2010年10月29日 のCoolに過ごそう

テスラは売れるのか?

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テスラとは、スポーツタイプの電気自動車(EV)を生産・販売する米テスラ・モーターズの略称。

トヨタの出資で名前が報道されたので、ご存じの方は少なくないはず。

tesra01.jpg

今現在、日本にはテスラの2人乗りのスポーツカーが12台が正規輸入され、7台が販売済みだという。

日本に輸出された12台のロードスターは特別仕様車で、価格は1870万円!

9月以降の本格販売時には、最安モデルが1340万円というから決して安くはない。

アメリカでは、1000万円が10万円くらいの金銭感覚の、いわゆるお金が余ってしかたない人が、他人が乗ってないスポーツカーに乗りたい、という理由で購入しているようだ。


 

テスラの話題性は、スーパーカー真っ青の加速性能と、その割に長い航続距離から来ているようだ。

というわけでネットで調べてみると・・

テスラ・ロードスターはパナソニックグループのEV用リチウムイオン電池を6831個(450kg)を搭載、総重量は1,345キロ。

搭載バッテリーは「18650」というラップトップコンピューターなどに使われる汎用のリチウムイオンバッテリー。

この量産バッテリーは価格が安く、1kWhあたり4万円くらい。

三菱自動車のi-MiEVが使っているGSユアサ製のリチウムイオンバッテリーだと1kWhあたり15万円くらい。

ちなみにi-MiEVの場合、16kWh分搭載しており、バッテリーの価格だけで240万円!

テスラが使っている 1kWh当たり4万円の18650なら64万円で済む計算になる。

  

電気自動車用リチウムイオンバッテリーというのは、千個以上のセルという小さなバッテリーを組み合わせて使う。

ただ千個の中に性能の悪いセルが1つでもあるとバッテリー全体の性能が落ちるため、製造管理は極めて難しいのだという。

というわけで、均質な性能を持つセルを作ると、バッテリーのコストが上がってしまう、というジレンマに陥る。

テスラの凄いのは、6千個というセルの中に、たとえ2、3個の不良品が混ざっていたとしても、それをカバーする制御を実現した点だという。

と書くと、トヨタが出資したのは、プラグインハイブリッド車などにこの「18650」を使うためなのか?!

と早トチリしそうだが、答えはノー!

何故なら、18650の大きな弱点は充放電回数が、少なく今のところ長寿命タイプでも千回に届かないからだ。

だが18650バッテリーは日々改良を加えられているから、少しづつ寿命は延びているとはいうものの、現在はまだ千回のカベを超えられるかどうか、というレベルなのだ。

テスラも当然このことは承知の助。

そのため、テスラロードスターには日産リーフの2倍以上の450キロもの重いバッテリーを搭載しているのだ。

  

バッテリーをたくさん積み、テスラロードスターのように充放電1回あたりの走行距離を300km分確保できれば、600回の充放電寿命で18万kmの走行が可能になる。

だがバッテリー搭載量を最小限にしなけれならない、プラグインハイブリッドだと、テスラのような重いバッテリーを積むわけにはゆかない。

最低3千回の充放電寿命と10年を超える時間的な耐久性を確保しないと、商品として成立しないためだ。

日産リーフのような乗用車タイプでは、1回の充放電で100km走るとして、寿命を30万kmくらいに設定しておく必要があるのだ。

  

トヨタが本格的な電気自動車を大量に生産すると目される2014年くらいには、圧倒的に優れた性能を持つ電気自動車用のリチウムイオンバッテリーも、18650バッテリーより安くなっている可能性があると目されている。

じゃあ何故トヨタは45億円を出資したのか?

 おそらくイメージアップのためだろう。

トヨタは電気自動車の開発で日産に遅れを取ってしまっているため、テスラと提携すれば、イメージ的にも有利になるからだ。

  

実用性としての充電機能はというと、これだけたくさんのバッテリーを積んでいるだけあって、一度充電すれば300キロは走るようだ。

充電は5m専用ケーブルで、通常のコンセント(最大15A)でも充電可能だというが、充電時間は長くなる。

100Vでも65Aで充電すれば、4時間で満充電となり、200Vの専用高速充電機を用いれば、3.5時間ほど。

ただしこの専用充電機は19万5000円のオプションで、もちろん家庭の電源工事費用はオーナー持ち。

 

で、肝心なスポーツカーとしての魅力はどうなのだろうか?

ネットで探すと、それなりにインプレッションは出てくるが、シロートは加速が凄かったという、興奮しまくりの評価なのでよくわからない。

で専門家の印象を集めてみると、こういう事になるらしい。

tesra02.jpg

2本出しのマフラーがないのがチト寂しいリアビュー。(笑)

  

テスラロードスターは、ロータスエリーゼのボディ+カーボンパーツで構成されているため、さぞかしスポーティだろうという印象を持ってしまうが、前後重量配分は35:65と、結構なリアヘビー車に仕上がっている。

車両重量自体が1200kg以上もあるため、どうしても「小さいのに重い」車を無理やり曲げて転がす感じになるという。

そのうえアクセルペダルを強く踏むと、加重がリアに寄ってしまうため、フロントの接地感が少なくなり、トラクションがかからなくなるようだ。

多くの人はスポーツカーに対して 軽快感を求めるが、どうやらこの部分の魅力はイマイチのようで、ハンドリングではロータスのようなステアリングレスポンスとは大きく異なり、フィーリングとしては、バカ早いスポーティなクーペといったところのようだ。

  

ちなみに0→100km/h加速はスーパーカー並みの3.9秒と報告されているから、ハンドリングを考えると、性格的には「直線番長」。

さらに問題なのは、日常での使い勝手。

こうした手の車の回生ブレーキでは減速するときにできるだけたくさん充電したいがために、減速感がかなり強くなりがちだ。

そのため一定速で走るにはある程度アクセルを踏み込んでいる状態を続ける必要があるのだ。

アクセルのONとOFFとがはっきりとしているため、右足をラフに動かすと駆動系にバックラッシュが来て、踏めば「カコン」、戻せば「カコン」という加減速を繰り返すことになる。

そのため右足はデリケートに操作する必要があるようなのだ。

普通の車なら、アクセルから足を話しても惰性でスーっと走るのだが、テスラでは強力なエンジンブレーキがかかったようになるため、スムースに走らせるためには、普通の車とは違ったアクセルワークが求められるわけだ。

 

どうやら問題はクルマ作りのノウハウにあるようで、現在のこの値段帯の市販車レベルにはほど遠いようだ。

この値段のスポーツカーの魅力は何かというと、自動車とは違うジェット機のようなサウンドとか、加速のドラマ性とかの、いわゆる病みつきなるような味付けなのだ。

ネックは何と言っても、重さではないだろうか。

重さは高級感の演出にはプラスとなっても、スポーティという側面からはマイナス要因としかならないわけで、 ただ単に加速性能がいいだけではねえ。

 

現時点では、電気自動車という記号を外すと「ロータスのような形の加速が凄い電気アメ車」と書けばわかりやすいかもしれない。

ま、試乗記というのは、自分で乗ってみないとわからないわけで、以上はネットでのそれなりの人たちの評価を集めただけなので、ツッコミはなしですぜ。(笑)

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