2019年06月07日 のCoolに過ごそう

製薬業界の不都合な真実

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"治らない薬"が一番いい!?医師が明かす製薬業界「不都合な真実」

 

薬を飲んでも病気は治らない? 

  

一般的に薬を飲み病気を治すというのが、ほとんどの薬は病気を完治させるほどの効果はなく、病状を多少改善させる程度のチカラしかない。

だが「そこそこ有効性があるが病気は治らない薬」の方が、製薬会社の利につながるのだ。

 

なぜなら、患者は延々と治らない薬を飲み続けることで、製薬会社は儲かる仕組みになっているからだ。

  

約10兆円の市場規模

 

製薬会社の収益の源泉は、医療費だ。

日本は1961年に国民皆保険制度を導入、今では保険診療で医療を安く受けるのが当たり前となっている。

 

医療費の自己負担は多くても3割で、残りの7割以上が保険料で支払われる。

そのため国民医療費の1人あたり負担額は33万3300円に及び、国民医療費の財源の約39%が公費、約49%が保険料であり、患者の自己負担分は約12%に留まっている(2015年度)。

 

つまり製薬会社の利益は税金や保険料によって支払われているのだ。

  

新薬の開発が進まないワケ

 

高額売上リストを見ると、病気を完治させる薬がほとんどないことに驚く。

飲むのをやめてしまうと効果がなくなるため、必然的に年単位で飲み続けることになる。

 

医者の立場からすれば、定期的に通院してくれる患者(固定客)を獲得することになるのだ。

製薬会社の立場から言えば、治らない薬こそ長期的に安定した収益をもたらす「儲かる薬」となるわけだ。

 

病気をすぐに完治させてしまうような特効薬は短期間しか使われない。

そのため、商業的利益の点では、うま味があるとは言えないのだ。

 

味気ないアドバイス 

 

「血圧やコレステロールが高い、痛風や糖尿病と診断された」というとき、一体どう対処すればいいのか?

病気になったから薬を飲む、というのは、スポーツアスリートがトレーニングを軽視し、薬に頼って安易にドーピングに走るようなものだ。

  

安直に「生かさず殺さずの薬」に頼るだけでなく、生活習慣全般を見直すという地道な努力を、長年にわたって傾け続けることこそが大切なのだ。

運動に取り組み、喫煙や、飲酒を避け、白米や砂糖などの炭水化物を減らし、肥満にならないように体重をコントロールすることだ。

 

この当たり前のことができないビジネスパーソンがいかに多いことだろうか。

医者としても、収益にならない細かな生活指導を、理解してくれない患者に時間をかけて行うより、治らない薬を処方した方が早くて儲かるという現実が目の前に横たわっているのだ。

   

 

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なぜ「超高価な新薬」が増えるのか?

 

5月15日、血液のがんである白血病の新しい治療薬「キムリア」が、日本で保険医療の対象となった。

治療は一回でいいが、その公定価格は1回で3349万3740円!

 

保険適用ということは、もし3割負担とすれば医薬品代だけでおよそ1000万円となり、差額の2000万円あまりは医療保険から支払われる。

日本では、所得に応じて個人負担に上限を定める「高額療養費制度」があるので自己負担ははるかに少額になる。

年収370-770万円であれば自己負担は40万円程度になる(朝日新聞5月16日)。

  

キムリアはどうやって作るのか?

  

まず、患者の血液から採集した白血球のうちのT細胞だけを選択して凍結保存し、ノバルティスファーマ社の米国の研究所へ送る。

次に、そのT細胞にキメラ抗原受容体(CAR)を遺伝子導入し、白血球のB細胞が突然変異したがん細胞だけを攻撃するように変化させて培養し、その数を増やす。

 

この遺伝子導入したT細胞(CAR-T)がキムリアであり、患者の体内に点滴で戻すと白血病のがん細胞を攻撃する仕組みだ。

25歳以下の再発・難治性B細胞性急性リンパ芽球性白血病と再発・難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫というかなり特殊なタイプの白血病だけが保険適用となっている。

 

そもそもが患者数の少ない希少疾病であり、この治療法の対象となるのは日本国内では最大で年間216人という試算もある。

  

新薬の価格決定プロセス

 

新薬の価格は、原材料・製造費用に加えて、新薬の開発までに必要だったとされる研究開発費を取り戻し、さらに次の新薬を研究開発するだけの十分な利益が上がるように設定されている。

そして、新薬を一つ開発するには1000億円必要というのが製薬企業の言い分だ。

 

ただし、この試算は盛り過ぎとの批判も数多い。

 

製薬企業は慈善団体ではないのだから、患者数の少ない=市場規模の小さい医薬品に高価格をつけること自体はある意味では当然だろう。

いま世界で問題視されているのは、こうした希少疾病用の高価な新薬が続々と開発され市場に出回りつつあることが医療経済に与える影響だ。

 

患者数の少ない希少疾病の場合、基礎研究で有望な新薬があっても、十分な人数の患者さんを集めて有効性を臨床試験で証明することが難しかったり、市場規模が小さく採算がとれなかったりするために、研究開発がなかなか進まないことがある。

  

なぜ高くなるのか?

 

たとえば成人の医薬品をそのまま子どもに使うのはリスクがあり、慎重な臨床試験が必要なのだが、これでは本当の新薬とは言えないはずだ。

また、アファニチブという抗がん剤の場合は、EGFRという遺伝子の異常がある非小細胞性肺がんに対する治療としてオーファンドラッグ制度を用いて承認されたが、その数年後に扁平上皮の組織像を示す非小細胞性肺がんに適応対象を広げている。

 

がんの場合とくに、このようにして、最初はオーファンドラッグとして、△△△遺伝子の異常をもつ□□□がんや再発・難治性の○○○がんに対する治療薬として承認された後に、医師の裁量で適応外使用されたり、ほかのがんに適応を広げていったりすることが頻繁に行われるのだ。

サラミソーセージを薄切りにするように、患者数も多く一般的な病気であるがんを遺伝子異常で細かく分類して意図的に「希少疾病」にするという意味で、「サラミ・スライシング」と揶揄されている。

 

ノーベル賞で話題になったオプジーボも、もともとは皮膚がんの一種悪性黒色腫の治療薬としてオーファンドラッグとして米国で承認され、その後に適応対象の疾患が肺がん、腎細胞がん、ホジキン病などに拡大しつつあるのだ。

  

 

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