ディパーテッド

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「インファナル・アフェア」のハリウッド版リメイク。

ディパーテッドのストーリーは大まかには、原作とほぼ同じなのだけれど「インファナル・アフェア」とは、まったく別物といっていいだろう。

両方の作品を比べても仕方ないと思えるほど、対象としている「感性」が違うからだろうか。

監督のマーティン・スコセッシは1976年にロバート・デ・ニーロ主演の「タクシードライバー」で一躍有名になり、80年の「レイジング・ブル」でアカデミー監督賞に初ノミネート。

以来88年の「最後の誘惑」90年「グッドフェローズ」01年「ギャング・オブ・ニューヨーク」04年「アビエイター」と5度も監督賞にノミネートされながら受賞できず、この映画で初のオスカーを受賞したという「いわく付」の作品だ。

監督は、日本人も含む東洋人の好むテイストと、アメリカ人との違いを認識した上で「アメリカ流に解釈するとこうなりました」というように仕上げたようだが、見終わってみると、このあたりが評価されたのかなという気がする。

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映画の構成としては、ポストンの下町を舞台に、人種差別も入り交じった世界で展開されるギャングと警察の攻防を、全体像として見せながらも豪華キャストの持ち味を生かそうという欲張った作りだ。

「インファナル・アフェア」の持つ非日常的な「無間地獄」という緊迫感はないが、リアリティの高いより現実的な世界を描こうという意図のように思える。

俳優ではギャングのボス役を演じるジャックニコルソンの存在感が群を抜いている。

なんだか好き勝手にやっているようでいて、全体として観ればさほど違和感なくまとまっているのは、監督の力量もさることながら、役者の個性のなせるワザなのだろう。

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マット・デイモンはこういう役をやるには、彼自身の真面目なキャラが邪魔をしているようで、ディカプリオの方が、役にはまっているように思えたが、まあこのあたりは好みもあるのだろうね。


マーク・ウォールバーグが要所でいい持ち味を出しているのも、見逃せないポイントで、この作品に深みを与えている。
 


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この映画ではディカプリオの破天荒さが魅力として十分に発揮されているため、ニコルソンに喰われることなく、主役としての存在感を示している。

ギャングの世界を描いているため、殺伐としたシーンが多くなるためだろうか、精神科の女医を演じるヴェラ・ファーミガ(Vera Ann Farmiga)を登場させているが、このあたりは、万人受けを狙った制作陣の思惑か。


 

男なら誰だって仮病を使いたくなるほど魅力的な精神科の女医を演じているのは、ヴェラ・ファーミガ(Vera Ann Farmiga)で、1973年生まれの35才。

ネズミとして敵側に潜入するというプレッシャーから、マット・デイモンとディカプリオが精神科の女医を訪れ、それがきっかけでマット・デイモンと恋仲になり、途中でディカプリオに走るという展開になるのだが・・

こういう展開になる人間関係の心理描写がバッサリと省かれているため「二股かけた女」のような役所になってしまっているのは、ヒロインの座を射止めたヴェラにとっては、ちょっと気の毒だ。

美人過ぎるために、多少リアリティーを削いでいるのは仕方ないにしても、男ならそんなことはどうでも良くなるためだろうか、制作陣にとっても「息抜き」のように彼女を使ってしまっている気がするのは私だけだろうか?

難を言えばこうしたストーリー展開での説明不足や必然性の欠如などが見られるものの、しっかりとコストをかけて作られたリアリティーの高さによってカバーされるためだろうか、それほど気にはならない。
 

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脚本はある程度オリジナルに沿ってはいるが、最後の展開はかなり違っている。

ディパーテッドという題名らしく、あたかもネズミがコロコロ死ぬように、死者が出まくるわけだだが、これがまた妙なリアリティーを醸し出している。

最後には、主要な登場人物はほとんど死んでしまう、というちょっと意表をつく展開で終わってしまう。

長い映画なので、これぐらいのインパクトが必要だと考えたのかも知れないが、ここは賛否両論分かれる部分かもしれない。

しかし、ここまでこの豪華な俳優を次々と殺してしまうのは、並の監督ではなかなかできないことだろう。


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この映画のオリジナルとなった「インファナル・アフェア」の3部作だが、1作目は良いが2作目3作目は、はっきりいって映画という作品としては三流の作りだ。

そのため「インファナル・アフェア」の3本とディパーテッドの映画としての完成度を比べると、ディパーテッドのほうが、遙かに高くなってしまっている。

「インファナル・アフェア」の一作目のように主役が二人だけというのは、映画を作る場合、比較的まとめやすいのだが、このディパーテッドでは豪華な4人の俳優を使い、さらにあの三本分をこの長さで、ダレることなく収めていることからも、この監督が只者ではない力量を持っていることが伺える。

このあたりの評価が、オスカー受賞の対象となったのかもしれない。

見終わってみると2時間半と結構な長さだが、特にダレることなく最後まで観ることができたのは、娯楽映画としての完成度として水準以上に仕上がっているからではないだろうか。

「インファナル・アフェア」の1作目と、観比べる楽しみがあるという意味も含め、お勧めできる作品だ。

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