June 2006 のトップ・ストーリー一覧

「サムライ株」、と題してジム・クレーマー氏は、米国投資者に日本株を人気番組の中で推薦した。さっそく見てみよう。

1、三菱UFJフィナンシャル・グループ
なぜこの銘柄を買いたいのか?それは現在の日本が、1991年のアメリカに似ているからだ。その時アメリカは、ようやく不動産恐慌から抜け出そうとしていた。多くの銀行は倒産し、主要大手銀行だけが生き残った。しかし、不動産市場の底打ちは銀行株買いのシグナルとなり、特にシティバンクが魅力的だった。ようするに三菱UFJは、1991年のシティバンクと同様というわけだ。短期的に見た場合、日本の金利情勢が悪材料になる可能性がある、とクレーマー氏は言う。

2、キリンビール
アメリカのビール会社は買えないが、キリンビールは別だ、とクレーマー氏は強調する。キリンの、大豆をベースにしたビールには麦芽税がかからないから収益にはプラス材料だ。このビールは2005年の4月にデビューし、8月には売上が三倍に上昇した。アサヒビールも大豆をベースにしたビールを販売しているが、キリンのような勢いは無い。一つクレーマー氏は警告する。日本政府は、麦芽税を大豆ベースのビールにも適用する可能性があるから注意が必要だ。

3、クボタ
円安で恩恵を受けるのがクボタだ。円が下がれば、アメリカに入って来る日本製品の値段が下がる。ほとんどのアナリストたちは、まだ完全に円安メリットがクボタに与える影響を把握していない、とクレーマー氏は指摘する。だから、遅かれ早かれ、アナリストたちは収益上方修正の発表をすることになる、というわけだ。

大々的なリストラが成功したクボタだが、次のような問題点をクレーマー氏はあげている。

・キャタピラーという強敵がいるため、アメリカの中型トラクター市場に食い込むのは難しそう。
・円が高くなってしまうとクボタに悪影響だから、極端に円高に動く時は要注意だ。

4、松下電器産業
大画面プラズマテレビが人気だ。コーニング(GLW)も悪くないが、松下の方がより優れた投資対象になる、とクレーマー氏は断言する。2010年までには、松下が40%のプラズマテレビ市場を獲得することになりそうだから、間違いなく松下が世界一だ。最近の株式市場は、テクノロジー銘柄が敬遠されているから、短期的に松下は冴えない動きになりそうだ。

以上4銘柄の他に、クレーマー氏はホンダとトヨタ自動車も薦めている。ガソリン高が社会的な問題になっているにもかかわらず、相変わらずゼネラルモーターズとフォードは、燃費の悪い小型トラックの販売に力を入れている。しかし、トヨタとホンダはハイブリッド車や低燃費車に力を入れているから、高いガソリン問題を乗り越えることができるだろう。

三菱UFJフィナンシャル・グループ、クボタ、松下電器産業、とお馴染みな銘柄ばかりだが、これらの銘柄には一つの共通点がある。どれも米国株式市場に上場されているから、アメリカ人が簡単に買うことができるわけだ。

 

歯切れの悪い専門家の助言

株番組を見ていると、「持ち株を処分した方が良いでしょうか?」、という視聴者からの質問が最近多い。世界的に嫌な相場が続いているから、投資者たちが不安になっても仕方が無い。もちろん、デイトレーダーがこんな質問をするわけがないから、正確に言い換えれば、長期的に見た場合、現在株を売ることは正解だろうか?

「もし、今売らなかったらどうなるでしょうか?先ずそれを検討してください」、と言うのは以前ファースト・コール社でアナリストを務めたポール・エリオット氏だ。今売らなかったらどうなるのか?投資アドバイザー、ギャリー・カルトバウム氏を引用しよう。「200のグループを追っていますが、10銘柄中7から8銘柄がテクニカル的に貧弱です。特に最近気になるのが、マーケットの指標になる大手銀行です。天井が形成され、下げが始まっていますから、明らかに悪材料です。チャートパターンに好転の兆しが現れるまで、買いは控えなければいけません。」

ニューヨーク大学教授、アズワス・ダモダラン氏の意見を聞いてみよう。「今株を処分するべきか、という質問の裏側にあるのが、ひょっとしたらこの辺が底だろうか、という質問です。米国の金利上昇が株安原因になった、と説明する人が多いですが、これはあまりにも短絡的です。金利の上昇は既に2年近く続いていますから、昨日今日に始まった話ではありません。世界的な株安は、一つの要素だけでは起きません。

それでは、株式市場の下げは終わりに近いでしょうか?この疑問にも、簡単に回答することはできません。繰り返しになりますが、下げ原因は一つだけではありませんから、米国の金利安定が世界的な株高になる、と断定するのは無理です。」

どうも歯切れの悪い意見だが、ダモダラン氏は投資者に五つの助言がある。
1、株はなぜ下がるのか、といった質問には理論的な回答など無い。だから、専門家の意見を聞くのも無駄だ。
2、現在口座残高が減っているなら、十分に株の危険性が理解できたはずだ。次の上げ相場で、「株は安全だ」、などといった極論が出たら、今日の体験を思い出そう。
3、下げ相場の始まりが確認できたら持ち株を売ろう、と言う人が多いが、次の事実を覚えておいてほしい。確認ができた時は、既に大きく下がっている。逆に底が確認できた時も、既に大きく上がっているものだ。
4、大衆と逆に動くのは正しい。しかし、これほど難しい投資方法は無い。
5、アナリスト、それにアドバイザーたちが使っている水晶の玉は曇っている。プロの意見は当てにならない。

これが助言?あまりにも悲観的だ。「もし、今売らなかったらどうなるでしょうか?先ずそれを検討してください」、と指摘したポール・エリオット氏に戻ろう。「現在の株式市場を見ていると、たしかに不安になってしまいます。しかし、今は売る時ではありません。ほとんどの投資者は、必ずと言っていいくらい売った後に後悔しています。住宅を買いたい、新しい家具がほしい、そんな時だけに株は売るべきです。」これもあまりスッキリしない。三者で参考になるのは、カルトバウム氏だけだ。

木曜のFOMC(連邦公開市場委員会)で、短期金利が5.25%に引き上げられることが確実視されている。これが実現すれば、2004年6月から17回連続の引き上げだ。それほどインフレを恐れているなら、いっそのこと0.5ポイント上げて、一気に金利を5.5%にしてしまえばよい、とそんな声が最近聞こえるようになった。

マーケットウォッチ・ドット・コムの報道によれば、以前連銀は0.5ポイントずつ金利を動かすことが通常だった。0.25ポイント刻みは、前連銀議長グリーンスパン氏が始めたものだ。既に0.25ポイントずつ、16回立て続けに金利が引き上げられているが、米国の歴史上、これほど執拗な金利引き上げサイクルは無かった。

エコノミスト、マイケル・グレゴリー氏はこう語る。「過去二回の金利引き上げサイクルを振り返ってみると、両方とも最後の利上げは0.5ポイントでした。交響曲を例にあげれば、曲の最後はドーンと派手ですから、観客は拍手のタイミングが分かります。利上げも同様です。また0.25ポイントの引き上げなら、マーケット関係者はこれが最後かどうかの判断ができません。予期せぬ0.5ポイントの上げなら、これは金利引き上げ終了のシグナルです。」

ベアスターンズの、ジョン・ライディング氏もグレゴリー氏の見方を支持する一人だ。「0.5ポイントの利上げは、生温い連銀のやり方に不満な、タカ派を納得させることもできるでしょう。たとえ完全に引き上げサイクルが終わりにならなくても、0.5ポイントの利上げなら、連銀はしばらく経済活動の様子を見ることになるでしょう。」

「今こそ連銀は慎重になるべきです」、とパシフィック・インベストメントのポール・マカリー氏は言う。「行き過ぎな金利引き上げは、米国経済を不景気に導くことになります。既に住宅市場には冷えこみが見られます。更なる金利引き上げは、個人消費を大きく減退させることになるでしょう。それだけではありません。米国での利上げは、結果的にヨーロッパ、日本、中国、そして他の国々での金利引き上げにつながり、世界的に経済が落ち込む可能性もあります。ただでさえ、株式市場は神経質な状態ですから、ヘッジファンドが大きく売ってくることも十分に考えられます。」

ハーバード大学教授、マーチン・フェルドスタイン氏はこう付け加える。「連銀が現在直面する問題の一つは、既にアメリカ経済には下向きの兆しが見える、という現実です。ですから連銀は、インフレばかりに注意を払うのではなく、先ず適切にアメリカ経済の現状を把握して、経済成長減速を想定した金利政策を実施しなくてはいけません。」

最後にアメリカとヨーロッパが一体となって金利を引き上げたのは2000年のことだった。そして、世界経済は8年来の低成長を経験することになった。しかし今回は、日本、中国、インドも利上げに参加することになるから、マカリー氏の懸念が的中しそうだ。

手元にあるのは100ドル(1万1600円)だけ。パッと飲んで終わりにしてもよいが、もっと賢い使い方はないだろうか?そんな質問に、キプリンジャーズ誌はこんな回答をしている。

1、非常時に備える
ハリケーン、竜巻、火事、こんな緊急状況では、素早く家から安全な場所に避難しなくてはいけない。あなたは、そんな時のために非常食や水の用意ができているだろうか?そこで、ぜひ買っておきたいのがサバイバルキットだ。値段は55ドル。これがあれば、大人二人が72時間生き延びることができる。残りの45ドルで、更に必要な薬などを買っておくとよいだろう。

2、古いホームビデオを捨てるな
ほこりをかぶったVHSテープが眠っていないだろうか?卒業式、結婚式、いろいろな思い出が入っているはずだ。最近のコンピュータにはDVD作成機が搭載されているから、あとはVCRのアナログシグナルをデジタルに変換する装置と画像処理ソフトが必要なだけだ。この両方をそろえるには約100ドルかかる。ADS社のDVD Xpressとピナクル社のStudio  500USBが使いやすいだろう。

3、コンピュータのコードを切れ
ワイヤレス・ネットワークをインストールしよう。これがあれば、料理をしながら台所でメールが読め、リビングルームのソファーに横になって、オンラインショッピングを楽しむことができる。すでにケーブルインターネットやADSLを利用しているなら、さっそくワイヤレス・ルーターを買ってこよう。値段は約50ドルから80ドルほどだ。

それでは、200ドルならどんな賢い使い方があるだろうか?

快適な老後への第一歩
あなたが27才だったとしよう。毎月必ず200ドルの金額をミューチュアルファンドに投資すると、65才の誕生日には約100万ドル(1億1600万円)になっている。条件は、少なくとも年利で10%の利益があることだ。

健康第一
なんと言っても体は鍛えた方が良い。太りすぎは、間違いなく体に悪い。よしスポーツクラブに入ろう、と思うかもしれないが、さしあたって必要なのは快適なスポーツウェアだ。せいぜい100ドルも出せば、満足なものが買えるだろう。心機能を強化するなら、縄跳び、ジョギングなどがあるが、ここで重要なのが靴だ。アスファルトの上で走るのは膝や腰に負担がかかるから、是非しっかりしたジョギングシューズを選びたい。100ドルほどの出費になるだろう。

少し金額が飛んで500ドルならどうだろう?

きまぐれな旅行
あるていど前から予約しておかないと、良い切符が買えない、と思っている人はSite59.comにアクセスしてみよう。意外と多くの短期休暇が、500ドル以下で楽しめることに気がつくだろう。このウェブサイトは、きまぐれな旅行者を念頭に作られているから、数日後に出発したい人には最適だ。

医師の収入は下げ基調?

医師たちの収入が減っているという。経済レポーター、クリステン・ゲレンシャー氏の調べによれば、1995年から2003年までの間に、医者たちの手取り収入は平均で7%下がった。他の専門職と比較してみると、弁護士やエンジニアの収入は、逆に7%上がっている。

なぜ米国医師たちの手取り収入が落ちたのだろうか?最大の原因は、メディケア(高齢者向け医療保険制度)、そして個人向け健康保険会社からの払い戻しが減ったためだ。(注:アメリカには日本のように、国民全員が加入できる医療保険制度が無い。そのため、国民は民間の医療保険サービスに加入することになる。ただし、65才以上の高齢者や身体障害者には公的医療保険制度があり、これがメディケアと呼ばれている。)

もちろん、手取りが減ったからといって、医者が経済的に困っているわけではない。2003年度の平均手取り年収は20万3000ドルだから、円に換算すると2354万円だ。普通以上の暮らしができることは間違いないが、下げ基調が見え始めた医師収入は、アメリカに将来的な問題になる、とゲレンシャー氏は言う。説明を聞いてみよう。

「心臓病専門医、それに循環器専門医などのスペシャリストの収入は問題ないのですが、ファミリー・ドクターと呼ばれる内科や小児科の開業医の収入が10%以上も下がっています。こんな状況ですから、医師はスペシャリストへの道を選ぶことになり、かかりつけの医者であるファミリー・ドクター不足になる可能性があります。」

開業医の手取り収入減少が著しいのは、医療過誤保険料が急騰しているためだ。そのため、毎月の経費を抑えることが優先され、看護婦の数が制限されるだけでなく、新医療機器導入にも消極的になってしまう。とうぜん、診療の質も低下するわけだ。

ラリー・フィールズ医師はこう語る。「ファミリー・ドクターたちは経費の節約に必死です。医療過誤保険料金は上がり続ける一方ですから、最高の経費節約方法は開業医を辞めることかもしれません。医者の使命は患者を治療することです。しかし、今日の状況は開業医を起業家に変身させてしまい、医師たちは肝心な治療ではなく、経営のことばかりを考えるようになってしまいました。」

フィールズ医師はケンタッキー州で開業しているが、更にこう付け加える。「私たちの厳しい現状を知った医学部の学生たちは、次々と開業医への夢を捨てています。私自身、口述録音をやめて自分で診療記録を作るようにしました。こんなことでも、年間で2万ドルほど節約できます。」医学部学生の多くは、大きな学生ローンという借金がある。これで、ますます開業医は少なくなりそうだ。

ベテラントレーダー、ラリー・ウィリアムズ氏が少し変わったことを言った。もう引退してしまったが、プロバスケットボール界の問題児として有名だった、デニス・ロッドマンという選手がいた。腕はイレズミだらけ、それにイヤリングの数も、一つや二つではなかった。マイケル・ジョーダンというスーパースターもチームにいたが、とにかくロッドマンは目立った。

「トレーダーとして成功したければ、ロッドマンのようになりなさい」、とウィリアムズ氏は言うのだ。もちろん、腕にイレズミを入れて、髪の毛を派手に染め、それぞれの耳に複数のイヤリングをつけることを推奨しているわけではない。(異端トレーダーのイメージ作りには役立つかもしれない。)しかし、ロッドマンから私たちは学ぶべきことがあるようだ。ウィリアムズ氏の話を聞いてみよう。

「本やセミナーを通して、多くのトレーダーに効果的な売買手法を紹介してきました。さまざまな質問のメールや、セミナー受講生の方々から直接話を聞いて分かったのですが、単に手法を学ぶだけではトレーダーとして成功できないようです。いったい何が欠けているのでしょうか?

ロッドマンは、ショーマン的要素も多分に持っていましたが、間違いなくバスケットボール・プレーヤーとしてもスターと呼べる選手でした。なぜでしょうか?有名な話ですが、まだロッドマンが大学にいたとき、コーチはこんなことを忠告したそうです。「攻撃を考える必要は全く無い。お前は守り(ディフェンス)だけに徹しろ。」正にこの言葉が、一流ディフェンス・プレーヤーとしてのロッドマンを築き上げたのです。

これも引退した選手ですが、ボー・ジャクソンという、プロ野球とプロフットボールの両方をプレーしたスポーツマンがいました。しかし、彼はロッドマンのようにスターになることはできませんでした。二つのプロチームに属するという華やかな生活でしたが、いったいジャクソン選手にとって、どちらのスポーツが専門だったのでしょう?ロッドマン選手のように、一つのことだけに集中(フォーカス)した方が良かったのではないでしょうか?

これも古い話ですが、私が1万ドルの資金を110万ドルに増やしたときを振り返ってみると、私はロッドマン選手のように一つのことだけ、ようするにトレードだけに集中(フォーカス)していました。釣り、ゴルフ、野球観戦、旅行、そんなことは一切しませんでした。四六時中、トレードのことばかり考えていました。たしかに、家庭生活をおろそかにしてしまいましたが、結果的には大きな利益を手に入れることができたのです。」

ここで一つ思い出した。相場師として活躍した、近藤信男氏はこんなことを語ったそうだ。「俺は相場師だ。相場に生き、相場に死ぬ。相場以外のことに手を出すのは、すべて邪道だ。」

危険シグナルの発見方法

せっかく上手くいっていた投資が、著名アナリストの悲観的な意見で、大きく下げてしまうことがある。小さな損なら取り戻すことができるが、一つの銘柄であまりに大きな穴を開けてしまうと、精神的なダメージから立ち上がるのも大変だ。「致命的な傷を負わないために、危険信号をいち早く察知することが大切です」、と言うのは「アナリストを首にしろ!」の著者、ハリー・ドマッシュ氏だ。少し話を聞いてみよう。

「最近、プラトロニクス社は30%という極めて大きな下げを記録しました。直接的な原因は、6月で終了する四半期の収益が、下方修正されたためです。しかし、12月締めの決算報告書をよく調べた人なら、今回の下方修正がある程度予期できましたから、大きな損を出すことはなっかたことでしょう。」

決算報告書と言われても、いったいどこを見たら良いのだろうか?会計士のような専門的な知識が無くても、危険シグナルを見つけることは可能なのだろうか?ドマッシュ氏の話に戻ろう。

「先ず指摘したいのが粗利益です。会社が製品を売ると儲けになりますが、粗利益はリサーチや開発コスト、それに税金などが考慮されていません。粗利益が上昇する原因には、生産コストの低下、または製品の値上げの二つがあります。理由はどちらでも構いません。重要なのは、粗利益の大幅上昇は、収益の上方修正につながります。

粗利益減少は、製造コストの上昇やマーケットシェア維持を狙った製品の値下げが原因で起きます。これら二つの要素は、将来の収益懸念になりますから、粗利益の異常な減少は危険信号です。

粗利益は、損得計算書を利用することで、簡単に計算することができます。粗利益を比較するときは、季節的な要因を考慮して、前年度の同時期と比べることが重要です。(粗利益=業務粗利益/売上)

プラトロニクス社を使って説明しましょう。2005年度、12月締め四半期の粗利益は45.5%でした。2004年の同時期は53.1%でしたから、プラトロニクス社の粗利益は7.6ポイント(53.1ー45.5)の下落です。粗利益が2ポイント以上下げているときは要注意です。」

粗利益の次に気をつけたいのが売掛金勘定だ。どんなに売上が伸びていても、実際に相手側からの支払いを受け取らなければ何の意味も無い。顧客との良い関係を保つために、故意に長めの支払い期間を与える場合もあるが、相手側に支払い能力が欠けていることもある。だからドマッシュ氏は、バランスシートを検討して、売掛金勘定が売上に占める比率を確かめることを勧めている。もしこの比率が、前年度を20%以上上回るようなら注意したい。

もう一つの警報はキャッシュフローだ。「純利益が上昇しているにもかかわらず、キャッシュフローが減っているなら、空が曇り始めたと思ってください」、とドマッシュ氏は言う。決算報告書は味気無いかもしれないが、粗利益、売掛金勘定、そしてキャッシュフローの動きには、目をとめる価値がありそうだ。

金利上昇で狙える銘柄

不安定な株式市場、いったい何を買ったら良いのだろうか?連銀は上げ過ぎになるまで、金利引き上げを終了させることはない。だからアメリカは不景気に陥る。そんなことを言うアナリストが多いから、なおさら銘柄選びが慎重になってしまう。

トレンドは投資者の友達、という言葉があるように、昔から大局的な流れに乗った投資が薦められている。今日のマーケットで明らかなのは、上昇する金利だ。金利上昇で有利なものは何だろうか?

ここで目につくのが、CNNニュースのヘッドラインだ。Million-dollar investors prefer cash、ということだから、お金持ちの投資者は現金を選んでいることになる。誤解を防ぐために記しておきたいのは、現金化といっても資金の全てではなく、約2割相当の金額だ。それでは、現金の行き先を見てみよう。

期限の制約が無く、いつでも引き出し自由、と便利なのが、マネーマーケット・ファンドだ。例えば、トランスアメリカのプレミア・キャッシュ・リザーブ・ファンドには4.91%、そしてチャールズ・シュワブのバリュー・アドバンテージ・マネーファンドには4.66%の利回りがある。

安全な短期国債利回りも悪くない。3カ月物は4.8%、6カ月物は4.93%、そして1年債が4.96%だ。最高に長い30年物国債は5.19%、また10年物は5.15%だから、短期利回りと長期利回りに差はほとんど無い。

満期前に引き出すと違約金を払うことになるが、銀行の定期預金も人気だ。オンライン・バンキングの活用者が増えている今日この頃だから、各銀行も良い利回りを表示して、新規客の獲得に精を出している。3カ月定期ではUFBダイレクトが4.94%、6カ月はコルス銀行の5.23%、12カ月定期もコルス銀行が5.37%という高い利回りを提示している。

それでは、どんな銘柄が狙えるだろうか。経済コラムニスト、ジム・ジューバック氏はこう語っている。「ソフトウェアの会社には、製品のサイクルがあります。新バージョンの発売が近くなると、既存バージョンのソフトウェア売上が大きく下がります。

アドビシステムズ(ADBE)が、正に今このサイクルに達しています。6月15日に発表された決算は予想を下回り、今年度の収益が下方修正されました。アクロバットとウェブマネージャーの新ソフトウェアは2006年の第4四半期に発売が開始され、フォトショップの新バージョンは2007年の春発売が予定されています。」

6月15日の決算がそうだったように、新ソフトウェアが発表される前の決算は、アナリストの予想以下になる傾向があるという。ガッカリな数値を見て、アナリストは収益予想を下方修正したが、これはアドビシステムズにとって好都合だ。ハードルが下がり、予想収益を達成しやすくなった。新バージョンの売れ行きが好調なら、次々とアナリストは格上げを発表することだろう。

毎日8000人のアメリカ人が60才の誕生日を迎えている。ベビーブーム世代の人々が、次々と退職の年齢に近づいているわけだ。さっそく、こんな心配の声が聞こえてくる。「世界的に株が不安定な今日、ベビーブーマーたちは、老後資金を守るために、株を一斉に売ってこないだろうか?」

ベビーブーマーとは、1946年から1964年の間に生まれた人たちをさし、約7820万人がこの世代に属する。医学の発達や、生活水準向上が主な原因となり、ベビーブーマーだけに限らず、アメリカ人の平均寿命は1960年の69.7才から77才に上がっている。2000年には3500万人だった65才以上の人口も、2030年には約7200万人に達することが予測されている。

ペンシルバニア大学教授、ジェレミー・シーゲル氏は警告する。「アメリカ社会は、いまだかつて無い速度で、高齢化へと進んでいます。これは確実に、株式市場に悪影響を与えることになるはずです。場合によっては、50%近い下落があるかもしれません。」

ベビーブーマーたちは、401k(企業年金制度)を利用して、多額な金額の株を保有している。退職後は、とうぜん定期的に株を売って生活資金に割り当てることになるから、市場には毎月大量な売り物が押し寄せることになる。だから株の需給バランスが崩れてマーケットが低迷する、というのがシーゲル氏の要点だ。もう少し説明を聞いてみよう。

「年金基金にも、ベビーブーマーからの売り注文が大きく増えることでしょう。株の売りが増大しても、それ以上の買い手があれば問題はありませんが、高齢化社会では、どうしても労働者人口が減りますから、買い圧力も減少してしまいます。」

もちろん、全てのマーケット関係者がシーゲル氏のような悲観的な見方をしているわけではない。高齢化は悪材料ではなく、買い材料になる、というアナリストが多い。たとえば、もっとも分かりやすいのがヘルスケア・セクターだ。高齢者に多い手術に、人工股関節置換がある。これには整形外科用インプラントが必要になるから、アナリストはジマー・ホールディングズ(ZMH)を薦めている。

退職後には時間がたっぷりある。旅行の機会が増えることだろう。旅先にラスベガスが選ばれることが多い、と専門家たちは予想しているから、ホテルとカジノを経営するハラス・エンターテイメント(HET)が狙いのようだ。

もう一つ、シーゲル氏に反対するロビン・ブルックス氏(国際通貨基金)の意見を記しておこう。「高齢化社会が株安につながる、と直ぐ結論するのは間違いです。アメリカで、90%の株を保有しているのは、全人口の10%に満たない極めて裕福な人たちです。401Kの株が売られて、株が大きく下がる、という考えがありますが、平均的なベビーブーマーの持つ株は4万4000ドルほど(500万円)です。9割の株を保有する、超リッチな人々は、老後のために持ち株を売る必要などありません。」

株価は、欲と恐怖によって動かされる。よく聞く言葉だが、トレード心理の研究で有名なブレット・スティーンバーガー氏は、もう一つトレーダーに大きな影響を与える要素を指摘している。「欲と恐怖より危険な感情、それは自信過剰です。自信過剰になったトレーダーは、必要以上に大きなリスクを平気でおかし、自ら損を招いているのです。」

エレン・ランガー氏のリサーチによると、成功という経験は、たとえそれがコインの裏表を当てるようなものであっても、私たちに自信を与えるという。本当に自分の技術によって良い結果を出しているのなら問題は無いのだが、単なる偶然や運で勝ちが続く時が怖い。ギャンブルの場合、全くの素人が3回連続でブラックジャックに遭遇することがある。単に幸運に恵まれただけにすぎないのだが、本人は自分の技術が勝ちを呼び込んだ、と勘違いしてしまう。これが自信過剰を生み、無謀な賭けにつながるわけだ。スティーンバーガー氏の話に戻ろう。

「トレーダーとギャンブラーの行動に違いはあるのでしょうか?数々の実験は、両者に違いが無いことを証明しています。テレンス・オディーン氏は、こんな結果を発表しています。トレーダーに自信があればあるほどトレード回数が頻繁になり、損額は一般のトレーダーより大きくなります。もちろん、頻繁な売買は手数料の払いすぎにもなります。ロンドン・ビジネス・スクールからのレポートも、オディーン氏の結論と一致しています。トレーダーが自信を持てば持つほど取引回数が増え、そして損額も自信に比例して増大していくのです。

自信を得るためには、正しいマーケット分析と適切な判断が不可欠になります。こんなデータがあります。これは、インベスターズ・インテリジェンス社からですが、株式市場はほとんどの場合、はっきりしたトレンドが無く、レンジ内で推移しています。しかし、7割以上のトレーダーたちは、マーケットの動きには関係なく、「強気」、「弱気」といった方向性を決めつけて常にマーケットを見ています。

この「強気」と「弱気」について、ハーシ・シェフリン氏はこう語っています。「トレーダーが最も強気になるのは、マーケットが天井に達した時だ。トレード経験が浅いほど、天井で積極的に買う傾向がある。」同じ現象は、オプション市場にも観察できます。マーケットが下がると思ったらプットを買い、上がると思うならコールを買います。5日連続でマーケットが下落すると、プット買いが極端に増えます。しかし、これは完全に間違いであり、5日めの下げではコール買いが儲かる、という統計があります。

自信を持つことは大切ですが、自信過剰はトレードに悪影響です。良いトレード方法を思いついた時は、先ずその成功率を調べてください。過去のデータを使って、バックテストをするのです。実績の裏づけがある方法だけでトレードすることが肝心です。」

米国株式市場クイズ

アメリカは本格的なベアマーケットに入る可能性がある、と警告するアナリストが増えている。そこで、ベアマーケットをテーマに、早速いくつか質問しよう。(正解は一番下を参照)

1、米国株式市場は、過去100年間、どんな頻度でベアマーケットが訪れたでしょうか?

A、3.3年に一度
B、6.6年に一度
C、9.9年に一度

2、テクノロジーの著しい発達、それに国民の暮らしが豊かになった今日、1960年以来ベアマーケットが訪れる頻度が減っている。

A、たしかに減っている。
B、逆に頻度は上がっている。

3、最も長かったブルマーケットはどちら?

A、1929年の大暴落が起きる直前のブルマーケット
B、2000年のインターネット株崩壊直前のブルマーケット

4、90年代のブルマーケットで投資していたほとんどの人は、ベアマーケットの経験が無い。

A、そのとおり
B、間違っている

5、ブルマーケットの上昇が大きければ大きいほど、次のベアマーケットでの下げは大きなものになる。

A、そのとおり
B、間違っている

6、1966年のブルマーケットの頂点で優良株を買い、損切らずに持ち続けたなら、元の値段に戻るまで何年かかったでしょうか?

A、6年
B、12年
C、24年
D、30年

7、1966年、ダウ指数は初めて1000ドルを突破しましたが、結局そこが天井となってベアマーケットに入りました。次にダウが1000ドルに復帰して、その上に安定するには何年かかったでしょうか?

A、4年
B、17年
C、30年

8、1929年から1932年のベアマーケットで、ダウ指数はどのくらい下げたでしょうか?

A、30%
B、60%
C、70%
D、89%

9、株の下げ速度は上げ速度より早い。

A、そのとおり
B、間違っている

正解

1、A。ベアマーケットは3.3年に一度の割合で訪れている。

2、B。頻度は逆に上がっている。過去10回のベアマーケットは2.4年に一度の割合で起きている。

3、B。1982年から2000年まで続いた上げ相場は、歴史上一番長い。

4、A。90年代、熱狂的なインターネット相場に参加した大半の投資者には、下げ相場の経験が無い。

5、A。2000年のインターネットバブル崩壊で分かるように、ブルマーケットが強烈なほど、次にやって来るベアマーケットも厳しくなる。

6、D。元に戻るまで30年かかった。

7、B。1000ドル台に復帰して落ち着くまでには、17年間を要した。

8、D。ダウ指数は386.10から40.60まで下げた。

9、A。たとえば1989年、ダウ指数は14カ月かかって610ポイント上げたが、たった6カ月で、その上昇幅を失った。

米国不動産は暴落する?

DRホートン、Pulteホームズ、レンナー、KBホームズ、Tollブラザーズ、といえば主な住宅建築銘柄だが、去年の夏から30%から50%の大幅下落だ。AGエドワーズのアナリストは、こんなメモを顧客に送った。「住宅市場のソフトランディングシナリオは、もはや無効です。」米国住宅市場は、暴落の運命にあるのだろうか?

ビジネスウィーク誌の報道によれば、6月13日、ハーバード大学は米国不動産に関する楽観的なレポートを発表した。さっそく要点を見てみよう。

楽観的といっても、上昇する不動産ローンの金利とエネルギー価格が悪影響になり、ハーバード大学の研究員たちも、住宅市場の冷えこみを予測している。しかし、健全な雇用状況や移民による人口の増加は、更に住宅需要を伸ばす結果になるから、あるていど住宅市場の冷えこみを抑えることができる。

研究員の一人、レイチェル・ドゥルー氏はこう語っている。「パニックする必要は全くありません。たしかにアメリカの住宅市場は下向きになりますが、急激な後退を招くことなくソフトランディングになるはずです。住宅価格の大暴落を予想するアナリストもいますが、それは極論です。たとえバブルが弾けても、空気はゆっくりとしたペースで抜けていきますから、暴落はありえません。

1980年代のテキサス、そして1990年代にカリフォルニアで大きな住宅価格の下落がありましたが、これは住宅マーケットが熱くなり過ぎて起きたわけではありません。一番の原因は、急ピッチな住宅建築です。新築住宅数が極端に増え、市場の需給関係が完全に崩れてしまいました。また、80年代にはオイル産業の不振でテキサスは失業問題が深刻になり、同様に90年代のカリフォルニアも、軍事産業の低迷で多くの失業者が出ました。」

楽観的なハーバードの見方に同意する人でも、住宅市場は冷え込むわけだから、ここで積極的に不動産投資をすることはありえない。しかし、「待った!」の声が聞こえてくる。「不動産悲観論が主流の今日ですが、まだ良いチャンスが残っています」、とロバート・キヨサキ氏(「金持ち父さん、貧乏父さん」の著者)は言う。少し話を聞いてみよう。

「誰でも不動産で儲けられる時代が終わりました。これからは、プロだけが生き残れるマーケットです。ブルマーケットでは、物件の値段が面白いように上がりましたから、売り手は簡単に予想以上の利益を得ることができました。現在の状況では、前のように素早く物件が売れませんから、売り手に焦りが見え始めています。買い手は、物件の正当評価額などを詳しく調べることで、かなり有利な条件で住宅を購入できることでしょう。とにかく今は、慎重に情報を集めて、じっくりと売り手と交渉する、プロの態度が必要です。」

ハーバード大学のレポートは、2005年までの資料をもとに作成された。だから、今年に入ってからの住宅市場冷えこみは含まれていない。レイチェル・ドゥルー氏は、2006年度第1四半期の住宅価格下落は、予想以上に大きかったと言う。しかし、氏のソフトランディングのシナリオは変わらない。

なぜ低位株を狙うのか?

40ドルの株を100株買うと4000ドル、そして4ドルの株を1000株買うと4000ドルの資金が要る。もちろん手数料も払わなくてはいけないが、あなたならどちらを選ぶだろうか?「現在、アメリカに上場されている株の平均価格は、約26ドルです。投資者によっては、一株26ドルと聞いただけで、買いの対象から外してしまいます。なぜなら、5ドルから10ドルで取引されている株が魅力的に感じるからです」、と言うのはドーフマン・インベストメントのジョン・ドーフマン氏だ。

心理的なことかもしれないが、一般的に投資者たちは、5ドルの株の方が200ドルの株より将来性があると思っている。200ドルが二倍になるよるも、5ドルが10ドルになる方が、ずっと楽に見えるからだ。それに、200ドルの株を100株買うには2万ドルが必要だが、それだけの資金があれば、5ドルの株を4000株も買うことができる。同じ投資金額でも、4000株の方がリッチな気分になれる。ドーフマン氏の話に戻ろう。

「ミューチュアルファンドやヘッジファンドが、なぜ10ドル以下の銘柄を避けるかを説明しましょう。コンピュータテクノロジーが進み、売買がだいぶ自動化されてきましたが、多くのミューチュアルファンドは、いまだに一株あたり1セントから6セントの手数料を払っています。500株、600株といった数字なら問題ありませんが、ファンドの売買する金額は膨大です。ですから、低位株などに手を出すと手数料が極めて割高になってしまうのです。

個人投資家には、ファンドのような手数料のハンディキャップがありません。オンラインでトレードすれば、10ドル前後の手数料で売買ができるはずです。

ミューチュアルファンドや、機関投資家が低位株を敬遠する現状ですから、とうぜんアナリストたちも10ドル以下の株を追うことはありません。更に付け加えれば、安い株は、ウォールストリートで軽視されています。ですから、低位株には、意外な掘り出し物が隠れている可能性が大きいとも言えます。

2001年から始めたことですが、私は毎年5ドルから10ドルで取引されている、有望株リストを作成しています。2005年の6月16日から、2006年6月9日までの成績は、配当金も含めて+10%でした。同時期のS&P500指数は、+5.4%ほどです。

特に目立った伸びを見せたのは、アリバ(ARBA)とハーベスト・ナチュラル・リソーシズ(HNR)の二銘柄で、それぞれ30%以上の成長です。ダメだったのは、アースリンク(ELNK)がマイナス14%、そしてスチュワート・エンタープライズ(STEI)のマイナス5.6%です。

過去3年間の低位株リストの成績は+38%、そしてS&P500指数が20%増です。それでは、今年のリストから二つ紹介しましょう。

ジャーナル・レジスター(JRC)
27の新聞社と、362の出版社を経営しています。11年間連続で利益を上げ、2005年度の収益はやや下がりましたが、それでも株主資本利益率は22%を記録しました。

アースリンク(ELNK)
去年のマイナス株ですが、まだチャンスがあると思います。アースリンクは、アトランタに本拠地を置く、全米第4位のインターネット・プロバイダです。1994年から2003年まで赤字が続きましたが、2004年に黒字になり、2005年は1億4300万ドルの収益がありました。株価収益率はたったの9ですから、正に割安株です。」

次の買収ターゲット?

最近の株式市場は、まるでパーティーのようです、とMLFインベストメントのマット・フェシュバック氏は言う。ひどい下げ方だったから、空売りで大儲けしたのだろうか?「狙っていた銘柄が4割も下げたのです。さっそく買いました。今週も、割安株買いで忙しくなりそうです。」

割安株?下げ相場だから、叩かれた株など山ほどある。いったい何を基準に、割安株の判定をするのだろうか?デイリー・アドバンテージの、ジョン・マークマン氏はこんなヒントをあげている。「会社も個人も同じことですが、現在のように金利上昇が続く環境で、苦しい立場に陥るのは、多額な借金がある人たちです。下げ相場だけが要因となって、ほとんど負債の無い会社の株が売られるなら、これは割引価格で買うチャンスです。」

8億ドルの資金を運用するトム・カーン氏は、マークマン氏の言う投資アイディアを実践する一人だ。「バランスシートに注意を払うことが大切です。借金が無く、大量な現金を保有する企業は、今日のように短期金利が上がっても、経営状態が悪化することはありません。

たとえば、ホロジック(HOLX)という会社がありますが、株価は月曜だけで7.5%も下げました。負債の無い、高利益を上げている企業です。マサチューセッツ州に本拠地があり、画像診断システム、ヘルスケアが専門です。中核になる製品は乳癌検診に使われる、デジタル・マンモグラフィになります。また、医療診断用のソフトウェアを開発するR2テクノロジーの買収も最近しています。

鮮明な三次元画像化されたデジタル・マンモグラフィを利用することで、癌専門医は手術の前に、より正確な診断をすることができます。現在、デジタル・マンモグラフィは指定された病院だけでテストされていますが、来年早々に政府からの許可が下りることでしょう。

ホロジックが魅力的なのは、デジタル・マンモグラフィだけではありません。歴史を振り返ってみると、優良な医療機器メーカーは大手企業に買収される傾向があります。ゼネラル・エレクトリックが既にデジタル・マンモグラフィに似た製品を販売していますが、ホロジック社ほど優れたものではありません。

独占禁止法があるので、ゼネラル・エレクトリックによる買収はありえませんが、シーメンス(SI)やフィリップス(PHG)による買収なら十分に考えられます。ホロジックは36ドルほどで取引されていますが、買収価格は最低でも75ドルから100ドルになると思います。」

もう一つの買い候補として、カーン氏はオーディオボックス(VOXX)をあげている。約12ドルの株だが、オーディオボックスは1株あたり8ドルに相当する現金を保有している。借金も無く、売上も来年は上向きそうとのことだ。

トレードで成功する秘訣は何だろうか?投資アドバイザーのジョン・カーター氏は、現在一線で活躍するトレーダーをインタビューした結果、次のことが分かった。

1、基本的にトレードはシンプルだが、決して簡単というわけではない。このゲームで生き残りたければ、希望的観測を捨てることだ。

2、トレードの間違いに気がついたら、ポジションを直ぐに処分すること。損切り値を待つ必要は無い。

3、極論すれば、トレードは退屈な作業だ。いつも興奮しているようなら、まだ利益はコンスタントに出ていないはずだ。

4、100%勝てる方法探しをやめた時、素人トレーダーはプロになれる。

5、あなたがトレードしているのは株ではなく他のトレーダーだ。投資心理を正確に把握しよう。

6、感情をコントロールしろ。大衆といっしょに浮かれていては決して勝てない。

7、頻繁にトレードするな。はやる気持ちをおさえて、優れたパターンだけを待て。

8、素早く大きく儲けてやろう、こんな意気込みは必ず大損を呼ぶ。

9、金に執着するな。ていねいな売買を繰り返せば、自然と利益は上がる。

10、プロの損切りは早い。遅い損切りは資金を減らすだけでなく、大きな精神的なダメージになる。

11、最悪な場合でも、一つの銘柄で口座資金の2%以上を失ってはいけない。

12、売買に迷いが生じるのは自信が無いからだ。しかし、迷いは必ず失敗につながるわけではない。しっかりと損切りを設定して、勇気を持ってトレードを執行しよう。

13、難平買いは自ら損を大きくするようなものだ。

14、チャートに向かって叫んでいる自分を発見したら、もう一度損切り価格を確認しよう。

15、自分の意見に固執するな。思惑が外れたら直ぐ持ち株を処分しろ。

16、トレードでの利益は、毎月口座から引き出せ。必要以上の資金は、無謀なトレードにつながる可能性がある。定期的に利益を取り出して、銀行口座へ移すことを勧める。

17、新人トレーダーは、一つの銘柄に大きく賭ける傾向がる。もちろん、あるていど自信があるから、こんな時ほど損切りが遅れ、口座に致命的な穴を開けてしまう。

18、損切りができずにモタモタしていると、運良く突然マーケットが反転し、損の出ていた株も一転反発することがある。一度こんな体験をすると、待てば必ず戻る、という恐ろしい考えに洗脳されてしまう。どんなことがあっても、ルールを守ることが重要だ。

19、損を他人の責任にしてはいけない。アナリストは買い推奨を発表するが、あなたに買うことを強制しなかったはずだ。自分で責任をとれない人に、トレードをする資格は無い。

20、このトレードでいくら儲かるかを考える前に、どのていどの損が出る可能性があるかを先ず考えろ。

ビジネスニュースほど愉快なものはない、とリバティー・トレーディング・グループのジェームズ・コルディエ氏は言う。「数カ月前になりますが、マスコミは不動産バブルを毎日のように報道していました。4月下旬、株式市場が天井を形成している時は、あとどこまでマーケットは上がるだろうか、といった予想番組が主流でした。しかし、金利不安が再度強くなり、株が大きく下げ始めると、今度は打って変わって大暴落が近い、と騒いでいます。」

最近不調なのは、株だけではない。商品市場も大幅な下げを展開している。さっそくテレビでは、世界経済が下向きになり、商品市場は本格的な長いベアマーケットに入る、と派手な報道だ。ニュースが当てにならない、と決めつけているわけではないが、コルディエ氏はこんなことを指摘している。

「最初に言っておきたいのは、ほとんどの場合、ジャーナリストたちによる、マーケットレポートに問題はありません。注意しないといけないのは、報道されるアナリストたちの意見です。同様なアナリストの見方が何度も報道されると、それがマーケットのテーマになってしまう傾向があります。

例えば今日のマーケットですが、今月も金利引き上げが予想され、テレビでは繰り返しアナリストの弱気論が放映されています。上げが急だっただけに、商品市場も下げていますから、これも株と同様に、弱気なアナリストばかり登場します。こんなニュースが中心ですから、見ている投資者も嫌でも弱気になってしまいます。これは誰でも知っていることですが、大衆と同じ行動をして儲かることはありません。今は売りではなく、短期的な買い場を探すべきではないでしょうか?

一般的な考え方は、上げ基調で買い、下げ基調での売りです。現在、株は下げ方向ですから、一般的な考え方を実行すると、持ち株を処分して一休み、または積極的な人は空売り、ということになります。この方法は、あまりにも短絡的です。下げ基調での空売りは悪くないですが、それよりもコールオプションを空売った方が効果的です。

もしマーケットが下がると思うなら、S&P500指数のコールオプションを空売るのです。株の空売りは下がった時のみ儲かりますが、コールオプションの空売りは、下げの時だけ儲かるのではなく、横ばいでも利益を上げることができます。たとえ思惑が外れて、マーケットが上昇しても、急激な上げでないかぎり、コールオプションの空売りでは儲けを出すことが可能です。」

証券会社によっては、個人投資者にコールオプションの空売りをさせてくれない。また、させてくれる会社でも、口座資金を多めに要求するところが目立つ。どちらにしても有効な投資方法だから、考慮する価値は十分にある。

個人投資家の率直な声

世界的に不安定な株式市況が続いている。専門家のアドバイスを聞くのも良いが、今日は実際にUSA TODAYに投稿された、個人投資者たちの声を紹介しよう。

「株式市場は、私たちのような小粒な投資者に、全くチャンスを与えてくれない。もし、あなたの年収が12万5000ドル(約1400万円)に満たないなら株式市場に参加する資格は無い。今日の株式市場は、資金を有り余るほどかかえる、ヘッジファンド・マネージャーたちの贅沢な遊び場だ。」 投稿者、ECSさん。

「株はあまりに割高だ。そろそろ暴落が来てもおかしくないと思う。」投稿者、Hi Ho Silverさん。

「マーケットが浮き沈みするのは当たり前のこと。少々下がったからといって、ここで慌てるのは間違いだと思う。それよりも長期的な視野にたって、バランスのとれたポートフォリオを作ることが大切だ。それからもう一つ、だれかバーナンキ議長を黙らせてくれないだろうか、、、、」投稿者、ウィリアムさん。

「今、老後用の資金を株に入れてはだめだ。」投稿者、エリックさん。

「たしかに難しいマーケットが続いているが、アメリカ経済は基本的に問題ないと思う。長期投資が私のスタイルだから、今までと変わりなく資金の60%を株に割り当てている。ワシントンの政治家たちが、しっかりした財政政策を打ち立てることができるなら、きっとマーケット状況は大きく改善するはずだ。」投稿者、KSさん。

「今こそ買いだ、そう叫んでいた人たちは、ここ二週間で大きな損を出したことでしょう。私は5月の第一週目に株を全て処分しましたから、口座にあるのは現金だけです。もっと下げてくれると良い買いチャンスになるのですが、、、」投稿者、ロイドさん。

「米国市場が不安定ですから、私は80%の資金を外国株に投資しました。」投稿者、Running On Emptyさん。

「投資のプロたちは、いったい何を考えているのでしょう?新しい材料が毎日あるわけではありません。それなのに予想はいつも外れです。」投稿者、PMさん。

「経済は不景気に陥ってしまえばいいのです。そうすればオイルの値段が下がります。」投稿者、KKさん。

「この大きな下げは誰かが演出したはずです。問題は誰なのかが分からないのです。」投稿者、SHSさん。

「賢い投資者は今買っているはずです。」投稿者、ベルゲイさん。

「今ほどプロのアドバイスが必要な時はありません。しかし、適切なアドバイスが見つかりません。」投稿者、スティーブさん。

「オイルが70ドルに上昇する理由などありません。どう考えても40ドルがいいところです。」投稿者、ALさん。

「発表される経済指数は矛盾だらけです。下げ続けるマーケットを見ていると、本当に怖くなってきます。早く下げ止まることを願うばかりです。」投稿者、迷えるアメリカ人さん。

ワールドカップはドイツ経済を救うことはできない、とコラムニストのマシュー・リン氏は言う。「多くのドイツ国民は、ワールドカップに大きな期待をよせていますが、スポーツ・イベントが一国の経済を復興させることはできません。熱狂的なファンが去った後、ドイツの人々は何も変わっていないことに気がつくことでしょう。」

ウォルト・ディズニーは、スポーツチャンネルESPNを通して、64試合中の52試合を生で放映する。アナリストの予想によれば、1億ドル以上のコマーシャル収益がディズニーに入るようだ。もしそれが実現なら、2002年のワールドカップ広告収益2500万ドルを大幅に上回ることになる。

広告収入が期待できるのはディズニーだけではない。ヤフーは、公式ワールドカップページを作成し、既にマクドナルドやプロクター・アンド・ギャンブルなどの大手企業が広告を出している。また、アマゾン・ドット・コムはグーグルに料金を払って、キーワードになる「ワールドカップ」を買った。だから、グーグルでワールドカップを検索すると、必ずアマゾンの名前が目につくことになる。さて、リン氏の話に戻ろう。

「たとえワールドカップが大成功に終わっても、ドイツ経済の現状は改善されません。11%の失業率、割高な人件費、政治的リーダーの不在、高齢化する社会、とにかく難問だらけです。(ドイツは国家予算の約40%を、社会保障や生活保護、そして国民年金に割り当てている。)

西ドイツが、ワールドカップで優勝したのは1954年のことでした。歴史家たちのコメントによれば、これは第二次世界大戦以来、ドイツが初めて世界の檜舞台に踊り出た華々しい瞬間です。国中で勝利を祝い、敗戦から立ち上がろうとしていた人々に、大きな希望と力を与えたことは言うまでもありません。

1974年、ドイツで初めて開催されたワールドカップで、ドイツは見事に優勝しています。これも1954年の時と同様に、ドイツ国民に自信をもたらせた、と言われています。

勝利は一時的に国民のプライドを高めますが、長期的経済トレンドを変えるだけのインパクトはありません。最近の標準で今日のドイツ経済を診断すると、決して悪くないという答えが得られます。専門家の意見によると、今年ドイツの国内総生産は1.8%の伸びになるようです。イギリスやアメリカから見ればガッカリな数値ですが、1.8%増はドイツにとって2000年以来最高の成長です。

競技場の準備はできました。世界の目がドイツに注がれます。皆さん、ゲームを楽しんでください。最後に、一つ付け加えておきましょう。ワールドカップでの優勝が本当に国家経済を豊かにするなら、ブラジルが世界で最も金持ちの国になっているはずです。」

事の始まりは、月曜の連銀議長バーナンキ発言だった。米国経済は減速が始まっているが、インフレも悪化しているというスタグフレーション論だ。今まではソフトランディングか、それともハードランディングかが議論されていたが、これで第三の見方が出てしまった。

「スタグフレーションには同意できません」、とジム・クレーマー氏(ザ・ストリート・ドット・コム)は言う。「現在マーケットでは、銀行株が買われています。ということは、ソフトランディングのシナリオです。スタグフレーションで上がるのは金だけですが、5月に730ドルの高値を記録した金は、今日630ドルまで下落しています。」

バーナンキ氏の見解が正しいかどうかは別として、頻繁に発表される連銀からの意見に、投資者たちは困惑している。「いい加減にしてほしいです!もう連銀関係者の意見は聞きたくありません」、と憤慨するのは投資戦略家のエド・ヤーデニ氏だ。開放的に情報を流す連銀の態度は良いのだが、問題は情報が矛盾している。

たとえば月曜のバーナンキ発言では、現行のインフレ率は非常に懸念すべきレベルに達していることが強調され、マーケット関係者は6月の金利引き上げは間違いない、と判断した。しかし先日の議会証言で、たとえインフレの危険があっても連銀は金利引き上げを一時停止する意向がある、とバーナンキ氏は述べている。こんな態度の変わりようだから、月曜ダウ指数は200ポイント近い大幅下落になった。

悲観的なムードに包まれるマーケットだが、もちろん全てがダメなわけではない。代替エネルギー、もっと具体的に言えばエタノール銘柄が強い。経済コラムニスト、ロバート・ウォルバーグ氏の話を聞いてみよう。

「原油が70ドル以上の今日、代替エネルギーが注目されています。特に人気を集めているのがエタノール銘柄です。今年に入ってから、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)は68%、そしてパシフィック・エタノール(PEIX)は137%の上昇です。エタノール銘柄に乗り遅れたからといって、まだ諦めることはありません。なぜなら、三つのエタノール銘柄のIPO(新規公開株)が控えているのです。

最も前評判の良いベラサンの初取引は、6月12日の週に予定されています。1730万株が発行され、公募価格は18ドルから20ドルが予想されています。初値は、公募価格を大幅に上回るかもしれませんが、ベラサンはアーチャー・ダニエルズ・ミッドランドに次ぐ、全米で第2位のエタノール生産会社です。新規株発行で得た資金は設備投資に使われ、2008年までに生産量を現在の年間2億3000万ガロンから、5億6000万ガロンに増やすことが計画されています。」

アベンタイン・リニューアブル・エネルギーとホークアイ・ホールディングズが残り二つのエタノール新規公開株だが、これらはベラサンほど魅力が無い、とウォルバーグ氏は言う。アベンタインは775万株が発行されるが、そのうちの140万株はインサイダーの持ち株だ。ほぼ全てのホークアイ経営陣は、ハートランド・ポーク(食品セクター)出身で、エタノール業界の経験が浅いようだ。

株価変動性の秘密

高いボラティリティが話題になっているが、その原因は何だろうか?株番組「マッド・マネー」の中で、ジム・クレーマー氏は、こんなことを語っている。

「株価格の変動性をボラティリティと呼びますが、最近のボラティリティは異常です。株価の変動率が大きく上がっていますから、マーケット経験の浅い投資者は、ただおびえるばかりです。高ボラティリティを恐れてはいけません。逆に、それを利用することが肝心です。

なぜ高ボラティリティが起きるのでしょうか?答えは需給関係のアンバランスです。買い手と売り手の力に大した差が無いバランスのとれた状態では、株価に大きな動きはありません。しかし、どちらかの力が一方的に強くなると需給関係が崩れ、高ボラティリティを引き起こします。

需給関係を崩す原因について、少し説明しましょう。大量な株を保有するブローカーは、本来ならゆっくりと持ち株を処分しましたが、最近そうすることが少なくなりました。時間をかけて少しずつ売るなら、株価に大きな変動はありませんが、今日のように一気に売られると、簡単に需給バランスが壊れてしまいます。なぜ一気に売る必要があるのでしょうか?金利が上がっていますから、信用買いが以前より割高になっています。 それに手数料も格安ですから、トレードコストをほとんど気にする必要がありません。

次に指摘したいのは、人気化する上場投信です。上場投信は、普通の株と同様に取引することができ、値動きも活発な物が増えてきました。例えば、半導体銘柄に投資する上場投信、Semiconductor HOLDRsが売られると、個別半導体銘柄も同様に売られます。ですから、何の悪いニュースも無いのに、あなたの持つ株が下がっているなら、それは上場投信が原因かもしれません。

三番目にあげたいのはヘッジファンドです。ブローカーが大きな売買を速いテンポですることは既に述べましたが、ヘッジファンドの売買は、それ以上に激しい速度です。ヘッジファンドは、単にマーケットの一大勢力ではなく、今日のマーケットをほんろうしています。」

現在のマーケット環境では、どんな投資方法が適しているのだろうか?ロブ・ハンナ氏(投資アドバイザー)の話を聞いてみよう。

「下げ方向を意識した投資姿勢が必要です。もしマーケットがラリーを展開するなら、空売りのチャンスだと思ってください。下げ基調の相場では、上げが長く続くことはありません。特に最近の株価変動率は高いですから、行きすぎた株を売るチャンスが何回か訪れることでしょう。

買いを実行するなら、極端に売られた銘柄を中心に選ぶべきです。弱いマーケットでは、ブレイクアウトに勢いがありません。空売りの買い戻しに焦点を合わせて、大きく叩かれた銘柄を狙ってください。また、買い手のエネルギーも不足していますから、利食いは早めにすることが肝心です。」

ビジネス2.0誌によれば、6000万人のアメリカ人が太りすぎだという。1980年、肥満者の数は2300万人だったから、約2.6倍になったわけだ。この勢いで肥満人口が増えていくと、2013年には8800万人のアメリカ人が太りすぎになる。

こんな話がある。数年前のことだが、ティム・バリー氏(55才)はボストンからサンフランシスコ行きの飛行機に乗った。氏の身長は183センチ、体重は165キロの肥満体だ。他にも氏に劣らぬ肥満者が数人いたが、皆あまりに太りすぎているため、シートベルトが短すぎて締めることができない。

普通なら、飛行機の中にはシートベルトを延長する器具がおかれているのだが、この日は肥満者が多すぎて器具が足りない。乗務員があちこち探し回って、皆そろって離陸することができたが、この恥ずかしい体験がビジネスになった。今日、バリー氏はオンラインでシートベルトの延長器具を一つ60ドルで販売している。これを持っていれば、いつでも心配無く飛行機に乗ることができるわけだ。器具は既に1万セット以上売れた、とバリー氏は言う。

肥満は低所得者に多いだろうか、それとも高額所得者に多いだろうか。アイオア大学の発表した統計を見てみよう。1974年、年間所得が2万5000ドル未満の人たちの22.5%が肥満だった。そして2002年、この数値は32.5%に上昇した。1974年、年間所得が6万ドル以上の人たちの9.7%が肥満カテゴリーに属し、2002年には26.8%に上がった。以前は、たしかに低所得者に肥満が顕著だったが、現在は高額所得者にも肥満が目だっている。

ダイエット産業は490億ドルに及ぶ巨大産業に成長したが、太った人全てがダイエットに挑戦するわけではない。贅肉が付き始めると、ウエストサイズは2センチ、5センチと大きくなっていく。肥満もある限度を超えると、通常のLやLLサイズでは間に合わなくなる。そこで、伸びているのがLLL以上のプラスサイズ需要だ。2000年、プラスサイズの女性衣料品の売上は200億ドルだったが、2005年には300億ドルを突破した。2000年、Mサイズの女性用衣料品の売上は780億ドルほどだったが、2005年、その数値は700億ドルを割った。

サイズが大きくなっているのは衣類だけではない。例えば、トヨタの四輪駆動車Rav4の新モデルは、肥満人口を考慮して、座席幅が旧モデルより3インチ(7.62センチ)ほど大きくなっている。ベッドの一番大きなサイズはキングだが、セレクト・コンフォート社は、キングを30%上回るグランド・キングサイズの発売を始めた。

総人口の三分の一が太りすぎのアメリカ、肥満体が主流になる日は意外と早くやって来るかもしれない。現に、ブランド商品のラルフ・ローレンやトミー・ヒルフィガーもプラス・サイズ衣料品に手を伸ばしている。

シートベルトの延長器具を販売する、上記したティム・バリー氏の言葉を付け加えておこう。「私には、体重を減らすことは無理だと思います。人間は、一定の体重を超えてしまうと、減量することがほぼ不可能になってしまうようです。」

初めての仕事

あなたが初めてした仕事は何でしたか?フォーブス誌は、そんな質問を有名人たちぶつけた。さっそく見てみよう。

マイケル・アイズナー氏(前ウォルト・ディズニー最高経営責任者)
「キャンプ場でのカウンセラーが、私が初めてした仕事です。16才の時でした。夏休み8週間の仕事でしたが、たしか100ドルの収入があったと思います。学んだことは、チームワークの重要性です。」

マデライン・オルブライト氏(国務長官 1997年ー2001年)
「高校2年と3年の時ですが、デンバーにあるジョセリンズというデパートで働きました。時給は1ドルだったと思います。女性下着売場を担当しましたが、難しいお客さんとの対応が良い勉強になりました。」

ドナルド・トランプ氏(不動産投資家)
「父親の後ろについて、あちこちの仕事現場に行きました。目的は空きビンや空き缶を集めることです。それらを業者の所へ持って行くと現金になるのですが、ほとんど金になりませんでした。家賃の集金をしたこともあります。これは危険な仕事でした。場合によっては、拳銃で脅かされることもありました。学んだことですか?空きビン集めは、家賃の集金よりずっと安全です。」

アラン・ダーショウィッツ氏(ハーバード大学法学部教授)
「14才の時、マンハッタンの食料品店で働きました。時給は覚えていませんが、1ドル以下だったはずです。肉の切り方を習うことができました。おかげで、私の七面鳥を切る腕は、誰よりも優れています。家庭が貧しかったですから、私はいつも働いていました。ですから、子どもの頃から私は、一度に複数の仕事をこなすことの重要性を理解していました。」

ジョージ・スタインブレナー氏(ニューヨーク・ヤンキース・オーナー)
「私はオハイオ州の小さな町で生まれました。父親が厳しかったので、家の鶏小屋で働かなければ小遣いを貰うことができませんでした。鶏肉や卵を近所の人たちに売りました。新鮮な鶏肉は人気がありましたが、鶏を殺すのは本当に嫌でした。きつい仕事をして金を稼ぐ充実感を体得しました。」

ジーン・シモンズ氏(ロックバンドKISS)
「新聞配達が初めてした仕事だったと思います。13才の時でした。収入は、1週間で37ドル50セントです。人に好かれることの大切さを学びました。新聞を滅多に読まない人でも、私のことが気に入ってくれると、新聞を買ってくれるのです。KISSなど世の中に必要でありません。しかしKISSの音楽が好きな人たちは、どんな曲でも買ってくれます。」

ジェフ・クーンズ氏(画家、彫刻家)
「キャンディー、贈り物用の包み紙、色々な物を家から家へと売り歩きました。9才の時でしたが、1日で25ドルくらいの売上がありました。対話の重要性を体得することができました。対話は芸術の一つのような気がします。」

今日の米国株式市場は、ソフトランディング派とハードランディング派の戦いだ、と「マッド・マネー」(株番組)でジム・クレーマー氏は強調した。はたしてアメリカ経済は、ハードランディング派の言うように不景気に落ち込むのだろうか、それともソフトランディング派の唱える、急激な景気後退を招くことのない安定成長だろうか?

高騰する商品市場が、大きなインフレ懸念になっていたが、ここ数週間で商品市場は大幅な下落となった。そのため、6月に金利引き上げは無いとの見方が高まり、ソフトランディングの支持者が増え始めた。もちろん、また商品市場の上昇がスタートすれば、ハードランディング派が優勢になるわけだ。

どちらにしても、事実は5月の下げで多くの投資者が被害を受けた。ダウ指数は1.7%の下げ、S&P500指数はマイナス3.1%、そしてナスダック指数は何と6.2%の下落だ。「ブルマーケット終焉のサインが見え始めています」、と言うのは投資アドバイザーのヒュー・ジョンソン氏だ。ハードランディング派を代表するような意見だが、氏は100%の確率でベアマーケットが訪れることを予測しているわけではない。もっと話を聞いてみよう。

「安定成長か、それとも不景気かを議論するのではなく、今は投資ポートフォリオを守ることが先決です。やや反発を見せている株式市場ですが、これは持ち株の一部を処分する良い機会です。もちろん、私は全ての人に売りを薦めているのではありません。もし、資金の7割以上が、まだ株に割り当てられているなら、6割程度まで下げる必要があります。

投資するセクターも気をつけて選ぶことが大切です。不安定なマーケット状態ですから、資金は食品、飲料、そして薬などの生活必需品にしぼることが肝心です。大型企業だけを選ぶことも重要です。きびしい経済状況では、小型企業の下げが大きくなりますから、大型優良企業だけを投資対象にしてください。」

ゴールドマン・サックスのロバート・ホーマッツ氏は、こんな見方をしている。「木がどんなに大きく成長しても、空に届くことはありません。しかし、木はアメリカよりも外国の方が大きく伸びる傾向があります。目先のことにこだわるのではなく、長期的に展望するなら、資金の25%は外国株に割り当てるべきです。特に、アメリカには大きな貿易赤字がありますから、外国株の投資は重要です。」

さて、クレーマー氏だが、ハードランディングとソフトランディングの両方に備えて、次の銘柄を薦めている。

ハードランディング用銘柄
Verizon(VZ)、Pepsi(PEP)、Altria(MO)、Kimberly Clark(KMB)、GlaxoSmithKline(GSK)

ソフトランディング用銘柄
Catapillar(CAT)、ConocoPhillips(COP)、Chesapeake Energy(CHK)、Nabors(NBR)、Jos. A Banks(JOSB)。

6月、日本は梅雨、アメリカは卒業式の季節だ。4年間の大学生活を終え、いよいよ社会人としての一歩が始まる。緊張する出勤初日だが、統計によれば約25%が一年以内に会社を辞めてしまう。期間を18カ月まで延ばせば、45%の新入社員が会社から消えている。付け加えれば、これと同様なことが転職についても言える。

なぜこんなに多くの人たちが辞めてしまうのだろうか?CNNニュースが報道した、マイロ・シンデル氏(人事アドバイザー)の意見を聞いてみよう。

「新入社員、そして転職してきた社員が長続きしない大きな原因は会社側にあります。本来なら入社直後、新入社員たちはオリエンテーションなどを通して、詳しい職務内容や向こう6カ月、そして1年の目標が明確に示されなくてはいけません。しかし、多くの会社はオリエンテーションが不十分なため、社員は何のために雇われたのかが全く分かりません。これでは仕事に打ち込むことは無理です。

オリエンテーションが満足なものではありませんから、新入社員は基本的な会社情報も身に付けることができません。会社は組織ですから、様々な部門があります。オリエンテーションでは、各部門の担当者から、それぞれの部門について詳しい説明がされる必要があります。こうすることで、新入社員は誰がどこで何をしているかが把握できますから、問題が起きた時など直ぐに適切な部門に問い合わせることができます。」

あなたは新しい職場で成功できるだろうか?マーカス・バッキングハム氏(職業カウンセラー)は、12の質問を検討することを勧める。

1、あなたは自分の明確な職務内容が分かっているだろうか?
2、職務を遂行するために、会社側から適切な援助があるだろうか?
3、現在の職務で、あなたは自分の才能を正しく使うことができるだろうか?
4、最近7日間で、あなたは上司から称賛されたことがあっただろうか?
5、同僚や上司は、あなたを同等の人間として敬意を持って接しているだろうか?
6、苦境の時、励ましてくれる上司や同僚がいるだろうか?
7、上司や同僚は、あなたの意見を無視せず聞いてくれるだろうか?
8、会社のゴールを聞いて仕事に対する熱意が上がるだろうか?
9、同僚の仕事の態度はどうだろうか?情熱を持って働いているだろうか?
10、あなたは真の友人が会社にいるだろうか?
11、上司は、過去6カ月間のあなたの仕事を、どう評価しているか個人的に話してくれただろうか?
12、職場での経験は、あなたの人生を豊かにしているだろうか?

「平均、あるいはそれ以上の給料があることが前提になりますが、12の質問のほとんどに肯定的な回答ができるなら、あなたは現在の仕事に満足しているはずです。多くの人たちが誤解していますが、高給料だけでは職場で長続きしません」、とバッキングハム氏は言う。

既に伝説的S&P500トレーダーとなったルイス・ボルセリノ氏に、ある新人トレーダーが、こんな質問をした。「喧騒とする立会場では、どんな売買方法を実際に使っていたのですか?」オフィスや自宅なら、チャートを分析しながらトレードすることができる。しかし、トレーダーで溢れる立会場では、一々チャートを見ることができない。

「取引ピットでは、勢いに乗った売買が頻繁に行われます。だからと言って、順張りばかりが行われているわけではありません。私自身いつも注意していることは、現在の多数意見と少数意見を冷静に把握することです。極端な言い方をすれば、皆が空売りなら、あなたは反対に買う勇気を持たなければいけません。」逆張りの重要性を説くボルセリノ氏だが、氏には守り続けている10のルールがある。さっそく紹介しよう。

1、金を目的にするな。
儲けることばかりに気を取られ過ぎて、ほとんどのトレーダーには、綿密なトレード計画が無い。先ずチャートを分析して、はっきりとした売買ポイントを設定する。とうぜん利益目標や、損切りの位置もあらかじめ決めておかなければならない。きちんとしたトレード計画無しで、利益を上げるのは不可能だ。

2、感情をコントロールしろ。
どんなに優れたテクニカル分析をしても、実際のトレードで感情に支配されたのでは、せっかくの分析も台無しだ。感情をコントロールできなくては、トレードでの成功は望めない。

3、自分の性格に合ったトレード方法を選べ。
どんなに素晴らしい手法でも、自分の性格に合わなければ使いものにならない。ポジションがあると心配で眠れない人なら、デイトレードに徹するべきだ。

4、うぬぼれるな。
少し成功が続くと、トレーダーは自信過剰になってしまう。その結果、売買はずさんになりつならない失敗を繰り返すことになる。自信を持つのは良い。しかし、うにぼれは破綻への近道だ。

5、トレードに祈りは通用しない。
思惑が外れると、「神様、助けてください!」と祈りが飛び出てしまうものだが、頼れるのは適切なテクニカル分析だけだ。

6、損切りは素早く。
あらかじめ決めておいた損切り価格に達したら、迷わずポジションを処分すること。元の値段に戻るだろう、などといった安易な考えに支配されてはいけない。

7、毎日トレードする必要は無い。
トレーダーだからといって、毎日売買する必要は無い。厳選して、リスクの低いトレードを実行することが大切だ。

8、負けトレードを気にし過ぎるな。
トレードに負けは付き物だ。失敗した時は、必ずその原因をつきとめよう。

9、三連敗?
三回連続で負けたら、その日のトレードはそこで打ち切れ。とにかく、そんな時は、頭を冷やすことが先決だ。

10、ルールを守れ。
ルールを違反しても儲かることがある。だからといって、いい加減なトレードを続けていると必ず大きな穴を開けることになる。

ニュース利用の注意点

同じニュースなのに、なぜマーケットは違った反応を示すのだろうか?オイル価格上昇で、ダウ指数が大きく下げるかと思えば、時によっては原油の上げは無視されて、ダウ指数がラリーを展開することがある。テロ事件ニュースも同様だ。米軍トラックの破壊ニュースでマーケットが下げることもあれば、爆破事件がマーケットに全く影響しない日もある。

「多くの投資者は、適切にニュースを解釈することができません」、と語るのはマキシム・グループのバリー・リットホルツ氏だ。「ニュースで肝心なのはデータですが、投資者はヘッドラインばかりに注意を払ってしまいます。また、アナリストなどの意見を重要な情報だとカン違いしている人もいますから、どうしても投資判断が狂ってしまいます。」

それでは、どうしたらニュースを正しく活用することができるだろうか。リットホルツ氏の話を続けよう。「ニュースに関する、三つの問題点を頭に入れてほしいと思います。先ず、ニュースは決して新しい情報ではありません。当たり前だ、と言われるかもしれませんが、ニュースは過去の出来事をレポーターが調査して報道するものです。

過去の出来事は、たしかに興味深いですが、投資は将来を見通して行うものです。予想以上の収益、新製品発表などのニュースをよく耳にしますが、ほとんどの場合、株価は既に好材料を織り込み済みです。ですから、私はマーケット開始前にニュースを読まないことにしています。株価に反映済みの古い材料で、間違った投資判断を下したくないからです。ウォールストリートジャーナルを読むのは、帰りの列車内だけで十分です。

次に指摘したいのは、私たちが実際に使えるニュースが報道されることは滅多にありません。CNBCやCNNのニュースを聞いていると、まるで全てが重要に思えてしまいますが、今日のニュースは娯楽的要素が強いので注意が必要です。有益な情報が流されないわけではありませんが、直ぐ投資に役立つ物を期待するのは無理です。

三番目に挙げたいのは、ニュースもビジネスだ、という事実です。視聴者、購読者を獲得するには、大衆受けするニュースを中心に報道する必要があります。ですから、考えられないようなタイミングで信じられないニュースが飛び出します。最も顕著な例は、バブル崩壊直前にアトランティック誌が発表した、ダウ36000ドルの超強気論です。マスコミは大衆と同様に、天井で強気なり底で弱気になります。極論すれば、ニュースは逆指標として利用するべきです。」

もう一つ、リットホルツ氏はこんなことを付け加えている。「どんなにインパクトのあるニュースでも、簡単にマーケットのトレンドを変えることはできません。古い例ですが、日本軍による真珠湾攻撃で、たしかにマーケットは大きな下げを記録しましたが、これはダウントレンドという状況で起きた下げですから、上げ基調が下げ基調に転換したわけではありません。ケネディー大統領の暗殺も下げにつながりましたが、これはアップトレンド上のマーケットで起きた事件ですから、良い押し目買いの機会をつくる結果となりました。」

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