Monday March 19, 2007

US Market Recap

全ては貸付業者が悪い!?

抵当銀行協会の発表によれば、現在アメリカには、月々の住宅ローン支払いに遅れている人が約210万人いる。そして2006年末、差し押さえられた住宅数は史上最高に達した。なぜ、こんなひどい状態に陥ってしまったのだろうか?「大きな問題の一つは、政府の規制機関がバラバラなため、疑わしい住宅ローンを適切に取り締まることができないのです」、とインパクト・グループ(住宅に関する相談所)のマリナ・ピード氏は言う。

1990年代、毎年住宅ローンとして融資された金額は5000億ドルほどだったが、2006年、この数値は3兆ドルに達した。これだけ大幅に伸びている業界にもかかわらず、こんな事実がある。

・20の州では住宅ローン・ブローカーに対して継続教育を義務付けしていない。(アメリカには全部で50州ある。)
・19の州では、採用前に融資担当者に犯歴などが無いかなどを調べる、身元調査を義務付けしていない。
・去年9月、連邦政府は州政府に対して、危険なサブプライム融資の規制を指導したが、それに従った州は半分に過ぎない。
・25の州には、略奪的な融資業務を取り締まる法律が無い。そのため、貸付業者は借り手に高い利率や貸付費用を強いても問題にならない。

米国の不動産ブームは、2000年のインターネット株暴落がキッカケとなった。更に、相次ぐ連銀による金利引下げで、住宅が購入しやすくなった。ますます不動産の人気は高まり、とうぜん住宅価格は急ピッチで上昇した。こんな状況の中、貸付業者たちはいっそう攻撃的になった。普通なら借りることが無理な低所得者、そして信用度の低い人たちを対象に頭金不要の住宅ローンを始めた。これが今日、大きな問題になっているサブプライム融資だ。

ひどい言い方をすれば、脈を打っている人なら誰でもサブプライム融資対象になる。先ず、住宅購入に必要な頭金が要らない。金利も3%、4%とかなり低いから、月々の支払いも少なくてすむ。もちろん、これは見かけの話だ。たしかに低い金利だが、変動利率だから、執拗な金利引き上げ政策で毎月の支払いが大きく上がっている。それに、この毎月の支払いは利子だけに適用されるから、元金は全く減ることが無い。だから、サブプライム融資で20年住宅ローンを組むと、20年にわたって利子だけを払い、肝心な家を購入できない。

サブプライム融資を受けた人たちが、次々と支払いが不可能になっている今日、被害を受けているのは貸付業者だけではない。予想によれば、200万件におよぶ住宅が今年差し押さえられる。これらの物件は、競売されることになるから叩き売りと同じだ。これは地域の住宅価格を下げる原因となり、経済活動に悪影響となるのは言うまでもない。

来年は大統領選挙がある。さっそく既に立候補を表明したクリントン上院議員は、貸付業者のきびしい取締りを訴えている。他の候補者や議会も動き始めたから、何らかの規制が加えられることは間違いない。こんな状態では、どの金融機関も不動産ローンに積極的になれない。住宅市場の低迷は、まだしばらく続きそうだ。

Stocks You Need To Know About

Schlumberger (SLB)

下はオイル銘柄、シュルンベルジェ(SLB)の日足チャートだ。

0318slb.gif

先週は、20日移動平均線の上で横ばいとなり、崩れることがなかった。あとは、66ドルの抵抗線を突破できるかだ。

Wall Street English

FOMC (連邦公開市場委員会)

火曜、水曜の二日間にわたってFOMCがある。

The bankers are widely expected to hold a key short-term rate steady at 5.25 percent for the sixth meeting in a row.

金利は5.25%に据え置かれる(6回連続)、というのが大方の見方だ。

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