US Market Recap

高い買い物

スカイプと言えばインターネット電話会社だが、この買収を狙ってイーベイが本格的に動き出した。買収価格は41億ドルと推定されているが、早くもイーベイはウォールストリートで笑いの種になっている。ルクセンブルグに本拠地を置くスカイプだが、2004年度の売上高は米ドルに換算すると約700万ドルだった。こんな会社に、イーベイは41億ドルまで払おうというのだから、正気の沙汰ではないと思われても仕方ない。

スカイプがイーベイの収益上昇に結びつくかは分からないが、インターネット電話の専門家、ジェフ・プルバー氏はこんな見方をしている。「イーベイで買った品物は、ペイパルを通して代金の支払いが行われますが、スカイプの買収が実現すると、イーベイは次世代のロイターになる可能性があります。」

次世代のロイター?意味不明な表現だが、コリン・バー氏(ザ・ストリート・ドット・コム)はこう皮肉る。「ロイターといえば、度重なるコスト削減にもかかわらず、ここ4年間まったく利益の無い企業です。最近2年間では20%ほど社員を減らしましたが、その効果はまだ見ることができません。株価は2003年の安値から回復ラリーを展開しましたが、5年前と比べれば、まだ半分以下です。」41億ドル、高い買い物になりそうだ。

高くつくのはハリケーン・カトリーナの後始末だが、保険会社は保険金の支払いに積極的でない。雨や暴風が原因なら問題ないらしいが、洪水での家屋破損は保険の対象外になる、というわけだ。「ケシカラヌ!」、と叫んだかどうかは知らないが、ミシシッピ州検事総長事務局のジム・フッド氏は保険会社5社を訴えた。告訴されたのは、オールステート、ステートファーム、ネーションワイド、USAA、そしてミシシッピファームビューローだ。

上記したように、雨や風が引き起こした被害なら、保険金は間違いなく支払われる。ただ、ミシシッピ州の場合、洪水保険は州政府が用意していた。暴風雨が堤防を破壊し、それが洪水となって多数の家屋を襲ったわけだが、保険会社から見れば、これは明らかに洪水の被害であり雨や風が直接原因ではない。しかし、州政府や家屋を失った人々は、「風津波が引き起こした災害だから、これは風が原因。だから保険対象になる」、と主張する。どちらにしても法廷で決着をつけることになるが、はたして被害者たちは判決が出るまで待てるのだろうか。

遅すぎた企業再生手続き

チームが勝てないのは監督が悪い。子どもの成績が上がらないのは先生の責任。高すぎる税金は大統領のせいだ。物事はこんなに単純ではないが、この論法でいくと、破綻したデルタ航空とノースウエスト航空は経営陣の責任ということになる。

既に破産保護の下で営業しているユナイテッド航空とUSエアウェイズ(アメリカウエスト航空と合併)は、四年前の9月11日にニューヨークを襲ったテロ事件が、直接的な経営危機に陥る引き金になった。あの日、ユナイテッド航空の二機はテロリストにハイジャックされ、USエアウェイズの主要拠点である、ワシントンレーガンナショナル空港は数週間以上も閉鎖されてしまった。

航空業界のアナリストが口を揃えて言うことは、デルタとノースウエスト航空は正確なデータに基いた判断からではなく、状況は好転するだろう、といった希望的な観測を基盤に営業を続けたことだ。オイル価格は必ず下がる。弱い競争相手は破綻するだろう。低コストを土台にビジネスを開始した航空会社は、遅かれ早かれ致命的な間違いを犯して、業界から消えていくに違いない。下げ続ける航空料金はいずれ上向きになり、企業収益も向上するはずだ。これらの期待は、全て外れてしまった。

「デルタ航空は連邦破産法に基いて、1年半前に会社再生手続きをするべきでした」、と語るのは航空会社コンサルタントのジョン・アッシ氏だ。「デルタは状況を完全に読み間違えました。ライバルのUSエアウェイズとインディペンデンスエアの倒産を予想していたのですが、USエアウェイズは買収され、インディペンデンスエアは現在も安い航空チケットを売り物に飛んでいます。これでは期待していたマーケットシェアを伸ばすことなどできません。」

企業再生手続きが遅すぎた、という見方はノースウエスト航空にも言えるようだ。マイケル・ローチ氏(アメリカウエスト共同創立者)によれば、「ハリケーン・カトリーナは単なる言い訳です。ノースウエストは労働組合との交渉に、あまりにも弱気すぎます。待っていれば自然に事態が良くなる、とでも思っていたかのようです。しかし、最近高騰の続くオイルがノースウエストを現実に直面させました。どちらにしても今まで何もしなかったのですから、残った選択は破産法の適用しかなかったわけです。」

労働組合で思い出したが、ノースウエストの整備士たちは現在ストの真っ最中だ。ある整備士がこんなことを言っていた。「私たちの要求が認められないかぎり仕事には戻りません。たとえこのストが原因で会社が倒産になっても構いません。」どうやら、一つの願いはかなったようだ。

幹事証券会社から見放された第二のグーグルBIDU

コーヒーを飲みながら、チャットルームをぼんやり眺めていると、やたらとBIDUの四文字が出てくることに気がついた。BIDU(バイドゥ・ドット・コム、中国のサーチエンジン)はナスダック市場で取引される、第二のグーグルと騒がれた、今年夏一番人気の新規公開株だ。初取引は8月5日、66ドルで始まり、なんと倍に近い122ドル54セントで終了した。正に第二のグーグルにふさわしいデビューだった。

しかし、BIDUに何が起きたのだろう。時間外取引では28%の大きな下げだ。デイトレードネットの代表取締役、馬渕氏も掲示板で「昨日手仕舞いした人は安堵しているはず」、と書き込まれていたが、本当にそのとおり、と言うしかない。こんな下げ方だから、大手証券会社アナリストのコメントが原因になっていることは見当がつくが、はっきり言ってこの暴落は意外だった。なぜなら今日の上げに期待して、昨日一昨日とBIDUを買っていた投資者が多かったからだ。

少し説明しよう。新規公開株の取引が始まった最初の一ヶ月間は、買いや売り推奨を出すことはできない。ほとんどの場合この一ヶ月の時間が切れると、幹事証券会社のアナリストは買い推奨を発表する。だから投資方法の一つとして、買い推薦を期待して取引が一ヶ月に近い新規公開株を買う。先月5日に取引が開始されたBIDUも約一ヶ月が経過し、先週から買い推奨を見込んだ投資者たちが買っていたわけだ。

ところが今朝、ゴールドマンサックスのアナリストが発表したBIDUの格付けはアンダーパフォームだった。underperformだから、平均以下の成長しか期待できない。エリート証券として有名なゴールドマンサックスの言葉だっただけに、完全な売り一色となってしまった。おまけにパイパージャフレーも同様な見方を表明し、BIDUの投資者には痛烈なダブルパンチだ。

しかし、ちょっと待て。ゴールドマンサックスはBIDUが新規株を発行した時の幹事証券会社、そしてパイパージャフレーは準幹事だ。要するに投資者たちは、これら二社の証券会社からの買い推奨を見込んで買っていたのだが、見事に期待を裏切られてしまったわけだ。幹事証券が買いを薦められないのだから、そんな株に手を出す人はいない。最後にゴールドマンサックスとパイパージャフレーからのコメントを記しておこう。「たとえどんなに前向きな見方をしても、現在のBIDUの株価はあまりにも割高です。正当な株価は45ドルです。」今BIDUは89ドル75セントで取引されている。

子どもが太るのはマクドナルドの責任?

ノースウエスト航空の整備士がストに入ってから、約3週間が経った。会社側も今日から、新規従業員を雇って、スト中の整備士を入れ替える方針だ。これで整備士たちは完全に職を失う可能性が出てきたが、AP通信によれば、今のところ職場に戻ったのは、たった5人だけだという。

話し合いが駄目なら、人々はストのような強硬策を使って、相手側に自分たちの要求を呑ませようとする。ガソリン高がアメリカの消費者を悩ませているが、こんなメールがMSNBCに宛てられていた。

国民一同でガソリンのボイコットをするのはどうでしょうか?ある程度の期間ボイコットすれば、オイル会社はガソリンを値下げするしかないと思います。(カリフォルニア在住、マーク)

この質問に回答したのは、シニア・プロデューサーのジョン・ショーエン氏だ。「短期間のボイコットでは、ガソリン価格に長期的なインパクトを与えることはできません。たとえ全ての人が、数日間ボイコットに参加したとしても、ボイコットが終わってしまえば、またもとの需給関係に戻ってしまうわけです。」

更にショーエン氏の話を聞いてみると、ボイコットは逆にガソリン高に結びつくと言う。「大々的な規模でのガソリンボイコットを考えてみてください。明日からボイコットが始まるなら、あなたは今日中に車のガソリンタンクを満タンにすることでしょう。そうするのは、はたしてあなただけでしょうか。皆が一斉にガソリンスタンドに押し寄せることでしょう。これは一時的にガソリン不足を生む原因になり、1ガロン(3.785リットル)10ドルなどという事態になってしまうかもしれません。」ボイコットするよりも、節約を心がけた方がよさそうだ。

物が豊富にある時代だから、はたしてどのていど節約精神に期待できるか分からないが、食料品は豊富な物の一つだ。あまり食べ過ぎるから、アメリカ人の4割近くは肥満だ。この肥満は大人だけの問題でなく、幼稚園や小学校の子どもにまで広がっている。そんなわけで子どもが太るのはハンバーガーやフレンチフライが悪い、ということでマクドナルドを批判する大人たちが多い。別に子どもを太らせようとして、マクドナルドは商売を始めたわけではないが、ボイコットなどされてはたまらない。そこでマクドナルドは、こんなことを発表した。

約31000の公立小学校を対象に、マクドナルドは体育プログラムのスポンサーになる。参加するのは3年生から5年生が中心になるようだが、「地域社会に貢献することは、マクドナルドのイメージアップにつながります」、とマーケティングを担当するビル・ラマー氏は言う。そうかもしれないが納得できない。正しい食生活や、適度な運動の大切さは親や学校が子どもに教えるべきことだ。自分で食事の用意もせず、子どもに小銭を持たせて、「マクドナルドで何か買って食べなさい」、と命令するのは、いったいだれなのだろう。

水は水、コマーシャルの威力

蛇口をひねれば水はタダで飲める。しかし、わざわざ金を出してボトル入りの水を買う人が圧倒的に多くなった。以前はぺリエしか名前が浮かんでこなかったが、今日コンビニでは、少なくともアクアフィナ、ダサニ、クリスタルガイザー、エビアンなどのボトル入りの水が売られている。

ABCニュースの質問に、高校生くらいと思われる女生徒は、こう答えた。「いつもダサニを飲んでいます。とても自然な味がしておいしいです。水道の水ですか?飲みません。下水のような匂いがしますから。」ある中年の男性は、少し照れたように、こんな返答をした。「私は家で水道の水を飲んでいますが、家族の者たちはだれも水道の水を飲みません。水道の水は汚染されているから危険だと言うのです。」

本当に水道の水は人体に悪いのだろうか。早速ABCニュースは調査に乗り出した。対象になったのは、アメリカで人気のボトル入り水5種類と、ニューヨーク市内の水道の水だ。実際のテストは、ニューハンプシャー大学のアーロン・マーゴリン氏(微生物学者)によって行われた。

テスト結果は、どの水からも有害なバクテリアは発見されなかった。コマーシャルを見ると、ボトル入りの水はとても健康的だが、これは単に作られたイメージだったわけだ。マーゴリン氏は、「ボトル入りの水と、ニューヨークの水道の水に、何の違いも見つけ出すことはできません」、と語っている。マーゴリン氏に限らず、アメリカでは他の科学者によって同様なテストがされているが、結論はマーゴリン氏と同じだ。

それでは販売されているボトル入りの水は、本当に水道の水よりもおいしいのだろうか。マンハッタンの街角で、通行人を集めてABCニュースは味見テストを実施した。水はマンハッタンの水道水、ボトル入りの水には、エビアン、アクアフィナ、ポーランドスプリング、アイスランドスプリング、そしてアメリカンフェアが使われた。

さて結果だが、一番人気のあったのはアメリカンフェアだ。あまり聞いたことのない名前だが、これは日本で言う100円ショップのようなところで売られている最も安いボトル入りの水だ。2位はアクアフィナ、そして3位はマンハッタンの水道の水。次はアイスランドスプリング、そしてポーランドスプリング、最下位は最も値段の高いエビアンだった。水は水だ。コマーシャルの力は恐ろしい。

グーグルの弱点?

ユナイテッド航空が、会社更生手続きの申請をしたのは2002年の終わり頃だった。毎日2千万ドルの赤字を出しながら飛んでいたというから、連邦破産法第11章に基いて、会社の再生手続きをするのは当然な結果だったわけだ。そして先週水曜、最高経営責任者は記者会見で、こんな発表をした。「ユナイテッド航空は2月1日までに、現在の破産保護状態から抜け出せると思う。そして2006年中には利益が出せるはずだ。」力強い言葉なのだが、一つ問題がある。この見通しは、1バレル50ドルのオイル価格が基準になっている。オイルは今、65ドル近辺で取り引きされているのだが、、、、、

オイル高原因の一つとなったハリケーン・カトリーナだが、被害者救済を名目に詐欺師たちが大活躍している。FBIの調べによれば、現在約2300のハリケーン災害救援ホームページがあり、そのほとんどは偽物だという。家を失った人々を利用して、善良な市民から金を盗み取ろうとするのだから悪質だ。大きく分けると、手口は三つある。

1、フィッシングと呼ばれるやり方だが、これはクレジットカードの情報を盗むことが目的だ。あたかも合法的と思われる組織の名前を使って作られたウェブページには、クレジットカードでの募金が呼びかけられている。騙されていると知らない被害者は、クレジットカード番号だけでなく、住所や電話番号なども記入してしまう。正に個人情報が盗難され、悪用されてしまうわけだ。

2、メールは詐欺に最も多く使われる手口の一つだが、このメールにはウイルスが付いている。破壊された家屋や、悲しむ人々の写真などが添付されてくるのだが、これを開けてしまったら大変だ。コンピュータはたちまちウイルスに感染し、ハッカーにコンピュータ内の情報を読み取られてしまう。これも1の手口と同様に、個人情報盗難が目的だ。

3、これもメールが利用される。「あなたのお知り合いや、親戚の方がハリケーンで行方不明になっていませんか?」、そんな書き出しで始まることが多いらしい。要するに人探しのプロと偽って、捜査料金を騙し取ることが目的だ。もちろん、捜査料金の支払いにはクレジットカードが利用される。

人探しなら警察や私立探偵だが、インターネットで何か探すならサーチエンジン、グーグルが便利だ。さてこのグーグルだが、結果の公表されない判決があった。相手は自動車保険のガイコという会社だが、判決後は両社とも勝利を表明している。この裁判を簡単に説明しよう。ガイコの保険に加盟しようとして、グーグルで検索すると、自動的に競争相手の会社も出てくる。これはガイコに損害を与える結果になるだけでなく、ライバル会社に客を奪われてしまうことも起きえるわけだ。上記したように判決内容は分からない。しかし両社とも勝った、と断言している。ひょっとしたら、これは将来的にグーグルにとって大きな問題になるのだろうか。

サド?マゾ?あなたの上司はどのタイプ

こんな会社辞めてやる!サラリーマンなら一度は考えることだ。仕事がつまらないから、そんなことを言うわけではない。問題は職場での人間関係、特に上司とうまくいかないのだ。そんな悩みを持つ方々に、フォーブス誌は上司のタイプ別による対処方法を紹介している。

1、マキアベリ的な上司:目的のためには手段を選ばない、策略にたけたタイプだ。会社のトップを目指して、冷酷に部下を道具あつかいする。よく「君に対して反感はないが」の前置きで、部下に対して平気で屈辱的なことを言う。

対処方法:最も危険なタイプだけに、常に慎重な行動が要求される。他の課への移動も考えよう。

2、サド的な上司:部下が泣いたり、喚いたり、そして歯ぎしりをして口惜しがる姿を見て喜びを感じる、心の曲がったタイプ。厳しく部下を注意し、がっくりと肩を落として机に戻る部下の姿は、この上ない光景だ。

対処方法:どんなことがあっても、泣いたり不平を言うな。それは相手を喜ばせるだけだ。冷静な態度を身に付けたい。

3、マゾ的な上司:やっかいなタイプだ。既に自分の会社での将来に見切りをつけ、毎日の仕事が苦痛でたまらない。自分の苦しみを部下にも分けてやろうとばかり、無意味な仕事を部下に言いつける。

対処方法:こんな上司の下で働いていたのでは、絶対に昇進できない。早急に他の部門、または転職を推薦する。

4、被害妄想的な上司:全ての部下は自分の椅子を狙って陰謀を企てている、常にそんなことを心配する猜疑的なタイプだ。

対処方法:「重要な話があります」、と言って上司と二人だけで話せる時間を作ろう。「実は、あなたを失脚させようと陰謀を企ている人たちがいるのですが、、、」、と切り出してみよう。たぶん望むセクションへ移れるように計らってくれるだろう。

5、親友的なボス:部下たちが野球を観に行く計画をしていると、誘われてもいないのに自分も仲間に入れてしまう。ひどくなると、クリスマスだといって勝手に部下の家に押しかける。

対処方法:顔を舐めることの好きな大きい犬を上司にプレゼントしよう。犬の愛に包まれて、上司の外出は減るはずだ。

明らかに冗談と思われる対処方法もあるが、ほとんどの場合、喧嘩をして負けるのは部下の方だ。心理学者、ジョン・フーバー氏の言葉を引用して終わろう。「嫌いな上司は、どんなことに興味があるかを調べてみることです。ひょっとしたらアイスホッケーファンかもしれません。別にホッケーの話をする必要はありません。アイスホッケーで使うパックを、自分の机に置いてみるのです。そんなことがキッカケで、上司との会話が始まるかもしれません。とにかく自分に危害を加える上司の態度を中和することが先決です。」

45億円の報酬、しかし実績はゼロ

アメリカは実力主義社会だと思っていたが、こんな数字をつきつけられると、少し考えてしまう。先ず下の月足チャートを見てほしい。

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低迷というよりも、正に株主の悪夢だ。シエナ社のチャートだが、ここ4年間で90%も下げている。余談になるが、これで下がったところで買い足す、難平買いの怖さが分かっていただけると思う。

もしあなたがこのシエナ社の大株主だったら、必要な票を集めて、株主総会で最高経営責任者(CEO)を辞めさせるのではないだろうか。株主に利益を分けることができないようでは、経営者として失格だ。しかしシエナは、最高経営責任者のギャリー・スミス氏を首にするどころか、逆に過去4年間で4120万ドル(約45億円)の報酬を支払っている。

こんな例はシエナ社だけではない。サンミナ社の株は最近4年間で78%の価値を失ったが、最高経営責任者、ジューラ・ソーラ氏には2640万ドルが報酬として払われた。呆れてしまうのは、この報酬のうち1990万ドルは実績ボーナスという名目だ。

他にもサン・マイクロシステムズ社のスコット・マクニーリー氏には1310万ドル。(株価は4年間で76%の下落)大手スーパーマーケット、アルバートソンズ社のラリー・ジョンストン氏の報酬は7620万ドル。(株は4年間で39%の下げ)そして、過去4年間で株価が半分になったブリストル・マイヤーズ社のピーター・ドーラン氏には、4100万ドルの報酬が支払われている。ファンドマネージャー、ドン・ホッジス氏の言葉を借りれば、まるでロックスター並の金額だ。

野球やバスケットボールを引き出す必要もないが、高給を取るには、着実に実績を上げるだけでなく、チームに大きな貢献をしないといけない。成績に関係なく、最高経営責任者に高額な報酬を払う会社には、一つの共通点があるとホッジス氏は言う。「シエナやサンミナを調べて分かることは、コーポレート・ガバナンス(企業統治)の貧弱さです。私の運用するファンドは、今年35%の利益が出ていますが、納得のできない報酬を最高経営責任者に払っている会社には投資しません。」

最後に上記企業とは逆の、優良企業を紹介しよう。

・セレダイン社:過去三年間、最高経営責任者の年俸は76万6000ドル(約8千426万円)。株価は+924%。
・ホールフーズマーケット社:最高経営責任者は過去4年間、平均年俸は64万5000ドル。株価は306%増。
・ディジ・インターナショナル社:年俸74万ドルが最高経営責任者に過去3年間払われた。株価は320%の上昇。

トレードコーチが教える投資成功法

練習試合ではガンガンと長打を飛ばすが、本番になると全く打てなくなってしまう選手がいる。既にそれなりの技術はマスターしているが、精神面の弱さが成功への道を阻んでいるわけだ。株や先物指数のトレーダーにも、同様な症状に悩む人たちが多い。ペーパートレード(実際の資金を使わない売買練習)の時は素晴らしい成績を上げるが、実トレードに移ると正反対なことをしてしまう。損が重なり資金が減ると、どうしても自信喪失となる。

アリ・キエフという有名なトレードコーチがいる。氏はプロスポーツ選手の精神面コーチとしての経験を生かして、現在はヘッジファンドマネージャーや、証券会社のトレーダーたちをコーチしている。特にSACキャピタル社はキエフ氏の指導の結果、2500万ドルの資金を5億ドルに増大させた。さっそく氏の話を聞いてみよう。

「成功しているプロスポーツ選手とトレーダーには、いくつかの共通点があります。絶えず自己分析を行い、より優れた成績を上げるために、何をどう改善するかを検討します。練習復習、練習復習を繰り返して、平均的な結果に満足するのではなく、常に最高なレベルを求めるわけです。

株や先物トレードがうまくいかない、と悩んでいる人の多くは明確なゴールを持っていません。漠然と儲けたい、と言うだけでは、目的地の無いマラソンのようなものです。これでは正しく売買を分析できません。トレードで失敗が重なる大きな原因は、あまりに感情的になるからです。勝つ度に大はしゃぎ、負ける度に絶望に陥る。完全に感情に支配されています。大切なのはゴールに焦点を合わせることであり、トレードのスリルを味わうことではありません。」

もちろんキエフ氏は、感情を殺せ、と言っているわけではない。どんなに嬉しい時でも冷静に、第三者的な立場で自分を見ることが大切であり、これが成功への鍵になる。氏の話を続けよう。「私たちは常識で物事を見る習性があります。言い換えれば、私たちは一般の人たちと一緒に箱の中に入っているわけです。画期的な発明やアイディアは、この箱の中からは生まれません。毎朝トレーダーたちはインターネットで情報を集め、皆同様な売買を試みるのですから、失敗しても当たり前です。」どうやらコーチは大衆の逆を行くことを薦めているようだ。

今アメリカに求められる真のリーダー

ポール・アカード氏(36才)、ニューオーリンズ市警官、がピストル自殺した。全く冗談の通じない、超真面目警察官だったらしいが、ハリケーン・カトリーナの犠牲者になってしまった。市民を安全な場所へ誘導するだけでなく、次々に起こる商店の略奪で、警官たちの労働時間は一日20時間近い日々が続いている。

アカード氏もハリケーンで家を失った一人だが、「まるで何年も寝ていない病人のようでした」、とマーロン・デフィロ警部は言う。愚痴をこぼしても始まらない、とにかく今は出来る限りのことをするだけだ。必ず明るい日がまたやって来るさ、と警部はアカード氏をなぐさめたようだが、ハリケーンの傷はあまりにも深過ぎた。

一人一人の力も大切だが、大災害から立ち直るには強いリーダーが必要だ。コラムニストのペギー・ヌーナン女史は、こんなことを述べている。「ルーディー・ジュリアーニ氏(ニューヨークを襲ったテロ事件時の市長)から、政治指導者たちは学ぶことがあると思います。事件後ジュリアーニ市長は何度も記者会見を行いましたが、氏が言ったことはとても具体的なものでした。

たとえば、No.4の地下鉄は11時まで運行停止になる、また土曜日はどの道路が交通止めになる、といった正確な情報です。市長は適切に状況を把握している。これなら市のことはジュリアーニさんに任せておけば大丈夫だ。そんなふうに思った市民が多かったことでしょう。

キャスリーン・ブランコ、ルイジアナ州知事をジュリアーニ市長と比べてみましょう。ハリケーン直後、数回の記者会見で、州知事は動揺を隠すことができませんでした。知事は繰り返し被害者に対しての同情を強調しましたが、これはリーダーとして適切な態度とは言えません。もちろん知事も人間ですから、家を失った人たちを気の毒と思うのは当然です。しかし、知事は具体的な情報、そして州政府はどう問題に対処していくのか、といった肝心なことを人々に伝えることができませんでした。」

ここで話はブッシュ大統領へと進むのだが、ヌーナン女史は痛烈な批判を浴びせている。「大統領は湾岸州に起きた大災害を、本当に理解しているのでしょうか。たぶん大統領は、ペルシャ湾にしか興味がないのでしょう。商店街は一部の市民たちに荒らされ、下水システムの破損で市は伝染病の危機にさらされているのです。とにかく、もっと多数の兵をニューオーリンズに送らなければだめです。」アメリカ、真のリーダーは不在のようだ。

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