300(スリーハンドレッド)

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シン・シティなどのグラフィック・ノベルをもとにしたザック・スナイダー監督による「300」(スリーハンドレッド)は、スパルタの兵士300人でペルシアの巨大軍団に立ち向かうというアクション超大作。

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ヒーローであるスパルタの王レオニダスを演じるのは「オペラ座の怪人」のジェラルド・バトラー。

  

他に特に有名な大スターが出演しているわけでもないのに、アメリカでは興行収入2億ドル(240億円)を突破したという大ヒット作となったが、どこが魅力なのか?

肉体を使った戦闘というテーマを、ブレることのない徹底した方向性で統一して制作されているため、その魅力がストレートに観客へ訴えかける作品として仕上がっている。

リアリティの追求よりも、今までに類を見ない様式で構築された世界を見せるという点では、いわゆるアニメとも共通した方向性を持っていると言えるだろう。

  

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俳優達はこの映画のために鍛えられ、独特の質感にマッチするような画像処理を施された斬新な映像でもって、スパルタの戦士としての肉体美を余すことなく伝えている。

光と影を効果的に使った、独特の映像は文句なく素晴らしい。

映画全体は少し荒いテキスチュアでもってセピア調のカラーで表現されているため、まるで動く絵画のようだ。

 

ここまでの徹底した様式で見せられると、首が手が飛ぶような残酷なシーンでも、ある種の美しさを感じるほど。

太陽さえ隠れるほどに空を埋めてしまう、ペルシャ軍の放った大量の矢が降ってくると、空が真っ黒になるシーンなどは現実にはあり得なくても、全く違和感なく楽しめるのは、映像の中の一定の様式美として確立されているからだろう。

  

1人の王の生涯を見せるというストーリーのため、幼少の頃のスパルタ式教育のいわれや、その背景などがオープニングからわかりやすく手短に解説されている。

この伏線があるからこそ、彼のその後の行動をよく理解することができるというわけだ。

 

開戦を許されない事情のため、正規軍を派遣することができず、やむなく王の護衛と称する300人の精鋭部隊で100万人のペルシア軍に挑むという、一見荒唐無稽に思える展開も、映画の進行と共に違和感なく受け入れることができるのは、こうしたストーリー展開のうまさによるものだろう。

  

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どれだけの大群であろうと狭い峡谷へ誘い込み、そのボトルネック部分で戦えば、相手がいくら多数であっても応戦できるという理詰めのロジックに十分な説得力があるため、観るものは厭が応にでもその後の展開に期待が高まるというわけだ。

戦闘シーンがはじまる中盤以降になると、期待に違わないレベルでもって、CGと実写を交えた迫力のある戦闘シーンが展開される。

 

スローモーションを多用した、一対一を基本とした戦闘シーンは、肉体とその動きの美しさを余すことなく表現すると同時に、戦闘シーンの残酷さに繋がる部分をうまく緩和する効果を生んでいるようだ。

スパルタの精鋭たち300人は常に行動を共にし、あるときは楯で1枚の鉄扉のような陣形を組み、ある時は散開しながら、ペルシア軍が繰り出す怪力の大男や、巨大なサイや象といった少々現実離れした「武器」をも撃破してゆく様はまさに圧巻。

 

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そして何よりも観客の胸を打つのは、スパルタ戦士たちが育てられる過程で得た秘めた内なる「魂」の部分だ。

子どもの頃から戦士としての教育を受け続けてきた彼らは「自由のためなら死ぬことは歓びだと」と考えているため、祖国を守るための死は決して恐いものではなく、むしろ甘美ななものとして捉えている。

大軍に立ち向かう勇気に繋がっているこうした部分は、神風特攻隊に通じる部分があるため、多くの日本人にとって共感できる部分ではないだろうか。

 

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息詰まる戦闘シーンの合間には、政治的な駆け引きや、家族の描写がうまく配置されているため、時間を忘れて楽しむことができるだろう。

独特の映像でアクションを表現し、愛するものを守るという信念に裏打ちされた勇気と行動力で観るものを感動させるというシンプルさに加え、こうしたシーンをバランスよく配置するといった基本的な構成部分がしっかりと作られているのも、ヒットの大きな要因ではないだろうか。

説得力のあるわかりやすいストーリーを軸に、美しい独特の映像美でもって、その内なる愛するモノを守るという純粋な魂とのパワーを、存分に味わうことができる作品は、全体に少々濃い口で「こってり」したテイストだが、こうした味が好きな方には、お勧めの映画だといっていいだろう。

  

  

出典

 

2007年10月14日

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