Friday October 13, 2006

US Market Recap

5つの心配材料

好調なマーケットだ。テレビでは、ダウが史上初めて1万1900ドルを突破した、とやや興奮気味に報道している。歴史的に、第4四半期の相場は強い、などと付け加えるから、ますます買い手が強気になってしまう。押し目を待つ投資家には嬉しくない展開だ。

それでは、どんな事が起きたら投資者たちは考えを一変させるだろうか。ビジネス・ウィーク誌が指摘する、いくつかの材料を見てみよう。

1、住宅市場

今年、住宅セクター指数は既に17%の下落だ。連銀のバーナンキ議長によれば、住宅市場の低迷は米国経済の成長率を1%減らすことになる。問題なのは、住宅市場が予想以上に悪くなった場合だ。ゴールドマン・サックスの、エド・マッケルビー氏は、こう述べている。「私の見方はアナリストの中でも悲観的な方ですが、現在の住宅市場は、既に予想以上に悪い状態です。」

投資戦略家(チャールズ・シュワブ)のリズ・アン・ソンダース氏は、「住宅市場の下げサイクルはまだ続きます」、と述べ米国株をポートフォリオから5%減らして、現金化することを勧めている。

2、企業収益

S&P500指数に属する大手企業収益は、17四半期連続で二桁成長だ。しかし、下降する商品価格、それに減速する米国経済は企業収益にマイナス材料になる可能性がある。シティグループのスティーブン・ウィーティング氏によれば、特に商品生産者の成長率が大幅に下がり、S&P500の企業は、2006年度の+15.4%から2007年度は+7.4%に落ち込むことを予測している。

3、不景気

おだやかな経済減速ではなく、利回り曲線は、不景気を予想している、と言うアナリストたちもいる。現在、10年物国債の利回りは、短期金利を0.5ポイントほど下回っている。歴史を振り返ると、この差が1ポイントを超えると、雇用状況悪化が顕著になり不景気に陥る。

4、インフレ

最近のマーケットが好調な理由の一つは、金利引下げ期待がある。しかし、連銀は投資者たちが思っているほど早急に利下げを行わない可能性もある。議事録からも分かるように、連銀は相変わらずインフレの心配をしている。ここ数週間、オイルやエネルギー価格は下げ方向だが、これが再度上げに転ずるなら、言うまでもなくインフレ材料だ。

5、地政学的な問題

先日発表されたレポートによれば、アナリストやエコノミストは、テロリズムが米国経済に最も大きな短期的ダメージを与える、と答えている。それ以外にも、中東での紛争、そして北朝鮮もマーケットには不安材料だ。PNCアドバイザーズのジェフ・クライントップ氏は、イランの動きに注目することを強調している。

テロ、と一口に言っても、当然ながら全てのテロ活動がマーケットに悪影響を及ばすわけではない。マーケットに大打撃を与えるには、5年前の世界貿易センターのような過激な事件が必要だ、と多くのアナリストは語っている。

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バンク・オブ・アメリカの発表に

邪魔される結果となったようだが、実は同日、Zecco.com(ゼッコー・ドット・コム)という手数料無料の、オンライン証券会社がビジネスを開始した。正確に言うと、手数料がゼロになるのは1日10回まで、そして1カ月40回までだ。それを超える分は、1回の取引が3ドル50セントになる。

こんな新しい証券会社に金を送って大丈夫かな、という心配もあるが、SIPC(米証券投資家保護公社)とペンソン・ファイナンシャルからの保険があるから、口座資金の3500万ドルまでは守られている。あとは、実際の売買執行スピードや、顧客サービスがどの程度充実しているかが問題だ。

ゼッコーの広報担当者、シェリー・スミス氏は、こう語っている。「お金がかかるテレビコマーシャルなどは、最初からやる計画は全くありません。手数料がゼロなのですから、口コミが最大の武器です。」

手数料がゼロと言っても、上記したように、これがあてはまるのは株に関してだけだ。個別オプション取引には通常の手数料が適用され、それに信用口座で金利を稼ぐこともできる。ゼッコーの創始者、ジェローン・ベス氏は、大手証券会社メリルリンチでの部長経験がある。はたして、手数料無料ブームが起きるだろうか?

Wall Street English

昨日少し触れた、手数料無料に

ついて、もう少し説明しよう。

Bank of America (BAC) stunned the online brokerage industry Wednesday by offering free stock trades to anyone who has $25,000 in a checking, savings or money market account at the bank.

バンク・オブ・アメリカは、株売買手数料の無料を発表して関係者を驚かせたが、この無料手数料を受ける条件は、証券口座に2万5000ドル以上の残高が要る、という意味ではない。

実際の株売買は、子会社のBanc of America Investment Services, Incという証券会社を通して行われるが、この証券会社の口座に2万5000ドル以上入れる必要は全くない。必要なのは、銀行の小切手口座、普通預金口座、そしてマネーマーケット口座の残高が2万5000ドル以上あれば問題ない。

だから、バンク・オブ・アメリカは単に証券会社の口座数を増やそう、という目的だけでなく、銀行の顧客サービスの向上も狙ったわけだ。

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