group (MTU)、
8、Nestle(NSRGY)、9、San Miguel (SMGBY)、10、Toyota Motor (TM)

長期投資は習慣

投資で成功する方法を教えてください、と聞かれたら、あなたはどう返答するだろうか?こんな質問をする多くの人たちは、世の中のどこかに隠された必勝法がある、と思っているものだ。映画のタイトルは忘れてしまったが、ある戦士が武道の秘術を求めて旅に出た。ついに念願の箱を手に入れ、さっそく開くと、中は鏡だった。しばらく自分の顔を見ていた戦士は、やがて我に戻り高々と笑い始める。変な前置きになったが、同様な質問に、投資アドバイスで知られるキプリンジャー誌が答えている。少し見てみよう。

先ず指摘したいのは、長期投資で成功したいなら、投資の習慣を身に付けることだ。ごく一部の人を除いて、最初から多額な資金を持っている人はいない。とうぜん小さな資金で始めることになるから、定期的に、こつこつと口座に資金を足していくことだ。

5000ドルを年利2.16%で20年間投資すると、結果は7666ドルにしかならない。これでは面白みが無い。同じ5000ドルの資金を、20年後に25万ドルにしたいなら、あなたはどうするだろうか?

1926年以来、大型企業の株は、年間平均で10%以上の利益がある。その間アメリカは、大恐慌、1987年の株式市場暴落、そして2001年9月11日の悲劇を経験している。では、この10%を使って計算してみよう。投資開始資金の5000ドル(59万円)に、毎月279ドル(3万2900円)を足していくと、20年後あなたの口座は目標の25万ドル(2950万円)に達する。もし平均年間利益が11%なら、毎月279ドルではなく、235ドル(2万7700円)を足せば大丈夫だ。

私には5000ドルのスタート資金がありません、という人もいることだろう。それなら、ゼロから始めればよいことだ。多くのミューチュアルファンドは、50ドルで口座を開設できるから、毎月50ドルずつ積み上げていってほしい。こんなやり方でも、平均で年間11%の利率があれば、20年後あなたの口座は4万3700ドル(515万6000円)に膨れ上がる。

ゼロから始め、毎月50ドルずつ足していく方法を、こう変えることもできる。最初の5年間は毎月50ドルだが、次の5年間は毎月100ドル投資する。11年めから15年めは毎月200ドル、そして16年めから20年めは300ドルずつ足していく。もし、年間平均利率が10%なら、20年後の口座残高は87600ドル(1033万6800円)だ。更に、21年めから25年めに毎月400ドルずつ足していけば、口座資金は17万5400ドル(2069万7000円)に達する。

空売り銘柄発掘法

チャートを見ながらトレードする人なら、サポートラインやトレンドラインなどを使って、空売りのタイミングをつかむことができる。それでは、ファンダメンタルズを重要視する人たちは、どうやって空売り銘柄を探すのだろうか?「プロの銘柄選択法を盗め! 上がるバリュー株、儲かるグロース株」の著者、ハリー・ドマッシュ氏の方法を紹介しよう。

こんなメールが読者から届いた。「ドマッシュさんのやり方を反対にしたら、有望な空売り候補銘柄を選べるのでしょうか?」簡単に聞こえるが、実際にやってみると、これが中々難しい。その前に、少し背景の説明をしよう。

既に皆さんもご存知のように、株価の下落を利用して利益を上げるのが空売りの目的だから、これは下げ相場における有効な手法だ。最近、マーケットは天井だ、と言う人たちが増えているから、近いうちに空売りの機会が訪れるかもしれない。

それでは、銘柄の選び方に移ろう。先ず、一番新しい決算報告書が必要になる。一つ一つの項目を検討して、心配材料を探すわけだ。こんな質問をしてみよう。あなたがアナリストだったら、この企業の収益を下方修正するだろうか?「そんな事を言われても、私には決算報告書の見方が分からない」、とこぼす人たちもいることだろう。具体的に注目してほしいのは、マージン(利益幅)、売掛債権(未収金勘定)、そしてキャッシュフローだ。

将来的な問題がある企業には、マージンの低下、売掛債権の上昇、キャッシュフローの悪化、という現象が見られる。これらの数値を比べるときは、前四半期の決算を使うのではなく、前年の同時期を利用しよう。

私のやり方は複雑でも面倒でもない。MSNマネーのスクリーナー(無料)を使って簡単にできる。スクリーナーに入れるパラメーターを記しておこう。

1、Mean Recommendation = Strong Buy
なぜ「強い買い」推奨銘柄を狙うのか、と不思議に思う方もいることだろう。アナリストが強気でも、株価が低迷なら、その企業には何らかの問題があるはずだ。それに株価が冴えないのは、機関投資家が買っていない証拠だ。

2、% Institutional Ownership <= 35
機関投資家による保有率は35%以下。低い数値は、機関投資家に人気が無いことを表す。

3、% Institutional Ownership >= 8
そして、機関投資家による保有率は少なくとも8%以上。あまりに数値が小さ過ぎると、株価がほとんど動かない。

4、Last Price > = 15
株価は15ドル以上。

5、Avg. Daily Vol. Last Month >= 50,000
先月の一日平均出来高は5万株以上。

もちろん、株価や出来高は、あなたの好みに合わせて設定できるが、株価が一桁の銘柄には、機関投資家が集まることは滅多に無い。更に、これは単なる銘柄選びの一アイディアであることも付け加えておきたい。

迷アドバイス その2

専門家の意見だからといって、100%鵜呑みする必要はない。それでは、「迷アドバイス」の残り半分を見てみよう。昨日と同様に、下のチャート(ダウ指数)を参照しながら読んでほしい。

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11、「不景気の最も悪い局面は、既に過ぎ去ったようだ。」 ハーバード・エコノミック・ソサエティー(1930年1月18日)

12、「米国経済に悪影響となっていた要素は全て無くなった。」 アンドリュー・メロン(米財務長官 1930年2月)

13、「1930年春、アメリカの経済危機に終止符が打たれた。」 ジュリアス・バーンズ (フーバーズ・ナショナル・ビジネス協議会 1930年3月16日)

14、「経済見通しは好転している。」 ハーバード・エコノミック・ソサエティー(1930年4月19日)

15、「株式市場の暴落から、まだ6カ月しか経過していないが、私は最悪の事態は既に過ぎ去ったと確信している。心配された、大手銀行や企業の倒産も無く、ここからは急激な経済回復が展開されることだろう。」 ハーバート・フーバー(米第31代大統領 1930年5月17日)

16、「予想に反する状況が続いているが、近いうちに企業の回復が始まるはずだ。」 ハーバード・エコノミック・ソサエティー(1930年6月28日)

17、「恐慌の勢いに衰えが見える。」 ハーバード・エコノミック・ソサエティー(1930年8月30日)

18、「この辺で、経済の下げは止まるはずだ。」 ハーバード・エコノミック・ソサエティー(1930年11月15日)

19、「ここで経済が安定し始める確率が高い。」 ハーバード・エコノミック・ソサエティー(1931年10月31日)

20、「国税庁の役人が付き添わないかぎり、銀行の貸し金庫を開けることを禁ずる。」 ルーズベルト大統領(1933年)

さて、現代に戻ろう。先月、ダウ指数は12000を突破して、新高値が記録された。アナリストやアドバイザーたちは、どんな意見を発表したのだろうか?いくつか見てみよう。

「2月までに、S&P500指数は更に100ポイント、そしてダウ指数は1000ポイントほど上げるだろう。」 ピーター・カネロ(カネロ・アンド・アソシエーツ 2006年10月13日)

「アメリカ経済は減速方向ですが、これは投資者には好材料です。」 アビー・コーエン (ゴールドマン・サックス 2006年10月17日)

「90年代のバブルと比較する人がいますが、その見方は間違っています。株は上昇が続きます。」 トニー・ドゥワイヤー (FTNミッドウエスト証券 2006年10月18日)

「率直な意見ですか?私は超強気と強気の中間です。現時点でも、マーケットは割安です。」 ビル・ミラー(レッグ・メーソン 2006年10月21日)

繰り返そう。専門家の意見は、片方の耳だけで聞いたほうが良いかもしれない。

迷アドバイス その1

選挙は終わったが、相変わらず「何を買うべきか」、と専門家たちの意見が求められている。不安になると、どうしてもアナリストやアドバイザーの話に耳を傾けてしまうものだが、投資戦略家のバリー・リットホルツ氏が、面白い事実を紹介している。タイトルは「思い上がった予言者たち(1927年ー1933年を振り返る)」。下のチャート(ダウ指数)を参照しながら読んでほしい。

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1、「現代社会において、株式市場が暴落する可能性は消滅した。」 ジョン・メイナード・ケインズ (経済学者 1927年)

2、「米国経済成長をストップできるものは何も無い。」 マイロン・フォーブズ(ピアス・アロー・モーター社長 1928年1月12日)

3、「今日ほどアメリカが希望に満ちていたことは、いまだかつて一度も無い。繁栄する国内経済、そして政府間の理解が深まり、世界平和が実現している。」 カルビン・クーリッジ(第30代米大統領 1928年12月4日)

4、「株価の一時的な低迷はあるかもしれない。しかし、暴落はありえない。」 アービング・フィッシャー (経済学者 1929年9月5日)

5、「株式市場は、高値圏での横ばい状態に入った。50から60ポイントの下落を予測する人もいるが、私はその可能性は無いと思う。数カ月後には、現在よりかなり高い位置に達しているだろう。」 アービング・フィッシャー (経済学者 1929年10月17日) このコメント直後、ニューヨークは暴落に襲われる。

6、「今は絶好の買いチャンスだ。J.Pモルガンの言葉を思い出してほしい。アメリカ経済に弱気論はありえない。」 R.W.マクニール(証券アナリスト 1929年10月30日)

「この暴落は、米国経済に大きな影響を与えることはない。」 アーサー・レイノルズ(コンチネンタル・イリノイ銀行会長 1929年10月24日)

「ここで優良株を買う投資者は、けっして後悔することはないだろう。」 ニューヨーク・ヘラルド・トリビューン紙(1929年10月30日)

7、「極めて大幅な株式市場の下げだが、これは単なる中期的な修正であり、不況を予想するものではない。」 ハーバード・エコノミック・ソサエティー(1929年11月2日)

8、「米国が深刻な不景気に陥る可能性を肯定することは、きわめて難しい。来年の春には、企業収益が上向くはずだ。」 ハーバード・エコノミック・ソサエティー(1929年11月10日)

9、「現状を見る限り、米国経済に対する悲観論を支持する要素は、全く存在しない。私は、春までに経済が回復することを確信している。」 アンドリュー・メロン(米財務長官 1929年12月31日)

10、「近い将来、株式市場は上向くはずだ。見通しは、ひじょうに明るい。」 アービング・フィッシャー (経済学者 1930年早々のコメント)

つづく

ヘッジファンドが追う新テーマ

次のホットな投資テーマは何だろうか?プロたちは、いったいどこへ資金を投入するのだろう?そんな疑問に回答を与える報道が、ブルームバーグからあった。要点をまとめてみよう。

「私たちは、歴史的なウラン不足に直面しています」、と5億8000万ドルを運用する、ファイアバード・マネージメントのジェームズ・パッシン氏は言う。現に氏は、5年前からウラン生産業者の株を買い始めている。

先週、ウラン価格は7%の上昇を展開し、1ポンドあたり60ドルの新高値を記録した。最近、Cameco社のウラン鉱山(世界最大のウラン供給者)が洪水の被害を受けているから、1月までには70ドルに達するだろう、というのが一般的な見方だ。超強気論者のボブ・ミッチェル氏(アディット・キャピタル・マネージメント)は、80ドルから100ドルを予想している。

たしかに新しいウラン鉱山も見つかっているが、今のところ、全く需要に追いつくことができない。カナダ、オーストラリア、ナミビアにある世界最大のウラン鉱山6つのうち5つは、今年生産量が減っている。そのため、世界の原子力発電所は史上最高の値段を払って、ウランを入手しているのが現状だ。また、ロシアは2030年までに、現在16%の原子力発電量を、25%に引き上げることを計画している。

ウランの需要量が上昇している原因の一つは、二酸化炭素排出量の削減を提唱する、京都議定書だ。これで、石油に替わるエネルギーとしてウランがクローズアップされ、世界の埋蔵量の4割を保有するオーストラリアは、向こう15年間でオイルに匹敵する原子力産業を作り上げる、と意気込んでいる。

過去5年間を振り返ると、ウランのスポット市場価格は、毎年平均で45%の上昇だ。銅とニッケルの伸び率は23%だから、それをはるかに凌いでいる。商品とエネルギー市場の動きを見るCRB指数は、今年8%の下落だが、ウランは66%の上げだから、バフェット氏の成績より優秀だ。

「よほど大きな事故が起きないかぎり、ウラン価格の上昇は続くことでしょう」、とマサチューセッツ工科大学の、トーマス・ネス氏は言う。「約20年間、低価格が続いていましたから、ほとんど新鉱山への投資はありませんでした。結果的にこれが、今日の供給量不足になったわけです。」

第2四半期、ポール・チューダー・ジョーンズによって設立されたチューダー・インベストメントは、2900万ドルの資金をCameco(世界最大のウラン生産者)に投じた。更に同時期、サイタデル・インベストメントはCamecoに1240万ドルを投資している。

国際法で定められているように、投資者は実際にウランを受け取ることはできない。毎年、約3000万ポンドのウランがスポット市場で取引されているが、そのうちの1800万ポンドは投機家たちによる売買だ。今、この高値で買うのは間違いだ、という警告も聞こえてくるが、ネス氏(マサチューセッツ工科大学)は、「インフレ率を考慮して計算すると、ウランが1978年につけた高値を突破するには、111ドル65セントに達する必要があります」、と述べている。

もし民主党が勝ったら、、、

いよいよ中間選挙だ。たとえミッキーマウスと仲間たちが当選したとしても、これ以上アメリカの政治を悪くすることは難しい、と悪い冗談が聞こえてくる。上院下院とも現在ブッシュ大統領の共和党が過半数を占めているが、イラク戦争反対の声が高まっているだけに、両議会とも民主党に奪われる可能性がある。

民主党の勝利は、株式市場にどんな影響を与えるだろうか?さっそく、CNNマネーの報道を見てみよう。

1、オイルとガソリン:
数年間以上続いた共和党のリーダーシップで、エネルギー会社は大きな恩恵を受けた。巨大オイル会社、エクソン・モービルは史上最高の収益を記録し、アメリカン証券取引所のオイル指数は、2000年ブッシュ政権が誕生してから、53%を超える上昇だ。

「民主党が議会の過半数を占めるようなことになれば、オイル業界を規制する法案を通過させることでしょう。そうなれば、以前のような莫大な収益を見込むことは当然できません」、とDA・デービッドソンのアナリスト、フレッド・ディクソン氏は言う。

2、製薬会社:
オイル会社に焦点が当てられるように、民主党は製薬会社にも注目することだろう。「民主党が主権を握る議会は、製薬会社に悪材料です。薬品価格を決定する際、製薬会社がメディケア(高齢者向け医療保険制度)からの合意を義務付けする法案が可決すると、製薬会社の収益は減少することになるでしょう」、とレイモンド・ジェームズの投資戦略家、ジェフリー・サウト氏は語っている。

3、軍事防衛:
イラク戦争を反対する民主党だから、間違いなく防衛費の削減が提唱される。単にミサイル、レーダー、爆撃機を製造する企業だけに限らず、軍からの注文に頼る企業はダメージを受けることになりそうだ。

4、ファニー・メイとフレディ・マック(アメリカ政府支援の住宅投資機関):
政府が支援する機関は、民主党の勝利で恩恵を受けることだろう。特にファニー・メイとフレディ・マックの伸びに期待ができる。「会計内容に不審な点がある、ということで両社とも取り調べを受けていましたが、民主党が議会の過半数を占めることになれば、政府支援機関が抱える政治的難問が取り払われることになるでしょう」、とISIグループのアンドリュー・ラペリエ氏は指摘する。(ファニー・メイとフレディ・マックはニューヨーク証券取引所に上場されている。シンボルはFNMとFREだ。)

5、鉄:
議会の大半が民主党になれば、保護貿易政策が実施される可能性があるから、製鉄会社には好材料だ。そうなれば、USスチール(X)が狙える。

6、代替エネルギー:
環境問題は民主党の大きな課題の一つだ。環境汚染を防ぐためには、代替エネルギーの開発が必要になるだけではなく、テトラ・テック(TTEK)のような資源管理システム企業も民主党議会から恩恵を受けることになるだろう。

2007年の投資テーマ

来年の株式市場で好成績を上げるためには、「適者生存の法則」を頭に入れておく必要がある、とメリルリンチの投資戦略家、リチャード・バーンスタイン氏は言う。まだ予告編の段階だが、氏の指摘する、2007年のテーマを見てみよう。

1、大型株

経済成長が減速する状況では、優良国際大型企業が有利になる。例を挙げれば、コカコーラ(KO)、ペプシコーラ(PEP)、マクドナルド(MCD)、3M(MMM)、デュポン(DD)、ゼネラル・ミルズ(GIS)、ケロッグ(K)、プロクター・アンド・ギャンブル(PG)、そしてウォルグリーン(WAG)などだ。

2、テクノロジー

全体的には、いぜんとしてハイテク銘柄は割高だが、大型ハイテク銘柄の中には比較的まだ割安なものがある。具体的には、グーグル(GOOG)、マイクロソフト(MSFT)、ヒューレット・パッカード(HPQ)、そしてIACインターアクティブ(IACI)だ。更に、マイクロソフトから新オペレーティング・システム、ビスタが発表されるから、ソフトウェアセクターに期待が持てる。

3、マスメディア

今年好転しているマスメディア銘柄は、来年も好調が続くことだろう。ニュース・コープ(NWS)、タイム・ワーナー(TWX)、そしてマグローヒル(MHP)が引き続き狙える。

4、軍事防衛

テロ、北朝鮮、中東問題などの地政学的要素は、来年もマーケットの心配材料になる。過去5年間で軍事費は+25%を記録し、来年も軍事費の増大が予想される。ボーイング(BA)、そしてハニーウェル(HON)が有望銘柄だ。

5、優良社債

AAAの最高格付けがある社債人気が続くことだろう。供給量も不足しているから、ゼネラル・エレクトリック(GE)、ジョンソン・アンド・ジョンソン(JNJ)、エクソン(XOM)、ファイザー(PFE)、ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)などの社債に、買い手が集まりそうだ。

6、配当金

アメリカ株ではなく、海外の優良株で比較的配当金の良い銘柄も狙ってみたい。上場投信の、PowerShares International Dividend Achievers(PID)を利用するのが便利だ。

7、日本株

経済成長の初期段階にある日本株は買いだ。良品計画(7453)、積水ハウス(1928)などが狙える。

8、ディスカウント小売店

全体的に見ると、小売セクターは避けた方が無難だ。買うならディスカウント小売店だけに焦点を合わせよう。(日本の小売セクターは大きく伸びそう。)

9、金融関連株の比重を減らせ

歴史を振り返ると、金利引き上げサイクル終了後は金融関連銘柄が低迷する。ただ、保険会社は逆に買われる傾向があるから、アフラック(AFL)は行けそうだ。

10、エネルギー銘柄を減らせ

オイルや商品関連銘柄は約60%ほど割高だ。特に、オイル価格は更に下落することになるだろう。

共和党の勝利なら大手製薬会社、民主党の勝ちなら代替エネルギー銘柄が行ける、と熱心に議論されている。なんと言っても火曜が投票日、どこのチャンネルも一番の話題は中間選挙だ。そんなわけで日陰に入る形になってしまったが、一つ面白い広告が三日ほど前に出た。

「今が住宅売買絶好のチャンス」、というセンセーショナルな見出しで、全米不動産業協会は4000万ドル(47億2000万円)を投じて、一大キャンペーンを開始した。とにかく、下降する住宅市場に歯止めをかけたい。そんな意図が明白だが、この広告内容に対する批判だ出始めている。ザ・ビッグ・ピクチャーに要点が記されているので、さっそく見てみよう。

この広告を読んで直ぐ分かることは、完全なウソではないとしても、一つ一つの文が誤解されやすい。そこで、広告の主張と事実を比べてみた。

広告:今日の金利は40年ぶりの低金利だから、一生に一度しかない住宅購入チャンスだ。

事実:40年ぶりの低金利だったのは、今日ではなく2003年だ。当時1%だったフェデラルファンズ(短期金利)は、現在5.25%になっている。2003年、平均的な不動産ローン金利は5.125%だったが、今日の利率は7%を超えている。

広告:現在375万の家が売りに出されている。これだけ豊富な戸数だから、買い手は本当に気に入った住宅を見つけることができる。

事実:住宅売上数の下降、そして建築業者による住宅の建てすぎが、現在の有り余る戸数の原因だ。去年と比較すると、住宅販売数は16.5%ほど減少している。経済学の基本が教えるように、供給が増えすぎると価格は下がる。また、豊富な戸数が売りに出ているということは、買い手はあれこれと選り好みするから、売り手には厳しい状況だ。

広告:8月の住宅販売数は4.3%上昇し、来年は住宅価格も上げ基調に戻るだろう。

事実:住宅中間価格の下げが相変わらず続き、販売数も下降している。データを見る限り、来年住宅価格が上昇する、という根拠はどこにも無い。

広告:前連銀議長のグリーンスパン氏は、米国住宅市場に回復の兆しが見えると最近語っている。最悪の事態は既に過去のものとなり、第4四半期の住宅売上数は好結果になりそうだから、2006年度は史上3番目に相当する住宅売上数になるだろう。

事実:売上数だけに焦点をしぼるのは誤解をまねきやすい。肝心なのは現在のトレンドを把握することだ。子どもの数が増えれば子ども服の売上数が上がるように人口が増加しているアメリカだから、とうぜん住宅の売り上げ数も上がる。販売数ばかりが強調されるが、こんなデータがある。2005年の9月と、今年の9月を比べると、ローンの支払いができなくなり、差し押さえられた住宅数が63%も増えている。

なぜローンの支払いができなくなってしまったのだろうか?執拗な金利引き上げで、変動利率不動産ローン金利が大きく上がったのが、原因の一つだ。そう言えば、グリーンスパン氏も変動利率不動産ローンを勧めていた一人だったことを思い出す。

その他にもまだ例が挙げられているが、必死な米国不動産業者の姿がうかがえる。

意外な数字が発表された。10月分の米国失業率は4.4%に下がり、なんと5年半ぶりの低水準だ。おまけに平均時給も予想を上回る+0.4%だったから、賃金インフレを唱えるアナリストが、次々とテレビに登場している。皆、つい昨日まで、弱いGDPと住宅市場を例に挙げて、予想以上に悪い米国経済を強調していたことなど、すっかり忘れてしまったようだ。

インフレを嫌う国債は、さっそくこのニュースで大きく売り込まれ、10年物利回りは4.596%だった木曜の終値から、一気に4.7%台に跳ね上がっている。国債が売り叩かれる理由は、もう一つある。株式市場開始30分後、ISMサービス業指数が発表された。結果は予想された54.5を超える57.1だったから、インフレ懸念をいっそう高めてしまった。

もちろん、ブッシュ大統領は喜んでいるはずだ。火曜に中間選挙が迫り、議員たちは低失業率を必要以上に引用して、共和党の推進してきた経済政策の正しさを強調することだろう。

国債市場のような派手な動きは無いが、株投資家にとっても、今日の雇用統計とISMサービス業指数は警報になった。雇用状況は思ったほど悪くなく、逆に賃金インフレのおそれがあるなら、皆が期待している金利引下げが早急に実施されることはない。現に、好調な株式市場は、利下げを織り込んでいるだけに、ここに来てインフレが再台頭すると買い手が不安になるのは確実だ。

少し話がそれるが、ファンダメンタル・アナリストは、チャートを基本にする、テクニカル・アナリストを軽視する傾向がある。しかし、雇用統計発表後のファンダメンタル・アナリストたちの感情的な意見を聞いていると、一晩のうちに米国経済のファンダメンタルズは180度転換してしまったようだ。ファンダメンタルズは、そんなに早く変わるものなのだろうか。話を戻そう。

短気金利の先物(フェドファンズ)を見てみよう。木曜時点では、20%の確率で1月に金利引下げが実施されることが示されていたが、現在その確率は0に下がっている。バークレーズ・キャピタルのブレント・ベイガン氏は、「市場から、完全に金利引下げ期待が消え失せました」、と語っている。

ドイツ銀行の債券取引部門責任者、ギャリー・ポーラック氏はこう述べている。「今まで国債は、減速する米国経済を前提にトレードされていましたが、今朝のデータは、予想以上に強い経済を顕著に表しています。もしこのまま国債の崩れが止まらず、10年債利回りが4.8%に達するようなら、たぶんパニックする投資者が出てくるはずです。しかし、私にとって、それは良い買いチャンスです。」

木曜、ダラス連銀のリチャード・フィッシャー氏は、「まだ満足できるレベルではないが、インフレは既にピークに達したと思われる」、と語っていることを付け加えておこう。

ブッシュ大統領の共和党が過半数を保つか、それとも民主党が巻き返すか、11月7日の中間選挙がいよいよ来週の火曜に迫った。誰が議員になっても同じことだ、と最初から諦めきっている人もいるが、11月7日に選ばれるのは議員だけではない。

マーケット関係者が注目しているのは、カリフォルニア州の条例案87(プロポジション87)の投票結果だ。クリントン前大統領もこの条例案を支持する一人だが、この条例案の目的は海外オイルへの依存度を減らすことにある。全米で、最もガソリンが高いのはカリフォルニア、そして一番大気汚染が深刻なのもカリフォルニアだ。このような現状を改善するには、オイル消費量を減らして、代替エネルギー開発に力を入れるしかない。

「おそらく条例案87は、カリフォルニア住民から圧倒的な賛成票を得ることでしょう」、と言うのはストリート・ドット・コムのジム・クレーマー氏だ。ということは、オイル株を売って代替エネルギー関連銘柄に乗り換えるべきだろうか?クレーマー氏の話に戻ろう。

「来週、優良オイル会社のシェブロン(CVX)が売られる可能性があります。会社側からの説明によれば、もしこのプロポジション87が通過すると、シェブロンは約2億ドルのダメージを受けるようです。もちろん、条例案が認められたからといって、シェブロンのガソリンがカリフォルニアで売れなくなるわけではありません。問題なのは、40億ドルにおよぶ代替エネルギー開発費用を、税金という形で各オイル会社に肩代わりさせることです。

先月27日、シェブロンは決算発表をしましたが、一株利益は予想を上回る好結果でした。更に、メキシコ湾に膨大な油田も発見していますから、シェブロンには大きな将来性があります。ですから、投票後シェブロンが売られるなら、来週の水曜木曜は買いチャンスになりそうです。

もう一つ指摘しておきましょう。シェブロンの広報担当者が言うように、条例案の通過は収益の減少に結びつきます。ということは、シェブロンを追っているアナリストたちは、格下げ発表をする可能性が十分にあります。それは、一時的な株価下落を引き起こすことになるでしょうが、投資者にとっては良い買い場です。

繰り返しますが、シェブロンの一株利益は、アナリストの予想をほぼ15%上回る優れた数字です。特に、マーケティングが効果的になり、企業資金も以前のような無駄使いがなくなりました。競争相手のエクソン(XOM)と比べると、明らかにシェブロンの方が割安であり、3%の配当金も魅力です。それに、自社株買い戻しにも積極的ですから、投資者にはプラス材料です。とにかく、シェブロンの将来性には問題ありません。」

グローバル化の弊害

グローバル化の暗い側面を知りたければ、日本を見るのが一番早い、と経済コラムニストのウィリアム・ぺセック氏は言う。暗い側面?嫌な経済問題に、日本は襲われているのだろうか?ぺセック氏の話を要約しよう。

6カ月前、投資家たちの話題といえば、長いこと低迷していた日本経済の復活だった。去年、日経225は40%の上昇を記録し、誰もが世界第2位の経済国家が、前線に戻ってきたことを確信した。しかし、そんな期待を裏切るように、今年ここまでの日経の成績は、たったの1.8%増だ。さすがに浮かれたムードは消え失せ、慎重な楽観論に変わっている。

なぜ去年の快挙が続かないのだろう?米国経済の冷えこみ、高オイル価格、北朝鮮核問題などをあげる人たちが多いが、モルガン・スタンレーのチーフ・エコノミスト、スティーブン・ローチ氏は「グローバル化」が原因だと言う。

ある意味では、90年代、日本の政治家、企業経営者たちは明確な方針に基いて行動していた。業界の自由化、そして日本市場を世界に開放することを拒み、国民からの税金や国債発行に頼って、従来のやり方を続行させた。だが、中国の台頭が全てを変えた。

現在の日本は、回復の段階から成長の段階へ移っている。しかし、驚くことに個人消費が中々上がらない。ここまでの成長を支えてきたのは、企業の投資と輸出だが、これらの多くは中国に向かっている。

もし日本の将来が、政府関係者たちが言うように明るいなら、なぜ国民は金を使わないのだろう?ローチ氏は、こう説明している。「これは間違いなく、グローバル化のパラドックスが表面化した、と言うことができる。強力な世界の労働市場が、先進国から利益を吸い取っている。」

以前は、先進国が貧しい国へ行って、安い労働力を利用したが、今は違う。アウトソーシングが当たり前になり、インドや中国に次々と先進国は職を奪われている。正に、グローバル化の暗い側面だ。終身雇用の崩壊、不安定な国民年金制度、高齢化する社会、強力な海外労働市場は、今後も日本にとって脅威になるだろう。

もちろん、だからといって、また日本がデフレに襲われる心配をする人はいない。健全な銀行、優れた企業収益、国際情勢に敏感な政府関係者たち、現在の日本には90年代の面影は無い。

日本は、単に経済回復から成長を目指すだけでなく、生産性を更に向上させて、個人所得を上げる必要がある。雇用問題を解決するためにも、政府は起業家の育成に役立つ環境作りにも力を入れるべきだ。しかし、新内閣が先ず宣言したのは「経済成長」だから残念な話だ。

クリスマスプレゼントは銀

あと2カ月を残すのみとなった2006年、大きな伸びを期待できるものは何だろうか?ここまでダウ指数が上がってしまうと、さすがに割高感があって買いにくい。それなら、出遅れている小型や中型株が狙いだろうか?ここで少し変わった意見、マネー・アンド・マーケッツのショーン・ブロードリック氏の話を紹介しよう。

「ファンダメンタル的要素が揃い始めています。第4四半期、銀は予想以上に大きなラリーを展開する可能性が高くなってきました。ここしばらく、横ばい状態が続いていましたが、次の動きは力強いブレイクアウトになりそうです。現在の銀価格は12ドルほどですが、15ドルを狙えるだけでなく、場合によっては20ドルの突破もありえます。

銀上昇の原動力をいくつか挙げましょう。今日からシャンハイの金取引所で、試験的に銀の取引が始まりました。この試験取引の成功は間違いありません。中国から膨大な資金の流れこみが予想され、既にその影響を織り込んで、シャンハイの株式市場は5年ぶりの高値を記録しました。

世界宝石連盟の調べによると、中国、インド、そしてロシアでの銀消費量は、向こう数年間、二桁の伸び率が予想されます。しかし、供給量が問題です。地下にある銀は除いて、地上に備蓄されている銀は、1990年、約22億オンスありました。1995年には14億オンスに減少し、現在の量は3億オンスにすぎず、ここ50年間で最低のレベルです。

銀の工業用使用量も上昇しています。たとえば最近開発された、銀・亜鉛電池はリチウム電池より長持ちし、とつぜん火災を起こして、ノート型パソコンを破壊する心配もありません。

上場投信のSLVは、現在1億328万オンスの銀を所有しています。4月は2100万オンスでしたから、飛躍的な伸びです。先日提出された書類によれば、SLVは1682万2727株を更に発行して、1億6800万オンスの銀買い足しを計画しています。銀市場に参加する簡単な方法として、SLVを買うこともできますが、これは単に銀の値段に連動するだけですから、あまり面白味がありません。

ここで注目したいのが、バンクーバーに本拠地を置くシルバー・ホイートン(SLW)です。銀鉱銘柄ですが、この会社は全く銀鉱を所有しません。ですから、採掘に関連した機材費などの経費がいっさいありません。シルバー・ホイートン社は、メキシコ、スウェーデン、ペルーなど世界各地の鉱山と契約を結んで銀の生産をしています。最近の四半期の生産量は270万オンスにのぼり、経費を計算すると1オンスあたり3ドル90セントです。これは極めて魅力的な数字です。

2006年度、シルバー・ホイートンの生産量は1500万オンスを超えることが予想され、2009年には2000万オンス達成が見込まれています。第3四半期の決算が11月2日に予定されていますから、その前に買ってみるのも面白いアイディアです。」

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