US Market Recap

クイズ、クイズ、クイズ

週末はいかがでしたか?「金融危機」という言葉を聞かないで、一日を終えることがない今日この頃ですが、金融危機に関するクイズを7問出題しましょう。


解答は一番下

1、2001年9月11日、世界貿易センターがテロ攻撃の標的になり、米国株式市場は、一時取引停止になりました。さて、取引が再開した日、ダウ指数は何ポイント下げて終了したでしょうか?

A、584ポイント
B、684ポイント
C、784ポイント

2、ニューヨーク市場が暴落になった、「黒い月曜日」は何年だったでしょうか?

A、1982年
B、1987年
C、1991年

3、「黒い月曜日」の暴落で、ダウは結果的に何パーセント下げたでしょうか?

A、約3%
B、約13%
C、約23%

4、1980年代、そして1990年代の金融危機で、米政府はどの程度の金額を救済のために使ったでしょうか?

A、1250億ドル
B、3250億ドル

5、アメリカの大恐慌が始まった年は何年だったでしょうか?

A、1929年
B、1933年
C、1939年

6、多くの経済学者は、米国が大恐慌から中々回復できなかったのは、スムート・ホーリー法が原因だと指摘している。

A、上の説は正しい
B、上の説は間違っている

7、米国の大恐慌は何年続いたでしょうか?

A、5年間
B、10年間

 

 

 

正解:

1、B

2、B

3、C

4、A

5、A

6、A 

スムート・ホーリー法: アメリカが1930年6月17日に成立した関税に関する法律。20,000品目以上の輸入品に関するアメリカの関税を記録的な高さに引き上げた。多くの国は米国の商品に高い関税率をかけて報復し、アメリカの輸出入は半分以下に落ち込んだ。

7、B

(クイズはhttp://money.aol.com/から)

 

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2001年9月11日 (写真:AP)

 

さっさと乗り換え、原因はバフェット氏?

金曜、米下院は修正された7000億ドルの金融安定化法案を263対171で可決した。

ウェルズ・ファーゴ銀行、ワコビアを買収、というヘッドラインに一番驚いたのはシティグループだろう。


経営難に瀕し、倒産の可能性まで報道されていたワコビアは、月曜(9月29日)、シティグループとの合併に合意している。こんな事実がありながら、ワコビアは、さっさとウェルズ・ファーゴに相手を乗り換えてしまった。

先ず、ウェルズ・ファーゴが提示した買収内容を見てみよう。

買収価格は151億ドル。ワコビアの株主は、ワコビア株1株に対して、0.1991株のウェルズ・ファーゴ株を受け取ることになり、これは3ドル91セントで木曜終了したワコビアの株価を約80%上回る。

月曜、シティグループが発表した買収価格は21億6000万ドルだった。ウェルズ・ファーゴの示した金額に、全く追いつかない額だが、この買収はFDIC(連邦預金保険会社)からのバックアップを受けて、上記したようにワコビアは合意した。

とうぜんシティグループは黙っていない。さっそく、「ワコビアのウェルズ・ファーゴとの交渉は、シティグループが持つ独占交渉権を侵害するものである」、と声明を発表して裁判沙汰になりそうな雰囲気だ。

アンドリュー・スナイダー氏(Today's Financial News)は、多くの投資家が見落としていた、こんなことを指摘している。

「数日前、ワコビア買収を見送ったウェルズ・ファーゴが、木曜の終値を8割も上回る金額でワコビアを吸収合併すると発表した。このニュースが示唆していることは、ウォーレン・バフェット氏(大投資家)の割安株漁りが始まったということだ。バフェット氏は、ウェルズ・ファーゴの大株主であり、今回のワコビア買収に絡んでいることは間違いないだろう。」

法的に違反があったかどうかは別にして、米国消費者の立場から見ると、ワコビアはウェルズ・ファーゴに買収された方が都合が良い。シティグループが買収するといっても、これはFDIC(連邦預金保険会社)のバックアップ付きだから、要するに納税者に負担がかかる。しかし、ウェルズ・ファーゴは株を使って買収するわけだから、消費者の重荷にはならない。

フィリックス・サーモン氏(portfolio.com)は、こう述べている。

「長期的に見ると、この買収で、ウェルズ・ファーゴは巨大銀行の仲間入りを果たすことができるでしょう。この買収に反対なのはシティグループと、その株主だけでしょう。現在、シティの株価は13%も下げています。」

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(情報源: http://www.247wallst.com/2008/10/citi-cries-out.html

http://www.bloggingstocks.com/2008/10/03/citigroup-says-wells-fargo-cant-buy-wachovia/

http://seekingalpha.com/article/98420-breaking-news-wells-fargo-buys-wachovia

http://seekingalpha.com/article/98439-wells-wachovia-good-for-everybody-but-citi

http://www.usatoday.com/money/industries/banking/2008-09-29-wachovia_N.htm

オバマ氏優勢、しかし

いよいよ来月に大統領選挙が迫った。10月2日(木)現在、intrade.comによれば、67.1対33.2でオバマ氏の当選を予想する人が圧倒的に多い。下がチャートだ。


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(上がオバマ氏、そして下がマケイン氏。)

マケイン氏(共和党)のチャートを拡大してみよう。

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10日移動平均線(1)割れ、MACDの売りシグナル(2)、この時点での下げは痛い。しかし、サポートゾーン(3)が迫り、売られ過ぎのストキャスティクス(4)を考慮すれば、そろそろ反発ラリーが展開されてもおかしくない。

オバマ氏(民主党)に移ろう。

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10日移動平均線を突破(1)、MACDがクロスして買いシグナル(2)、とここまで順調に上げてきたが、直ぐ上にはレジスタンスライン(3)が控えている。それに、過熱気味のストキャスティクス(4)だから、ここでは買い難い。

残り一カ月。何としても、オバマ氏のブレイクアウトを防ぎたいマケイン陣営だ。

(参考にしたサイト: http://www.intrade.com/

一波乱はグーグルだけではなかった

水曜の寄付き前、メッセンジャーを使って、馬渕氏(デイトレードネットCEO)から、こういう質問が来た。「GOOGに関してニュースが何かありますか?もの凄いギャップアップの数字が出ていますが。」 


GOOGはグーグルのことだが、実は、前日の大引け直前に一波乱があった。先ず、ニュースレターで説明した、一波乱の部分を抜粋しよう。

下は、グーグル(GOOG)の1分足チャートだ。終了間際の4分間に注目してほしい。

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1、15時57分:高値 483.63、安値 404.04、 出来高 453845

2、15時58分:高値 438.00、安値 41.45、 出来高 444277

3、15時59分:高値 414.15、安値 250.02、 出来高 427532

4、16時: 高値 360.00、安値 323.00、出来高 117242

グーグルが41ドル45セント?本当に、そんな値段で売買されたのだろうか。タイム・アンド・セールスで取引を振り返ってみよう。

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A、15時58分: 41ドル45セントで100株

B、15時58分: 41ドル45セントで200株

マーケット終了後、ナスダックは、グーグルの一部の取引を無効にすると発表した。ロイターから引用しよう。

「ナスダックからの説明によると、他の証券取引所から転送されてきたオーダーが原因となって、突然グーグルの株価が急落した。そのためナスダックは、午後3時57分から4時2分までのグーグル取引で、425ドル29セント以上、そして400ドル52セント以下で執行された売買を全て無効にすることを決定した。更に、ナスダックは、この決定に対する抗議を一切受け付けないことも付け加えた。」

 

 

というわけで、グーグルの火曜の終値が341ドル13セントと記録されてしまい、水曜、大きな窓を開けての寄り付きになったわけだ。(注:ナスダックは、グーグルの終値を341ドル13セントから400ドル52セントに修正した。)

もちろん、「決定に対する抗議を一切受け付けない」というナスダックの態度が非難されているのは言うまでもないが、火曜の大引け間際に、不規則な取引が生じたのはグーグルだけではなかった。

実は、ゼネラル・エレクトリック(GE)、それにロジャーズ・コーポレーション(ROG)のニューヨーク証券取引所に上場されている銘柄にも、おかしな売買が起きていた。

火曜は9月30日、月末であり、第3四半期の最終日でもあったから、ファンドマネージャーによる「お化粧」が起き易い日だった。もちろん、不正があった、という証拠は無いのだか、投資家たちは、このタイミングに疑問を抱かずにはいられない。

それに、もう一つ、9月30日はヘッジファンド解約申込みの最終日だった。ご存知のように、株の低迷で、多くのヘッジファンドは投資家が満足できるような成績を上げていない。繰り返すが、不正があったという証拠は無いが、こんなタイミングでは火曜の不規則な取引が単なる事故であった、と素直に片付けることができない人たちが多い。

(情報源: http://bigpicture.typepad.com/comments/2008/09/trusting-the-he.html

http://seekingalpha.com/article/98003-not-just-oops-concerns-about-technical-glitches

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http://www.nwt-jp.com/sec1/index.shtml

米下院は、なぜ金融安定化法案を否決したのか

米下院の金融安定化法案の否決を受けて、LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)が、史上最高の6.875%に跳ね上がった。それも、一晩で3.388%から6.875%への上昇だから尋常な上げ方ではない。


ロンドンという名前で他人事のように聞こえてしまうが、この金利上昇は、米国市民に嬉しくないニュースだ。多くの金融機関は、LIBORを指標にして学生ローン、住宅担保ローン、クレジットカード、中小企業向けローンの金利を決定しているから、LIBOR金利の上昇はアメリカの家庭に直接的な影響を与える。

しかし、議会通過は、ほぼ間違いないと見られていた金融安定化法案は、なぜ否決されてしまったのだろうか?ワシントンポストのコラムで、ベン・パーシング氏は、こう説明している。

1、ブッシュ政権は、国民に正確な情報を伝えることを怠った。7000億ドルという膨大な数字ばかりがクローズアップされ、実際にはそれ以下の金額で済む可能性があり、使われる税金の一部も国民に戻ってくることに関しては、ほとんど伝えられていなかった。

2、選挙を控える議員たちは、有権者に不人気な金融安定化法案に賛成したくなかった。「私は、この法案を通過させたくなかったのですが、深刻な現状を考えると賛成するしかなかったのです。」こんなことを有権者の前で言おうものなら、おそらく再選は難しくなるだろう。

3、国民の支持率が下がっているブッシュ大統領には、議員たちを説得するだけの力が無かった。それに、年末で任期も終わりだ。大統領に立候補しているマケイン、オバマ両氏も法案に賛成していたが、ブッシュ大統領と同様に、議員たちを説得するだけの力は無かった。要するに、現在のワシントンには、真のリーダーが存在しない。

4、簡単に言ってしまえば、議員たちは、この法案が嫌いだった。保守派議員から見れば、この法案は税金の浪費であり、更に自由市場の理念に反するものだ。リベラル派の議員たちも、ウォール街だけを救済するような法案には賛成したくなかった。

5、議論の最後に、党派的発言をした下院議長が悪い、と両党の主要議員は語っている。

ウォール街が完全に悪役になってしまったが、否決された法案を修正して、何らかの金融安定化法案を可決しないと、LIBOR金利の大幅上昇で分かるように、結果的には消費者が被害を受けることになる。

キャシー・リーエン氏(DailyFX.com)は、こう語っている。

「ウォール街の過ちを、国民の税金で穴埋めするのは間違っている、という意見はもっともです。しかし、アメリカを長い不景気から守りたいなら、どうしてもウォール街を救う必要があります。」

 

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(情報源: http://tradermike.net/2008/09/credit_markets_are_still_tight/

http://voices.washingtonpost.com/capitol-briefing/2008/09/why_the_bailout_bill_failed.html

http://seekingalpha.com/article/97928-the-main-street-wall-street-bout-round-two

アメリカは既に恐慌 ??

米議会は、金融安定化法案を却下し、ダウ指数は700ポイントを超える大幅な下げとなった。

USA TODAYが週末に行った意見調査の結果:

・米国経済は既に不景気だ  36%
・米国経済は既に恐慌だ  33%
・米国経済の成長速度が鈍っている  27%    


驚くことは、現実離れした「恐慌」という言葉を使って現在の米国経済状態を表現する人たちが33%もいることだ。(調査は1011人の成人が対象になった。)

アーウィン・ケルナー氏(経済学者)は、こう語っている。

最近の報道で顕著なことは、「恐慌」という言葉が繰り返し使われていることだ。現在の米国経済に、「恐慌」という言葉は全くあてはまらない。もちろん、現状を楽観視しているわけではないが、30年代と現在を比べてみよう。

・1929年の暴落では、ダウ指数は2カ月間で40%の下落となった。現在、ダウは22%の下げ。

・1933年、失業率は25%の高レベルに達した。現在の失業率は6%を少し超えた程度。

・30年代の恐慌では、GDPが25%もマイナスになった。現在のGDPは+3%。

・恐慌時代、住宅価格は30%を超える下げになった。現在、住宅の下げは約16%。

・現在、消費者物価指数は、まだ上昇が続いているが、恐慌時代、消費者物価指数は30%ほど下落した。

・1934年、約40%の人たちが、住宅ローンの支払いが不可能になった。現在この数値は4%。

・30年代、9000を超える銀行が破綻した。最近2年間で破綻した銀行数は20未満。

それでは、USA TODAYの意見調査結果を、もう一つ見てみよう。

・大きな買い物を中止した  15%
・大きな買い物を延期しようと思っている  14%

現在、iPhoneでお馴染みのアップル株が10%を超える大幅下落になっているが、実は上記の理由で格下げされている。格下げを発表した本人、マイク・アブラムスキー氏(RBCキャピタル)によると、アップル社のコンピュータを向こう90日以内に買う予定は無いと回答した人の数が、2.5年ぶりの大幅上昇になったということだ。

クリスマスシーズンを控え、小売業者は、ますます頭が痛い。

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(恐慌時代の風景  写真:AP)

(情報源: http://www.usatoday.com/money/economy/2008-09-28-poll-depression_N.htm

http://www.marketwatch.com/news/story/dont-call-bailout/story.aspx?guid={0A2E0398-2E89-4F7F-B8C7-4150783B1B2E}

http://blogs.barrons.com/techtraderdaily/2008/09/29/apple-falls-sharply-rbc-morgan-stanely-cut-ratings/

当たり前だが前途多難

先ず、時事のヘッドライン。「金融安定法案、大筋合意=米政府、75兆円の公的資金投入へ」 もちろん、この法案が可決したとしても、米国経済が直ぐ上向きになることはない。現時点で、米国消費者が気にしている、五つの点を見てみよう。


1、住宅ローン:

「法案が可決され実施されれば、住宅ローン市場が正常化に向けて動き出すことは言うまでもないが、7000億ドルに及ぶ国債発行は国債利回りを上昇させ、結果的に住宅ローン金利が高くなる。これだけ膨大な資金が注入されるわけだから、長期的にはインフレが大きな心配になり、どちらにしても住宅ローン金利は上昇するだろう。短期的には、下降する経済の影響で、住宅ローン金利は下がることも考えられる。」 グレッグ・マクブライド氏(Bankrate.com)

2、雇用状況:

「救済計画の実施で、失業率が大幅に上昇することはないだろう。もし法案が可決されなければ、失業率は、おそらく12%くらいまで上がってしまうだろう。適切な救済案が可決すれば、来年の失業率は、8%を超えることはないだろう。」 ブラッド・ディロング氏(カリフォルニア州立大学)

3、所得税:

「これだけ巨大な金額の法案だから、言うまでもなく、税金は大幅に引き上げられることになるだろう。ただでさえ問題の多い財政状況が、今回の法案でいっそう大きく悪化することは間違いない。」 ディーン・ベーカー氏(センター・フォー・エコノミック・アンド・ポリシーリサーチ)

現在、大統領に立候補しているマケインとオバマの両氏は、4兆から6兆ドルにおよぶ減税を提唱している、

4、自宅所有者は無視される?:

「政府が、金融機関から不良住宅ローン担保証券を買いあげることで、最終的には月々の住宅ローン支払いに困っている自宅所有者たちも恩恵を受ける、と考えられているようだが、この見方は間違っている。なぜなら、住宅ローン担保証券を保持する金融機関には、住宅ローン金利を変更する決定権が無いからだ。」 ヘンリー・サマー氏(破産法専門弁護士)

5、自己破産法改正の必要:

「現状において、住宅ローンの支払いが不可能になった人たちが、住宅ローンの金利や支払い方法を変更するには、自己破産を申告するしかない。」 ヘンリー・サマー氏(破産法専門弁護士)

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ポールソン財務長官 (写真:AP)

(情報源: http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2008092900002&m=rss

http://www.marketwatch.com/news/story/five-key-areas-bailout-hit/story.aspx?guid={E9AB1F27-E5A7-461A-8E6E-09092E509973}&dist=TNMostRead

全ては最高のAAA

USA TODAYの調査によると、78%の米国市民は、政府による金融機関の救済が必要だ、と答えている。しかし回答者の多くは、ブッシュ大統領が提唱する7000億ドル救済案には懐疑的だ。


米史上最大の銀行破綻、と報道されているように、木曜夜、経営難に陥っていたワシントン・ミューチュアルが米貯蓄金融機関監督局によって業務停止が命ぜられ、連邦預金保険公社の管理下に置かれた。

破綻の大きな原因はサブプライム住宅ローンなのだが、このサブプライム住宅ローンは証券化され、モーゲージ担保証券という人気商品になった。しかし、住宅ブームが去り、最近倒産した大手証券リーマン・ブラザーズの例で分かるように、モーゲージ担保証券は金融業界に大打撃を与える結果になった。

そもそも、これだけ米国金融市場を混乱させる原因になったモーゲージ担保証券や不動産担保証券を、なぜ金融機関は積極的に投資家たちに勧めたのだろうか?

9月25日、ブルームバーグは非常に興味深いことを指摘している。下が要旨だ。

2004年8月、格付け会社ムーディーズは基準の甘い新しい格付け方法を導入し、これが金融機関でモーゲージ担保証券が優先されて顧客たちに販売される結果になった。2週間後、遅れては大変と、スタンダード・アンド・プアーズ社(S&P社)も格付け方法を変更した。

2002年から2007年の間に、ウォール街は、3兆2000億ドルに及ぶサブプライム住宅ローン(主に低所得者を対象にした住宅ローン)をモーゲージ担保証券化し、AAAという最高の格付けをムーディーズとS&P社から得た。

「AAAという格付け無しでは資金が流れ込んできません。S&P社とムーディーズがしたことは、単に顧客を満足させただけでなく、顧客が要望する格付けを与えていたのです。」 ジョセフ・スティグリッツ氏(コロンビア大学教授)  

「新格付け方法は、投資銀行に都合が良いように作られた、いい加減な方法です。言い換えれば、新格付け方法が、どん底へのレースを開始させたのです。」 トンコ・ガスト氏(ダイナミック・クレジット・パートナーズ)

さて、上記したように、木曜夜、ワシントン・ミューチュアルが破綻したわけだが、APがこんなことを報道している。

「金曜、S&P社は、連邦預金保険公社の管理下に置かれJPモルガンに吸収合併されたワシントン・ミューチュアルの無担保債を、更に格下げした。S&P社は、二日前にワシントン・ミューチュアルの無担保債をジャンク債(投資に不適格な債券)に格下げしたばかり。」

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(情報源: http://www.usatoday.com/money/economy/2008-09-25-poll-results_N.htm?loc=interstitialskip

http://biz.yahoo.com/ap/080926/washington_mutual_s_p.html?.v=1

http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601109&sid=ax3vfya_Vtdo&

移動平均線とMACD

最近、全く聞かなくなったのがIPO(新規公開株)だ。もちろん、現在の相場環境を考えれば当然のことかもしれないが、Bespokeインベストメントによると、今年ここまでのIPOはたったの54社で、1991年以来最低の水準だという。


下は、2000年から現在までの、月別に見たIPOの数とS&P500指数の比較だ。

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(資料:Bespokeインベストメント)

青: IPOの回数、 赤: S&P500指数

下げ相場で、IPOの数が大幅に減少する様子が、よく分かるチャートだ。極めて単純な結論をすれば、マーケットの天井付近で頻繁な新規公開株があり、マーケットの底付近ではIPOが無い。

それではローソク足で、S&P500指数の流れを見てみよう。

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(月足)

2002年の安値から2007年の高値でフィボナッチの値戻しレベルを入れると、現在の位置は、サポートになりやすい50%レベル付近だ。もちろん、これだけの理由で買うことはできない。

上のチャートに、投資家たちに広く利用されている、移動平均線とMACDを入れてみよう。

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マーケットが、前回のベアマーケットから抜け出た様子だ。

先ず、1、2の矢印が示すように、MACDのヒストグラムがローソク足の方向とは反対に動くダイバージェンスを起こしている。そしてMACDのクロス(3)、更にローソク足が移動平均線の上にブレイク(4)して、トレンドが下げ基調から上昇基調に転換した。

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そして、これが今日の状態。まだ買いシグナルは出ていない。

パラメーターを記しておこう。

MACD: 12、26、9

移動平均線: 12  単純平均ではなく平滑移動平均線(EMA)

(情報源: http://bespokeinvest.typepad.com/bespoke/2008/09/ipo-market-slow.html

最高経営責任者の給料は政府が決める!?

今日も議会で、バーナンキ氏(連邦準備制度理事会議長)が証言している。単純な言い方をすれば、ブッシュ政権のために、7000億ドルの経済救済案を議員たちに売り込んでいるわけだ。


救済案の一項目に、金融機関からの不良不動産担保証券の買い取りがある。既に、バーナンキ議長は、たとえ政府がそれらを買い取ったとしても、最終的にそれらを売却できると述べているが、いったい政府はいくらで不良証券を買うつもりなのだろうか?

アレサンドロ・パガ二氏(ルミス・セイレス)によれば、今日のような状況でも、不動産担保証券を扱う市場が完全に死んでしまったわけではない。問題は、買い手が表示する価格が、かなり低いことだ。現に、メリル・リンチが膨大な量の不動産担保証券を売却した時は、78%も割引く必要があった。はたして政府は、金融機関に、不動産担保証券の叩き売りを命ずるのだろうか?

どちらにしても、誰もが満足する解決方法はありえない。そもそも不良証券なのだから、タイヤ無し、エアコン無し、エンジン無しの車を買ってください、と頼むようなものだ。あまり高い金額で買い取りなら、納税者たちが黙っていない。かと言って、叩き売りを強要するような低価格では倒産する企業が出てくることだろう。

CNNなどの報道で分かることは、アメリカ国民の憤りだ。金融機関の大失敗を、なぜ国民の税金で救う必要があるのだろうか?現に、ワシントンの議員たちのオフィスは、7000億ドルの救済案に反対する人々からの電話対応に、かなり忙しいようだ。

「偽りの無い事実は、アメリカ国民は激怒している。当然のことだと思う。超党派的姿勢で、経済救済案を検討していくつもりだ。」 チャールズ・シュマー上院議員(経済委員会議長)

「ブッシュ政権の提案する救済案には、いくつかの疑問な点がある。政府が金融機関から不良不動産担保証券を買い取るわけだから、シュマー上院議員が言うように、納税者たちに、それらの金融機関の株を分け与えるべきだと思う。」 サム・ブラウンバック上院議員

さて、APの報道によると、早急に経済救済案を通過させたいブッシュ大統領は、今夜テレビを通じて国民に訴えるようだ。更に、この報道の中には、こんな一文もあった。

「ポールソン財務長官は、両党からの要求を受け入れて、救済対象になる企業の経営陣の給料を規制する、という項目を救済案に付け加える。」

以前から、経営陣に支払われる法外なボーナスや給料が問題視されていたが、いよいよアメリカは、政府が最高経営責任者の給料を決定する時代が訪れるようだ。正に、俗に言う自由資本主義の終わりが近づいている。

 

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(情報源: http://www.usatoday.com/money/industries/banking/2008-09-23-toxic-paper-bailout_N.htm?loc=interstitialskip

http://biz.yahoo.com/ap/080924/financial_meltdown.html

http://money.cnn.com/2008/09/24/news/economy/bernanke_testimony/index.htm?postversion=2008092412

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