US Market Recap

スーパー・リッチが買う銘柄

プリンス・アンド・アソシエーツ社の調べによると、個人資産が100万ドルから一千万ドルまでの消費者の75%は、次期大統領としてジョン・マケイン氏(共和党)を支持している。


しかし、個人資産が三千万ドル(約28億9830万円)を超える消費者、いわゆるスーパー・リッチ・クラスの三分の二は民主党から立候補しているオバマ氏を推している。

ここからは、ジェーソン・シュウォーツ氏(LPAM社オプション投資戦略家)の推測になる。

スーパー・リッチの一人として、ジョージ・ソロス氏(大投資家)が、オバマ氏を支持していることは有名だ。2005年、ソロス氏の率いる70人のリベラル派スーパー・リッチ・グループは、なぜブッシュ大統領の再選を阻止できなかったを分析し、2008年の民主党勝利に向けて動き始めた。

最近の荒れる株式市場の一要素として、記録的な解約者の殺到で、ミューチュアル・ファンドやヘッジ・ファンドが株を売ることを余儀なくされていることが報道されている。ひょっとしたら、これはスーパー・リッチが関与している可能性はないだろうか?

10月3日、7000億ドルの金融安定化法案が可決され、ダウ指数は10844まで上昇したが、終了間際の1時間で10325まで売られてしまった。こんな形で、もっと限定して言えば、大引け間際10分間でのマーケット操作が最近目立つようになった。

「黒い月曜日の再来」、「大恐慌」などというヘッドラインで分かるように、政府による金融機関への膨大な資金投入で事態は好転の兆しを見せているにもかかわらず、相変わらず株式市場は低迷が続き、一般投資家たちのパニック売りが止まらない。こんな状態だから、ブッシュ政権への反感は更に高まり、オバマ氏がいっそう優勢になった。

操作が顕著なのは金市場だ。報道されているように、米国が本当に大恐慌に陥る可能性があるなら、金価格は1028ドルの最高値を既に突破している筈だ。金に限らず、乱高下する今日の株式市場は、一部のスーパー・リッチによって演出された可能性がある。

先日、ニューヨーク・タイムズに掲載されたコラムで分かるように、この悪環境でバフェット氏(著名投資家)が株を買い始めている。はたして、スーパー・リッチな投資家は、どんな銘柄を狙うのだろうか?シュウォーツ氏は、こう答えている。

「対象になるのは、不当に大きく売られた、借金が無く膨大な現金を保有する企業だ。」 例として、シュウォーツ氏は、次の15銘柄をあげている。(もちろん、これらは単なるアイディアであり、買い推奨ではないことをお断りしておきたい。)

1-Apple (AAPL)、2-Automatic Data Processing (ADP)、3-China Mobile (CHL)、4-Cisco (CSCO)、5-Ebay (EBAY)、6-Exxon Mobil (XOM)、 7-Garmin (GRMN)、8-Geron (GERN)、9-Google (GOOG)、10-Gushan Environmental (GU)、11-Intuitive Surgical (ISRG)、12-Lululemon Athletica (LULU)、13-NVIDIA (NVDA)、14-Stryker (SYK)、15-Yahoo (YHOO)

(情報源: http://seekingalpha.com/article/101952-obama-billionaire-supporters-are-causing-market-headwinds?source=wl_tab

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(オバマ、マケイン両候補)

 

増える悲観論者

今週のFOMCで、FF金利が1%に引き下げられることが見込まれている。世界的な金融危機なのだから当たり前の措置だ、という意見が圧倒的に多いが、ここでの金利引下げは本当に効果があるのだろうか?


ほとんどの経済学者たちは、金利引下げは銀行の貸し渋りに対する直接的な解決方法ではないから、利下げが直ぐに好結果となって表れることは無いと言う。しかし、金利引下げは金融市場に心理的な好影響となるから、いったん銀行が積極的に金を貸し始めれば、消費者は低金利で資金を得ることが可能になり、長引く景気低迷を防ぐことができると見られている。

ピーター・コーハン氏(ザ・コーハン・レター)は、こう書いている。

この金融危機を乗り切るために、バーナンキ連邦準備制度理事会議長がしたことは、単にヘリコプターから大量のドル紙幣をばら撒くことだ。マーケットは、既に0.5ポイントの金利引下げを織り込んでいるから、利下げが実施されないとダウ指数は大幅に下げることだろう。

しかし、ここでの利下げに、どんな意味があるのだろうか?現在、30年住宅ローンの利子は、FF金利が5.25%だった2007年夏の6.45%と変わりはない。ポール・クルーグマン氏(ノーベル経済学賞受賞者)によれば、この相変わらず高い住宅ローンの利子は、米政府が経営危機に陥った政府系住宅金融会社ファニーメイ、そしてフレディマックの債務を100%バックアップすることを保証しなかったためだという。

マーケット関係者によっては、0.5ポイントではなくて、利下げ幅は0.25ポイントになるという見方をしているが、私は、ここでの利下げは無駄なことだと思う。金利引下げという大切な武器は、次の緊急事態まで保管されるべきものであり、今ここで1%まで下げてしまったのでは、もうこれ以上の引き下げが出来なくなってしまう。

11月の大統領選挙が目前となったが、次期大統領が就任するのは、来年1月になってからだ。もしブッシュ大統領が、国民の経済的な苦しみを本当に理解しているなら、11月5日、選挙が終わりしだい次の大統領が即刻金融危機問題に取り組むべきだと思う。

明らかに、コーハン氏は反ブッシュだ。氏のように、政府に対して怒りや不満を表明する人が増えているが、こういう諦めムードの消費者も増えている。

「誰が大統領になっても、向こう数年間、アメリカは暗い経済状態を経験することになるだろう。アメリカは、既に国家の未来を使い切ってしまった。製造業は海外へ逃げ、アメリカに残っているのはサービス業だけだ。サービス業だけで、国が繁栄することはありえない。米国は物を生産する重要性を見直して、今のような貿易赤字国家から、貿易黒字国家にならなければいけない。しかし悲しいことだが、それが実現されることはないだろう。」 sgentilejrさん

 

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(情報源: http://www.kentucky.com/783/story/550045.html

http://www.bloggingstocks.com/2008/10/26/will-the-fed-waste-its-dwindling-ammo-on-a-50-basis-point-rate-c/

底の形成?

週末のブログで、バリー・リットホルツ氏が、こんなことを指摘している。下は、S&P500指数に連動するSSOの日足チャートだ。(注:SSOは、S&P500指数が1%上がると、2%上昇する仕組みになっている。)


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円で囲った三カ所の、膨大な出来高に注目してほしい。ローソク足を見ると分かるが、安値をつけているけれども、結果的には、どの日も陽線で終了している。下降するトレンドラインを突破なら、W型の底が確認される。

リットホルツ氏は、ファンダメンタル分析を基盤にして銘柄を選び、売買タイミングはテクニカル分析でつかんでいる。氏は、単に底が形成されている可能性を語っただけなのだが、いつもの量を大きく上回る読者たちの書き込みが目についた。

・「マーケットは、安値圏で予想以上に長い横ばいを展開することがあるから、ここが底になるかどうかを見極めるのは難しい。」 Patrickさん

・「テクニカル分析を使った底の予想など役に立たない。リットホルツさん、ここで買って、わざわざ損をしようとしているのですか?」 aramさん

・「私たちは、はっきり限定された要素を分析して、売買のタイミングをつかんでいる。同じやり方で、1月、3月、そして7月、私たちは好タイミングをつかむことができた。」 BRさん(バリー・リットホルツ氏)

・「W型の底というより、これは三角形だと思う。ここで底辺を割ったら、マーケットは、大きく下げるような気がする。」 Dow4000さん

・「マーケットが大底を打つときは、ここが底だ、と予想する人たちなどいない。」 Imelda Blahnikさん

・「急ぐことはない。たとえブレイクアウトがあっても、その後には戻しが来る。それに、本当の底形成には、かなりの時間もかかる。」 DLさん

・「リットホルツさん、W型の底ではなくて、これは下降するウェッジに似た形だから、ブレイクアウトではなくて、ここでは売りを考えるべきだと思う。」 Colderさん

(情報源: http://bigpicture.typepad.com/comments/2008/10/sp-500-forming.html

ウォール街を信用する人など一人もいない

大手資産運用会社T.Rowe Priceの最高経営責任者が、「今は持ち株を売る時ではない」、と投資家たちに呼びかけた。しかし、ウォール街に対する嫌悪感が最高に達している今日、この声に耳を傾けた人はいたのだろうか?


金曜のコラムで、マイケル・ブラッシュ氏は、こう書いている。

ウォール街を信用する人など一人もいない。今日の、金融市場の大混乱を考えれば当たり前のことだ。しかし、資本主義社会に重要な役割を果たすウォール街を崩壊させるわけにはいかない。

何としてもウォール街を再建しなければいけないのだが、その前にやることがある。我々は、無責任な投資をして、金融システムを破綻させたウォール街の犯罪者たちを捕らえて罰せなければならない。これが実行されなければ、一般投資家がウォール街に戻ることはない。

さて、株を売るな、と言ったT.Rowe Priceの最高経営責任者の要点はこれだ。

「投資家は、長期ゴールを忘れないで、ここで狼狽売りをするようなことがあってはならない。株式市場は直ぐに回復するとは思われないが、我々は、この難関を乗り切ることができる。」

掲示板の書き込みを見てみよう。

・「今は株を売る時ではない。正解だ。なぜなら、株を売るべき時は1年前だったからだ。」 cbentleyさん

・「先日、クレーマー氏(人気株番組の担当者)が、持ち株を処分しろ、と言っていたが、あれは正しかったかもしれない。世界の株式市場は、向こう2年間、回復することはないと思う。」 Keep-it-Realさん

・「ここで買い足して、持ち株の平均コストを下げるチャンスだ!やめとこう、金を無駄にするだけだ。」 ffischer76さん

・「今は売る時ではない、などと言っているが、最近解約者が増えているから、口座管理手数料の減少を防ごうとしているだけだ。」 bobbobwhiteさん

・「今は持ち株を売る時ではない、、、、何10億という資産があるから、そんな事が言えるのだ。」 ccrtottgnさん

・「もちろん、この時点で売るのは間違っている。どんなに厳しい下げでも、マーケットには、必ず短期間のラリーが起きる。だから、売るなら先ずラリーを待つべきだ。」 keeney7さん

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(情報源: http://articles.moneycentral.msn.com/Investing/CompanyFocus/5-ways-to-fix-wall-street.aspx?page=1

http://www.marketwatch.com/news/story/now-not-time-sell-t/story.aspx?guid={5F6FEE25-BB55-47CD-9B2C-2EA51D909BBC}&dist=TNMostRead) 

最近見られるマーケットの習性

7月、原油は1バレル150ドルに迫り、200ドルに達するのは誰もが時間の問題だと思っていた。そして今日、予想に反して、原油は70ドル以下で取引されている。


ということで、原油と同様に、ここ数カ月間で大きく変わってしまったものを見てみよう。

・6カ月前、ガソリンや食品の例で分かるように、消費者を悩ませていたのは上昇する物価だ。悪質なインフレを警報するアナリストも多かったが、状況が一変してしまった今日、国際通貨基金は「インフレの危険は無い」という見方を発表している。

・半年前、アナリストたちは、たとえ米国経済が下向きになっても、新興市場の景気は衰えることは無いと主張していた。経済活動の主導権は、西側諸国からアジアへ移るという意見も出ていたが、5月以来、多くの新興市場の株は50%近い下げになっている。

・6カ月前、トレーダーの間では、商品市場のスーパー上昇サイクルが通説になっていたから、トウモロコシ、銅、小麦、と無差別に商品が買われていた。しかし、多数の商品が7月にピークとなり、450を超えていたCRB商品先物指数は現在260台だ。

・6カ月前、ドルは異常な下げ方を続けていた。2000年以来、ユーロに対してドルの価値は半減し、下落がストップする様子は全く無かった。しかし、顕著になったヨーロッパ経済の低迷で、最近ドルが大きく回復している。(対円は除く)

さて、ここで米国株式市場に関する話題に移ろう。

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(チャート:ウォールストリート・ジャーナルから)

上は、今年4月1日から10月17日までの、ダウ指数の動きを示したものだ。青い線は、この期間中にダウ指数が実際に下落した27.81%を表し、赤い線は、取引時間の最後1時間での下げ幅(12.96%)が表示されている。

これが意味するのは、約半分に相当するダウの下げは、取引終了の1時間に起きているということだ。ドリーン・モガベロ氏(Mogavero, Lee & Co)は、こう語っている。

「膨大な量の取引が終了間際の1時間に殺到し、株価に大きな差が生じる、という現象が起きている。もちろん、マーケットの開始にも大量な取引が押し寄せるが、終了直前のような混乱は起きない。とにかく最近顕著なのは、大きな注文が終了間際に異常に集中することだ。」

そういえば、ジェイ・ユー氏(undergroundtrader.com)が、こんなことを書いていた。「デイトレーダーは、終了間際の1時間を避けるべきだ。特に、午前中の損を取り戻そうなどと考えているなら、尚更最後の1時間は避けなくてはいけない。」

(情報源:http://www.telegraph.co.uk/finance/3241971/Five-things-investors-believed-about-the-market-six-months-ago-but-now-dont.html

http://blogs.wsj.com/marketbeat/2008/10/23/unhappy-hour/

注目されるバリュー株

こんなマーケットで投資などできない、と諦めてしまった人たちも多いが、先日ニューヨーク・タイムズに掲載されたウォーレン・バフェット氏のコラムで分かるように、ここで株を買い始めた投資家たちもいる。


こんなダウントレンドのマーケットで、しかも底打ちの確認も無く、いったい何を買っているのだろうか?今日のマーケットで存在しないのは、株が高値を更新する度に買う、モメンタム型の投資家たちだ。言うまでもなく、勢いを重要視するモメンタム型の投資は、今日のような下げ相場ではなく、ブルマーケットに適した投資方法だ。

今日のマーケットで買われているのは、バフェット氏の登場で明らかなように、モメンタム株ではなくてバリュー株だ。バリュー株を、「割安株」と訳すのが普通だが、それだと少し誤解される恐れがある。バリュー(value)には「価値」という意味があるから、単に割安だけでなく、投資するだけの価値がなければならない。

知人が、「私の口座は割安株で溢れている」、と自嘲気味に言っていたが、株価が大きく下げただけではバリュー株に仲間入りすることはできない。

では、バリュー株の条件は何か、ということになるのだが、先ず「バリュー株」の定義から見てみよう。

「バリュー株とは、本来の価値から見て割安な株のこと。」

本来の価値から見て割安?そもそも、株の本来の価値とは何だろう?

「その株本来の価値を見積もる作業は難しいが、原則としては、収益性、資産性、成長性などから分析して見積もる。そして、そのように見積もった本来の価値からみて、割安と判断できる株のことをバリュー株という。」

(定義は、All Aboutマネーから引用した。)

見てのとおり、投資に適したバリュー株を探し出すには、ファンダメンタルズの分析が必要になる。ファンダメンタルズか、面倒だな、と尻込みする人が多いと思う。そこで、訳の分からないことを言うウォール街のアナリストではなく、ケビン・マトラス氏(ザックス・インベストメント・リサーチ)の説明を読んでみた。

結局、バリュー株の条件は3つに集約されていた。

1、予想される一株利益と成長率が5年平均を上回ること。

2、現在のPER(株価収益率)が5年平均より40%以上低いこと。

3、ザックス社の評価が1と2であること。(強い買い、そして買い推奨を示す。)

ということで、マトラス氏は、上記の条件を満たす株として下記の5つを挙げている。(もちろん、単なる投資アイディアにすぎないことを、お断りしておこう。)

・The Children's Place Retail Stores, Inc. (PLCE)

・GeoResources, Inc. (GEOI)

・G-III Apparel Group, Ltd. (GIII)

・Hot Topic Inc. (HOTT)

・Pegasystems Inc. (PEGA)

 

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(情報源: http://kw.allabout.co.jp/words/w000441/バリュー株/

http://www.zacks.com/newsroom/commentary/?id=8959

 

 

耳慣れない指標から買いシグナル

バリー・リットホルツ氏、ダグ・カシュ氏、株に対して弱気な姿勢だった両者が強気になった。そして今日、マーク・ハルバート氏は、VLMAPが買いシグナルを発していると言う。


VLMAP?全く聞いたことが無い名前だ。ハルバート氏の説明を要約しよう。

VLMAPは、バリュー・ラインから毎週発行されている、「バリュー・ライン・インベストメント・サーベー」に記されている一つの数値であり、Value Line's Median Appreciation Potentialの頭文字を取ったものだ。

バリュー・ラインのアナリストたちは、約1700に及ぶ株を分析し、一つ一つの銘柄が向こう4年間で何パーセント上昇しそうかの予想も付けている。要するに、VLMAPというのは、この予想された上昇率の中間値だ。現在のVLMAPは135を示し、これは1700銘柄に予想される、向こう4年間での上昇率の中間値が+135%という意味になる。

ここ20年間のVLMAPの動きを振り返ると、最低の数値は30、そして最高の数字は現在と同じ135だ。PADシステム・レポートのダン・サイバー氏によれば、好タイミングで株に投資するなら、VLMAPが少なくとも100に達する必要があると言う。今回を除くと、近年でVLMAPが100を越えたことは2回あった。先ず、2001年のアメリカ同時多発テロ事件直後(105)、そして2000年ー2002年のベアマーケット終了直後(115)だ。言うまでもなく、それらの数値が記録されてから、マーケットは4年間で顕著な上げとなった。

さて、冒頭に記したように、空売りで有名なダグ・カシュ氏がブルになった。なぜ、ここで株を買う気になったのだろうか?氏は7つの理由を挙げている。

1、立ち直り始めた金融市場。LIBOR金利が下がり、銀行が金を貸し始めた。

2、世界的に広がる金融機関救済の動き。週末、韓国、オランダ、中南米の国々も金融機関救済に乗り出した。 

3、金融機関を除けば、米国企業のバランスシートは、まだ比較的しっかりしている。

4、広域にわたる商品市場の下落で、インフレの心配がなくなった。

5、米国住宅市場の回復が始まるのは2010年に入ってからと思われるが、住宅価格の下落スピードが鈍っている。

6、消費者信頼感が極めて低いレベルに転落している。(マーケットの底付近では、消費者信頼感が、かなり低くなる。)

7、まだ静かだが、企業吸収合併の動きが見られるようになった。

最後に、カシュ氏は、こう付け加えている。「これは、前に書いたようなエイプリル・フールのジョークではなく、私の率直な楽観論だ。」

 

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(情報源: http://www.marketwatch.com/news/story/last-time-market-timing-indicator/story.aspx?guid={857540F1-3E4A-4264-B27A-391696699BC2}

http://www.thestreet.com/story/10443244/1/kass-buy-it-like-buffett.html

 

呆れたウォール街

「金融安定化法案が、だれのために可決されたかが分かっていれば、このニュースに驚くことはなかった筈だ。」 Nulliusさん

「全く考えられない恥ずべき振る舞いだ。」 FosterJPannさん


思ったとおり、掲示板は非難の声で溢れている。とにかく、報道された内容が内容だっただけに、これでウォール街のイメージは落ちるところまで落ちた、という感じだ。

10月18日(土)、ガーディアンは、先日可決した金融安定化法案の10%の金額に相当する、700億ドルのボーナスがウォール街で支給されるという記事を発表した。

そもそも、ボーナスというものは、功績をたたえるために支払われるものであり、単に一年間通勤したというだけの理由で支払われるものではない。

ご存知のように、サブプライム住宅ローン、不動産ローン担保証券などでウォール街の金融機関は膨大な損を出し、功績どころか失敗に失敗を繰り返し、けっきょく政府(国民)に救ってもらうことになった。

2001年のアメリカ同時多発テロ事件のような事態なら、国民は一致団結して、被害者たちを助けようという気になる。しかし、今回のように、訳の分からない投資に失敗した金融機関を救済する金融安定化法案に対して米国民は極めて批判的だった。

「私のレストランが経営に行き詰まっても、政府は何もしてくれなかった。それなのに、ウォール街の肥った猫が困ったとなると、政府はさっそく莫大な資金の注入だ」、という言葉を何回聞いたか分からない。ただでさえ国民の金融機関に対する反感が強いときに、ウォール街の決めたことは700億ドルのボーナス支給だ。

もっと具体的な話をしよう。

10月7日、ABCニュースは、AIG(大手保険会社)の経営陣の豪遊ぶりを報道している。政府から850億ドルという桁外れな救済金を受け取った直後、AIGの経営陣は1週間におよぶ、カリフォルニアの豪華リゾートで休暇を楽しんだ。使った部屋代は20万ドル(約2035万円)、食費15万ドル(約1526万円)、それにマッサージ代なども加えると合計金額は44万ドル(約4477万円)を超える。

マーク・スーダー氏(下院議員)は、こう語っている。

「全く無神経な経営陣だ。彼らは、我々国民の金を無駄使いしたのだ。」

 

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(AIGの経営陣が豪遊したリゾート)

(情報源: http://www.abcnews.go.com/Blotter/story?id=5973452&page=1

http://www.guardian.co.uk/business/2008/oct/17/executivesalaries-banking

米株は本当に割安?

ファイヤ・セール(fire sale)という言葉がある。「焼け残り商品の特売」、というのが元々の意味になり、現在は「格安」、「割安」などを表現する言葉として使われている。


ウォーレン・バフェット氏は、「今こそ米株を買うべきだ」、と金曜のコラムで力説していたが、バフェット氏は割安株の投資で有名だ。言い換えれば、「ファイヤ・セール」されている銘柄を見つけるのが上手い、ということになる。当然ここで疑問になるのは、今日の米株は本当に割安なのだろうか、というものだ。

土曜のコラムで、ブレット・スティンバーガー氏は、こう書いている。

・S&P500指数の過去30年間の平均数値は、この指数を構成する全銘柄の帳簿価額を合計した2.4倍に相当する。

・2000年の天井では、S&P500指数は帳簿価額を合計した約5倍に達し、1982年の低迷するマーケットでは帳簿価額以下になった。

・現時点のS&P500指数は、帳簿価額を合計した1.5倍のレベルだから、ネッド・デービス・リサーチが指摘する1.2の割安レベルには達していない。

・しかし、トレーダーの立場から見れば、現在のマーケットは明らかに売られ過ぎであり、短期から中期にわたるラリーが展開されても全く不思議ではない。

・もし今日の金融危機が、本当に恐慌以来最悪のものなら、マーケットは長期的な底を打つ前に、S&P500指数は帳簿価額まで下がることになるだろう。これは破滅論ではなく、過去30年のマーケットで、我々が既に経験したことだ。

さて、バフェット氏は、どの株を買っているかについてはコラムで全く触れなかったが、ロイターの報道によると、バフェット氏は氏が指揮をとるバークシャー・ハサウェイが投資している株を買う傾向があるという。

先月、バークシャー・ハサウェイは合計で80億ドルをゼネラル・エレクトリック(GE)、そしてゴールドマン・サックス(GS)に投資した。ゴールドマン・サックスの投資は優先株が対象になり、10%の配当金が支払われる。更に、バークシャー・ハサウェイはゴールドマン・サックスのワラントも手に入れ、ゴールドマン・サックス株を割引で買う権利も獲得した。

チャールズ・ガイスト氏(マンハッタン大学教授)は、こう述べている。

「今日の投資家は、長期的にマーケットを見ることはない。ほとんどの人たちは、下げマーケットは直ぐに終わって、強烈な上げ相場が来ると思い込んでいる。しかし、長引きそうな不景気を考慮すれば、今回はそう簡単に株式市場が回復するとは思われない。」

 

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バフェット氏

 

(情報源: http://news.yahoo.com/s/nm/20081017/bs_nm/us_buffett_stocks_2

http://www.comstockfunds.com/files/NLPP00000\030.pdf

http://seekingalpha.com/article/100533-fundamental-valuation-how-low-could-we-go?source=headline1

バフェット氏のルール

私は株を買っている、という一般的な表現ではなく、大投資家ウォーレン・バフェット氏は、「私は私個人の口座で米株を買っている」、とまるで宣言するようなコラムを書いた。


そうか、なるほど、バフェット氏が買っているなら、ここが大底に違いない、とさっそく株に資金を移した人たちもいることだろう。では、なぜバフェット氏は米株を買う気になったのだろうか?

米国、海外の金融市場は混乱状態だ。この混乱は金融市場だけにとどまらず、今や一般経済に大きな被害を与えている。短期的には、失業率の上昇、企業活動の低迷、そしてニュースは嫌なヘッドラインばかりが目立つことになるだろう。という訳で私は、100%国債だけに投資していた自分の口座で、米株を買い始めた。

そういえば、最近、国債が下げていたな。

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(10年物国債の日足)

バフェット氏の話に戻ろう。

買いを決めた理由は、一つの簡単なルールに従ったまでだ。「大衆が貪欲な時は警戒しろ。大衆が恐れている時は貪欲になれ。」言うまでもなく、今日、ベテラン投資家も含めて大衆はかなり弱気になっている。しかし、優良企業の長期的に見た将来に対して、極端に弱気になるのは間違っている。

私には、1カ月後、1年後の株式市場が、高くなっているか安くなっているかは分からない。しかし、マーケットは大衆の投資心理が好転する頃には、既にかなり上がっていることだろう。ようするに、コマドリを待っていたのでは春が終わってしまう。

バフェット氏は、この銘柄を買った、ということは一言も書いていない。しかし、皆さんもお気付きになったと思うが、氏は日本の有名な相場の諺を言っただけだ。 「人の行く裏に道あり、花の山」

(バフェット氏のコラム全文: http://www.nytimes.com/2008/10/17/opinion/17buffett.html?_r=2&oref=slogin&oref=slogin

 

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