January 2007 のトップ・ストーリー一覧

ロサンゼルスタイムズの報道によると、ウォールストリートで、ボクシングの人気が高まっている。観戦するのではなく、実際のボクシング・ジム通いだ。

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(上はジムで一汗流すマイケル・ムルロイ氏)

トリニティー・ボクシング・クラブはマンハッタンの南端部にある。金融街の高級スポーツクラブではないから、とうぜん最新のトレッドミル、ハイテクシステムを導入したウェイトトレーニングなどの設備は無い。あるのは二つのリング、十分な数のサンドバッグにパンチングボール、そしてバーベルの代わりに用意されたビール樽だ。

ニューヨーク証券取引所のトレーダー、マイケル・ムルロイ氏は、「ボクシングはストレスの解消に最高です」、と言う。氏といっしょにトリニティー・ボクシング・クラブにやって来たフランク・ランダゾ氏(オプション・ブローカー)は、ボクシングが精神面に与える影響を強調する。「太った同僚たちには気迫が感じられません。彼らを圧倒することなど簡単です。」

「私のジムでトレーニングをするウォールストリートの人たちは、いくつかの共通点があります。チャレンジ精神が旺盛であることは言うまでもありませんが、彼らはハイローラーであり、常にスリルを求めます。とにかく、彼らは競争が好きなのです。こぶしを武器に優劣を争うボクシングは、そんな彼らの性分にピッタリと合うのではないでしょうか」、とトリニティー・ボクシング・クラブのオーナー、マーチン・スノー氏は語っている。

去年、スノー氏は、カリフォルニア州スタジオ・シティーでもボクシングキャンプを開催した。ウォールストリートのブローカーには、東海岸と西海岸の両方でビジネスを展開する人たちが多いためだ。

トレーダーのムルロイ氏が指摘するように、ボクシングはストレス解消に大きく役立つ。特に、コンピュータを使ったトレードが益々増える今日、毎年トレーダーの数は減る一方だから尚更だ。「コンピュータの導入が急ピッチに進んでいますから、とうぜんトレーダーたちはイライラしています。こんな気分を吹き飛ばすには、ボクシングが最適です。もしトレーダーからボクシングが取り上げられるような事態が起きれば、証券取引所は毎日大乱闘になるでしょう」、と冗談まじりにトム・ボーべ氏(ニューヨーク証券取引所のトレーダー)は言う。

「ホワイト・カラー・ボクシング」の著者、ジョン・オーデン氏も、ジムに通う一人だ。「トレーダーにたまるストレスは、並大抵なものではありません。私もスキーなどに行って、何度もリラックスしようとしましたが、ダメなのです。たしかに美しい山々が見えてはいるのですが、トレードのことが頭から離れません。しかし、ボクシングは違います。リングで戦っている時は、100%相手の動きに集中しなければいけません。完全にトレードのことを忘れることができるのです。」皆さんも、ボクシングに挑戦してみてはいかがだろうか?

テロとガソリン

2月1日、テラー・フリー・オイル、というガソリンスタンドが、ネブラスカ州オマハに開店する。

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上の写真を見る限り、やや殺風景ではあるが、何の変哲もない普通のガソリンスタンドだ。ここで、もう一度、店の名前に戻ろう。TERROR - FREE OILは、「テロの無いオイル」、と直訳できる。ようするに、ここで販売されるガソリンは、テロ活動を支持しない国から輸入されたオイルが原料になっている。

「タンクを満タンにする度に、私たちはアメリカの滅亡を望むテログループに、資金を送っていたのです。そんなことを無視して、相変わらず巨大オイル会社は、中東からオイルを買っています。こんな現状は変えなければいけません。そして、9月11日のような悲劇は、二度とあってはならないのです」、とTERROR - FREE OILのジョー・カウフマン氏(広報担当)は言う。

テラー・フリー・オイルは、どこからガソリンを手に入れるのだろうか?答えは、ユタ州ソルトレークシティーにある、シンクレア・オイル、という会社だ。シンクレアの扱うオイルのほとんどは、カナダとアメリカ国内産だ。「私たちの新ビジネスに、多くの人たちが興味を示しています。現に、ネブラスカ州だけでなく、全米の消費者から、毎日問い合わせが殺到しています」、とカウフマン氏は語る。

マサチューセッツ州アッシュランドで、ドライクリーニング店を経営するダグラス・シュミット氏は、こんな話をする。「営業用に、三台の車を使っていますが、エクソンからはガソリンを買いません。利用するガソリンスタンドは、ヘスだけに限っています。値段が安い、という理由もありますが、ヘスはアメリカ国内が専門です。これは、私にとって重要なことです。」

もちろん、誰もが疑問に思うことは、TERROR - FREE OILのガソリンは、本当に100%テロに関係無い、と言い切ることができるだろうか?シンクレア・オイルからTERROR - FREE OILはガソリンを買っているわけだが、シンクレア関係者の話によれば、シンクレアはニューヨーク商品取引所からもオイルを買っている。となれば、とうぜん中東のオイルが含まれている可能性がある。

「TERROR - FREE OILのガソリンが、100%完全にテロリストと無縁である、とは断言できません。しかし、私たちが成し遂げようとしていることは、巨大オイル会社にメッセージを送ることなのです。オイル業界の中で、私たちの存在など、極めて小さなものです。しかし私たちは、反テロのメッセージを全てのアメリカ国民に伝えたいと思います」、とカウフマン氏は強調している。

環境保護団体で活動する、デービッド・ウィレット氏はこんな意見だ。「もっとも良いテロ対策は、中東からのオイルを買わないことではなく、オイル依存をなくすことです。代替エネルギーの開発が大切です。」

1月31日も金利は据え置き

1月31日、連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる。短期金利は、過去4回の会議と同様に5.25%に据え置かれることが予想され、会議後の声明では、経済成長率減速よりもインフレ懸念を示す内容が中心になりそうだ。「数週間前、多くのアナリストは下向きになり始めた経済を理由に、3月か5月に金利引下げの可能性が高いことを主張していました。しかし、それは大きな読み間違いです」、と経済コラムニストのジョン・ベリー氏は言う。氏の話を要約しよう。

労働市場のひっ迫が続き、インフレ率は、わずかとは言うものの上昇方向だ。フェデラル・ファンズの先物を見てみると、少なくとも向こう6カ月間、金利引下げを予想する投資者はいない。

その一方、ゴールドマンサックスのエコノミストは、連銀は0.75ポイントの金利引下げを、今年の後半から実施する、という見方をまだ捨てていない。しかし、利下げが実現するためには、次の二条件が必要であることも記されている。

1、毎月の比農業部門新規雇用者数は50,000人以下に減少すること。
2、ある程度の失業率上昇が起きること。

マクロエコノミック・アドバイザーズLLCのレポート(1月19日)によれば、ゴールドマンサックスが言うような、新規雇用者数が減ることはありえない。現に、このレポートは連銀の金利据え置き政策は、今年の終わりまで継続されることが予測されている。引用しよう。「連銀の選べる道は、金利据え置き、または引き上げの二つしかない。ひっ迫した労働需給、弾力性のある米国経済を考慮すれば、金利引下げが選択肢の一つに含まれることは無理だ。」

最近の報道を振り返ってみると、現行の5.25%に満足している連銀関係者も多い。たとえば、スーザン・シュミット・ビーズ氏だ。1月18日、アリゾナ州での講演で、氏はこんなことを言っている。「全ての項目を検討すると、物価上昇速度が鈍っている状況を確認できる。」

サンフランシスコ連銀の、ジャネット・イェレン氏はこう語っている。「現在のインフレ率は、たしかに満足できるものではない。しかし、私が金利据え置きに賛成なことに、多くの人たちは驚いている。ここで強調しておきたいのは、私も今よりインフレ率が下がることを望んでいる。そして付け加えたいことは、現行の金利でそれが実現できる可能性が高いことだ。」

どちらにしても、連銀は気長に金利据え置き政策を続けることだろう。ビーズ氏、イェレン氏、そして他の連銀関係者が指摘するように、アメリカが悪性のインフレに陥る危険は無い。だからといって、利下げが実施できる環境でもない。繰り返しになるが、金利据え置き持久戦術は、まだまだ続きそうだ。

オイル銘柄は買い!?

2006年のピークから、原油価格は35%ほど下げている。はたして、オイル銘柄は買いだろうか?「たとえば、コノコ・フィリップス(COP)は10%、オクシデンタル(OXY)は8%、そしてエクソン・モービルは1.8%、1月に入ってから既に下げています」、とジム・ジューバック氏(MSNマネー)は言う。まだ買いのタイミングではないのだろうか?氏の意見をまとめてみよう。

今月、オイル価格は1バレル50ドルから、54ドル20セントまで上昇を見せたが、これは単なる一時的なラリーだ。十分な原油供給量、それに減速気味な米国経済を考えれば、このままオイルが上げ続けることは難しい。もう一つ、各オイル会社は、2006年度、記録的な一株利益を発表している。今年も去年と同様、あるいはそれ以上の成績を上げることは、ほとんど不可能に近い。

原油価格が40ドルを割ることはないと思う。現在を2010年と仮定して2007年を振り返ると、2007年は、オイル価格プルバックの年だ。一時的なラリーは何度か起きることだろうが、それらは長期投資者によるものではなく、短期トレーダーたちが主役になった現象だ。今月のラリーは、短期トレーダーが演出したマーケットの好例だ。先ず、季節外れの暖かい冬でオイルが空売られる。そして、大寒波予報で今度は一斉に買いが入る。

企業の四半期収益を比較する場合、ウォールストリートのアナリストたちは、前年度の同時期を見る。既に述べたように、2006年度、オイル業界は膨大な利益を上げた。そのため、当然の結果として、収益下方修正発表が圧倒的に多くなる。具体的には、2007年度のエクソン・モービルの収益は2006年度を1.12%、シェブロンは4.26%、コノコ・フィリップスは6.89%、マラソンオイルは15.91%の下落が予想されている。もちろん、これらはオイル銘柄に悪材料だ。

十分な原油供給量を指摘したが、需要も下がらなければ、原油価格が更に大きく下落することはない。国際エネルギー機関は、2007年度、1日あたりの米国オイル需要量を16万バレル下方修正した。また、ドイツ銀行のアナリストによれば、歴史的に見ると、マーケット全体の株価収益率を100とすると、オイル株は80前後の数値をつけることが多い。今日の数字は70というから、収益減が既に予測されているだけに、まだオイル株は割安と言うことはできない。

オイル株を買うのは、たぶん6カ月から9カ月ほど先になるだろう。だから、北半球が夏の本格的なドライブ・シーズンが終わり、ガソリンの在庫量が減っている頃だ。

「飛行機の旅より嫌なものがあるでしょうか?」、と問いかけるのはピナクル・インベストメント・アドバイザーズのジョン・マークマン氏だ。「手荷物検査の長い列、みじめな機内食サービス、無愛想な乗務員、狭い座席、高い航空券、つまらない映画、隣に座る体臭のきつい太った客。正に悪夢です。」(大丈夫かな。太った人たちから、マークマン氏に抗議のメールが殺到しそうだ。)

とにかく、こんなことを言うからには、航空会社の空売りでも勧めたいのだろうか?話を続けよう。「航空会社は、長いことダメな投資対象の代名詞でした。しかし、過去6カ月を見てください。今日の株式市場で、航空会社は最も成績の良いセクターの一つです。好きなものに投資しろ、という言葉がウォールストリートにありますが、この際そんなことも言っていられません。

航空セクターが好調な理由は、8月以来、35%もクルード・オイル価格が下がっているからだ、と一般的に説明されています。たしかに、航空業界の出費を調べると、燃料費が一番大きな割合を占めていますから、原油価格大幅下落は収益に好影響となることでしょう。

アメリカン航空(AMR)の株価は、8月以来、65%の上昇です。パーセンテージだけを見ると、オイルの下落幅の約2倍です。最近6カ月間では、アメリカン航空とユナイテッド航空(UAUA)は、それぞれ約95%の上げです。言い換えれば、人気銘柄のグーグルやアップルの3倍に匹敵します。

昨年になりますが、ビリニ・アソシエーツの調査によれば、効率の良い投資をするには、向こう5年間でもっとも低い収益成長が見込まれるセクターの株を買うことです。現に、アメリカン航空は、その投資方法の好例になります。逆なのが、オンライン・オークションのeBay(EBAY)です。向こう5年間、毎年25%の収益成長が予想されていましたが、2006年、EBAYの株価は30%の下落です。

もう航空会社は上がり過ぎだ、と言う人たちもいますが、まだ買えます。たとえ、オイルが10ドルから15ドル上昇しても心配ありません。どれを買うかですが、先ずユナイテッド(UAUA)です。今週発表された決算は、やや予想を下回りましたが、収益見通しが明るくなっています。2007年度の一株利益は5ドル75セントが見込まれ、2006年度の90セントを大幅に上回ります。向こう1年間の目標株価は75ドルです。(現在44ドル90セントで取引されている )

変わったところでは、上場されて間もないAircastle(AYR)があります。旅客ジェット機、貨物用ジェット機をリースする会社ですが、純利益の100%を配当金という形で、株主に払うことを目標にしています。」
いよいよ来週、Windows Vistaの発売が始まる。延期されていただけに、待ちわびている人もいることだろうが、経済コラムニストのマイケル・ブラッシュ氏は、「店の前に徹夜で並ぶ人はいないでしょう。PS3とは違います」、と言う。しかし、Vistaは良い投資のチャンスになる、と氏は付け足すことも忘れない。マイクロソフトを買え、というのだろうか?ブラッシュ氏の話を聞いてみよう。

「難しい技術的な話は飛ばしましょう。Vistaは、株投資者にとって利益を上げる好機会です。ノレンバーガー・キャピタルのアナリストは、1990年以来、Vistaほど大きな影響をハードウェアに与えるオペレーティング・システムを見たことがない、と書いています。これが意味することは、多くの家庭や会社にあるコンピュータでは、Vistaを効果的に使えない、ということです。

注目できる銘柄が4つあります。先ず、プロセッサを製造するマイクロン・テクノロジー(MU)と Qimonda (QI)。グラフィクス・カード・メーカーのNvidia(NVDA)、それに皆さんもよくご存知のインテル(INTC)です。もう一つ、ヒューレット・パッカード(HPQ)のような、コンピュータ供給メーカーも狙えると思います。

なぜ、Vistaは画期的なのでしょうか?一言で言えば、三次元的視界です。Windows Aero、と呼ばれる新インターフェースがそれを可能にしているのですが、その結果、極めて鮮明なグラフィックを楽しむことができ、映像は普通のテレビとハイビジョンほどの違いがあります。

最近6カ月以内に新しいコンピュータを買った人なら、おそらく問題なく、Vistaにアップグレードできるはずです。アップグレードするためには、少なくとも2ギガバイトのDRAMが要ります。平均すると、今日市販されているコンピュータには、800メガバイトのDRAMがあります。これが、マイクロン・テクノロジー(MU)と Qimonda (QI)を狙える理由です。ノレンバーガー・キャピタルのモーゼスマン氏は、今年DRAM需要が106%増えることを予想しています。

エクセルのようなソフトに、高度なグラフィクス・カードは要りませんが、Vistaへのアップグレードが高度なグラフィクス・カードを必需品に変えます。恩恵を受けるのがNvidia(NVDA)です。モーゼスマン氏は、NVDAの目標株価を43ドル(現在33ドル)に設定しています。

インテル(INTC)も有望銘柄の一つなのですが、問題があります。インテルは、ライバル会社のアドバンスト・マイクロ・デバイシーズ(AMD)と価格戦争状態です。時期的に、冬は半導体セクターが低迷しますから、しばらくインテルは敬遠されそうです。」

天候と上場投信

季節外れの暖かい冬から、一気に厳しい冬になってしまった。カリフォルニア州は霜に襲われ、70%以上のオレンジが失われる可能性がある。このニュースで、3月限の冷凍オレンジジュースの先物は、先週の水曜だけで3%の上昇になった。天候不順を、うまく投資に利用することはできないだろうか?そんな質問に、ラジオの経済番組で解説者を務めるティム・ミドルトン氏が答えているので、要点を紹介しよう。

多くの人たちは、株やミューチュアルファンドに投資ができる口座を持っているが、先物用の口座を持っている人は少ない。だから、今回のようなニュースがあっても、先物商品市場に参加することは不可能だ。しかし、状況が変化し始めている。

約2週間ほど前になるが、PowerShares DB Agriculture Fund (DBA)という農産物を専門に投資する上場投信が、アメリカン証券取引所にデビューした。初取引は1月5日、24ドル93セントで幕を開け、終了は25ドル2セント、出来高は2万7800株という静かな一日だった。そして、寒波のニュースがヘッドラインになった12日、DBAは27ドルを突破して、出来高も34万1400株に増大した。週明けの16日も、マスコミは異常気象をトップに取り上げ、株価は瞬時28ドル15セントを記録して、出来高も約170万株に膨れ上がった。

DB Agriculture Fund (DBA)は農産物を専門に投資する、と記したが、内訳はトウモロコシ、小麦、大豆、そして砂糖に資金が同比率で配分される。既に、 iPath Dow Jones-AIG Commodity Index Total Return (DJP)のような商品を中心にした上場投信もあるが、これにはオイルなどのエネルギーも含まれ、農産物だけに限ったのはDBAが初めてだ。

農産物の中で、今日最もユニークな存在なのが、代替エネルギーとして注目されているエタノールの原料になるトウモロコシだ。37の州で提案されているエタノール生産が実施されることになると、2025年までに、エタノールがガソリン市場の25%を奪うことになる。更に、アース・ポリシー協会は、既に発表された農務省の推定をほぼ100%上回る、1億3900万トンのトウモロコシが来年エタノール用に使われることを予想している。

現在、トウモロコシは4ドル9セント(1ブッシェル当たり)で取引され、去年の平均価格、2ドル51セントを大きく超えた。JPモルガンのアナリストは、今年のトウモロコシの平均価格は4ドル3セントを予測しているから、食品会社は頭が痛い。結果的には、マクドナルドやコカコーラの収益に影響を与えることになるから、食品関連銘柄投資には注意が必要だ。

一人あたり2800ドル

アンドリュー・シップマン氏は、他の旅客と同様に、チェックインした手荷物が出てくるのを待っていた。しかし、デルタ航空は、氏のスーツケースを失くしてしまった。とうぜん弁償してもらうことになったが、デルタ航空は、スーツケースが使い古され、既に価値が下がっていることを理由に、全額弁償を拒んだ。「航空会社と交渉することが、こんなに面倒なことだとは、全く予期していませんでした」、と当時を振り返ってシップマン氏は言う。

ウォールストリートジャーナル紙によれば、2002年以来、航空会社が紛失した手荷物数が毎年増加している。2006年を見ると、150人に1人(アメリカ人旅行者に限る)の割合で荷物が失くなり、2005年度の数値を11%上回った。テロ対策の一環として、機内へ持ち込める手荷物数の制限だけでなく、経営に苦しむ航空会社の人員削減が、荷物紛失数の増加につながったようだ。去年、最も紛失数が多かったのはUSエアウェイズ、そしてデルタ航空、アメリカン航空の順番になる。

ほとんどの旅客は、航空会社との交渉が、いかに困難であるかを知らない。さっそく、空港で係員に苦情を言うことになるが、その場で弁償してくれることは無い。よくても、歯ブラシや石鹸などの洗面用具が支給される程度だ。(場合によっては、1日25ドルに換算して、4日分までの現金が払われることもある。)

アメリカの法律は、航空会社が弁償する金額は、最高で2800ドルまで、と限定している。一荷物2800ドルではなく、旅客一人当たり2800ドルだ。また、宝石、カメラ、現金なども損害賠償の対象にならないこともあるから注意が必要だ。

海外旅行になると、最高でも損害賠償は、モントリオール条約で定められている1500ドルまでだ。しかし、アルゼンチン、オーストラリア、バハマ、ボリビア、ホンジュラス、イスラエル、それにシンガポールの航空会社はモントリオール条約ではなくワルソー条約に従っている。これによると、スーツケース一つ当たりの重さが基準になり、1ポンド(453グラム)当たり最高で9ドル7セントまで支払われる。

ここで、アンドリュー・シップマン氏の話に戻ろう。デルタ航空が失くしたスーツケースは、5年ほど前、645ドルで購入した、と氏は言う。領収書を持っていなかったことと、使い古されていることを理由に、デルタは250ドルを弁償金額に決めた。スーツケースに入っていた衣類など全てを含めると、合計被害額は2258ドル相当だったようだが、最終的にシップマン氏が受け取ったのは1613ドルだった。「責任があるのは航空会社の方です。全く客を無視したビジネスです」、とシップマン氏は付け加えている。

去年の夏、クルード・オイル価格は80ドルに迫り、1バレル100ドルを予想するアナリストが多かった。テレビや新聞も、まるで100ドル突破は時間の問題、といった報道だったが、結果的にはそこが天井だった。先週金曜、2月限のクルード・オイルは51ドル99セントで終了している。

皆が100ドル論を公表する中、ピーター・グランディック氏は冷静な見方をしていた。7月1日付けのレポートで、氏はこう書いている。「秋頃から、クルード・オイルの大幅下落が始まるだろう。2007年の春までには、1バレル当たりの価格は60ドル以下になる可能性が高い。」

振り返ってみると、クルード・オイルはピークから20%ほど下げて2006年を終えている。今月に入ってからは、瞬時20カ月ぶりの安値、49ドル90セントを記録する場面もあった。

オイル100ドル論の信憑性が高かったのは、ハリケーンが大きな原因だ。しかし、2006年は打って変わって、2005年のようなハリケーン多発はなく、石油掘削機が被害を受けるようなことはなかった。もう一つ100ドル論を支えたのは、ピーク・オイルの説だ。石油は有限資源であり、これ以上の増産をすることはできない。だから、生産量のピークは既に去った、というわけだ。

2007年に入り、オイルは4%以上の下げを展開している。多数のアナリストは、季節外れの暖かい冬が原因だと言う。ここ12日間の取引を見ると、上げたのは4日しかない。さすがに強気なトレーダーも元気がなくなり、ここが底だ、と威勢良く叫ぶ声もほとんど聞こえなくなった。

40ドルの半ばを予想するアナリストが増え始めているが、グランディック氏はこう語っている。「一つ考えられることがあります。このオイルの大幅な下げで、多額な損を出しているヘッジファンドがあると思われます。損額や規模にもよりますが、そんなニュースが流れることになれば、オイルはもう一段下げることでしょう。もし、狼狽売りになれば、一気に売り物は出尽くしです。」グランディック氏は、今年の前半にオイルが底を打つことを予想し、今の段階で積極的な空売りは勧められないと言う。

更にグランディック氏はこう続ける。「これからは空売りではなく、オイル買いのタイミングを計ることが大切です。しかし、75ドルに戻ることは無いと思います。オイルがそこまで高騰するには、カトリーナに匹敵するハリケーン、イランでの軍事的事件、といった一大事が必要です。」

「今回のクルード・オイル下落は、サウジアラビアのバックアップ無しでは実現しません。狙いは、核兵器を武器に、中東制覇を企むイランのオイル利益を減らすことです。もしこの狙いが真実であるなら、他の産油国は来月からの減産を実施することは無いでしょう」、とギャリー・ドーシ氏(グローバル・マネー・トレンズ)は語っている。

(注:上記はダウ・ジョーンズ社、そしてCBSからの報道をまとめたものです。)

生活リズムとトレーダー

トレードで良い結果を出すためには、生活にリズムをつけることを忘れてはいけない、とジェフ・ホワイト氏(ザ・ストック・バンディット)は語る。リズムをつける、と言っても別に特別難しいことをするわけではない。お決まりの手順を作り上げればよいだけだ。もう少し、氏に説明してもらおう。

「私の一日は、いつも同じパターンで始まります。オフィスに入るのは、マーケットが開始する1時間半前です。先ずコンピュータを立ち上げて、主なニュースをチェックして寄付き前の雰囲気をつかみます。同時に、話題になっている銘柄の記事にも目を通します。その次は、私のルールに当てはまっている銘柄の最終的なリスト作りです。」

銘柄リストの作成に話が進んでいるが、ホワイト氏はどうやって銘柄を選んでいるのだろうか?「これは毎晩していることですが、マーケットに上場されている全ての銘柄を、株スクリーナーを使って調べます。インターネットには、様々な株スクリーナーがありますから、色々と試してみてください。

一度目のスクリーンでは、だいたい1600銘柄くらいが、候補銘柄として選び出されます。もちろん、こんなにあっても実際に使いものになりません。ここで重要なのは、それらの銘柄の終値です。具体的に言えば、高値引けしたのか、それとも安値引けしたのか、ということです。ソフトウェア利用して、高値近辺で引けたものと、安値近くで終了したものに分けます。これで、買い候補と売り候補リストができたわけです。

ここからが肝心です。買い候補と、売り候補リストに入っている銘柄の、日足チャートを一つずつ検討します。何も手動でしなくても、コンピュータにさせればよい、と言う人もいますが、私は本当にきれいなチャートパターンかを、自分の目で確かめたいのです。私のトレードスタイルは、継続パターンの利用が主になりますから、納得できるチャートだけを選びます。この作業が済むと、約50銘柄が残ります。

まだ終わりではありません。50の候補から、これは行ける!、という際立った銘柄を選ばないといけません。はたしてこの株は、思っている方向に直ぐ大きく動いてくれるでしょうか?一日の平均値幅は十分にあるでしょうか?特に、注意を払いたいのが出来高です。単に、トレードに適した出来高がある、ということを言っているのではありません。きれいなチャートパターンには、出来高の裏づけがあるでしょうか?今日のマーケットを動かしているのは、ヘッジファンドや、ミューチュアルファンドです。出来高に、機関投資家の足跡が見えない株は敬遠です。翌日、銘柄をもう一度点検して、最終的なリストの完成です。」

ハイテク株とカレンダー

しばらくハイテク株を避けた方が良い、とストリート・ドット・コムのジム・クレーマー氏は言う。「もちろん、個別銘柄によって違いはありますが、季節的にハイテク株は売りです。」そういえば、ウォールストリートには、「5月に売ってどこかへ行け(Sell in May and Go Away)」、という格言がある。現在1月だから、まだ5月ではない。知らない間に格言が修正されたのだろうか?クレーマー氏の話に戻ろう。

「ハイテク銘柄を効果的にトレードするには、カレンダーが必要です。私のヘッジファンドマネージャーとしての経験からも言えることですが、ウォールストリートのファンドマネージャーたちも、ハイテク株の季節性を利用しています。具体的には、1月中にハイテク株を処分して、買いは8月です。

一口にハイテク株と言っても、売りの対象になるのは半導体、ソフトウェア、それに携帯電話関連です。そろそろ個人ユーザー向けに、マイクロソフト(MSFT)からビスタが販売されるから、インテル(INTC)やアドバンスト・マイクロ・デバイシーズ(AMD)が行ける、と言う人たちがいます。しかし、それら大手二社は価格戦争状態ですから、買える銘柄ではありません。

以前なら、インテルと互角に価格競争できる企業はありませんでしたが、時代は変わりました。今となっては、会社規模を拡大させているAMDをインテルは無視できません。その他では、テキサス・インスツルメンツ(TXN)、クアルコム(QCOM)、そしてナショナル・セミコンダクタ(NSM)も避けるべきです。

新製品iPhone を発表したアップル(AAPL)、それからマーベル・テクノロジー(MRVL)は売る必要はありません。保持できる銘柄です。そして、MRVコミュニケーションズ(MRVC)も処分しなくて大丈夫です。スピンオフ(分離独立)の話もありますが、MRVCには、季節性という言葉が全くあてはまりません。

ソフトウェア・セクターは、どうしようもなくひどい状態です。特に悪いのがシマンテック(SYMC)です。先日、収益に関する警報がありましたが、あれほど徹底的にダメな発表は、いまだかつて聞いたことがありません。ソフトウェアで例外なのは、マイクロソフト(MSFT)です。パワフルな企業ですから、カレンダーを気にする必要はありません。

あともう三つ、季節に影響されないハイテク銘柄があります。シスコ(CSCO)、ヒューレット・パッカード(HPQ)、そしてグーグル(GOOG)です。もし、インターネット銘柄を一つだけ選ぶなら、グーグルしかありませんが、投機が好きな人には、レベル3コミュニケーションズ(LVLT)が面白そうです。」

フルタイムのスイングトレーダー、ブライアン・シャノン氏が初めて株を買ったのは13才の時だったという。「毎週金曜の夜は、ウォールストリート・ウィークという株番組を、父といっしょに見ることが習慣になっていました。と言っても、別に株に興味があったわけではありません。ただ、父と時間を過ごすことが、とても楽しかったのです。」13才で、いったいどんな株を買ったのだろうか?氏の話に戻ろう。

「買ったのは、ロージャックという銘柄です。車に特殊な装置をつけて、もし盗難にあった時、素早く取り戻すことがロージャックの主な業務内容です。貯めた金が500ドルあったので、さっそく1株5ドルの株を100株買いたい、と父に話しました。最終的に買った株数は1000株です。不足分は、父が出してくれましたが、儲けは全て私のもの、という好条件もつきました。そして6カ月後、ロージャックは2倍になりました。」

トレードを始めると、誰でも一度や二度は痛いめにあうものだ。シャノン氏には、どんな失敗談があるのだろうか?「証券会社を辞める計画をしていた頃ですから、1993年の1月だったと思います。銘柄はシャンタルという製薬会社で、シワに絶対的な効果がある、というクリームが大きな話題になっていました。浮動株数も極端に少なかったですから、とうぜん株価は急騰です。

実際に、シャンタルでは何回か利益を上げていましたから、この株には自信がありました。金曜日のことですが、持ち株には既に一株あたり2ドル以上の儲けがありました。月曜は特別な休みをもらっていたので、これで素晴らしい3連休になる、と浮かれ気分でした。

問題は、その月曜です。株価を確認するために同僚に電話を入れると、信じられない言葉が返って来ました。シャンタルは、金曜の値段より6ドルも下がっているのです。同僚の悪い冗談、と思いましたが声は真剣です。話をまとめると、週末に発売された株新聞の記事が原因でした。状況が状況でしたから、同僚に株を直ぐ処分してもらいました。口座に大きな穴が開きましたが、それから6カ月後、シャンタルは倒産です。」

その後も氏は失敗を重ねるが、こんな教訓を学んだという。「マーケットは、私の考えていることなどには、全く興味がありません。何時間もファンダメンタル分析をして、この株は行ける、と確かな自分なりの意見を持つのですが、そんな意見がマーケットを説得できるわけではありません。ですから自分の考えや、専門家のアイディアを無視して、値動きだけを見ることにしました。これが好転の起点です。」

新人トレーダーに、氏はこうアドバイスする。「マーケットだけに注意を払ってください。それから、底値での買いや、天井での空売りを考えないでください。トレンドに正しく従ったトレードをすること。それが第一です。」

就職するならここだ!給料、ボーナス、従業員福利制度、将来性などを考慮して、フォーチュン誌が100のトップ企業を発表した。はたして、ナンバー1はどの会社だろうか?正解は、カリフォルニア州マウンテンビュー市に本拠地を構えるグーグルだ。さっそく、職場としてのグーグルを覗いてみよう。

ほぼ100%の従業員が称賛するのは、無料の社員食堂だ。その数は全部で11におよび、単なる食堂ではなく、正確に言えばグルメ・カフェテリアだ。11もあれば十分過ぎるほどだが、それ以外にもソーダやフルーツなどだけを扱った、スナック・ルームも用意されている。

シリコンバレーでは、通勤に電車を利用する人がいるから、多くの会社には低料金の出迎えバスがある。しかし、グーグルの場合は無料だ。車で通勤する人のためにも、グーグルは無料のオイル交換を行っている。更に、ハイブリッド車を購入するなら5000ドルが支給される。無料バス、オイル交換のほかにも、無料美容室がある。

優良な人材確保は、どの企業にも重要なように、グーグルも優れた人材の獲得に大きな力を入れている。グーグルの従業員が会社側に人材を紹介して、もしその人が本当に採用されると、社員には紹介料として2000ドルが支払われる。赤ちゃんが生まれた社員には、1カ月間にわたって食事が自宅へ届けられる。

食べているだけでは太ってしまうが、もちろん職場には、一流スポーツクラブに負けない屋内体操場もある。マッサージのサービスもあるから、凝った首や肩をほぐすこともできる。コーポレート・コンシェルジュ(社員専用雑務排除係員)もいるから、レストランの予約や映画のチケット手配などもしてもらえる。

特に独身の男性は、洗濯物をためこんでしまうが、洗濯機と乾燥機が職場にあるから仕事中に洗濯を済ますことができる。小さな子どもがいる社員には、社内に保育所があるから嬉しい。また、社員専用の医師や看護婦もいるから、ちょっとしたことなら、わざわざ病院へ行く必要が無い。

グーグル社員の平均年収はどの程度だろうか?残念ながら、ボーナスや給料に関しては、会社側から公表されていない。それでは、平均年収だけを基準にして上位5社を見てみよう。
1位、ニクソン・ピーボディ: 18万1099ドル。(21731880円)
2位、ビングハム・マクカッチェン: 18万50ドル。(21606000円)
3位、アルストン・アンド・バード: 16万6300ドル。(19956000円)
4位、アドビシステムズ: 16万1127ドル。(19335240円)
5位、アーノルド・アンド・ポーター: 15万5929ドル。(18711480円)

さて、1位のニクソン・ピーボディだがフォーチュン誌100リストの中では第49位。最もランクの高いのは、アルストン・アンド・バードの19位だ。

大衆は正しい?

逆張りについて、少し考えてほしいことがある、と経済コラムニストのハーブ・グリーンバーグ氏は言う。「本当に、いつも大衆は間違っているのでしょうか?大衆の参加無しで、マーケットは動くでしょうか?違った言い方をすれば、今週のナンバー1ソングが存在するのは、大衆からの絶対的な支持があるからです。」たしかに、皆が熱狂的になって買ってくれなければ、株価は上がらない。売買タイミングに問題があることも事実だが、氏の話を続けよう。

「ウォールストリートには、こんな格言がります。「株価には逆らうな。」「トレンドは投資家の友だちだ。」とうぜん疑問になることは、トレンドや株価を作り上げるのは誰でしょうか?もう一つ、こんな言葉もあります。「大衆は正しくもなければ、間違ってもいない。大事なことは、大衆の行動は自己達成的予言のようなものだ。」

自己達成的予言?話が分かりにくくなったかもしれませんが、株価を法外に高い水準に押し上げたり、極端に安いレベルまで大衆は株を売り叩いてしまいますが、これはその時点で相場を支配する常識に基いた行動です。単独行動をするのは難しいことですが、グループの意見に従って首になる社員はいません。ライオンが襲うのは群れではありません。餌食になるのは、群れから外れた動物です。

大衆が好むもの、嫌うものに注意を払うことは大切です。それらを適切に把握しなくては、逆張りで成功することはできません。言い方を換えれば、エンロンの空売りや、2002年の底でのハイテク株買いが可能だったのは、正しく大衆の心理を読むことができたからです。

もちろん、大衆心理を正確に読むことは簡単ではありません。ですから、直感に頼るのではなく、実際のデータに基いて大衆心理を判断することが大切です。いくつか、私が利用しているデータを紹介しましょう。

1、プット/コール比: 投資家が弱気な時は、プットの買いが増え、逆に強気な時はコールの買いが増えます。(この比率を見るには、StockCharts.comが役にたつ。)単に一日一日の動きだけでなく、現在の位置を全体的な流れの中でつかむことが大切です。

2、ボラティリティ指数(VIX): この指数は、大衆が安心している時に低い数値を示す逆指数です。ですから、マーケットが下がると上昇します。

3、ARMS指数: 大衆が弱気になると、この指数は1以上の数値を示し、大衆が強気なら1以下に下がります。

また、ニューヨーク証券取引所に上場されている、全銘柄の何パーセントが40日移動平均線より上にあるかを確かめることも重要です。」

どうも話が合わない。先ず、全米不動産業協会(NAR)からの発表を見てほしい。

1、最終的な、2006年の中古住宅販売件数は650万件が予想され、2007年の売上数は642万件が予測される。

2、2006年の住宅着工件数は約181万件におよび、2007年は151万件が見込まれる。

3、2006年、中古住宅中間価格は1.1%の上昇が見られ、2007年は更に1.5%上がって、中古住宅中間価格は22万5300ドルになりそうだ。

4、2006年、新築住宅中間価格は+0.3%を記録した。今年は+3.0%が見込まれ、新築住宅中間価格は24万8900ドルに達しそうだ。

5、今年の中古住宅総売上数は、ほぼ去年と同様な数値が予想される。

どうだろうか?2番目の住宅着工件数を除けば、米国の住宅市場は決して悪くない。しかし、CNNの報道を読むと、全く違った様子が見える。報道の一部を紹介しよう。

ミネソタ州の読者からメールが届いた。「ここ数カ月だけで、住宅価格は少なくとも2万ドルの下げです。場所によっては、6万ドルも下げています。しかし、売れません。」コネチカット州の読者はこう書いている。「とにかく買い手が現れません。仕方ないので、住宅ローンの残高と同様な価格を提示しました。それでも売れません。」

なぜ現実と、全米不動産業協会からの発表には、こうも開きがあるのだろうか?「住宅市場は、地域によって事情が大きく異なります。不満の声は、一定の地域だけに限られ、全米に起きている現象ではありません。しかし、一番問題なのは、消費者が不動産ブームに慣れきってしまい、正常な住宅市場価格を忘れていることです」、と全米不動産業協会のジャネット・ブラントン氏は説明する。

ジョナサン・ミラー氏(マンハッタンで不動産鑑定会社を経営する)は、データそのものに問題があると言う。「たとえば住宅価格の算出方法ですが、実際に買い手が購入したときの価格ではなく、ローンの借り換えをした時の住宅鑑定価格も多数含まれています。これでは、正確な比較ができません。」

次に指摘したいのは、住宅建築業者からの発表だ。木曜に出たM/Iホームズのレポートによれば、12月31日に終了した四半期は、建築契約数が前年の同時期を61%下回った。また、新築住宅価格の下落が原因になり、買い契約取り消し数が前年の同時期を63%上回った。

メリテージ・ホームズも、同様な発表をしている。第4四半期の建築契約数は42%の減少になり、買い契約取り消し数は創業以来最高のレベルに達した。実際に売れた住宅数は1201件だが、これは前年同時期の2072件を大幅に下回った。

一部の消費者、そして住宅建築業者の声を聞く限り、米国住宅市場に回復の気配は見られない。しかし、全米不動産業協会のレポートからは、「最悪」という事態を読み取ることはできない。これでは状況が把握できないから、米抵当銀行協会の、ダグ・ダンカン氏の見方を記しておこう。「地域的には、今年、中間価格は10%から20%の下げになるでしょう。全米の住宅売上数は、7%から8%の減少になりそうです。」

ドルは長期的なダウントレンド

今年の相場は、どう展開すると思いますか?こんな質問に、銀行家のJPモルガン氏は、「たぶん上下するだろうね」、と決まって答えたという。同様な質問が、人気エコノミストのベン・スタイン氏にも向けられているが、さっそく返答を見てみよう。

「今年も、下げ基調の継続が予想されるのは米ドルです。一時的な下げ止まり、そして反発は当然おきると思いますが、長期的なダウントレンドに変わりはありません。ドル安要因の一つは、アメリカが抱える貿易赤字です。輸入が輸出を大きく上回っていますから、世界にはドルがあふれています。

全ての商品がそうであるように、供給量が多すぎると価格は下がります。米ドルは、貿易の準備通貨ですから、世界の国々は大量なドルを保有する必要があります。しかし、ドルが永久に主要準備通貨でなければいけない、という法律は存在しません。

最近見られることは、OPECなどの石油輸出国、そしてアジアの国々は準備通貨としてユーロを少しずつ保有し始めています。もちろん、これはドル売り材料です。ユーロ圏は、米国に対して大きな貿易黒字ですから、これもドル売りに結びつきます。他にも、タイ、台湾、韓国の通貨もドルに対して強くなっています。

ドルのダウントレンドを、どう利用することができるでしょうか?簡単、賢明な方法は、ヨーロッパとアジアの主要経済国の株価指数ファンド(インデックス・ファンド)に投資することです。例をあげれば、先ずiShares MSCI EAFE Index (EFA)があります。

EFAは、アメリカン証券取引所に上場されているインデックス・ファンドです。対象になるのはヨーロッパとアジアだけでなくオーストラリアも含まれています。このファンドは、これらの国々の通貨が、ドルに対して強くなると上がる仕組みになっています。

iShares MSCI Emerging Markets Index (EEM)も狙えるインデックス・ファンドです。EFAは多くの国々が対象となって幅が広いですが、EEMは新興市場だけに限られます。ですから、対象になるのは中国、インド、ブラジル、ロシア、タイ、フィリピン、メキシコなどです。実際の資金分散ですが、EFAに15%、新興市場に10%ほど割り当てて差し支えないと思います。

さて、米国株式市場に戻りましょう。過去12カ月の利益を基に計算すると、ダウ指数に属する30銘柄の平均株価収益率は20を少し超えます。歴史的に見れば、かなりの高水準にあたり、マーケットの下げを予測する人たちもいます。しかし、2007年、私の買い姿勢は変わりません。極端にひどい自然災害やテロ事件でも起きない限り、買いが今年の基本姿勢です。」

注目銘柄は無視!

ヘンリー・ブロジェット氏が、最近また話題になっている。2003年、証券業界から追放になった氏だが、90年代後半、インターネット株アナリストで、氏の右に出る者は一人もいなかった。先月の中頃から、テレビや雑誌では「2007年、注目の10銘柄」といった特集が多い。しかし、ブロジェット氏は「それらの銘柄を買ってはいけない」、と警告する。少し話を聞いてみよう。

「それらの株を買わない、と約束できるなら、注目10銘柄の記事を読むことは止めません。とにかく、注目銘柄を買っては駄目です。投資者たちは、なぜ個別銘柄を買うのでしょうか?一番の目的は、S&P500指数などに代表される、マーケット以上の利益を上げるためです。

S&P500、と簡単に言いますが、なかなかの強敵です。過去10年のデータを見ると、ファンドマネージャーで、S&P500指数以上の成績を常に出しているのは4人に1人もいません。プロでさえこんな状態ですから、常識的に考えて、雑誌の方が優れている、ということは先ずありえません。考えてください。大事な場面で、あなたはスポーツ記者を代打に起用するでしょうか?

雑誌やテレビで紹介される材料は、マーケットで既に消化済みです。当たり前の話ですが、テレビや雑誌が特定の銘柄を取り上げる理由は、それが話題になっているからです。あなたの手元に雑誌が届くころは、多くのプロたちが何度も売買を済ませ、それらの注目銘柄はゴミ箱行きになっている可能性があります。

雑誌社やテレビに、注目銘柄を教えたのは誰でしょうか?記者やレポーターが自力で発掘したのでしょうか?皆さんの察するように、情報を流したのはプロです。記事のお陰で、株価が急騰したら、あなたはどうしますか?持ち株を売って、利食うのではないでしょうか。プロも同様です。

もちろん、役にたつ記事もあります。マネー誌は、バンガード・インデックス・ファンドを注目すべき投資の一つに含め、個人投資家に適切な情報を提供しています。インターネットでは、ヤフー・ファイナンスに投稿している、ベン・スタイン氏(エコノミスト)のアドバイスは一読の価値があります。

大した価値の無い情報なのですが、なぜ毎年のように雑誌は注目銘柄特集を出版するのでしょうか?これも、皆さんが察するように、銘柄特集は雑誌の売上に好影響だからです。」

人気アナリスト、として活躍したブロジェット氏は、こんなことも付け加えている。「個人投資家の多くは、銘柄選びや適切なマーケット予測が重要だと思っています。しかし、そんなことに時間を使う必要はありません。重要なのは、マーケット自身に、耳を傾けることです。」

注目はアナリストが嫌う株

2006年、ウォールストリートのアナリストが敬遠した4銘柄は、平均で21%の伸びがあった、とサンダーストーム・キャピタルのジョン・ドーフマン氏は言う。そして、最も積極的に推された4銘柄は、平均で+2.4%だったというから、少し考えてしまう。「極端に結論すれば、アナリストが嫌うものほど見込みがあるのです。」ドーフマン氏の話を続けよう。

「過去9年間(1998年から2006年)、最も買い推奨が集中している4銘柄と、極めて売り推奨が多い4銘柄の成長率を調べました。年平均の数値ですが、買い推奨が集中している銘柄はマイナス3.7%、そして売り推奨が多い銘柄はマイナス0.2%です。この間、S&P500指数の年平均成長率は+7.4%でした。

アナリストは、マーケットの味付け役です。買いや売り推奨だけに限らず、収益や売上予想などを発表して、個別銘柄やマーケットの具体的なイメージを作り上げます。イメージが好感の持てるものであれば大衆は買い、悪いイメージなら売られますから、アナリストの影響は多大です。

完璧な調査とは言えませんが、過去9年間の買いと売り推奨を見る限り、アナリストの意見は絶対に信頼できるものではありません。アナリストも皆さんと同様に、正確な予想ができないのですから、株を買うときは、自分で納得できるまで調べることが肝心です。

2006年が始まって間もないころ、5人のアナリストのうち4人が、マーサ・スチュアート(MSO)に売り推奨を出しました。考えてみれば、売り推奨はもっともな格付けです。創始者のマーサ・スチュアート氏は、その頃、監獄から釈放されたばかりでしたから、アナリストに嫌われても仕方ありません。しかし2006年、赤字経営にもかかわらず、マーサ・スチュアートは+29%の成長です。

もっと顕著な例はシカゴ商品取引所(BOT)です。2006年は+62%でしたが、割高を理由に、7人中5人のアナリストは売り推奨でした。もし私の意見が聞かれていれば、たぶん私も、割高を理由に売り格付けを発表したことでしょう。

SIインターナショナルは、11人中11人のアナリストが買い推奨でした。結果は+6.1%ですから、S&P500指数の伸び率を下回っています。ペトロホーク・エネルギーは、追っている8人全てのアナリストから買い推奨でしたが、大きく13%の下落です。

それでは、今年はどうでしょうか?ブルームバーグのデータを使って、ダウ30銘柄を見てみました。ブルームバーグは、アナリストの意見を基にして株の評価が数字で表され、5が強い買い、3がホールド、1が売りです。最も高得点なのは、アルトリア(MO)の4.64、そして最も嫌われているのは2.22のゼネラル・モーターズ(GM)です。」

世界の株式市場は、きびしい下げに襲われることだろう、と新年早々に言うのは、1987年の暴落を予想したマーク・フェイバー氏だ。「今年、マーケットは大きな修正を経験することになるでしょう。投資家が狼狽売りなら買い、現在のように有頂天なムードでは売りが正解です。」

上の言葉で分かるように、フェイバー氏は「人の行く裏に道あり花の山」、を実践するコントラリアンだ。ホンコンに本拠地を構える氏は、現に2001年から金の買いを推奨し、倍以上の利益を手に入れている。今回の大幅下落予想は、ブルームバーグとのインタビューで語られたものだが、話を要約してみよう。

下げるのは株だけではない。国債、社債、不動産も含まれる。消費者物価インフレが問題になり、株や債券に悪影響を与えることになるだろう。世界的な下げが展開される中で、一部の国、ベトナムとシンガポールだけが投資対象になる。

ベトナムのホー・チ・ミン株式指数は、2006年100%以上の伸びを記録し、アジアでは最高の成長率だった。シンガポールの株式指数は、去年+27%を達成し、モルガン・スタンレー・アジア・パシフィック指数(MSCI)の+15%を上回った。今年、ベトナムは既に10%増、シンガポールは0.6%増を示し、マイナス1%のMSCIとは正反対の動きだ。

新興市場投資には、慎重にならなければいけない。特に向こう3カ月は、ロシア、中国、そしてインド株には注意が必要だ。度重なる爆破事件、それに中央銀行による為替コントロールで、タイの株が割安になっている。しかし、ここで買ってはいけない。政治不安が解決されない限り、タイは投資対象からしばらく外した方が良い。

もう一つの明るい材料は日本だ。2006年、世界10大マーケットの中で、日本の成長率は最低だったが、今年は挽回の年になる可能性が高い。

さて、次は米国株式市場だが、14人の著名投資戦略家(ストラテジスト)は、全員口を揃えて「上げ」、を唱えている。2001年も、全員が上げを予想したが、その年、S&P500指数は13%の下落だった。バンテージポイント・ファンズの、ウェイン・ウィッカー氏はこう述べている。「フェイバー氏の言うような暴落は、予期せぬかなりインパクトのある事件が発生しない限り、起きる可能性はありません。」

今年も、フェイバー氏のお気に入り投資は金だ。「世界の中央銀行は貨幣供給量を増やすことができますが、金の供給量には限りがあります。金の価格は更に大きく上昇することでしょう。原油にも同様なことが言えます。アジアでのオイル消費は衰えを知りませんから、今年も原油価格は上げ方向です。」

季節外れの暖かい冬が原因になり、先物市場で、オイルが大きく下げている。狼狽売り、といった気配だから、そろそろ底打ちかもしれない。

マーケットと周期

「相変わらず2007年の相場予想が盛んですが、新年だからと言って、投資姿勢を変える必要は全くありません」、と語るのは、シカゴ商品取引所でトレーダーの経験を持つジョナサン・ホーニック氏だ。「2006年から2007年への移り変わりは、単なるカレンダー上の話です。言うまでもありませんが、新しい年の到来は、トレンドの転換を示すものではありません。」

たしかにホーニック氏の言うとおりなのだが、意外と投資者は、カレンダー上の話に弱い。違った表現をすれば、株式市場の周期性だ。有名なものに、大統領の選挙周期がある。トレーダーズ・アルマナックの統計を見ると、1945年以来、株式市場が最も調子が良いのは大統領任期の3年目だ。今年はブッシュ大統領の任期3年目だから、統計的には、第1四半期+7.5%、第2四半期+5.3%、第3四半期+1.9%、そして第4四半期に+2.8%を期待することができる。

月別の投資方法も人気がある。たとえば、ゴールドマン・サックス(GS)、メリル・リンチ(MER)、それにEトレード(ETFC)などの証券会社に投資するのはいつが良いだろうか?これも、トレーダーズ・アルマナックからの情報だが、過去10年間、10月に証券会社を買って4月に処分すると、年平均で44.5%の利益があった。

一日の中にも周期性(サイクル)があるから、時間帯を気にする、デイトレーダーやスイングトレーダーが多い。下記が、反転の起きやすい時間帯だ。(時間はニューヨーク時間)
1、9時50分ー10時10分   2、10時25分ー10時35分   3、11時15分ー11時30分
4、14時15分ー14時30分  5、15時   6、15時30分

付け加えれば、3と4の間は昼休みだから、売買を避けるトレーダーが多い。また、午前中に利益が上がっていない限り、午後のトレードは控えた方が無難だ、と言うトレーダーも多い。

数々の著書やセミナーで知られるベテラン・トレーダー、ラリー・ウィリアムズ氏は、周期についてこう語っている。「マーケットには二つの周期しかない。値幅の長い周期と短い周期だ。」ようするにボラティリティのことなのだが、言い換えれば、マーケットには値動きの荒い周期と、値動きがおとなしい周期がある。

VIXといえばボラティリティ指数だが、2006年の2月から、ボラティリティのオプション取引ができるようになった。株のトレードでは、上げ下げの方向性が重要になるが、ボラティリティのオプションはマーケットが荒れ模様になるか、それとも静かになるかを焦点にした取引だから、方向性は関係無い。面白そうだから、次の機会にこのオプションを説明したいと思う。

低ボラティリティ時代

ここ3年間を振り返ると、S&P500指数が一日で2%以上動いたことは、たったの2回しかない、と経済コラムニストのチェット・クリヤー氏は言う。「今日の米国株式市場には、低ボラティリティ、という言葉がピッタリです。1999年の一年だけで、一日でマーケットが2%以上変動したことは23回もありました。」

1999年のマーケットは、たしかに派手だった。インターネット銘柄が乱舞いし、一日で倍になる株が続出した。あの頃と今日を比べれば、間違いなく最近のマーケットはおとなしい。とうぜん疑問になるのは、低ボラティリティ時代には、どんな投資方法が適切なのだろうか?クリヤー氏の話に戻ろう。

先ず、金利状況から見てみると、連銀が短期金利を5.25%に据え置いてから、既に6カ月の月日が流れた。金利引下げを予測する人たちも多いが、連銀はしばらくこの状態を継続させることになるだろう。エネルギー、商品市場、それに新興市場のニュースで、時おりマーケットに波風が立つことはあると思うが、全体的には、静かなマーケットが予想される。

安定したマーケットは、投資者に好材料だろうか?不安定よりも良い、と言われるかもしれないが、一つ問題点をあげよう。今日のような平穏なマーケットでは、投資者が安心しきり、急いで持ち株を売る必要が無い。そのため、株の質に関係なく、ある程度割高なレベルに株価が上がらない限り、売り手が現れない。違った言い方をすれば、割安株が見つけにくい状態だから、ファンドマネージャーには頭痛の種だ。

1999年の終わりから2006年までを見ると、ラッセル3000指数は15.6%の利益があった。面白いのは、3.6%がキャピタルゲインによるものであり、ほとんどの利益は配当金だった。「2007年、投資者たちは、リスクに見合っただけのリターンを得ることは難しくなりそうです」、とリージェント・アトランティック・キャピタルのクリス・コルダロ氏は言う。

5、6年前なら、余剰資金を新興市場を専門に投資するミューチュアルファンドに入れておけば良かった。現に過去5年間、新興市場の社債を専門に扱うミューチュアルファンドに投資していれば平均で年16%の利益があったから、米国の社債ファンドの約3倍だ。しかし、これはもはや昔話、今日の状況で再演は難しい。

繰り返すが、今日の安定したマーケットでは、投資者が安心しきっているから、株の良し悪しに関係なく、価格が割高になってしまう。仮に、今年何か悪いことが起きたとしよう。当然、値下がり幅が大きいのは、質の低い株だ。だから声を大きくして言いたい。今日のマーケット状況で狙えるのは、内容のしっかりした、真の意味での優良株だけだ。

短気な人が狙える5銘柄

割安株投資の欠点は何だろうか?この質問に対する、ハリー・ドマッシュ氏(ウィニング・インベスティング)の回答はこうだ。「私だけに限らず、多くの投資者もそうなのですが、とにかく待てないのです。割安株が上がるには、あまりにも時間がかかりすぎます。」同感だ。次の質問。どうやったら、早めに結果の出る割安株を見つけることができるだろうか?ドマッシュ氏に説明してもらおう。

シカゴ大学教授、ジョセフ・ピオトロスキー氏の研究を基にして、直ぐに動きそうな割安株発見方法を考えてみた。先ず検討したいのはPBR (Price-to Book Ratio)だ。PBRは株価を一株当たりの純資産で割って算出し、一般的にこの数値が低い銘柄は割安と判断される。現在、米国で取引される株の平均PBRは1.7だから、それ未満の数字が割安ということになる。ここでは、PBRを1.5以下に設定する。

ただ株価が割安なだけでなく、企業利益も重要な要素だ。過去1年間の決算報告書を調べて、利益とキャッシュフローがプラスの企業を選ばなくてはいけない。もちろん、利益がプラスでも、減少方向に進んでいる会社はダメだ。ここで注意してほしいことが三つある。

1、総資産利益率(ROA):
ROAは、企業の総資産が利益を得るために、どれだけ有効に活用されているかを示した指標だ。基本的な収益性を示す数字だから、とうぜん高いほど利益も良くなる。

2、負債資本比率:
株主資本に対する債務比率だから、数値が減少方向にある企業が好ましい。

3、売上純利益率: 売上総利益率でも構わないが、肝心なことは上向き方向にあることだ。

チャートも忘れずにチェックしよう。どんなに有望な銘柄でも、トレンドが下向きでは話にならない。難しいチャートパターンは気にせずに、二本の移動平均線、50と200を入れてほしい。買い候補になるのは、株価がこれらの移動平均線より上で推移している株だ。

株価自身にも注意を払う必要がある。3ドル未満の株には、手を出さない方が無難だ。全てがそうだ、とは言えないが、低位株にはファンダメンタルズ的な問題が多いから、3ドル未満の株は避けてほしい。更に、一日平均の出来高が10万株以上の条件を加えると、下記のように、現在5銘柄の買い候補がある。いつものように、これらは投資のアイディアであり、買い推薦でないことをお断りしておきたい。

1. ChipMOS Technologies Ltd (IMOS 半導体セクター)
2. Petrobras Energia (PZE オイルセクター)
3. ASE Tset Limited (ASTSF  半導体セクター)
4. EXCO Resources (XCO オイルセクター)
5. MKS Instruments (MKSI 半導体セクター)

注: ハリー・ドマッシュ氏自身は、上記の5銘柄に投資をしていない。

狙えるハリウッド銘柄

今年、ブルマーケットは5年目を迎える。過去75年間を振り返ると、平均的なブルマーケットの寿命は3.7年間だから、今日のブルマーケットは息が長い。しかし、力強さが無い。1982年から1987年のブルマーケットでは、一日平均の伸び率は0.17%、そして1990年から1998年の上げ相場では0.15%の一日平均伸び率があった。だが、今日のブルマーケットは0.07%にも満たない。

「のろのろと上げていることは、決して悪いことではありません。だれでも長時間走ることはできませんが、ゆっくりと散歩するなら長続きします。82年に始まったブルマーケットが、87年に暴落したように、ベアたちは今年、同様なことが起きることを期待しています。しかし、ベアの夢はかなえられないでしょう。」 ジョン・マークマン氏(ストラテジック・アドバンテージ) 大きな下げが無いなら、今年も好調なマーケットが展開されるのだろうか?マークマン氏の意見を要約しよう。

2007年、S&P500指数は13%ほどの上昇が予測される。多くの人たちが心配するような景気の冷え込みは無く、連銀はゴルディロックス経済(熱すぎず、冷たすぎない経済)の実現に成功するだろう。インフレも、泡を立てる程度で、完全に沸騰してしまうことはない。現在4.5%の失業率は5.25%に上がると思われるが、これは不況を表す数字ではない。経済成長率は+2.6%ほどが予想され、一部のアナリストが言うようなマイナス成長はありえない。

2.6%の低経済成長率なら、どんな株を狙ったら良いだろうか?簡単言えば、大型成長株が注目だ。具体的には、ハリバートン(HAL)、アプライド・マテリアルズ(AMAT)、バクスター・インターナショナル(BAX)、コムキャスト(CMCSA)などがある。

今年の後半、2008年にオリンピックを控える中国が、大きな話題になりそうだ。大気汚染のヒドイ中国だが、大気清浄に成功し、世界から集まる人々は、きれいになった空気にビックリすることだろう。

アウトソーシング(外部委託)が進み、多くの職が海外に逃げているが、ハリウッドは別だ。ハリウッドで制作されたテレビ番組や映画は海外で大きな人気を得ているから、マスメディア株が狙える。例をあげれば、ディズニー(DIS)、ニュースコープ(NWS)、LINテレビ(TVL)、グレー・テレビジョン(GTN)などだ。また、関連銘柄としてヤフー(YHOO)も面白そうだ。

一つ、マークマン氏は、大胆な予想をしている。故意に偽ったイラン戦争情報を流したことが原因になり、ブッシュ大統領は弾劾を避けて、大統領職から辞任する。そのため、夏頃、株式市場は一時的な下落に襲われる。

最高経営責任者と株価

2007年、どの銘柄が行けるだろうか?売上、収益、新製品、チャートパターン、と様々な要素が株価を影響するが、ジョン・オグ氏(経済コラムニスト)は、少し変わった銘柄の選び方を紹介している。さっそく話を聞いてみよう。

10の大型株に期待が持てる。条件は一つ、最高経営責任者が辞めることだ。下記10社は、トップの辞任で株主やウォールストリートから歓声が上がることだろう。だからと言って、私は彼らが辞めることを首を長くして待っているわけではなく、彼らを批判することを目的にしているわけでもない。それでは、10社を見てみよう。

1、ジェフ・ベゾス氏(アマゾン・ドット・コム AMZN): 正確に言えば、ベゾス氏は完全に辞める必要はない。肩書きを少し変えるだけで十分だ。一人が社長と最高経営責任者を兼任するのではなく、それぞれのポストに違った人材を割り当てるだけで、株価には好影響になるだろう。

2、チャック・プリンス氏(シティグループ C): 株主たちは荒治療を要求している。先日、ジム・クレーマー氏(マッド・マネー)は「2007年中に、プリンス氏はいなくなるだろう」、と発言し、株価はその翌日から上げている。

3、ケビン・ロリンズ氏(デル DELL): 株価が回復し始めているから、ロリンズ氏は辞める必要がないかもしれない。しかし、ウォールストリートは新最高経営責任者を要求している。とにかく、早い時期に、デルは証券取引委(SEC)との問題を解決することだ。

4、アントニオ・ペレズ氏(イーストマン・コダック EK): 性格的にペレズ氏は、とても良い人だ。しかし、会社のリストラが、全く進んでいない。

5、ポール・プレスラー氏(ギャップ GPS): ファッションの店ギャップ、それなのにプレスラー氏には、消費者が何を求めているかが分かっていない。正に、ジェネレーション・ギャップ(世代の溝)だ。こんな状態だから、ギャップの魅力といえば、「割安」の一言につきる。

6、ボブ・ナーデリ氏(ホームデポ HD): はたして、氏の経営手腕を認めている人は存在するのだろうか?以前ホームデポに務めていた人が、こんなことを言っている。「ナーデリ氏は、社風を重要視しすぎです。おかげで、社員の企業心が低下しています。」

7、ポール・ジェイコブズ氏(クアルコム QCOM): 父親の後継者、という任務はあまりにも重すぎたようだ。とにかく、肝心な収益が上がらない。

8、リー・スコット氏(ウォルマート WMT): スコット氏が特に悪い、というわけではないが、ウォルマートは企業イメージを一新する必要がある。古臭い企業イメージだから、とにかく積極的な広報活動が必要だ。

9、テリー・セメル氏(ヤフー YHOO): 氏が辞めれば、間違いなく株主は歓喜の声を上げる。それだけではない、ウォールストリートも氏の辞任を強く望んでいる。

10、シリウス・サテライト・ラジオ(SIRI)、XMサテライト・ラジオ(XMSR): この業界で、二社が共存することは無理だ。単に最高経営責任者が辞任しても、収益が上がる見込みはない。となれば、二社の合併があってもおかしくない。

http://tmadkam.blogspot.com/

著名投資戦略家4人の見方

はたして2007年は、皆が期待するゴルディロックス経済になるのだろうか?「ゴルディロックスと三匹のクマ」、というイギリスの童話からとられた名前だが、熱くも無く、冷たくも無い経済をゴルディロックス経済と呼ぶ。だから、ゴルディロックス経済は、インフレの無い、好調な経済だ、と言う人たちもいる。

さて、ここで心配になるのが米国住宅市場だ。ゴルディロックス経済が実現するには、米国経済に、低迷する住宅市場を跳ね飛ばすだけの力がなくてはいけない。ここで、二つのグラフを見てみよう。

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中古住宅販売件数の伸び率を示したものだが、明らかにダウントレンドだ。

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最近、少し頭打ちになっているが、これは売りに出されている住宅件数を示している。左側に「6 months」、と記されているが、現在売りに出されている住宅を全て売りつくすには、6カ月以上の月日が要る、という意味だ。こんな状況で、今年の株式市場は大丈夫だろうか?専門家たちの意見を要約しよう。

リチャード・バーンスタイン氏(メリルリンチ、チーフ投資戦略家):
2007年、S&P500指数は12%ほどの伸びになる。金利に関する、連銀の姿勢がハッキリしないため、1月のマーケットは方向性を欠きそうだ。今年のGDP(国内総生産)は、去年の率をちょうど1ポイントほど下回りそうだから、投資者は企業収益に注意を払う必要がある。期待できるセクターはテレコミュニケーション、避けるのはエネルギーと商品関連だ。投資資金は、株50%、国債30%、キャッシュ20%に分散することを勧めたい。

アビー・ジョセフ・コーエン氏(ゴールドマンサックス、チーフ投資戦略家):
住宅市場の下降は続くが、今年特に期待できるのは、レストラン、旅行、それに娯楽産業だ。全体的に、企業収益の成長率は下がるが、大きな下方修正の心配は無い。S&P500指数は1550に達するだろう。(現在1418.30)

デービッド・ビアンコ氏(UBSインベストメント・リサーチ 投資戦略家):
連銀は、3月に金利引下げを実行するだろう。S&P500指数は、1500以上で2007年を終了しそうだ。住宅市場が、2007年、底打ちになることは無い。

アブヒジット・チャクラボーティ氏(JPモルガン、投資戦略家):
ドル安が進むだけでなく、米国経済の減速が顕著になる。アジアやヨーロッパでは金利引き上げが続くが、アメリカは現状の金利据え置きになるだろう。連銀に失望した投資家が売ってくるはずだから、マーケットは今年前半、大きく下げる可能性がある。

成長株、不動産、定期預金

2007年のベスト・アイディア、と題して、マネー誌はこんな提案をしている。

一般に言われる優良成長株は、2006年、S&P500指数の伸び率を下回っただけでなく、平均すると20%ほど割安だ。成長株は金利とインフレに敏感だから、それらが上昇する限り、投資者たちは景気後退期に強い食品や薬品などの、ディフェンシブ株に集中することになる。

しかし、金利の安定、それにインフレの心配が薄れている今日、成長株が狙える環境になった。とうぜん、ディフェンシブ株から資金が成長株に移って来ることになるが、実際に何を買ったら良いだろうか?

先ず、ミューチュアルファンドなら、バンガード・グロース・インデックス・ファンド(VIGRX)を勧めたい。特に、毎月こつこつと資金を積み上げていくなら、このファンドは最適だ。上場投信なら、iShares S&P 500 Growth Index (IVW) が良いだろう。株と全く同様に売買できるから、コスト的にはミューチュアルファンドより割安だ。

個別銘柄に投資するなら、タイムリーな株が3つある。

1、ゼネラル・エレクトリック(GE) 2、オイル会社のシュルンベルジェ(SLB) 3、テキサス・インスツルメンツ(TXN)
この三つの中で、最も保守的な銘柄は1のGEだ。

住宅市場に移ろう。2006年、中間価格は平均で2.2%の下げになり、完全な買い手市場になっている。今年も、更なる買い手市場化するはずだから、表記されている価格より、少なくとも15%下で交渉を始めよう。350ドルほどの金がかかるが、好きな家が見つかったら、不動産鑑定士を使って、適切な価格を把握することも大切だ。

言うまでもないが、売り手にとって、2007年はきびしい年になるだろう。一つ、こんなアイディアがある。不動産投資家のアンディー・へラーさんによると、低迷する住宅市場は買い手に好都合なのだが、多くの人たちは十分な資金が無い。そこでおすすめなのが、一定期間物件を賃貸して、買い手が頭金を用意できたところで売る、というlease-to-own 契約だ。

2年間続いた金利引き上げで、定期預金が魅力的だ。1年間定期は平均で4.79%の利子があるから、しばらく手をつけない余剰資金を回すと良いだろう。定期預金以外には、短期国債ファンドを利用することが考えられる。平均利回りは4.7%ほどだが、定期預金のような元本保証は無い。また、債券ファンドには、元本割れの危険性もあることを覚えておこう。

今年、ガソリン価格は3%ほど下がるだろう。だからと言って、安心してもらっては困る。ハリケーン、テロリズム、そんなことが起きればガソリン価格はいっぺんに跳ね上がってしまう。節エネを常に心がけよう。

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新年の抱負10

明けましておめでとうございます。新年です。さっそくですが、今年の目標、抱負は決まりましたか?「体重を10キロ減らす」、というのがアメリカ人女性の中で、最も多い新年の抱負だ、とさきほど報道されていました。男性の場合は、もっと親切な人間になる、などといった抽象的な目標をたてる傾向があるそうです。

それでは、まだ抱負が決まっていない人たちのために、チャック・ジャフィ氏(経済コラムニスト)からの提案を紹介しましょう。

1、本当に必要な物だけを買い、買った物は必ず使うこと。
私たちは、無駄な物を買いすぎる傾向がある。多くの家庭の冷蔵庫には、手がつけられることなく、腐っている食品が保管されていることだろう。物を買う前に、三つの質問をしてほしい。これは本当に必要だろうか?買ったら本当に使うだろうか?これを買わなくても、家には代用できる物はないだろうか?

2、万が一のための準備をする。
綿密な家族旅行プランをたてる人でも、肝心な事を怠っていることが多い。新年早々、死を話題にしたくはないが、残された家族のために、財産の分散方法などをはっきりと記した、遺言書を用意しておくことを勧める。また、生命保険の金額も、適切かどうかを確認しよう。

3、ファイナンシャルプランナーに相談してみよう。
裕福な人たちだけに、ファイナンシャルプランナーが役立つわけではない。投資をしたくても資金が無い、と言う人なら、ぜひファイナンシャルプランナーに相談しよう。きっと、具体的な貯蓄プランをたててくれることだろう。もちろん、全てのファイナンシャルプランナーは親切ではないから、一回目の相談が不満足なものなら、他のプランナーをあたってみよう。

4、金融関連書類の整理。
証券会社からの報告書、銀行からの通知、まだ開けられずに封筒に入っていないだろうか?月別のファイルを作って、きちんと整理しよう。投資で財産を増やしたいのなら、先ず適切な書類管理だ。

5、金銭出納帳、家計簿のススメ。
毎月の貯蓄が今年の目的なら、間違いなく金銭出納帳が役にたつ。とにかく、どこで無駄な金を使っているかが分かるから、ぜひとも勧めたい習慣だ。

6、現金主義に徹する。
物を買うなら現金で買おう。絶対にクレジットカードを使ってはいけない。アメリカ人が借金を背負い込む最大の理由はクレジットカードだから、金が無いなら買わないことだ。

7、募金に協力しよう。
言うまでもなく、世の中には助けを必要としている人たちがいる。自分の納得できる団体や協会を選んで、収入の一部を困っている人たちのために使おう。

8、時間を有効に使う。
お金以上に時間は大切だ。無駄な時間を削ることで、あなたはその時間を勉強などに使うことができる。

9、ローンは毎月遅れずに返済すること。
毎月の支払いは、必ず時間どおりにすること。何度も遅れるようでは、必要な時に銀行から金を借りることができなくなってしまう。

10、金のかからない過ごし方を身につけよう。
休暇をラスベガスで過ごすのも良いが、あまりに割高だ。それよりも、家族そろって国立公園などはどうだろうか?ショッピングセンターで時間をつぶすよりも、ピクニックに行って、バーベキューをした方が楽しい。価値のある時間の過ごし方は、決して金がかかるものではない。

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