スピード・ラーニングの嘘

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「聞き流すだけで喋れるようになる!」という「スピード・ラーニング」という教材を時々目にする。

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だが、聞き流すだけで外国語が喋れるようになることは絶対にありえないのだ。

品詞の並べ方以外の文法規則が全て崩壊してしまっている英語は、外国語の中では最も習得しやすい言語だといえるだろう。

 

なぜなら、単語を並べるだけで、ある程度は伝わるからだ。

そのため「聞き流すだけで喋れるようになる」と言われると、その気になってしまうのだろう。

  

フェイスブックではこういうのもあるくらいだ。(笑)

 

そんなに易しい英語という言語にもかかわらず、何故日本人は英語が苦手なのか?

それは、外国語を話すときに、基本的な頭の使い方が違っているためだ。

言語は全て文法と音声から構成されている。

   

そのため文法の実時間処理というトレーニングが不可避なのだ。

 

ウチの娘もいわゆる帰国子女にあたるわけだ。

彼女は大学時代を含めると、日本国内で勉強している人達より遥かに多くの場数を経験をしている。

だが文法となると、間違うことがある。

 

一方で、いわゆるネイティブスピーカーが文法的間違いをすることは絶対にない。

これは四歳くらいまでの時期に、実際に時間を掛け、文法を使いこなすための能力を習得しているためだ。

父母が喋っているのを聞いているだけで、何の解説も受けないにもかかわらず、文法的に間違わず、喋る事ができるようになるわけだ。

日本語や英語などの言語に区別なく、こうしたことは同じように起こるのだ。

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だが猿の赤ん坊が人間と同じ時間、人間の夫婦が喋っているのを聞いていても、喋れるようにはならない。

なぜなら猿の赤ん坊は人間のDNAを持っていないからだ。

   

19世紀に狼に育てられた少女が発見されたことがある。

言葉を覚えさせようと徹底した教育が行われたが、徒労に終わってしまっている。

なぜなら4歳児の時期を過ぎてしまうと、幾ら頑張っても、人類の言語と人類の知能を獲得する事は、できなくなってしまうからだ。

       

だが、日本では英語の学校教育、そして外国語会話学校も、文法の実時間を使った処理と応用の訓練をしていないのが現実だ。

文法は実際の言語を読み、聴き、喋る時に実時間処理で時間を掛けて、使う訓練をしなければならない。

だが日本人は読み、聴き、喋る作業と文法とを分離してしまい、文法を使う訓練をしていないのだ。

  

アメリカに住んでいるとき、一つだけ気をつけていたことがある。

それは、妙な言い回しをしないようにする、という点だった。

そのため仕事仲間のアメリカ人に、一日一つだけでいいから、おかしな文法のところがあったら直してくれ、と頼んでおいたことがある。

 

だが時々、こういうときはこういうのに、どうしてこの場合はそう言うのか?

と訊ねることがあった。

彼の返事は、「それはわからないけど、俺たちはそう言うんだよ」というものだった。

  

だから、いわゆる言い回しとして、こういうときは、こういういい方をする、ということを、とにかく丸暗記したわけだ。

そのため、その日はそこだけを気をつけて話すようにしていた。

その甲斐あってか、今でも街で地図を片手に迷っている外国人を助けることくらいは朝飯前。

ボキャブラリも少なく、英語は決して上手な方ではなかったけど、まあ歳も年だったしね。

  

このように、語学の習得にショートカットはないのだ、と肝に銘じておくことだ。

       

日本人は外国語が弱い民族だということは世界でも定評がある民族だ。

TOEFLという全世界で実施される試験では、百数十カ国の中で日本は最下位から5番目あたりのところを行ったり来たりの状態。

英語ネイティブと接触する機会がほとんどない北朝鮮やベトナムより日本の方が低いのが現実なのだ。

 

その弱みにつけ込み、教材を売りつけて大儲けしているのが、スピードラーニング。

ご注意あれ!

  

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