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夏相場、もう一つの楽しみ

あなたも次のグーグルをお探しだろうか。3倍近い儲けになったと自慢する人たちも珍しくないだけに、こんな銘柄を掘り当ててみたいものだ。できれば初期段階で買い入れて、順調に上がる株価を毎日楽しみたい。そんな株が簡単に見つかるわけがない、と諦める前にマイケル ブラッシュ氏の話を聞いてみよう。

暑い毎日が続いているが、この夏、第二のグーグルに投資できるチャンスがやってくる、とブラッシュ氏は言う。それもまだ取り引きが始まっていない新規公開株だ。グーグルと同じ業種に属するこの会社は、baiduドットコムと呼ばれ、baiduは百度と書く。ご察しのとおり、中国のサーチエンジン会社だ。2000年にビジネスを開始した百度は、約12ヶ月前に黒字経営となり、2005年第1四半期は550万ドルの利益を記録した。

グーグルをモデルに作られた百度は、ホームページを見て分かるように、ケバケバしさがなく簡素なデザインが特徴だ。広告が百度の収入源になり、利用者がサーチする度に、右端に広告が現れる仕組みになっている。もし利用者が広告をクリックすると、百度に広告主から料金が支払われるわけだ。アイリサーチ社の調べによれば、百度は現在中国で第二番めにヒット数の多いホームページだという。

こう書いてくると、百度の将来性は抜群に思われるかもしれないが、もちろん心配材料もある。まず第一にブラッシュ氏が指摘するのは、サーチエンジンは情報提供がメインになるという事実だ。西側諸国に対して、中国は開放的になったとはいうものの、完全なる言論の自由があるわけではない。そんな環境で、マイクロソフトやヤフーと競い合うことは大きなハードルになりそうだ。さらに、著作権侵害の問題もある。ビデオや音楽をダウンロードできるホームページ探しが、百度利用者の25%を占めているが、これらのホームページで販売されている商品は海賊版が多いという。

どちらにしても、中国のサーチエンジン市場は大きくなって行くことだろう。現在アメリカでインターネットを使用する人口は全人口の67.3%に相当する。しかし中国の場合、たったの7.3%にすぎない。アイリサーチ社の予測によれば、中国のインターネット人口は毎年24%の割合で伸びて行くようだ。baiduドットコム、夏の相場に楽しみが一つ増えた。

キャリアウーマンという言葉も新鮮味がなくなった。ご存知のように、医師、エンジニア、公認会計士などの専門職についている女性をキャリアウーマンと呼ぶ。ヒラリー クリントン上院議員やコンドリーザ ライス国務長官などの例を見て分かるように、女性たちの政界進出もめざましい。女性の社会的地位が大きく向上し、いまさらアメリカで「男女平等」を叫ぶ人などいないと思われるかもしれないが、今日も性差別を訴える女性たちがいる。

ABCニュースの調べによれば、同じ職種につく男性と女性の労働賃金を比較すると、女性には男性より平均で25%低い賃金が支払われているという。コネチカット州選出の下院議員、ローサ デラウロ氏は「一生懸命働き、たとえどんなに大きな貢献をしても、女性は男性と平等な報酬を得ることは不可能なのです」と語る。また、フェミニスト運動に参加する女性たちも、男性と同レベルの学歴があっても、女性は男性と同等の給料が得られない、と怒りの声を上げている。

ここでABCニュースコメンテーター、ジョン ストッセル氏は面白い質問を投げかける。「女性の給料が男性より25%低いのなら、なぜ企業はわざわざ男性を雇う必要があるのでしょう。」この質問に回答したのは、全米女性協議会長のマーサ バーク氏だ。「企業は男性を雇うことが好きなのです。社員採用の決定権を持つのは、ほとんどの場合男性であり、企業イメージは男性をモデルに作られているのです。こんな実状ですから、当然会社側は男性から昇進させる結果になるわけです。」

バーク氏の見方に反論するのはウォーレン ファーレル氏だ。女性賃金が男性より低いのは「性差別」が原因ではない、と氏は過去15年間のデータをもとに主張する。「賃金の差は性差別によって生まれたものではありません。ある意味では、積極性が問題になっていると言えます。たとえば、一週間の平均労働時間を見ると、男性の方が女性より長く働いているのです。」さらにファーレル氏は、女性は職場の柔軟性を重要視する傾向があり、男性は職場環境よりも給料額に最大の関心があることを指摘している。

給料の良い仕事の多くは柔軟性に欠ける。週40時間労働が基準だが、高給取りの場合50時間、60時間など当たり前になっている。もちろん頻繁な出張もあり、自分のプライベートな時間を作ることは難しい。まさに家庭を犠牲にし、会社第一のビジネスマンの姿だ。性差別が賃金の差になるのではない。問題は、私たちに自分の全時間を企業に捧げることができるかどうかだ。

不動産がまた経済ニュースのトップを飾っている。アメリカ国内の新築住宅販売件数(6月分)は、年間ペースで137万4千件の新記録を達成し、去年の同時期と比べると14%の上昇となった。相変わらず好調な勢いだが、5月と比較すると、新築住宅の全米中間価格は5.5%減少して21万4800ドルと報告されている。販売件数の堅調な伸びは、不動産ローン金利が5月の5.72%から5.58%に下落したのが最大の原因らしい。

行き過ぎな不動産価格に、警戒論を出すアドバイザーもいるが、はたしてどのくらい真剣に不動産投資者たちは聞いているのだろうか。今朝もこんな数字が発表されている。PMI社が全米50市を対象に調べたところ、向こう2年間で住宅価格が、50%以上の確率で下落しそうな市の数が2から6に増加した。もっとも危険性の高いのは、マサチューセッツ州ボストン市(55.3%)、ニューヨーク州ナソー市(54.0%)、そしてカリフォルニア州サンディエゴ市(52.8%)だ。

さて、先日の人民元切り上げニュースを覚えている方は多いと思うが、このニュースはアメリカ不動産にマイナスになる、とビル フレッケンスタイン氏(フレッケンスタインキャピタル社長)は言う。人民元切り上げの結果、中国そして他のアジア諸国はドル買い米国債買いに消極的になり、これは単にドル安を起こすだけでなく、米国不動産マーケットに悪影響を与えることになる、というのだが、もう少しフレッケン氏の話を聞いてみよう。

「どの程度ドルと米国債が売られるかの予想は現時点では難しいが、導入されるバスケット制度が問題になる。バスケットの中身はドル、ユーロ、円などの通貨が中心になり、事情に詳しい人たちの話を総合すると、バスケット内を占める通貨比率はドルが50%、そしてユーロと円がそれぞれ15%くらいになりそうだ。人民元切り上げという事実が起きてしまったいじょう、ドルに対して強気という姿勢をとることはできない。多額なアメリカ貿易赤字はドル買いによって穴埋めをするわけだが、バスケット制度導入で、アジア諸国が積極的にドルを買うことはないだろう。

ドルが下がれば、国債だけに限らず、不動産などのアメリカ国内投資の魅力がなくなる。それに金利上昇が続いている現状を考えれば、不動産市場への悪影響も時間の問題だ。繰り返すことになるが、まだはっきりしたバスケット制度が分からない現在、どんな速度でドル安が進むかを予測するのは不可能だ。」こんなフレッケン氏の意見だが、「ドルがダメなら金(ゴールド)だ!」、そんな声も聞こえてくる。

夏休みをアメリカで、そんな計画のある人たちも多いことだろう。西海岸ならハリウッド、ディズニーランド、シーワールド、野球ファンには大リーグ、と見物場所はたくさんある。時差ボケに悩む方もいるかもしれないが、無事に楽しい一日を終えホテルの部屋に戻る。暑いシャワーを浴びパジャマに着替える。明日もスケジュールがつまっている。電気を消してベッドにもぐりこむわけだが、このホテルにまつわる話をUSAトゥデイから紹介しよう。

毎年100日近い時間を、ホテルで過ごすバーバラ ヒューバーマンさんは憤慨している。「とんでもない話です。一晩200ドル以上も払っているのですから、毎日シーツを取り替えてくれるのは当たり前のことです。」シーツはもちろんベッドのシーツのことだが、最近アメリカでは毎日シーツを替えてくれるホテルが減っている。たとえ自分だけしか寝ていないと分かっていても、客の立場なら洗濯された清潔なシーツで毎晩寝たいのではないだろうか。

ホテル側は、ヒューバーマンさんのような客はごく少数だと言う。ほとんどの宿泊者はシーツの取り替えに関してさほど気にすることはなく、毎日の取り替えが希望なら、あらかじめフロントに頼んでおけばよいことらしい。しかしヒューバーマンさんは、そのような回答では満足しない。「忙しい時は、シーツのことなど忘れてしまいます。実際にあったことですが、夜遅く部屋に戻って、シーツが取り替えられていないことに気がつきました。さっそくフロントに電話しましたが、時間帯が悪いという理由で断られました。」

25のホテルを対象にUSAトゥデイが調べたところ、11は毎日シーツを取り替え、9は週に数回、5は各地域のホテルによって頻繁度は異なると回答している。客からの要望があれば、毎日無料で替えるというのは全てのホテルに共通だ。どちらにしても、毎日きれいなシーツの時代は終わろうとしている。ハイアットホテル副社長、ギャリー ドーレンズさんは「宿泊者にとって、毎日のシーツ取り替えは重要な問題でないことは明確です。取り替え頻繁度の減少は、ホテル業界にとって当然のことになるでしょう」と述べている。

コスト削減が毎日シーツを替えない大きな理由だが、ホテル側にはもう一つの言い訳がある。実は思わぬ団体から、シーツ取り替え頻繁度を減らすことに大賛成を得た。グリーンピースという、環境保護運動に懸命なグループをご存知だろうか。このグループが毎日のシーツ取り替えに反対していたのだが、その理由はこうだ。毎日シーツを替えることは、毎日シーツを洗うことにつながる。洗濯には水という大切な資源が浪費される。おまけに洗濯によって排水される水は環境汚染の原因になる。なるほど、汚いシーツは環境保護に大きな手助けになるわけか。

値上がりの激しいフロリダでは、不動産のデイトレードをした人たちがいるそうだ。まさに不動産バブルと言うしかない。今朝発表された6月分の全米中古住宅販売件数は、アナリストの予想(年間ペース715万件)を超える733万件だった。中古住宅の中間価格は21万9000ドルにおよび、これは去年同時期を14.7%上回る1980年以来最高の伸びとなった。リアルターズ社チーフエコノミスト、デービッド レリア氏は「そろそろ販売件数も頭打ちになると思っていたのですが、今日の結果に、また驚かされています」と述べている。

不動産バブル懸念は、連邦準備理事会議長、アラン グリーンスパン氏の証言にも見ることができる。「不動産ブームで住宅価格の上昇が続いているが、特に一定の地域では、もはやこのような値上がり率を維持することは不可能な状態になっている。」さて最近一年間で値上がりが極端なのはフロリダ州ブラデントン市(+45.6%)、フロリダ州サラサト市(+36%)、フロリダ州ウエストパームビーチ市(+35.9%)、そしてフロリダ州フォートローダーデール市(+31.8%)だ。(下手な株よりいいな、、、)

大人気の不動産だが、ニュースコメンテーター、バンビ フランシスコ氏は少し違った角度から不動産市場を見ている。「今日の不動産価格は、あまりにも大きく正当評価額から離れすぎだろうか?そろそろ不動産バブルは弾けるのだろうか?そんな話題で一日中討論することもできますが、はっきり言えることは高すぎる不動産手数料です。」フランシスコ氏の話をもっと聞いてみよう。

不動産の売買には5%から6%の手数料がかかる。インターネットの発達で、様々な業種の手数料が下がっているにもかかわらず、不動産手数料はまったく変わっていない。たとえば航空券だが、プライスラインドットコムやエクスペディアなどを通してオンラインで買えば、航空券にかかる手数料は5ドルから7ドルの間だ。以前は旅行代理店に一枚50ドルの手数料を払っていたのだから、インターネットのおかげで航空券が安くなった。

シカゴ大学のエコノミスト、スティーブン レビット氏は、今日の不動産ブローカーは以前インターネット株を煽った証券会社のようだと言う。2000年、ほとんどジャンク(がらくた、ゴミ)同然と知りながら、証券アナリストたちは希望に溢れたインターネット株の推奨レポートを作り上げた。レビット氏の言葉を借りれば、不動産ブローカーの持つ豊富な情報は客のために使われるのではなく、客たちに無言の圧力を与えるために利用されているようだ。

航空券だけに限らず、オンライン証券の普及で株式売買手数料も大幅に下がった。証券マンに頼まなくても、インターネットのおかげで株の情報入手が簡単になった。不動産だけが、いつまでも昔のままであっていいはずがない。それでは、不動産手数料はどれくらいが妥当だろう。一時間50ドルがレビット氏の回答だが、これは50万ドルの物件を売ると2千ドル相当になり、現行の2万5千ドルとは大きな違いだ。

思わずアクビが出てしまうような退屈な株を買え、と言うのはセス ジェーソン氏だ。人気株は新製品、高収益、アナリストによる格上げなどの大衆を魅了する話題に溢れているから買い手に不自由するようなことはない。買いが買いを呼び、株価はトントン拍子に上がって行く。押せ押せムードがピークに達すると、大きく正当評価額を上回った株に、アナリストから格下げの一声が発せられる。一転して人気銘柄は売り物一色となり、株価は非情な下げを展開する。だから退屈な株を買え、というのがジェーソン氏の言い分だ。

たしかに人気銘柄は、私たちが発見する頃には割高になっていることが多く、ジェーソン氏の言うように差し迫る格下げの危険性がある。できることなら、大衆が動く前に安く買って高く売りたい。どうやったら、現在割安で値上がりの見込める株を見つけることができるのだろう。割安株だけを狙った投資方法はvalue investing(価値投資)と呼ばれるが、その方法をハリー ドマッシュ氏から説明しもらおう。

割安銘柄のほとんどは株価がパッとしない。話題性に乏しいしから、ジェーソン氏が言う「退屈な株」ということになる。アナリストの「売り推奨」がパッとしない株価原因になっていることが多いから、割安株を見つけるには、まず「売り推奨」の出ている銘柄を探すことから始める。ついでに調べてほしいのが空売り残だ。と言っても、単に買い戻されずに残っている株数がどのくらいあるかを知るだけでは意味がない。一日の平均出来高を参考にして、空売りされた株数を全部買い戻すために必要な日数を計算してみよう。銘柄によっては2週間以上の時間を要するほどまでに売り叩かれていることがあるが、基準になるのは6日以上だ。

株価も重要な要素だ。ミューチュアルファンドや機関投資家がマーケットの主役だが、彼らは5ドル以下の低位株に手を出すことはめったにない。ファンドによっては10ドル以上の株だけを対象にするから、原則として一ケタの株は避けよう。また、機関投資家たちが保有する株数を、発行済み株数と比較することも大切だ。機関投資家の助け抜きで、大きな株価上昇は期待できない。明確な基準はないが、発行済み株数の50%以上が機関投資家たちに保有されていることが好ましい。

次の条件に首をかしげる方もいると思うが、株価チャート(日足)は上向き(アップトレンド)なものを選ぼう。大量な空売り残を抱え、おまけに売り推奨も出ている株が上向きのはずがないと反論されそうだが、最後にいくつか上記条件を全て揃えた銘柄を記しておこう。UAP Holding(UAP)、Tupperware(TUP)、VistaCare(VSTA)、Moody’s(MCO)、Advent Software(ADVS)。

つい欲に目がくらんでしまい、という形で話が始まれば、失敗談と思ってまず間違いない。ウォールストリートという映画の中で、ゴードン ゲッコーは「欲は良いものだ」と言ったが、一般的には欲張った株投資を警告する声が多い。よく耳にする言葉に、「株価を支配するのは欲と恐怖だ」、というものがある。今朝の話題から好例をあげるとすれば、グーグル(GOOG)が最適だろう。

決算発表後、グーグル最高経営責任者のエリック シュミット氏は、「第3四半期は、投資者の方々が期待しているような高い結果を出すのは難しい」と語った。こんな事を聞かされては、恐怖におびえるまでは行かなくとも、不安になって株を投げてしまう。しかし、プルーデンシャル証券からの話を信じるなら、投資者の態度は正反対になる。プルーデンシャルは「今朝の下げは良い買いチャンス」と述べただけでなく、グーグルの目標株価を400ドルに引き上げた。欲に走って買いを入れた投資者もいることだろう。

お分かりのように、投資者に欲や恐怖を与える大きな原因の一つは、テレビやインターネットを通じて入ってくるニュースだ。自分の持ち株が人気アナリストによって格下げ。こんなニュースなら動揺のあまり、寄り付き早々に株を投げ売ってしまうことだろう。完全に感情だけに支配され、肝心な論理的思考を失ってしまった結果だ。それでは、感情を抑えることができれば、株で儲けることができるのだろうか。こんな面白い報告がある。

普通の知能指数と論理的思考能力は有るが、感情をつかさどる脳の部分に支障のある大人を使って、投資テストが行われた。この実験はカーネギーメロン大学、スタンフォード大学、そしてアイオア大学からの研究者たちによって実施された。15人が実験対象になったわけだが、これら15人に共通していることは恐怖や不安といった基本的な感情が、脳障害のために抑制されてしまっていることだ。

テスト結果は、脳障害を持つ人たちの方が、一般の人たちよりも投資テストの成績が良かった。恐怖や不安を感じることがない脳障害者たちは、危険度の高い投資に対してまったく躊躇することがなく、ギャンブル的と思える投資もスンナリとすることができた。その一方、普通の大人たちは各投資場面で衝動的になり、最終的な口座残高は脳障害者に劣るものとなった。やはり感情をコントロールすることは、成功する投資者になるために欠かせない要素のようだ。

イーベイ(eBay)の好決算、人民元の通貨バスケット制導入、ロンドン地下鉄爆弾事件、大きなヘッドラインを完全に消化することなくマーケットはスタートを切った。あらゆるニュースを売買材料にしようと忙しいトレーダーたちだが、分かりやすいのは卑劣な爆弾事件だ。こんな時は警備関連銘柄が注目される。はたしてどうなったのか。

一口に警備関連といっても代表的な銘柄だけで12以上あるが、人気のあるのはアーモア(AH)というフロリダに本社を置く会社だ。警官用の防弾チョッキや防弾プレート、それに指紋を使った身分証明システムなどの多種にわたる製品を開発、そして販売している。

5分足チャートを見てみよう。

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寄り付きは、わずかに高かった程度で、アーモアは簡単に売り崩されてしまった。まだ憶えておられる方も多いと思うが、二週間前に起きた爆破事件の時は、マーケットは弱い開始だったが、最終的には反発ラリーを展開して高値引けとなった。そんな記憶が、アーモアを不振にさせたのだろう。

しかし見込みのないものなら、なぜアーモアにAのところで買いが入ったのだろう。割安感が発生したからだ、といったつまらない回答をすることもできるが、それは下のチャートで説明できる。

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上は60分足だが、Aは7月15日の安値と今日の高値で計算すると、ちょうど半値戻しのレベルだったわけだ。トレーダーたちはいつも次の買い場、売り場を探し求めている。一つだけのタイムフレームに縛られるのではなく、時折り60分足や120分足なども見てみよう。

テクニカルなら買える!

「いくらなんでもここまで悪いとは、、、」ゼネラルモータースの決算発表に投資者たちは失望の色をかくせない。一株収益は3セントが見込まれていたが、結果はなんと予想を59セントも下回る56セントの損失だ。発表後のコンファレンスコール(電話での説明会)で会社側は、7月の売り上げは順調であること、また配当金を減らす計画はないなどのコメントをし、投資者たちを安心させようと懸命だ。

ニュースがニュースだっただけに、ゼネラルモータースは窓(ギャップ)を開けての下げで取り引きが始まった。しかし、往々にしてあることなのだが、今のところマーケット開始ベルと同時に投げた人たちが後悔する展開になっている。売り物が殺到するからといって、ニューヨーク証券所のスペシャリストたちは株の取り引きを停止させるわけにはいかない。それならいっそのこと思い切り安く寄り付かせて、需給バランスを速く回復させた方が得だ。

それではゼネラルモータースの日足チャートを見ていただこう。

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まだマーケット終了までしばらくあるが、順調な反発ぶりが分かっていただけると思う。それにしても、ゼネラルモータースはとても面白い位置で取り引きが開始された。赤い線は200日移動平均線なのだが、ここで少しこの移動平均線について触れておこう。

アメリカには「200日移動平均線の上にブルが住み、200日移動平均線の下にベアが住む」という有名な言葉がある。ブルは「強気」ベアは「弱気」を代表するが、投資をする場合この移動平均線の下にある株を買ってはいけない、と信じる人たちが多い。またミューチュアルファンドなどの投資信託も、この移動平均線以下にある銘柄に手を出すことはめったにない。見てのとおりゼネラルモーターはブルとベアの境界線で寄り付いただけでなく、さらに御丁寧なことに、上昇するトレンドラインまで重なっている。今朝のニュースでは買えないが、テクニカルなら買えたというわけだ。

もう一つ付け加えておこう。慎重な人たちは二日前の陰線を見て売り逃げたはずだ。最近の高値を瞬時更新したが、けっきょく嫌な尻尾を作って失速してしまった。まさに弱気な「塔婆」に似た形が出来てしまったわけだ。

アナリストの意見は本当に株式投資に役立つのだろうか。買い推奨が出たからといって、必ずその銘柄で儲けられるという保証はない。逆に買いから売りに格下げされても、確実にその株が下がるという保証もない。だからといって、アナリストを100%無視するのも得策ではない。どうやったらアナリストを投資にうまく活かすことができるのだろう。さっそくウィニングインベスティングドットコム社、ハリー ドマッシュ氏の話を聞いてみよう。

アナリストと一口で言うが、アナリストには買いサイドと売りサイドの二種類がある、とドマッシュ氏は言う。誤解されるかもしれないが、「売りサイドアナリスト」は売りばかりを推薦するアナリストという意味ではない。たとえば大手証券会社のメリルリンチには多数のアナリストがいる。経済見通し、企業業績、業界トレンドなどの様々なレポートがこれらのアナリストによって毎日作成されるわけだが、これらのレポートの大半は営業マンに利用される。違った言い方をすれば、アナリストレポートは手数料収入を上げる一つの手段であり、メリルリンチのような証券会社のアナリストは「売りサイドアナリスト」と呼ばれる。

それでは「買いサイドアナリスト」とはどんなアナリストだろうか。ミューチュアルファンドや投資会社も、大手証券会社の「売りサイドアナリスト」によって書かれたレポートを読んでいる。ファンド会社にも当然アナリストが存在し、実際の投資判断には彼らの意見が重要になる。このファンド会社や投資会社のアナリストが「買いサイド」だ。いつもテレビや新聞に登場するのは「売りサイドアナリスト」であり、「買いサイドアナリスト」は大衆に意見や見解を公表することはない。

株も売買される品物であるいじょう、需要供給のバランスが株価変動の大きなカギになる。株は発行数が毎日増えるわけではないから浮動株数は一定だ。しかし大手証券アナリスト(売りサイド)のコメントは需要に強い影響を与える。分かりきったことだが、大証券会社には何千人もの営業マンがいる。アナリストの買い推奨を手もとにおいて、いっせいにセールスするのだから、株価が動かないはずがない。ドマッシュ氏を引用すれば、どんなにすばらしい業績の会社でも、アナリストがレポートしてくれなければ投資者の耳には届かない。

ここで問題になるのは、アナリストの買い推奨を聞いてからすぐ買うことのタイミングの悪さだ。ではそれをどうやって解決するのか。ドマッシュ氏は銘柄をフォローするアナリストの数に注目しろと言う。単にアナリストの数が多ければ良いということではない。オラクル社は29名ものアナリストによって追われているが、株価の方はサッパリだ。ドマッシュ氏の言うアナリスト数というのは、現在銘柄をフォローするアナリスト数と過去のアナリスト数との比較だ。もし二カ月前はたった三人のアナリストだけで追跡されていた銘柄が今日7人に増えていれば、それはアナリストたちのその銘柄に対する関心度が上がったことを示し、大きな株価の動きも時間の問題になるという。

難しいニュース解釈

大手銀行二社の決算が、何と言っても今日の話題だ。シティバンクで知られるシティグループは、アナリストの期待していた一株収益1ドル1セントを満たすことができず、がっかりな97セントという結果だった。その一方バンクオブアメリカは、予想を7セント上回る、1ドル8セントの好一株収益を発表した。さてこの両社、どう寄り付いたのだろうか。まずシティグループから見てみよう。

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15分足チャートだが、期待を裏切る決算結果を忠実に反映して、窓(ギャップ)を開けての下げで開始となった。最初の15分間で下げきってしまった観があるが、安値圏で低迷している。

それではバンクオブアメリカのチャートを見ていただこう。

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何かの間違いでは、と思われる方もいるのではないだろうか。良い決算を発表したにもかかわらず、シティグループと同様にギャップダウンでのスタートだ。アナリストたちはバンクオブアメリカの決算内容をhigh quality(質が高い)と評していることを考えれば、ますます今朝の弱い寄り付きが理解できない。

第2四半期、バンクオブアメリカの純利益は、去年同時期を約12パーセント上回った。特にクレジットカード部門の好調が目立ち、カード口座数は160万の伸びとなった。融資収入は1%増の78億4000万ドルにすぎなかったが、手数料収入は16%の大幅増大を見せ63億7000万ドルにのぼった。シティグループの低迷原因となった資本マーケットやインベストメントバンキングでも12%増と好調な結果を発表している。

お見せした二つのチャートで、ニュースだけに頼った株投資の難しさが少し分かっていただけただろうか。

ナスダック市場に火がついた。summer doldrumsという退屈な夏相場を表現する言葉があるが、今のナスダックには当てはまらない。さっそく日足チャートを見てみよう。

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三本入っている移動平均線は上から20日(グリーン、短期平均)、50日(ブルー、中期平均)、そして200日(レッド、長期平均)だ。まず最初に注目してほしいのは、これら平均線の並び方だ。アップトレンド(上昇基調)がしっかりしたマーケットでは、三本の移動平均線が短いものが一番上、そして中期、一番下が長期移動平均線の順番になる。ナスダックは7月7日、50日移動平均線が200日移動平均線をクロスして、三本の移動平均線がきれいな上昇基調の形を作った。

もう一つの重要な点は、2100ドルの壁が崩れ、ナスダック指数はブレイクアウト(上放れ)に成功している。この2100ドルに走る水平線は以前のレジスタンス(抵抗線)だったわけだが、今度はそこがサポート(支持線)になる可能性が強い。

好調なナスダック市場の大きな原因は半導体セクターだ。移動平均線の順番、抵抗線突破、まるでナスダックのチャートを見ているようだ。

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乗り遅れたと焦る投資者もいることだろうが、ここはジックリと押し目(一時的な下げ)を待つ姿勢も大切だ。20日移動平均線や以前のレジスタンスを目安にして、しばらく様子を見てみよう。

マクドナルドと言えば新鮮なサラダとフルーツだ。もちろん、そんなことを言う人はいない。しかし肥満社会アメリカを反映するように、「私が太ってしまったのはマクドナルドのようなファストフードの責任だ」、と真剣に主張する人たちが増えている。「肺癌になってしまったのはタバコ会社が悪い」のタバコ裁判と似た理屈だが、顧客ニーズを無視できないだけにマクドナルドはイメージチェンジに忙しい。肥満は大人だけの問題ではなく、子どもたちにも広がっている。セサミストリートのクッキーモンスターでさえ、最近テレビでは野菜や果物を食べるようになった。まさにヘルシーモンスターへの変身だ。

さて今週のマーケットを振り返ってみると、真っ先に思い出すのはウエットシール社(WTSLA)だ。カリフォルニア州に本拠地を置く、若者ファッション小売業の会社だが、火曜日にこんなニュースを発表した。売り上げ好転の報酬として、ウエットシール社はコンサルタントのマイケル ゴールド氏に報奨金として400万ドルを支払うことを決めた。たしかにウェットシール社の売り上げ上昇は話題だが、現実はいつになったら赤字経営から抜け出せるかの見通しがついていない。一説によれば、少なくとも赤字は2007年の一月まで続くようだ。いったいどうやってゴールド氏に報奨金を払うのだろう。そういえばウェットシールの株価、ゴールド氏がコンサルタントになっていらい三倍以上になっている。

好調な株価といえばグーグル(GOOG)だ。大手証券リーマンブラザースは、14日木曜、目標株価を275ドルから350ドルに引き上げた。強い第2四半期決算内容、そして世界的なマーケット進出が今回の株価上方修正の主な理由だが、ここで会社役員などのインサイダーたちの動きを見てみよう。7月11日、ジョン ヘネシー氏(役員)2500株を売却。7月8日、ジョージ レイエス氏(最高財務責任者)4566株を売却。同7月8日、ジョナサン ローゼンバーグ氏(副社長)5916株売却。7月7日、ジョージ レイエス氏(最高財務責任者)4565株売却。同7月7日、ジョナサン ローゼンバーグ氏(副社長)5915株売却。同7月7日、サーゲイ ブリン氏(社長)12万株売却。まったく売りばかりが目立つ。

ここで話を肥満問題に戻そう。食品会社は企業イメージの一新を狙って、さまざまなプロジェクトを試みている。たとえばコカコーラだが、自転車王のランス アームストロング氏を雇って、「Live It!」というプログラムを実施する。約400万ドルがこのプログラムに投入され、ポスターなどを使って正しい栄養の取り方を200万人の小学生に教えようというものだ。

ニコロディアン社の人気漫画キャラクター、スポンジボブも子ども肥満問題解決に向けて乗り出す。にんじん、ほうれん草といえば子どもが嫌う代表的な野菜だが、これらのパッケージにスポンジボブが登場する。はたしてこの絵を見て、ほうれん草の売り上げがどのていど伸びるかは疑問だが、ボスコビックファームズ社のドン ホブソン氏は「子どもの肥満は大きな社会的な問題です。スポンジボブは一つの解決策なのです」と語っている。さて、来週はどんなことが話題になるのだろうか。

iPodの売れ行きは絶好調だ。今朝の発表によればアップルは第3四半期620万のiPodを売り上げ、2004年の同時期と比較すると何と616%の大幅アップだ。こんなニュースだから、マーケット開始ベルと同時にアップル(AAPL)に買い物が殺到した。こう書くとアップルは棒上げ状態のように思われるが、まず下の5分足チャートを見てほしい。

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たしかに威勢よく大きな窓(ギャップ)を開けてのスタートだが、こんな状態を維持できたのは最初の15分間(ローソク足3本)だけだ。一転急落といった極端な売りが来なかったのは買い手にとってラッキーだったが、今のところアップルは20移動平均線のすぐ上で横ばいを展開している。

もう一つ見てほしい実例はAMD社の5分足チャートだ。

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予想を上回る好決算発表で、アップルと同様な力強い寄り付きとなった。しかしAMDの場合、買い手が優勢だったのは始めの5分間だけだ。あっけなく売り崩されて、一時的に割る場面もあったが、20移動平均線まで戻ってしまった。

乖離率という株価の移動平均線からの離れ具合を表す言葉があるが、アップルとAMDに共通しているのは大きな乖離率だ。両方とも良いニュースが買い物を呼び、そのため株価はスタートした時点で大きく20移動平均線から乖離してしまった。

この乖離率と切り離せないコンセプトが平均回帰性だ。大きく跳ね上がった株価は、そんな状態を長く継続することはできない。ちょうど私たちが全速力で100メートルを走ることは可能でも、必ず息が切れて自分に合ったスピードまで失速してしまうのに似ている。好材料で株が飛び出たときは、乖離率と平均回帰性のコンセプトを思い出したいものだ。

米国病院事情

まだ小学校3年生の姪だが、将来は医者になりたいと言う。医者と聞くと病院を連想するが、病院はどうも苦手だ。癌などの悪い病気を早期発見するためには定期検診が重要だが、それでも中々病院に行く気になれない。もう注射が怖い年齢ではないが、ひょっとしたら私の潜在意識には病院嫌いの種が埋まっているのかもしれない。しかし今日のニュースは、こんな私をさらに病院嫌いにしてしまった。

問題のニュースはペンシルバニア州から発表された。よくこんなことが公表されたと関心もするが、2004年ペンシルバニア州の病院で院内感染の被害を受けた患者数は11600人以上にのぼり、そのうちの1500人が死亡した。院内感染のために使われた医療費は約20億ドルが推定されている。この院内感染患者数が公表された背景には消費者組合の大きな働きかけがあり、消費者組合からのコメントのよればこのような実際の数字を発表することは病院改善につながるという。

院内感染の原因には色々なことが考えられるようだが、医師や医療関係者を対象にしたニューイングランドジャーナルオブメディシン誌には次のようなことが書かれている。

院内感染原因の一つは、医師や医療スタッフが患者と接する前に手を洗わないことにある。この結果年間で約200万人の患者が院内感染し、約9万人の死亡が推測される。

上記のペンシルバニア州以外に院内感染数発表を義務付けされいるのは、ミズリー州、フロリダ州、イリノイ州とバージニア州のたった四州だけだ。病院側がこのような数字発表を尻込みする理由は大衆に誤解を与えやすいからだという。アメリカ病院協会のナンシーフォスターさんは次のように語り、単なる院内感染数を発表するだけの現状に反対している。「私たち病院側は一般の方々に正確な院内感染状況を伝えたいと思っています。ただ感染した患者数を合計したものを公表しても、これでは現状が正しく反映されているとは言えません。」

院内感染、怖い話だが私をさらに病院嫌いにするニュースはもう一つある。アメリカの医療費がまた上がったという。全世界のどこを探してもアメリカのように医療代の高い国は無い。年間平均アメリカ人は5267ドルを医療費に使い、これは他の先進諸国を53%も上回るということだ。院内感染被害にあって、おまけに高医療費なのだから困ったものだ。

今年も後半戦に入り、すでに10日以上経過した。夏も本番、それにしてもボラティリティー指数がだいぶ低い水準に来ている。マーケットと正反対の動きを示すことで有名な指数だが、大衆の心理状態を計るためにも使われる。現在のように低い数値は安心しきった大衆心理を表し、目先天井の近い警戒シグナルになる。逆に極端に高いボラティリティー指数は超弱気の大衆を示し、買い出動への目安になる。

ボラティリティー指数が教えてくれることは、大衆の逆を行くことの重要性だ。日本の相場格言にも「人の行く裏に道あり、花の山」というものがあり逆行動の大切さを指摘している。根拠の無い逆行動は単に無鉄砲なだけだが、上記のボラティリティー指数、それにプット/コールレシオをなどを利用して大衆の心理状態を把握することは有益だ。

さて後半戦、どんなものに投資をするのが良いだろうか。こんな質問を個人投資家にすると、まず今年の前半はどのミューチュアルファンドが好成績だったかを調べようとする。これではあまりに一般的な方法で、へたをすると過熱ぎみのファンドに投資する結果になってしまうおそれがある。ここで株だけに限らず、投資に成功している人たちが守っている10のルールを紹介しよう。

1)決して投機をするな。「高いリターンには大きなリスクがつきものだ!」こんな言葉を信じきって危ない橋を渡ってはいけない。

2)あなたの住宅は株ではない。間違っても自宅を担保にした金で株を買うなどといったことを考えてはいけない。単に株バブルの手助けをするようなものだ。

3)もっと貯金をしろ。アメリカに大きな貿易赤字があるからといって、私たち個人までが国の真似をする必要はない。赤字が証明するのは、私たちが倹約に失敗したということだ。

4)証券セールスマンはあなたの味方ではない。セールスマンが最も興味があるのは手数料であり、手数料は投資リターンを減らすマイナス材料だ。

5)商品市場に手を出すな。オイル、金、大豆などをポートフォリオに組み込もうと思われるなら、そんな考えはすぐ棄てるべきだ。ほとんどの人たちは12か月以内に、口座資金を失ってしまう事実を頭に入れておこう。

6)目新しい投資を避けろ。新製品、新規株、つい心が弾んでしまうが、こんな感情的な投資に成功は有りえない。

7)国債は安全投資ではない。債券も株と同様に、値段の浮き沈みがあることを覚えておこう。

8)投資は税金対策ではない。会計士たちは節税対策としての投資を推薦するが、投資の第一目的は節税ではなく利益を上げることだ。

9)投資のゴールを明確にしろ。長期的な投資目標をたて、倹約した日常生活を心がけよう。

10)感情に頼るな。投資をするときは楽観的になりすぎても、悲観的になりすぎてもいけない。感情的になればなるほど投資ミスを重ねるだけだ。

9 to 5という映画のタイトルにもなったフレーズがあるが、一般的なアメリカ人の労働時間は、9時から5時までの計8時間だ。もちろん昼休みの一時間を考慮すれば、実際には7時間労働ということになる。しかしサラリードットコムの調べによると、平均的なアメリカ人は毎日約2時間の労働時間を無駄にしているという。昼休みとこの2時間を合計すれば、一般アメリカ人の労働時間は一日5時間ということになる。

一口に2時間と言うが、雇っている方の企業側から見ると、これは年間で7590億ドルに相当する給料を無駄に支払っていることになるらしい。まじめに働かなくてはいけないのは分かっているが、いったいどんなことに労働時間は浪費されているのだろうか。上位5つを見てみよう。

1)インターネット (44.7%): ネットサーフィンがナンバー1の時間浪費原因だ。
2)同僚と無駄話 (23.4%)。
3)会社と関係ない私的ビジネス行為 (6.8%)。
4)単にボケ-ッと白昼夢 (3.9%)。
5)クリーニングを取りに行くなどの雑用で社外へ出る (3.1%)。

仕事中に遊んでいるとはケシカラヌ、と怒る社長さんもいるだろうが、サボっている社員にもそれなりの言い分がある。正当な理由かどうかは別として、33.2%の回答によれば、仕事をしないのはやる仕事が無いからだという。第二番めの理由は、給料が安くてやる気にならない (23.4%)、そして同僚からの邪魔 (14.7%)へと続く。

業種別に見ると、保険会社の従業員が最も時間を無駄にしている。全米の平均浪費労働時間は一日2.09時間だが、保険業界での平均は2.5時間だ。その次に浪費が目立つのは、教員を除いた公務員となり2.4時間が毎日無駄なことに使われている。逆に時間浪費の少ないのはブルーカラーの労働者たちだ。特に荷物発送受け取りに従事する人たちの浪費時間が低く、全米で最低の1.7時間と報告されている。皆さんは現在の職場環境に満足してますか?

経験を積む重要性

不動産ブームのアメリカだが、高収入を夢見て、不動産ライセンスを取得する人たちが増えている。CNNマネーの調べによれば全米不動産エージェントの数は200万人が推定され、ここ一年間で12.7%の増加だという。エージェント数が最も多いのはカリフォルニア州だが、最近いちばんの伸び率を見せているのはアリゾナ州らしい。

一般的な住宅売買には5%の手数料がかかる。50万ドルの物件なら2万5000ドルの手数料となり、会社と分け前を半々にすると、エージェント(セールスマン)の収入は1万2500ドル(約138万円)だ。物件一つで138万円、二軒売れば1か月で276万円の副収入だから悪くない。

さて実際にアメリカの不動産エージェントには、どのくらいの収入があるのだろうか。またCNNマネーを引用すれば、収入を決定する最大の要素は「エージェントの経験年数」だという。26年以上経験があるベテランの平均年収が7万900ドル、5年以下の経験なら5万3400ドルだ。

客の立場から見れば、経験豊富な実績のあるエージェントが欲しいのではないだろいうか。先月ライセンスを取得したばかりのアマチュアエージェントでは物足りない。こんな客の要望は明確に表れている。約80%のエージェントは、ライセンス取得から一年以内に辞めてしまうという。肝心な経験を積む前に、ほとんどのセールスマンは脱落してしまうわけだ。

アメリカのデイトレーダーたちにも同じことが言える。一大決心をしてトレーダーに転身するのだが、最初の一年めを乗り越えるのがとても難しい。資金的な問題もあると思うが、とにかく一年めは重要な経験を積む年なのだから、とにかく苦しくても頑張るしかない。心を奮い立たせる好きな言葉を目のつく場所に貼っておくのもよいだろう。入り口の広いデイトレーダーの世界、今週のマーケットも前向き思考で乗り切ろう。

ナスダックに上場している、インターネットイニシアティブジャパン(IIJI)に買いが集まっている。インターネットネットワークサービスを主要業務内容とする、東京に本社を置く会社だが、なぜ突然買い人気がついたのだろう。6月13日には13ドル93セントの高値を記録したのだが、新株式発行が東京証券取引所マザーズの上場規定を満たすことができなかったため中止のニュースがきっかけとなり、6月24日には6ドル31セントまで下げてしまった。

さっそく今日の買い人気を調べてみると、こんな記事が見つかった。フールズドットコムという、アメリカの一般個人投資家たちに好評なホームページがある。そこに昨日「倍になりそうな四銘柄」というコラムが載った。簡単に推測ができると思うが、インターネットイニシアティブはその四銘柄の一つとしてあげられていたわけだ。

さて倍になりそうだという理由を要約してみよう。

アメリカオンラインがラテンアメリカで失敗した原因は、地元企業との競争に負けてしまったことにある。特にインターネットアクセス業は、地元企業に圧倒的な強みがある。インターネットイニシアティブには、すでに約12年の経営歴があり、株も取り引きが始まって6年になる。過去2か月間の株価はローラーコースターのような動きだが、一年前の夏から見れば現在の値は倍以上だ。最近の株価低迷はタイミングの悪い株式上場の失敗だが、このニュースはインターネットイニシアティブに将来性が無いという証明にならない。今営業年度は11%の伸びが予測され、マージンも好転していることから、28%の収益率も期待される。

日足チャートを見てみると、大きな空白(窓、ギャップ)が目に飛び込んでくる。この穴埋めから始めなければならないわけだから、ひとまず株価の目標は10ドル15セント近辺だ。現在の株価はまだ9ドル台だから、区切りのよい数字、10ドルちょうどのところが壁になる可能性もある。これは人間心理の話になるが、投資者たちは20ドル、30ドル、100ドルといった区切りのよい節目になる数字で売り注文を入れることが多い。9ドル99セントと10ドルの差はたった1セントだが、投資者には10ドルの方がかなり高く見えるようだ。

最後に残りの三銘柄を記してコラムを終わらせよう。

イントゥーイティブサージカル(ISRG): ロボットアームを使った手術といった説明が出てくるが、この業界をほぼ独占しているようだ。

ゲーミングパートナーズ(GPIC): ラスベガスのカジノで使用される、ポーカーテーブルやチップなどを製造している。

シリウスサテライトラジオ (SIRI): スポーツ、音楽、ニュース、そしてトークショウを中心にした有料サテライトラジオサービスだ。

あまりにも強烈な違いを見せる二枚の写真だ。オリンピック開催権を獲得して躍り上がるロンドン、そしてラッシュアワーを襲った爆破事件。大地震、津波、竜巻、自然現象が引き起こした暴力ならある程度のあきらめはつくが、明らかなテロ行為とあっては怒りをおぼえるだけだ。情報網を総動員させて、イギリス政府はどこまでも犯人グループを追いかけることだろう。

テロのような極端な事件が起きると、あらためて自分はどのようなタイプの投資者かが分かるのではないだろうか。テレビやインターネットでは急激に下げるマーケットのもようが次々と報道され、いかにも暴落は間違いない、そんな気分にさせられてしまう。事件後まもなく取り引きが始まったニューヨークだが、さっそく投資コンサルタントたちからのアドバイスを聞いてみよう。

CNNのインタビューで、ファイナンシャルプランナーとして個人投資家たちの相談に忙しいマリー アダムさんの第一声は「落ち着きなさい」だった。持ち株が下がり始めると、たちまち冷静さを失ってしまう投資家が多い。もちろん恐怖心に負けて、さっさとマーケット開始と同時に株を全部処分してしまう人たちもいる。こんな衝動的な行動を防ぐためには、あらかじめ持ち株の全てに損切りの値段を設定しておくことだ。

どんなに悪いニュースでも、自分の決めた損切り値に達するまでは株を手放してはいけない。アダムさんの言葉を引用しよう。「今日どうしても現金が必要という場合は別ですが、じっと我慢して情勢を見守らなくてはいけません。特にテロのニュースは、マーケットを必要以上に動かしてしまいます。よく考えてください。テロリストたちが破壊したものは製油所などの、直接経済活動に大きな打撃を与える場所ではないのです。」

今日の爆破事件で、警備防衛関連銘柄が投資テーマとしてまた台頭してきた。サベイランスシステムで軍と契約のあるL3コミュニケーションズ(LLL)、それに防弾チョッキや防弾プレートで有名なアーモア(AH)などを投資ポートフォリオの一部に組み入れるのも一案だろう。

競争相手に負けるわけにはいかない。さっそくフォードそしてクライスラーも、ゼネラルモータースを真似て「社員割引セール」を導入した。社員と同じ金額で車が買えるのだから、消費者には嬉しいニュースだ。この社員割引セールだが、他の業界にも広がるだろうか。航空会社を例にあげれば、「8月2日までに航空券お求めの方には社員割引をさしあげます」、といった感じになる。

さて、次は競争相手に負けてよかった、そんな話題を紹介しよう。ご存知のように2012年のオリンピックはロンドンに決定したが、実はニューヨークもオリンピック誘致運動をしていた。ロンドンが開催権を獲得した瞬間をテレビで見られた方もいると思うが、あれほどまでに感激する価値はオリンピックにあるのだろうか。これでロンドンオリンピックは三度めになるが、この三回めは世界初の記録ということだ。

開催国になったのだからそれなりの準備をしなくてはいけない。新しい競技場やホテルの建設、それに多数の観光客を運ぶ交通機関の改善も必要だ。当然これらは買い材料、さっそくロンドン市場では建築のハンソンPLC、ケータリング業(仕出し業)のコンパスグループ、そしてホテルのヒルトンなどが中心に買われたようだ。

問題はオリンピックに必要な設備投資には膨大な資金がかかる。もちろん国のメンツが関わることだから、きらびやかな豪華なものは要らないとしても、ユニークな最新機能を備えた施設は最低限必要だ。さて肝心な資金はどこから来るのだろう。冬季オリンピックを開催した長野市民の方ならお分かりと思うが、税金が重要な資金源だ。CNNマネーから引用すれば、「オリンピックの栄光は一時的なもの、しかし財政負担は20年以上続くことも考えられる」、ということになる。

結果的には承認されなかったが、ニューヨーク市長のブルーンバーグ氏は20億ドルを投入してマンハッタンにオリンピックスタジアムの建築を提案した。これを聞いたロンドン市長は、40億ドルのオリンピックコロシアムを提唱した。もちろん、この40億ドルはイギリス国民が負担しないといけない。コロシアム、ホテル、地下鉄、テロ対策、まだまだ必要なものはある。いったい最終的なイギリス市民への請求書はいくらになるのだろう。

割安、割高の判断方法

先月ゼネラルモータース(GM)の自動車販売数は、ここ18年間で最高の水準に達した。2004年の6月と比較すると、なんと41%の伸びだ。べつに新しい車種が発表されたわけではない。この突然なゼネラルモータース人気の秘密をご存知だろうか。先月GMは一大キャンペーンを実施した。社員割引を、一般消費者にも適用したのだ。

社員と同じ金額で車が買える。こんな話なら、あなたもGMを試してみようと思うのではないだろうか。違った表現をすれば、社員割引のおかげでGMの車が割安になったわけだ。この割安、そして割高という言葉はよく株式市場で引用されるが、いったい「割安」や「割高」は何を基準に判断するのだろうか。

2カ月前まで20ドルだった銘柄が今日60ドルなら、たいていの投資者は「割高」だと言うことだろう。逆に5ドルならがぜんと「割安感」が生まれるわけだ。もちろんキャッシュフローや一株収益などのファンダメンタル的な要素で、この「割安」「割高」を判断しようとする人たちもいる。

それでは現在マーケット全体、たとえばSP500指数の水準が「割安」なのか「割高」なのかを見きわめるにはどうしたらいいのだろう。これが分かれば指数の「買い」と「空売り」のタイミングをあるていど計ることができる。そんなとき役にたつのがボラティリティー指数だ。

このボラティリティー指数の別名は「恐怖指数」とも呼ばれ、SP500と反対の動き方をする。例は悪いかもしれないが、あの人が買ったならそろそろ売りだ、といった逆指数だと思っていただければいい。下のSP500とボラティリティー指数の10分足チャートを見比べてほしい。見事な正反対の動きが分かっていただけると思う。

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連休も今日でお終い。火曜のマーケットをジリジリしながら待っている人たちもいることだろうが、たまには相場のことをいっさい忘れて頭を休めることは良いことだ。独立記念日でアメリカは連休になったわけだが、ここで面白い統計を紹介しよう。

NPDグループが300人のアメリカ人に次の質問をした。「独立記念日に絶対食べないものは何ですか?」べつに嫌いだから食べないということではないが、独立記念日に敬遠される食べ物は三つある。まず筆頭はフレンチトーストだ。朝食として人気のあるフレンチトーストだが、なぜか独立記念日にはもっとも似合わない食べ物のようだ。

中華料理、そして日本料理などのアジア系食品が二番めに敬遠される。「今日は独立記念日、うまい寿司でも食いに行こう!」アメリカに住む日本人ならそんなことを言うかもしれないが、アジア料理はアメリカ人にはご法度らしい。中華レストランは交差点ごとにあるような気がするが、独立記念日は閉店が正解だろう。

三番めはラザニアなどのパスタだ。ここで当然の疑問は、イタリア系のアメリカ人も独立記念日にはパスタを食べないのだろうか。なぜかよく分からないが、スパゲティも独立記念日にはしっくりとこないようだ。

絶対に食べないものだけの紹介で終わったら不公平だ。独立記念日に最も好まれる食べ物を記して終わろう。最大の人気食品はポテトサラダだ。まったく地味なメニューだが、500%以上の確率で、この日ポテトサラダは食べられるらしい。次がべークトビーンズ、そしてホットドックと続く。愛国精神の謎はポテト、豆、そしてホットドックということらしい(笑)。

連休を目前にして、マーケットは思ったとおりの静かな展開となった。昨日はFOMC会議で揺り動かされただけに、今日は最初から休むと決め込んだ投資者が多かったようだ。4日は独立記念日、ロサンゼルスからニューヨークまで、街の大小にかかわらずあちこちで花火が打ち上げられる。不思議とこの日は皆アメリカ人としての誇りを感じるようだ。

さてこのアメリカ、そろそろ不動産バブルがはじけるのではないかと心配する人たちが増えている。ロイターからの報道だが、35%のアメリカ経済を支える15州の不動産が超過熱状態だという。ドットコムに代表されるインターネット株の暴落を憶えているかたもいると思うが、現在の不動産状況はインターネット株などとは比較にならないようだ。

経済学者のトーマス ヘルブリング氏によれば、これら15州の不動産が下落すれば国内総生産(GDP)に大きなインパクトを与えるという。株式市場の下げもたしかに経済にはマイナスだが、株は不動産と違って上げ下げのテンポがきわめて速い。言い方をかえれば、株式市場は不動産よりも回復力が強いということになる。控え目に見積もっても、不動産が引き起こす経済ダメージは、株の二倍以上あるということだ。

ある新聞の不動産コーナーにこんな質問が読者から寄せられていた。
「サンディエゴの物件購入を考えていますが不動産バブルが気になります。しかし金利が上がり始めているので待つよりも、やはり今のうちに買ってしまったほうがいいような気もします。不動産ローンは利子だけを返済するインタレストオンリーを利用する予定です。この物件を今すぐ買うべきでしょうか。」

この質問への回答を聞いてみよう。
「サンディエゴは向こう24か月で値下がりが予想されるトップ5に入っています。だからといって、現在の不動産ブームが始まる前の値段まで下がるわけではありません。あくまでも正当価格までの修正が予期されるということです。不動産に株のような急激な下げはありません。株の下げは風船が破裂するような勢いがありますが、不動産の場合は空気がゆっくりと抜けていくようなものです。もちろん不動産はこの高値でしばらく横ばいするだけかもしれません。」

どうやらプロも不動産熱にやられてしまったようだ。

また金利が上がった。ここ一年間で、九回めの引き上げだ。フェデラルファンズと呼ばれる短期金利が3%から3.25%になったわけだが、これはだれもが予想していたことだ。だったら、なぜダウ指数は99ポイントも下げたのだろう。すでに織り込み済みの事実なら、なにもわざわざ下げる必要はないはずだ。

マーケットを動かすためには新しいニュース(材料)が要る。今日の下げには、どんな材料があったのだろう。簡単に言ってしまえば「失望売り」だ。予想どおりの金利引上げにがっかりしたわけではない。マーケット参加者たちは、ふたつの単語「measured pace」に最大の関心をよせていた。直訳すれば規則正しいゆっくりした歩調ということだが、投資者たちはこのニ単語がFOMC後の声明文から消えることを願っていた。

measured paceの意味することは、FOMC会議が開かれるたびに実施される規則正しい0.25ポイントの短期金利引上げだ。この二つの単語が声明からなくなってしまえば、それは金利引き上げサイクルが終わりに近い証明になる。しかし今回もmeasured paceは声明から削除されていなかった。これが失望売りの原因だ。

いったいどこまで金利は上がるのだろうか。JPモルガンのストラテジスト、ジャンロイスさんはこんな見かたをしている。「海外の企業は投資に消極的なため、これが長期金利に歯止めをかける結果になっていますが、この余剰資金が米国に流入しています。これが米国景気を支えるひとつの要素になっているわけですから連邦準備理事は来年の春までに金利を4.5%まで引き上げることでしょう。」

measured paceは毎回0.25ポイント、4.5%まであと5回のFOMC会議が必要だ。

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